第174回 国会 法務委員会 New!
第174回 国会 衆議院 第3号
平成22年3月9日(火曜日)
午前九時開議
○滝委員長 次に、柴山昌彦君。
○柴山委員 自由民主党の柴山昌彦です。
本日は、まず検察捜査の公正性について伺います。
民主党石川知裕議員が政治資金規正法上の虚偽記載罪で起訴されたにもかかわらず、小沢幹事長は不起訴となっております。この理由につきまして東京地検はどのように説明しているのか、改めて伺います。事実関係の確認なので、当局に伺います。
○西川政府参考人 お答えを申し上げます。
検察当局においては、小沢幹事長について、告発を受け、処分に必要な捜査を遂げた上、嫌疑不十分による不起訴としたものと承知をしております。
嫌疑不十分のより具体的な理由について申し上げますと、検察当局において、収支報告書の作成、提出義務者でもなく、現にその作成、提出に直接かかわっていない小沢議員を収支報告書虚偽記入等の罪に問うためには、会計責任者らの行為を通じてみずから犯罪を実行する意思を有していたことが必要であるが、同議員にそのような共謀の成立を認定すべき証拠は不十分であると判断したため、嫌疑不十分により不起訴処分としたものと承知をしております。
○柴山委員 石川元秘書の行為を通じて虚偽記載罪を実行する意思、これが認められなかった、共謀を認定するに足る証拠が不十分だったというようなお答えであったのでしょうか。
共謀を認定するに足る証拠が不十分というのは、一体どういうことなんでしょうか。小沢氏は、当時の石川秘書が勝手にやったことで自分はあずかり知らないというように主張されているわけですけれども、検察は小沢氏が虚偽記載を知っていたことが証明できなかったわけではないのですか。
○西川政府参考人 小沢議員に対する嫌疑不十分の具体的理由については先ほど申し上げたとおりでございまして、今の御質問にかかわりましては、小沢幹事長の認識も含めまして、ただいま申し上げた以上の事柄につきましては、現在公判係属処理中の具体的事件の証拠関係にかかわる事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○柴山委員 繰り返しますが、小沢氏は、自分はあずかり知らないというように主張しているわけです。ただ、今回、検察側が嫌疑不十分とされたことについては、あくまで当該石川秘書との共謀について立証されていないというにすぎません。
一月二十一日に私が予算委員会で指摘したように、小沢氏は、自分の積み立ててきた金で世田谷の不動産を買うように石川氏に指示したと一方では言いながら、同じ金額を銀行から借り入れて当該不動産の購入資金とすることを了承して関係書類にサインしていたわけですから、どう考えても、小沢氏自身が前者のみずからの積み立ててきた金が収支報告書に記載されていないことを知っていたとしか思えません。
検察がもし小沢幹事長が知っていたことが証明できたのであれば、そのようにぜひ指摘をしていただきたいと思います。
○西川政府参考人 繰り返しになりますが、嫌疑不十分の理由については先ほど申し上げたとおりでございまして、今の小沢幹事長の認識の問題も含めまして、お尋ねの事柄は、現在公判係属中の具体的事件の証拠関係にかかわる事柄でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
○柴山委員 では、本当に共謀の事実、共犯性は証明できないんでしょうか。
現在、検察審査会に不起訴不当の申し立てがされていますから、そちらの展開にゆだねますけれども、私からは判例を一つ紹介します。
これは、暴力団の組長である被告人が、直接みずから指示を下さなくても、ボディーガードが襲撃に備えてけん銃を所持していたということを確定的に認識しながら、これを当然のこととして受容し、ボディーガードも被告人のこうした意思を察知していた以上、意思の連絡があるというように認定し、しかも、被告人がボディーガードを指揮命令する権限を有し、ボディーガードによって守られているという事実があることで、実質的には被告人がけん銃をボディーガードに所持させていたとして、銃刀法違反の共謀共同正犯を認めた事案です。最高裁の平成十五年五月一日の決定であります。
こうした事例があるにもかかわらず、今回、小沢氏の起訴が見送られた背景として、最高検の伊藤鉄男次長や東京高検の大林宏検事長が消極的であったとか、あるいは、検事総長の人事に与党の介入があるのを恐れたとか取りざたされていますが、そのようなことがあり得るのか、当局に伺います。
○西川政府参考人 個別事件の捜査機関の具体的活動内容、それからそれに関連する事項については、お答えを差し控えさせていただくしかないわけでございますが、検事総長の任命につきましては、検察庁法十五条一項により、内閣が行う、制度上そのようにされているということでございます。
○柴山委員 検事総長の任命は内閣がするということを今おっしゃったんですけれども、確かに検察庁法十五条にはそのような規定が書いてありますけれども、例えば、先日、二月二十六日に開催された衆議院の予算第三分科会で、民主党の議員がこんな質問をしているんですよ。検事総長は内閣が任命すると書いてあるが、法務大臣が人事権の一環として自分が選んだ人を内閣に諮るということにはならないのか、また、法務大臣が民間人を検事総長に指名することができるのではないか。これについてはいかがですか。
○西川政府参考人 お答え申し上げます。
まず、検事総長の任命につきましては、先ほど申し上げたとおり、検察庁法十五条一項によって、内閣が行うとされているところでございますが、検事総長の適任者について、その任命のための閣議を求めるのは法務大臣、制度上そういうような関係になるということでございます。
それから、どういう方を検事総長に任命するか、民間人の登用はあり得るかということでございますが、これは検察庁法に規定がございまして、検察庁法十九条で、八年以上二級の検事、判事補、弁護士の職にあった者などを検事総長、次長検事、検事長に任命することができるとされておりまして、いずれにしろ、検事総長、次長検事、検事長には、この法律の定めに従い、その時々でその地位にふさわしい者が任命されるというふうに承知をしております。
○柴山委員 例えば弁護士ですとかあるいは大学の先生とか、そういう方を検事総長に任命することも理屈の上では可能だということですね。
○西川政府参考人 委員のおっしゃるとおりでございまして、検察庁法十九条の要件を満たせば可能でございます。
○柴山委員 では、検察幹部、例えば検事総長あるいは次長検事、各検事長、こういった方に今申し上げたような民間人の登用をした場合に、どのようなことが起きると考えられますか。現に、民主党は、国家公安委員に高木前連合会長を充てています。どうぞお答えください。
○西川政府参考人 事務当局としては、先ほど申し上げた制度の説明を申し上げるしかないわけでございまして、先ほど申し上げましたとおり、検察庁法十九条の要件を満たし、かつ、先ほど申し上げた手続に従って、その地位にふさわしい適格な者が任命されるというふうに承知をしております。
○柴山委員 答えになっていないんですよ。時の与党の息がかかった民間人が検事総長になった場合、権力の適正なチェックに支障が生じないか、そういう疑問が当然出てくるじゃありませんか。
また、先ほど申し上げた二月二十六日に開催された衆議院予算第三分科会、この委員会で、先ほど私が言及した議員はこんな驚くべき質問をされているんですよ。「千葉先生のように、弁護士の経験があって国会議員である方が法務大臣になった。法務大臣と検事総長を兼任することは可能でございますか。」「私は、解釈上、法務大臣と検事総長が兼任することは憲法上も検察庁法上も何ら問題はないというふうに思っているんです。ぜひこれは法務省内で研究されて、」「公式の解釈を書いていただきたいというふうに思います。」
この発言をお聞きになって、刑事局長、どう思われますか。
○西川政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘の分科会において、中島議員より、まず国会議員と検事総長との兼職についてのお尋ねがございました。それについて、私、その場では、憲法上、法律上、除外する規定はないという言葉を申し上げましたけれども、これはやや舌足らずでございまして、憲法、検察庁法には除外する規定はないという趣旨で答弁をいたしましたが、いささか正確性を欠いた嫌いがございますので、この場において正確な表現に改めさせていただきたいというふうに思います。
その上で、お尋ねに関する法律の定めについてお答えいたしますと、国会法上、議員は、別に法律で定められた場合などを除き、「その任期中国又は地方公共団体の公務員と兼ねることができない。」とされているため、国会議員が検事総長となるためには法律の定めが必要でございますが、現在、そのような法律の定めはないので、国会議員が検事総長を兼任するためにはこの手当てが必要であるということになるというのが第一点でございます。
次に、もし法務大臣が民間の方であったら検事総長と兼任することができるのだということになりますが、これは、国会法上の問題ではございません。しかし、他方、検察権は行政権に属するものではありますが、司法権とは密接不可分の関係にある。その独立性と政治的中立性を確保すべきことが要請されるということで、検察庁法十四条は、法務大臣は、「個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」と定めているところでございます。
ところが、法務大臣が検事総長を兼任した場合を考えますと、検事総長たる法務大臣がすべての検察庁の個々の検察官の具体的事件の捜査や処理について指揮するということができることになります。したがって、さきに述べたような検察庁法の趣旨に反することとなると考えられますので、法務大臣と検事総長の兼任は、本来、法律が予定しているところではないというふうに考えられます。
○柴山委員 当然です。こんなことを許したら、これまでいろいろと議論をされている法務大臣の指揮権、こんなことを議論しなくても、政治が検察に圧力をかけ放題ということになってしまうんですよ。こういう発想がある、こういう質問をする議員がいる、これは私はスキャンダルに匹敵する大問題と思いますよ。マスメディアはもっと大きく取り上げるべきです。このような発想があること自体、私は、今の与党の極めて危険な体質をあらわしている、そういうふうに言わざるを得ません。検事出身の議員もおられますけれども、私は同じ意見だと思います。
ところで、東京地検が最高検などと小沢氏の処分について協議をしたとされる二月三日の一部新聞に、朝刊で早々と「小沢氏不起訴の方向」という報道があったんです。何でこういう報道があったんでしょうか。どのような背景によるものなんですか、お答えください。
○西川政府参考人 個別事件における捜査機関の具体的活動にかかわる事柄については答弁を差し控えさせていただきますが、今の御質問が、あるいは検察当局側から何らかのリークがなされたのではないかという御質問であるとすれば、従来から、捜査上の秘密に検察当局は格別の配慮を払ってきたものと承知をしておりまして、捜査方針や捜査情報を外部に漏らすということはあり得ないというふうに承知をしております。
報道機関各社は取材活動に基づいてさまざまな情報を各社の判断で記事にしているものと思われますが、各社の判断の根拠は承知しておりませんので、法務当局としてコメントすることはできないところでございます。
○柴山委員 民主党でも検察情報の漏えいに関するプロジェクトチームが立ち上がったということを仄聞しておりますけれども、今の御答弁にどれだけの方が納得をされるか、私は極めて疑問であります。
私も実は与党時代に、重要な政策会議が開かれるまさにその日の朝、ああ、こうやって役所側の方針にしっかりと異論を唱えてこようと、喜び勇んでというか、しっかりと決意を固めて会議に臨むわけです。ところが、その朝刊に役所側の方針が、本来一部の政党幹部とか役所の中でしか知らないはずであるにもかかわらず、ばんと新聞に掲載されるという経験を何度もしております。
これは意図的なリークではないんですか。これは、さまざまな一覧表とかを使って、そういう形でリークをされることがあり得るわけです。いかがですか。(発言する者あり)
○西川政府参考人 委員の今提起された問題について私は承知しておりませんので、お答えができませんけれども、検察当局に関しましては、先ほど答弁申し上げたとおりということでございます。
○柴山委員 先ほど後ろの方から、それは自民党の幹部が漏らしているんじゃないかというお話がありましたけれども、例えば、今回の検察捜査のさまざまな情報の漏えいというのは、与党幹部は経由していないんです。にもかかわらず、本当にこういう形で、しかも大変重要な会議が開かれる朝に、その会議に予断を与えかねない非常に重要な情報が出てくるということは極めて問題だと私は思っています。ぜひ、情報管理には注意を徹底してほしいというように思っております。
いずれにせよ、秘書に当たる者、しかも現職の、現在国会議員の身柄をとって、しかも小沢幹事長の取り調べを二回も長時間にわたって行って、黙秘権の告知を行い、被疑者調書もとりながら、また資金源について再三小沢氏本人の供述がぶれているのに起訴を見送るというのは、私は経験則上、極めてイレギュラーであると感じています。
さて、政治資金規正法以外にもさまざまな問題点があります。石川議員も小沢幹事長も、不正な、かぎ括弧が必要かと思いますが、不正な資金を受け取ったことは断じてないと言われていますけれども、それでは、なぜ、石川議員が、御自分も認めておられるように、不動産購入の資金源をこのような形で隠し、そして小沢幹事長がそのことに異を唱えなかったのか、納得のいく説明はついぞありません。
先日の予算委員会で、私は千葉法務大臣にお伺いいたしました。もし公共工事を受注する会社から国会議員が見返りとして寄附を受けた場合、あっせん利得罪などの刑罰に触れる可能性はありますか。覚えておられると思います、いま一度御答弁ください。
○千葉国務大臣 一般論として、あっせん利得処罰法上の公職者あっせん利得罪というのは、公職にある者が、国もしくは地方公共団体が締結する契約または特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、またはさせないようにあっせんをすることまたはしたことについて、その報酬として財産上の利益を収受したときに成立をする。この要件に当たればあっせん利得罪に該当する、成立をすることになるというふうに思います。
○柴山委員 今の要件の中で、野党の議員には、公務員に対する影響力を行使する権限は認められないんでしょうか。
○西川政府参考人 お答え申し上げます。
これも一般論でございますけれども、あっせん利得処罰法第一条の主体、これは衆議院議員、参議院議員または地方公共団体の議会の議員もしくは長とされております。
また、同法立法時の国会審議によりますと、同条に言うその権限とは、公職にある者等が法令に基づいて有する権限を行うもので、その例としては、議案発議権であるとか修正動議の提出権あるいは質疑権等もろもろが挙げられております。
また、その権限に基づく影響力というのは、この権限に直接または間接に由来する影響力、それから、法令に基づく職務権限から生ずる影響力だけではなくて、法令に基づく職務権限の遂行に当たって当然に随伴する事実上の職務行為から生ずる影響力も含むと承知をしております。
したがって、あっせん利得処罰法は与野党の議員の区別はしておりませんので、一般論として申し上げれば、以上の要件を満たせば、野党の国会議員においても、その権限に基づく影響力が認められる場合はあり得るものと承知をしております。
○柴山委員 今、大変重要な御答弁をいただいたと承知をいたしました。事実上の職務行為を含め、公務員に対する影響力というものを行使したということが認められれば、野党議員であってもあっせん利得法の処罰の対象となり得るという御答弁だったかと思います。
私は、数件、事業者の話を耳にしていますが、岩手県では野党であっても小沢氏の影響力は絶大だったと承知をしています。現在公判中の西松建設事件でも、ゼネコン関係者の供述として、小沢事務所の意向で指名を外されたこともあったですとか、小沢事務所の意向には逆らえなかったというものが出てきています。
こういう事情があったら、さっきおっしゃった影響力を行使する権限というものは認められるんじゃないですか。
○西川政府参考人 委員御案内のとおり、犯罪の成否それから犯罪の構成要件を充当するかどうかというのは、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事項ということでございますので、お答えはできないのでありますけれども、あくまで一般論ということで申し上げれば、このあっせん利得処罰法は議員立法であって、法務当局として立法時の検討資料がないわけでございますけれども、当時の委員会の質疑等を見ておりますと、提案者である議員が、国会議員が、例えば県の職員に対しまして、県の行う公共事業に対する国の補助金は過剰ではないか、所轄の委員会で質問するぞなどと言いながら、特定の業者との間で物品納入契約を締結するように働きかけた場合はそれに該当すると思うという旨の答弁をしたことがあるという、これも承知しております。
○柴山委員 わかりました。
では、一般論としてお伺いしますけれども、請託に関する要件として、入札手続における地元企業との公平な取り扱いを求めるといったような比較的弱い内容であっても要件を満たす、同罪成立のための請託の要件を十分満たすという理解でよろしいでしょうか。
○西川政府参考人 今の御質問の点もやはり証拠によって個々に判断されるべき事柄ということでございますが、これもあくまで一般論ということでございますが、あっせん利得処罰法の請託については、同法立法時の国会審議によりますと、あっせん行為の請託とは、権限を有する公務員に一定の職務行為をさせるように依頼することであるというふうにされております。
ところで、刑法百九十七条の四のあっせん収賄罪におきましては、公務員が請託を受け、他の公務員に職務上不正な行為をさせるように、または相当の行為をさせないようにあっせんすることまたはしたことが要件とされておりますが、あっせん利得処罰法においては、このような職務上の不正行為をさせるとか相当の行為をさせるというのは構成要件になっておりませんので、被あっせん者に正当な行為を行わせた場合でも成立する犯罪であるとされているものと承知をしております。
○柴山委員 専門用語で言えば枉法性という、要するに法律を曲げる内容であることは要件とされていないという今の御答弁だったかと思います。
個別の指摘には御答弁をいただけませんでしたけれども、少なくとも、今申し上げたような内容の、つまり、よそから参入をしたい事業者が地元の事業者と同じような形で入札に参加ができるようにしてほしいというような、普通余り内容的に問題がない請託であっても同罪の請託として成立し得るというように私は受けとめました。
あと、小沢氏のおひざ元で今話題になっている胆沢ダムですけれども、きょう、委員各位のお手元に写真をお配りしているかと思います。この写真を見ておわかりのとおりに、建設予定地にこんな立派な胆沢ダム学習館という施設があるんですよ。
国交省にお伺いしますけれども、こんな施設はどこのダムでもつくるものなんですか。
○三日月大臣政務官 お答えいたします。
これは、国直轄のダム事業は現時点で四十八事業あるんですけれども、そのうち八事業において当該ダムの広報等を行うためのこうした施設を設置させていただいております。
○柴山委員 こうした広報館、学習館はどういった基準で設けられるんですか。そもそも何のためにつくるんですか。
○三日月大臣政務官 設置基準は特にありません。
それぞれのダムが置かれている状況、またその進捗状況等を広く国民の皆様方や一般住民の皆様方にお知らせするため、広報、伝達するために設置させていただいております。
○柴山委員 国民や一般住民に啓蒙普及というか、啓発宣伝、説明のために設けられるというのであれば、こんな立派な施設は要らないんじゃないですか。
ほかには用途はないんですか。
○三日月大臣政務官 済みません、何をもって立派と表現されているのかというのは私は存じ上げませんが、不断に、その事業にしろ、置かれているものにしろ、必要なのか必要でないのかということを検証していくことは必要だと思いますし、前原大臣以下、これまで行ってきた事業についても、人口が減り、そして少子長寿化が進み、財政悪化が進行しているこの機において、前例にとらわれることなく、継続事業であったとしてもそれを見直していこうという方針で、今、事業のさまざまな再検証を行っているところであります。
今お尋ねの胆沢ダム学習館については、先生も御承知かと思いますが、胆沢ダムの学習館とともに、工事の監督員の詰所と合築させていただいておりまして、半々のスペースを分けながら使用をさせていただいております。
○柴山委員 工事事務所だったら、ダム建設が終わったら取り壊すということになるんだと思うんですけれども、この学習館というのは、ダム工事が終わったら取り壊すんですか。
○三日月大臣政務官 これは、旧胆沢町、現奥州市の教育関係者からの御要望にこたえて学習室を併設した施設となっておりまして、その工事が終わった後は、地域住民の皆様方の御要望におこたえする形で、地域の施設として活用される予定だと伺っております。
○柴山委員 要望があるというふうにおっしゃいますけれども、どれぐらいこれは使われているんですか。
ホームページを見ますと、この学習館というのは、十二月から四月までは閉鎖しているんですね。要は、やはり、建設工事の受注ということが本当に透明な形で行われたのかということを私は極めて疑問に思っているんです。一体、この学習館の必要性というのはどれだけあったんですか。(発言する者あり)さっき質問したじゃないですか、野党が権限を行使できるということを。どうぞお答えください。
○三日月大臣政務官 先ほども答弁をいたしましたように、その事業の置かれている状況、進捗状況も含めて、住民の皆様方にお知らせする広報施設としてつくられたもので、地域の実情に応じて、御要望に応じて、教育施設等も併設する形で今活用がされていると。
先生御指摘のとおり、十二月から四月までの冬期間については、工事が冬期休工、工事を休む状態になるものですから、休館とさせていただいておりますが、事前の申し込みがあった場合は臨時に開館をしながら活用をされているということでありまして、その必要性については、その当時あったものだということで、つくられたものだと承知をしておりますし、その活用状況については、私たちはしっかりと不断の検証をしてまいりたいというふうに思っております。
○柴山委員 ところで、この施設の建設費用、それと、併設されていると言った工事事務所の建設費用、それぞれ幾らかかっているんですか。
○三日月大臣政務官 これは、約一億二千万円の費用をかけて建設されております。
○柴山委員 一億二千万というのは、この学習館の費用単体ですか。それとも、併設されている立派な工事事務所、これも合わせての費用なんですか。
○三日月大臣政務官 失礼いたしました。
学習館の建設費用が一億二千万円でございまして、詰所の合築分も含めて全体フロアにかかる費用は、約二億五千万という形で算出をされております。
○柴山委員 ぜひ、この施設についても仕分けにかけて、その必要性というものを検討してほしいものだというふうに思っています。
ちなみに、この学習館の受注事業者は何というところですか。
○三日月大臣政務官 この建設は、十二年から十三年にかけて建設をされたんですけれども、当時受注した企業は高弥建設株式会社でございます。
○柴山委員 今御答弁になった高弥建設、この会社と小沢事務所が一体どういう関係かということを、実は私は情報を持っております。ただ、時間の関係上、きょうはここまでにいたしまして、三日月政務官はここで御退室いただいて結構です。御出席どうもありがとうございました。
さて、予算委員会で一部指摘をさせていただきましたけれども、政治家個人が寄附を受けた場合、法人から受けるのは当然政治資金規正法違反ですけれども、寄附を受けた場合は雑所得収入となり、政治活動のための支出を含む必要経費の総額を差し引いた残額は課税の対象となります。
東京佐川急便事件では、金丸信元自民党副総裁が、政治資金規正法違反により、罰金二十万円の略式命令を受け、一たん刑事手続は決着しましたけれども、半年後に脱税で逮捕されました。検察当局が先輩諸兄に恥じない公正な捜査、処分をされるよう切に希望するものであります。
ところで、特捜部を含めて検察人事の春の異動はいつですか。
○西川政府参考人 お答えの前に、先ほど、あっせん利得処罰法の構成要件について若干間違いの答弁をしたようでございますので訂正をさせていただきます。
先ほど、他の公務員に職務上不正な行為をさせることや相当の行為をさせることなどは構成要件となっておらずと答えたようでございますが、相当の行為をさせないことなどは構成要件となっていない、そういう意味でございますので、その点は訂正をさせていただきます。
それから、検事の異動時期でございますけれども、通常、四月に多数の検事の異動があるほか、適時適切にそれ以外の人事異動も行われるということでございます。
○柴山委員 適時適切な異動はもちろんありますけれども、当然、まとまった人事異動というものは四月一日に予定されているという御答弁だったかと思います。
ところが、それを前にして、民主党の中でさまざまな活動がされているようでありまして、その一つが取り調べの可視化をめぐる動きですので、次に、この点についてお伺いしたいと思います。
民主党は、取り調べの可視化法案を、平成十九年の臨時国会、第百六十八国会だったかと思いますが、また、平成二十一年の通常国会、第百七十一国会だったと思いますけれども、参議院に二回提出をされておりまして、二回とも可決しているんですね。当然です、参議院は民主党が多数派ですから。
大臣、あなたもこの提出責任者に入っていたはずです。どうしてこれを今国会に提出されないんですか。
○千葉国務大臣 私も、取り調べの可視化法案、参議院で提案をさせていただくという際に、何回かその議論には加わっておりましたし、責任者になっていたこともあるかと承知をしております。
この取り調べの可視化については、今、その実現に向けて努力を続けているところでございます。決して出さないということを、方向を決めているわけではございませんで、さまざまな具体的な課題、あるいは、実務的に、実際に運用するに当たってそごがないような、そういう内容で整備をしなければいけないということもございますので、実現に向けて、今、省内に勉強会を設けて議論、検討を進めているところでございます。
その結論をできるだけ早くまとめさせていただいて、法案提出の運びにできるだけ早く持っていくことができればと考えております。
○柴山委員 運用の問題その他というようにおっしゃいましたけれども、この可視化というのは、非常に大きな重たい問題なんです。
どのような形で対象となる事件をピックアップするのか、本当にすべての事件で取り調べ過程を録画、録音するのか。あるいは、出張尋問のような場合に一体どのような手だてを講じるか。また、財政が一体どういう形で手当てをされるのか。諸外国がどういう形で運用されているのか。プライバシーの配慮、こういうことが必要なのではないか、特に暴力団犯罪のような場合で問題となります。また、新型捜査。こういう形で取り調べ過程をオープンにしていく一方で、しっかりと捜査の機能というものを失わせないための捜査機能の強化ということについて、いろいろと必要な検討があるんじゃないか。そういうような、本当にさまざまな検討をしなければいけないと思っております。
冤罪を防ぐことも正義ですけれども、罪を犯した者を逃がさない、うそをつけば逃げられるという制度にしない、そういうこともやはり正義だと思います。
大臣、大臣はさっき、法案提出に際して議論をさせていただいたというふうにおっしゃいましたけれども、この法案、中身を見ましたけれども、至ってシンプルで、議論の形跡が全く見えない法律なんですよ。今大臣がおっしゃった事柄、そういったさまざまな配慮を、さきの法案を国会に提出するときに何で議論をされなかったんですか。
○千葉国務大臣 確かにシンプルな法案であろうというふうに思います。
しかし、そのときに可能な限りで議論や、あるいは論点を党内で議論させていただいた、あるいはいろいろな皆さんから御意見をいただいたということもこれは事実でございます。ただ、そのときにまだまだ十分に議論し尽くしていない、あるいは、今委員がおっしゃったようないろいろな問題点、まだきちっと精査をし尽くしていない部分がやはりあったなというふうに今考え、さまざまな詰めをさせていただいているということでございます。
○柴山委員 これはあの後期高齢者医療制度廃止法案と同じなんです。いろいろ調整や検討が必要だとわかっていながら、争点を単純化して、やりますといって有権者を引きつけて、衆議院で否決されると知りつつ欠陥だらけの単純な法案を参議院に提出して、政権をとってみたら、やはり先送りだと。これでは、詐欺だ、あるいはパフォーマンスだと言われても仕方ないじゃないですか。
どうですか、大臣。
○千葉国務大臣 その御指摘は、私は当たらないというふうに思っております。
参議院でも議論した際に、そのときはできるだけの詰めやあるいは論点を真剣に議論させていただいたというのは事実でございます。ただ、やはり改めて考え直してみますと、漏れていた論点や、あるいは実務的にここは詰めておかなければいけない、そういう問題も出てくるということも事実でございまして、私たちは、それに真剣にまた改めて対応をさせていただいているということでございます。
決してパフォーマンスで、あるいはまた議論を全くせずして形だけ出したなぞということは全くございませんので、そこだけは御理解をいただきたいと思います。
○柴山委員 これは政治の質が問われている問題なんです。マニフェストというものは一体どういう性質のものなのか、そして、それを実現するために一体政治家はどういう責任を持っているのか、こういうことをやはり与野党を超えてしっかりと、これからいろいろ、政権交代ももっと頻繁に起きるはずですから、議論をしていくべきだというように思っております。
さらに、見過ごせないのは、さっき異動の話もしましたけれども、この問題を民主党が検討されているタイミングなんですよ。
先ほど申し上げた、東京地検が最高検などと小沢氏の処分について協議をする日だったまさに二月三日の参議院本会議において、施政方針演説など政府四演説に対する質疑の中で、民主党の参議院議員が、延々とこの被疑者取り調べの全面可視化の必要性を訴えるとともに、千葉大臣に、可視化法の今国会成立に向けた決意と、いつごろ提案されるのかという見通しについて質問されました。間違いありませんね。
○千葉国務大臣 そのような御質疑があったことは事実でございます。
○柴山委員 これについて千葉大臣はどのようにお答えになったか、御記憶ですか。
○千葉国務大臣 基本的に概略になるかというふうに思いますけれども、そのときのお答えといたしましては、今の段階で提出時期について確定的に申し上げることはできない、政務三役を中心にして今論点を精力的に議論させていただいている、こういうことを概略御答弁申し上げたと承知をしております。
○柴山委員 大臣は、今おっしゃったように、省内に政務三役を中心とする勉強会を設けて検討するというような内容をまずおっしゃっております。そして、提出時期については、「今確定的なことを申し上げることはできませんが、」「今後とも皆さんの協力の下にこの実現に向けて取組を進めてまいりたいと思います」、このように御答弁をされているわけです。
そこで、加藤副大臣にお伺いします。
今大臣がおっしゃった、省内に政務三役を中心とする勉強会を設けてというようなお話がありましたけれども、この可視化についての省内勉強会は既に活動しておりますか。
○加藤副大臣 大臣がお答えをした省内の勉強会については、昨年から活動を進めさせていただいております。
○柴山委員 いつ開催をされたんですか。
○加藤副大臣 これまで開催されました省内勉強会の日程でございますが、昨年の十月二十三日に第一回目、同じく十二月二十五日に第二回目、そして、年が改まりまして本年一月二十日に第三回目の勉強会を開催いたしております。
○柴山委員 一月の二十日、微妙な時期ですね。
次回はいつ開催されるんですか。
○加藤副大臣 本日今の段階では、まだ決定をいたしておりません。
○柴山委員 また、この省内勉強会に加えて、副大臣を座長とするワーキンググループが開催されているというように仄聞をしておりますけれども、このワーキンググループはどのように開催され、どのような問題を扱っているんですか。
○加藤副大臣 国会の日程にもよりますので、一〇〇%このリズムでということではございませんけれども、おおむね毎週一回程度ワーキンググループを開催させていただいておりまして、第一回目の省内勉強会で指摘をされた論点等について研究を進めているところでございます。
○柴山委員 ちなみに、勉強会あるいはワーキンググループで議事録はちゃんとつくられているんですか。
○加藤副大臣 あくまでも私どもの研究、勉強のための会でございますので、議事録というものは作成をいたしておりません。
○柴山委員 これはぜひ、本気で検討している会議であれば、しっかりと議事録をつくっていただきたいと思います。
それから、これは、被疑者段階の取り調べも重要な論点なわけですから、公安の方とも、公安委員長ともしっかり連携をとって、ぜひ、きちんと誤りないような制度設計にしていただきたいということを希望したいと思います。
あと、民主党の中にも取り調べの全面可視化を実現する議員連盟というのが立ち上がっていて、何か当局の人を呼んでヒアリングをしているということなんですけれども、これはいつ開催されたんですか。
○西川政府参考人 お答え申し上げます。
取り調べの全面可視化の実現を求める議員連盟から要請があったことから、本年二月十六日と二月二十三日の二回、法務当局において、同連盟の会合に出席させていただきまして説明を行いました。
○柴山委員 余りよそ様の党についていろいろとせんさくするようなことはいけないかもしれませんけれども、どのようなことが議題になり、どういう追求がされたのか、差しさわりのない範囲でぜひお答えください。
○西川政府参考人 先ほど副大臣が答弁なさいましたような取り調べの可視化に関する省内勉強会について、開催状況等について説明を求められましたので、これらの点について報告をいたしました。
○柴山委員 誤解をしていただきたくないんですけれども、可視化に伴うさまざまな問題点に、先ほど申し上げたような形できちんとした検討が加えられ、そしてそれに対する対応が行われた形であれば、全面的な録音、録画を進めることに私は賛成なんですよ。
ただ、先ほど来申し上げているように、政治的な思惑ですとか不当な圧力ですとか、そういうものを伴わない形で、冷静に政策そのものを純粋に議論していかれることを強く希望申し上げまして、ちょっと早いですけれども、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
第174回 国会 予算委員会
第174回 国会 衆議院 第2号
平成22年1月21日(木曜日)
午前九時一分開議
○鹿野委員長
この際、柴山昌彦君から関連質疑の申し出があります。谷垣君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦です。
今回の二次補正予算において、実に九兆三千四百二十億円の公債の追加発行をすることとされています。それにより、平成二十一年度の公債発行額は五十三兆四千五百五十億円となり、公債依存度は実に五二・二%となるわけです。
無論、緊急の景気対策は必要です。しかし、現政権は、一度麻生内閣の緊急経済対策のための補正予算を一部執行停止した上でこの予算を組みました。この是非については後ほど同僚議員から質問していただくとして、私からは一点だけお伺いします。
これまで、自公政権では、プライマリーバランス、すなわち、一般会計における国債発行収入を差し引いた歳入と国債費を差し引いた歳出のバランスを二〇一〇年代初頭までに回復しようという目標を立てておりました。
鳩山内閣においては、このプライマリーバランスをいつまでに回復しようとお考えでしょうか。
○菅国務大臣
柴山議員の方から、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスをバランスさせたいということを前の政権で言っておられたと。私も、何度もその話は聞かせていただき、この場でも議論させていただきました。
しかし、残念ながら、麻生政権のもとで既に第一次補正で四十四兆円の国債を発行され、さらに九兆円税収見通しが下回った中で、今言われた五十三兆の国債発行になったわけでありまして、もちろん、すべてが前の政権とは言いませんけれども、五十三兆の中身でいえば、大部分は前の政権から引き継いだ財政でありますので、プライマリーバランスは大きくギャップが開いたわけであります。
私たちは、決してプライマリーバランスを軽視しているわけではありませんけれども、少なくとも、これまでできなかった原因をしっかり踏まえないで単にプライマリーバランスをいつごろまでにこうしたいということを言っても、それは従来の失敗を繰り返すと思いましたから、例えば新しい経済成長戦略などを十二月の末に発表いたしましたが、そういう歳出の中身あるいは成長戦略、そういうものを組み立てる中から、ことしの五月、六月には中期財政フレームというものを国家戦略室を中心に出していただくことになっておりますので、その中で財政再建の道筋も打ち出していきたい、このように考えております。
○柴山委員
それでは、ことしの五月あるいは六月に示される財政健全化の目標の中において、プライマリーバランスをいつまでに回復されるか、その見通しも示していただける、そう約束されたという認識でよろしいですか。
○菅国務大臣
今聞いていただければわかったように、確かにプライマリーバランスというのは一つの客観的な数字でありますから、それを無視するということを言っているわけではありませんけれども、それによって、それをいついつまでにこうするという形で、これまでやられたことができていないわけでありますから、私たちはそういう形で数字を示すことになるのか、そうではない形で示すことになるのか、今、御存じのように、新成長戦略では、これは見通しではなくて目標ではありますけれども、例えば目標としては名目成長率を三%、実質成長率を二%、つまりは物価上昇率を一%という目標を掲げておりますから、そういう掲げ方も例えばあり得るということで、必ずしもプライマリーバランスだけにこだわったものを出すという約束をした覚えはありません。
○柴山委員
財政健全化は待ったなしであります。今御説明をいただきましたが、ぜひとも国民が納得するような財政健全化の目標をお出しいただくことを強く期待を申し上げて、次の質問に移ります。
総理大臣と与党第一党幹事長がともに政治資金問題について会計担当者の刑事手続に発展し、果ては現職の衆議院議員に逮捕者が出るという前代未聞の展開となっていることは、異常としか言いようがありません。
そのような中で、まず鳩山総理の問題についてお伺いします。
総理は、昨年十二月二十四日、政治資金規正法違反で元秘書が起訴されたのを受けて記者会見を開催され、その中で御自分の政治資金問題について説明されました。私は、このことはよかったと思っております。これからその会見の内容について若干お伺いいたします。
総理は、秘書について、父親の代から手伝ってくれておりました勝場、そして私が議員になる前から手伝ってくれた芳賀、二人とも非常にまじめで、きちょうめんで誠実に仕事をしてくれてきているという信頼感が前提にございましたと述べておられます。間違いありませんね。
○鳩山内閣総理大臣
確かにそのようなことを申したと思います。
○柴山委員
一方、二〇〇二年九月十三日付の北海道新聞によれば、当時、総理の届け出られた政治団体には、総理の資金管理団体である友愛政経懇話会のほか、北友会と鳩山由紀夫後援会というものがありました。そして、後の二つは実はペーパー団体であるにもかかわらず、個人献金をこの三つの団体に分散させて、実態として一つの団体が個人から受けられる年間百五十万円の政治献金の上限額に関する規制を免れていたことを問題としています。
この献金の上限規制は今回の事案でも問題となるべき規制です。鳩山事務所は、当時、この事案について法の抜け道と受け取られても仕方がないと釈明しています。総理、この当時の友愛政経懇話会の会計責任者、そして北友会と鳩山由紀夫後援会の代表者はだれだったんですか。
○鳩山内閣総理大臣
これは御通告がなかったのでわかりませんが、後で調べてお答えします。
○柴山委員
今回刑事処分を受けた芳賀大輔さんなんです。つまり、総理は、このような問題があることを御存じでありながら、芳賀大輔氏を友愛政経懇話会の会計責任者として再任されているんです。
このパネルをごらんください。
このパネルの上から二つ目の段落、政治資金規正法の代表者、つまり鳩山総理が、会計責任者、つまり芳賀大輔氏に対する選任及び監督義務を怠った場合、五十万円以下の罰金刑が科され、それが確定した場合は公民権停止となり、議員生命にもかかわるという規定を載せてあります。
総理、このような問題のある人物をなぜ頼り続けたんですか。
○鳩山内閣総理大臣
柴山議員にお答えいたしますが、先ほどの二つの政治団体を一つにいたしました。その当時、私は、疑われても仕方がないという思いでありましたが、法に照らしては違法ではなかったという認識をしております。したがいまして、しかし疑われてはいかぬという思いのもとで一つにまとめたと記憶をしております。
その行動自体、私は間違ったものではないと思っておりますし、したがって、私は、私の芳賀秘書は大変、その意味でも、多くの同僚議員にも理解をしていただけると思っておりますが、有能な秘書であると思っておりますので、私は、その意味での、例えば選任の責任などというものがあるとは思っておりません。
○柴山委員
当然のことながら、一つにまとめたことはいいことです。問題は、献金を分散していたときの当時、この三つの政治団体の責任者がこの芳賀大輔氏だったということを私は問題としているんです。
そして、総理、ここに一通の商業登記簿謄本があります。北海道の有力なコンクリート会社である株式会社ホッコンについてのものです。この謄本の日付はことしの一月十三日、最新のものです。
これによると、芳賀大輔氏は同社の取締役となっており、代表者としては、会長の芳賀昭雄氏と社長の芳賀俊輔氏が登記されています。
総理、この芳賀昭雄氏と芳賀俊輔氏は芳賀大輔氏とどういった身分関係にあるのですか。
○鳩山内閣総理大臣
芳賀アキオではなく、あの字でテルオと読みます。
それで、親子関係でございます。
○柴山委員
失礼いたしました。芳賀テルオ氏と芳賀俊輔氏と訂正させていただきます。
そして、その芳賀昭雄会長から、友愛政経懇話会は、二〇〇三年から二〇〇八年まで毎年、上限ぎりぎりの百五十万円、計九百万円を、そして芳賀俊輔社長から二〇〇八年に百万円の寄附、計一千万円の寄附を受けています。
総理、私は、この献金がいけないものだと申し上げるつもりは毛頭ございません。ただ、みずからが応援してもらっている企業の役員だからといって秘書に対する監督に影響があったとすれば、それこそ、あなたたちが最も嫌うしがらみの政治につながってしまうと指摘したいのです。
ちなみに、罰金及び公民権停止の処分を受けた芳賀大輔氏は今どうしているのですか。
○鳩山内閣総理大臣
私は、今でも芳賀秘書を秘書として、ただ、公設の秘書ではなくて私設の秘書として仕事を行ってもらっています。大変有能な男だと思っています。しかし、寄附をしてもらっているということで、私の監督責任とか選任責任に影響があるとは全く思っておりません。
○柴山委員
繰り返しますが、今でも芳賀大輔氏は総理の秘書である、そう今答弁をされたということで間違いないですね。
○鳩山内閣総理大臣
そのようでございます。
○柴山委員
総理、そうした扱いでよいのか疑問を留保しつつ、次の質問に移らせていただきます。
総理は、年末の会見で、お母様の巨額の献金について、何に使われたかわからないとおっしゃいました。それを受けて弁護士が、東京地検が恐らくいろいろお調べになった中で、この使い道については問題なかったのだろうと理解しているとおっしゃいました。
ただ、地検がまだ立件していないだけで、別に問題がないことが明らかになったわけではないはずです。いかがですか。
○鳩山内閣総理大臣
私は、その政治資金規正法の問題、いわゆる虚偽記載の問題に関しては、昨年の暮れに検察が捜査を終了した、終結をした、そして処分を決定した、そのように考えております。したがいまして、そのように判断をいたしております。
○柴山委員
この巨額の献金について、地元でこのお金を使ったり、あるいは同僚議員に配ったりされたことはありませんか。
○鳩山内閣総理大臣
私にはそのような思いはありません。
ただ、この件に関して先ほどお尋ねがありました。母から私に対していわゆる贈与があったということ自体を私自身が知らなかったわけでありますだけに、それがどのようなところに使われているかということもわかるはずもないわけでございます。
しかし、私として、政治家に対してお金を例えば配るような話はありませんから、どうぞそこのところは御理解をいただきたいと存じます。
○柴山委員
総務大臣に一般論としてお伺いします。
もし金銭が選挙区で使われた場合、公職選挙法上の問題が生じることはありませんか。
○原口国務大臣
柴山議員にお答えいたします。
個別の事案については、具体の事実に即して判断されるべきものであって、総務省としては、具体の事実関係を承知する立場にないので、答弁は差し控えさせていただきます。
今、一般論ということでございましたが、公職選挙法上、公職の候補者及び後援団体は、当該選挙区内にある者に対し、一定の例外を除き、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならないとされているところでございます。
○柴山委員
一月二十一日号の週刊新潮によれば、総理の後援会主催のパーティーに出席された地元の教師が、自分は会費の千円など払っていない、鳩山さんの後援会の婦人部の女性から来てくれといってチケットをもらって行っただけだ、ほかにもただで入っている人がたくさんいたと話していることが紹介されています。同じく、そのチケットには三枚のビール券がついていたが、実際は飲み放題、食べ放題であって、量が多いから、主婦の中にはタッパー持参の人もいたと地元漁師が証言をしているとのことです。こうしたチケットは町内会や商店会で、一括して売られたこともあったそうで、私たちの取材でも似たような事実が判明しています。
原口大臣、一般論として、飲食物の提供は先ほどおっしゃった寄附行為に該当いたしますか。
○原口国務大臣
柴山議員にお答えします。
これはあくまで一般論ですけれども、飲食物の提供はその対価を等しく取る、これが原則でございます。
○柴山委員
明快な御答弁、ありがとうございました。
続いて、総理にお尋ねいたします。
総理は、お母様からの資金提供を贈与として税務申告された根拠として、自分、つまり総理のために提供され、政治活動や個人活動の支出のために使われているからと答えられています。借用書などもなかったと伺っています。間違いありませんね。
○鳩山内閣総理大臣
その前に、先ほど、あたかも何かただのビール券のようなものがたくさん配られたというような印象を与えかねない発言がありましたが、私は、そうではありません、そのようなことはしていない、そう信じております。すなわち、だれかがある意味で、例えば町内会のだれかが一括しているということはあるいはあるかもしれません、私はわかりませんが、しかし、決してそのような不正なことは行っていない、そのように信じております。
その上で、今お尋ねでございますが、母からの、何でしたか、済みません。
○柴山委員
お母様からの資金提供を贈与として税務申告された根拠として、御自分のために提供され、政治活動や個人活動の支出のために使われているからと答えられていますが、借用書もなかったと伺っています。間違いありませんね。
○鳩山内閣総理大臣
母からの贈与であることも、すなわち私は全く知らなかったわけでありますだけにそれは贈与という判断になったわけでありまして、したがって、借用書などというようなものも存在しておりません。
○柴山委員
この寄附を処理していたのは、総理の会計実務担当の勝場啓二元秘書でした。しかし、同じ勝場秘書が総理御自身のお金を六幸商会から引き出し、あなたの政治活動に使った部分については、総理から友愛政経懇話会への貸付金として訂正処理されているのです。なぜこのような違いが生じるのでしょうか。
○鳩山内閣総理大臣
これは、母から私に贈与があった、そしてその分も含めて、例えば政治活動に使う、いわゆる政治資金規正法にのっとった収支報告の中で使うお金に関しては、借用ということで、私のお金ということになるわけですから、それを貸し付けという形にしたということでございます。
○柴山委員
質問を繰り返します。
お母様のお金に関しても、あなたは会見で、政治活動や個人活動の支出のために使われていたというようにお答えされています。そして、総理御自身の六幸商会から引き出したお金についてもあなたの政治活動に使った部分があります。一方は贈与、一方は貸付金。なぜこのような違いが生じるのですか。
○鳩山内閣総理大臣
もう一回繰り返しますが、母からのは私は存じ上げていない話でありました。したがって、これはすべて私に対する、個人に対する贈与である。そして、そのお金が、私の出したお金と含めて、例えば政治活動に使う部分もある、あるいは個人の議員活動、あるいは個人自身の活動に、生活に使うというお金である。そこからという、一度私の資産というものになった中で使われているということでありまして、政治資金のために使われている部分に関してはいわゆる貸し付けという形になったわけでございます。
○柴山委員
とすれば、お母様からのお金に関しても政治活動に使った部分は貸し付けという形で処理をされたということですか。
○鳩山内閣総理大臣
繰り返しますが、私の、要するに母からの贈与ですから、そこで私のお金になっているわけであります。したがいまして、そこから使ったものに対しては、必要に応じて必要なところに、貸し付けるものは貸し付けという形をとったということであります。
○柴山委員
今出したこのパネルをもう一度ごらんください。
上から三段目におきまして、政治資金規正法では、資金管理団体の代表者であっても、個人からの献金が年間一千万円を超えたら刑事罰に問われると、量的規制が定められています。
総理に伺います。
先ほど御説明になった総理からのお金については、友愛政経懇話会との間に借用書があったのですか。また、返済の事実はありましたか。
○鳩山内閣総理大臣
それは私には今答えるすべがありませんが、多分、必ずしも存在していないかもしれません。
○柴山委員
貸し付けかどうかわからないということをおっしゃったんでしょうか。今総理は貸し付けということで明確に御答弁をされたはずです。貸し付けのためには返還の合意がなければならないはずです。
○鳩山内閣総理大臣
私の資金を貸し付けるという形で処理をしたわけでございます。
○柴山委員
だから、貸し付ける、つまり、返還の合意というものが友愛政経懇話会との間であったのですかという御質問です。
○鳩山内閣総理大臣
それは、本来ならば、多分、何年かかってという話になるのかもしれませんが、そこの部分に関しては、必ずしも、いつまでに返すという話になっているとは思っておりません。
○柴山委員
総理は、昨年十一月四日の予算委員会での私の質問に対して、寄附金の上限規制を超える分については貸し付け処理されると思っていたと御答弁されています。私も記憶しております。
では、勝場秘書などに、実際に、そのように上限規制を超える分について貸し付け処理されているかどうか確認をされたことがありますか。確認書で逐一あなたは資金の流れをチェックしているはずです。その過程で、秘書に貸し付け処理を適正に行っているかどうか確認をされたことがあるのでしょうか。
○鳩山内閣総理大臣
これは、当時の勝場秘書にすべて任せておりましたから、そのようなものは存在しておりません。
○柴山委員
とすれば、総理が本当にこの資金を貸付金だとこの指示書を出した時点で考えていたとは到底思えません。事後的に貸し付け処理をしても、量的制限違反の疑いは消えません。そして、同じように、総理は、お母様からの献金を貸付金と事後処理し、年間百五十万円の量的制限規制違反を逃れようとしたものの、お母様との打ち合わせやほかの御兄弟との整合性がとれず、やむを得ず一般の贈与を受けたという道を選んだのではないですか。
○鳩山内閣総理大臣
そういう認識は全く持ち合わせておりません。
○柴山委員
そもそも、総理はお母様からの資金提供を御存じなかったとおっしゃっています。しかし、十二億円もの巨額の資金を受けながら、一切それを御存じなかったというのは、到底一般の感覚から納得できません。
総理は、これまで、選挙に立候補されるときや御結婚のとき、あるいは人生の節目節目でお母様から資金提供を受けたことはなかったんですか。
○鳩山内閣総理大臣
そういう記憶はありません。確かめたこともありませんが、現実に母からもらったという記憶はありません。
○柴山委員
二〇〇〇年以降、お母様と会食するなど、お母様と接触した事実はありますか。
○鳩山内閣総理大臣
たしか、正月とか、あるいは年に一、二回だと思いますが、やはりもうかなり年老いておりますから、母を見舞いがてら伺った思いはあります。一年に一度も行かないような、大変親不孝をした年もあったかと思いますが、一度、二度は顔を見ていた、そのように思います。
○柴山委員
それでは、総理、お母様にお金が足りなくて困っているとおっしゃったことはありませんか。
○鳩山内閣総理大臣
私は、そのようなことは一切申しておりません。
○柴山委員
これは事実関係の確認であります。
国税庁にお伺いします。
これまで、贈与税の申告漏れで今回のような巨額の案件はありましたか。
○岡本政府参考人
お答えいたします。
記者発表資料でございますけれども、十年間さかのぼりまして、平成七年以降の税目別の、贈与税ということで、脱税の告発件数というところでは贈与税に係る脱税はございませんでした。
○柴山委員
大変珍しい案件だということを確認させていただきました。
そろそろ確定申告の時期を迎えます。一般の方が汗水垂らし不備がないように書類をつくり、親子間の資金移転についてもおかしなことがあれば調査や査察がある中で、このような巨額の案件について、指摘されれば払う、上申書で済ますということでよいのでしょうか。税務調査や刑事手続の余地はないのでしょうか。
○岡本政府参考人
一般論でお答えいたします。
国税当局といたしましては、納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じて課税上有効な各種資料情報の収集に努め、これらの資料と納税者から提出された申告書等を総合検討し、課税上問題があると認められる場合は税務調査を行うなどして、適正公平な課税の実現に努めているところであります。
また、特に脱税事件として検察官に告発し刑事訴追を求める場合には、国税犯則取締法に基づき査察調査を行う必要がございますが、この場合には、逋脱犯の法律上の構成要件に該当することを立証する見通しがあるかどうか、悪質な脱税事件であるかどうかを慎重に検討した上で要否を判断することといたしております。
○柴山委員
そもそも納税義務は、国民の基本的な、かつ本人に帰属する義務であり、御本人が課税原因を知っていてもいなくても、当然のことながら果たさなければいけないはずです。ぜひ、総理大臣だからという理由で、今おっしゃった扱いと不公平なことのないようにお願いしたいと思います。この財政の厳しい折、私たちの税に対するモラルが損なわれかねない案件だからです。
ちなみに、総理は今回、二〇〇二年にさかのぼって贈与税を納付されたということですが、重加算税や延滞税の関係はどうだったんですか。
○岡本政府参考人
個別にわたる事項については差し控えさせていただきまして、あくまで一般論として申し上げさせていただきます。
平成十五年分以前の年分の贈与税の徴収権は、法定納期限から五年間行使しないことによって、時効により消滅することとされています。贈与税の徴収権の時効は、納税者による援用を要せず、また、納税者は時効の利益を放棄することができず、絶対的な消滅となります。したがって、贈与税の徴収権が消滅している平成十四年分、十五年分の贈与税に係る期限後申告は何ら効力を有しないことになりますので、その贈与税が納付されたとしても、その納付された贈与税は還付されることになります。
なお、偽りその他不正の行為により贈与税を免れていた場合の贈与税の徴収権は、法定納期限から二年間は時効が進行いたしませんので、法定納期限から七年間行使しないことによって消滅することとなります。
いずれにしましても、国税当局としては、納税申告書が提出された場合に、その消滅時効の成立の有無など個々の事実関係に基づき適正に取り扱うことといたしております。
○柴山委員
今の御指摘のとおり、重加算税あるいは延滞税についても国税庁当局がしっかりと事実関係を認定した上で処理をしますが、この二〇〇二年にさかのぼって納付した行為であっても、今の御指摘のとおり、徴収権が消滅をすることによって総理の手元にまた戻ってきてしまう、そういう可能性があることを今御答弁いただいたということを再度確認させていただきます。
○岡本政府参考人
十四年分、十五年分については、期限後申告は何ら効力を有しないこととなり、その贈与税が納付されたとしても、納付された贈与税は還付することになるということでございます。
○柴山委員
今の扱いが本当に国民の皆さんが納得できるものなのか、ぜひ疑問を呈させていただきたいと思います。そのような手続になるということは、私も認識をしております。
さて、総務大臣、本件偽装献金について架空の寄附金控除の証明書が発行されていたことは、私からの前回の質問で指摘をさせていただきました。
では、平成十七年以降の収支報告書から削除された寄附金に関する控除証明書で鳩山氏側から返還されたものは何通ありますか。
○原口国務大臣
柴山議員にお答えいたします。
今の御質問は、平成十七年分以降の収支報告書から削除された寄附者にかかわる寄附金控除のための書類に対して返還された証明書は何通かと。
友愛政経懇話会に交付した寄附金控除のための書類については、その後、総務省においては確認をしておりません。
なお、政治資金規正法上、寄附金控除のための書類の不正取得や破棄に関して特段の規定は設けられていないところでございます。
○柴山委員
今、後の質問を先にお答えいただいたわけですけれども、証明書を不正取得すること、あるいは破棄することに問題がないかどうか。今、原口大臣は、これについて、特別法として特段の規定はないというように御答弁をいただいたかと思います。
しかしながら、公印の押された証明書を不正取得し、あるいは破棄するということについて、それでは、千葉法務大臣、何の問題も生じないのでしょうか。
○千葉国務大臣
個別の問題についてはお答えを差し控えますが、一般論として申し上げれば、一定の犯罪類型構成要件に該当するということはあり得るのかと思います。
○柴山委員
次の質問に移ります。
総理、総理は、再三にわたって御自分の、私は政治家と秘書は同罪と考えます、政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば、あれは秘書のやったこととうそぶいて、みずからの責任を免れようとしますが、とんでもないことです、秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのですと述べた御発言について、その発言から逃げるつもりはないけれども、自分は私腹を肥やしたのではないから、過去の事例とは違うとおっしゃっています。
総理、税金の負担を免れることは、私腹を肥やしたとは言えないのですか。また、一般社会で部下が不祥事を犯して上司が責任をとってやめるのは、必ずしも部下が私腹を肥やすことを目的とする事例ばかりではないはずです。総理のお考えは余りに一般社会とかけ離れているのではないでしょうか。お答えください。
○鳩山内閣総理大臣
先ほど申し上げましたように、天地神明に誓ってと申し上げましたけれども、母からのこのお金は全く知らなかった話であります。したがって、贈与ということになったわけでありますが、私は脱税をしたという認識は一切持っておりません。そこだけはぜひとも御理解を願いたい。
したがいまして、今お話がありましたように、秘書がやった行為というものに対しては私としても反省をいたします。当然それなりの責任、責めというものもあろうかと思います。その責めをどのように考えるかという中で、先ほども申し上げたとおりであります。
先ほど、私腹を肥やすような行為ではなかったということを申し上げました。そのことは当然皆様方にも御理解を願いたいと思っておりますが、少なくとも今までの行為と今回の事件、私はいささか違う部分もあるという思いのもとで、したがいまして、今大事なことは、そういう中でも多くの国民の皆様方に御期待をいただいて、しっかりやれ、政権交代をだから認めてやったぞという思いを大事にさせていただいて、身を粉にして国民のための政治に努めてまいりたい、そのように思っています。
○柴山委員
国民の信頼にこたえてということをおっしゃいましたけれども、総理、有権者は決して総理の偽装献金問題の全容やあるいは今回の小沢氏の資金問題の全容を把握した上で投票したわけではないということは、ぜひ御認識をいただきたいと思います。
続きまして、民主党小沢幹事長の問題についてお伺いします。先ほど議論にあったガソリン税の暫定税率の問題や、質問のあった天皇陛下の政治利用の問題だけではなく、外国人参政権の問題を含め、小沢氏の物議を醸した言動についても、一体どれだけ民主党の中で民主的に議論をされたのでしょうか。民主党は今や小沢独裁政党と言われても仕方がないのではないでしょうか。
ちなみに、今月十七、十八両日に実施された共同通信社の世論調査によれば、内閣支持率は前の週の五〇・八%から四一・五%に急落、不支持率は三三・二%から四四・一%と、初めて不支持が支持を逆転しました。小沢氏の進退については、幹事長をやめるべきだという意見と議員辞職すべきだという意見を合わせれば実に七三・三%となっています。私たちも、仮に今報道されているような内容が事実であれば、小沢氏には議員辞職をしていただくしかないと思っています。
総理、このような状況でなお小沢氏に幹事長を任せるしかないとおっしゃるのはなぜですか、明確にお答えください。
○鳩山内閣総理大臣
小沢幹事長は、私が代表そして小沢幹事長の体制の中で国民の皆様方の御信頼をいただいて政権交代の道筋をつけることができて、そして今、このような形で政権運営を行っている、その同志であることは間違いありません。
私は、むしろ、代表と幹事長として、幹事長の潔白を信じて、だから闘うんだ、その思いを信頼しているのでございまして、だからこそ、今幹事長には幹事長として堂々としていただきたい、もし必要ならば、訴えるべきところを堂々と訴えるべきところへ行って訴えていただきたい、そのような思いで、むしろ潔白を証明していただきたい、そのように願っているところでありまして、そのことを大いに期待しているということでございます。
○柴山委員
仙谷大臣にお伺いします。
大臣は、昨年春、当時民主党代表だった小沢氏の公設第一秘書がいわゆる西松建設事件で逮捕、起訴された際、刑事処分がまだ下されていないにもかかわらず、小沢氏の代表辞任を唱えられました。
今回、それより深刻な事態に立ち至った今、今の総理と同じ御意見でしょうか。
○仙谷国務大臣
当時は単なる野党の一代議士でございます。私の今のポジションは、個人としての、あるいは弁護士経験者としての立場、そういう思いは当然のことながらあります。
だから、弁護士の立場であるとするならば、当然、すべての捜査官憲の行為については、うのみにするというふうなことはあり得ないということになりましょう。そしてまた、野党の一政治家の立場とすれば、当然のことながら、当時の民主党が選挙に勝つためにいかなる政治判断をすべきか、こういう観点から私が発言し行動することは当たり前でしょう。
今は、もう一つ、官邸に極めて近い立場で、行政府の一員としての立場もあるわけでありますから、これは当然のことながら、そういうことも踏まえてみずからの発言を律しなければならない、こう考えているだけでございます。
○柴山委員
今、大変重要な御答弁をいただいたんです。野党の時代は選挙に勝つために行動した、ところが、今は官邸に近い場所にいるので自分の信念を抑えなければいけない。
仙谷大臣、あなたには、今の政権のあり方に納得がいかない場合、大臣としての地位を投げ出すという選択肢はないのですか。
○仙谷国務大臣
柴山先生、大変お若いので、一直線の部分でお話しされておるようでありますが、一人の人間の中にいろいろな立場があるわけですね。そのどの立場に比重を置くかは、その時々の判断をしなければならないと思います。政治家である以上、ある種の政治的なポジションのためにあるいは判断で行動することもあるでしょう。
例えば、今私の判断で戦争の火ぶたが切られるかどうかというときに、私がそのある内閣の一員としての判断でそれに賛成するのか、それとも最も原理的な個人としての、自分の人間としての判断でそのことに反対するのか、それはそのときになってみないとわかりませんし、ぎりぎりの判断が迫られる、こういうふうに思います。
○柴山委員
それでは、今お答えをされた内容を前提として、閣僚の一員としての前原大臣にお伺いします。
前原大臣は、一月十八日、小沢氏の政治資金疑惑について、潔白だというなら国民の疑念が晴れるよう説明すべきだとおっしゃっていたと報道されました。間違いありませんね。
そして、福島大臣。福島大臣も同旨の発言をされていますね。お二人に確認をさせていただきます。
○前原国務大臣
おっしゃるとおりです。
○福島国務大臣
おっしゃるとおりです。
○柴山委員
総理、総理も今の前原大臣や福島大臣と同じ御意見はとれないのでしょうか。小沢氏に説明責任を果たさせるために、国会での参考人質問あるいは証人喚問に応じてもらうという民主党代表としての決意は示せないのでしょうか。
○鳩山内閣総理大臣
今、前原大臣方が申した言葉は、近々小沢幹事長自身が事情を、すなわち自分が潔白であるということを示したい、そう申しているんですから、しかるべき場でしかるべき発言をされる、そのように思っておるわけでありまして、今まさに検察からそのような話があると仄聞しておりますから、そのような状況になることが望ましい、私もそう思っております。それがまず先の話であって、後は、個人の判断もありましょうが、国会のことはどうぞ国会の中でお決めをいただきたいと存じます。
○柴山委員
これまであなた方が野党時代に捜査中の案件についてとことん当時の与党に説明責任を求めていたことと今のスタンスは、私は余りにもかけ離れていると断じざるを得ません。そして、記者会見あるいはそれ以外の方法、特に検察庁での説明などでは私たちが小沢氏に質問する機会は与えられず、小沢氏が十分な説明責任を私たちの前で果たす担保はありません。与党の方々の質問あるいは意見を述べる機会もないわけです。
小沢さんは、これまで東京地検による任意での事情聴取を拒んできたのを確かに一転させて聴取に応じる構えを見せていますが、通常国会が始まって、議員の逮捕に所属する院の許諾が憲法上必要となり、今のように与党民主党所属議員が反対すれば小沢さんは逮捕されないわけですから、安心して当然のことながら出頭できるわけです。
総理、もし総理が捜査に支障が出ることを憂えておられるのであれば、小沢問題に関して逮捕された石川知裕議員と同期の民主党議員十三名が、この中には政府に入っておられる方も含まれているとお聞きしていますけれども、この十八日に勉強会を結成して、石川容疑者の逮捕は不当として、近く法務省から担当者を呼んで事実関係を聞くとともに、釈放要求の発議を検討することも決めたというのは捜査に対する支障にはならないのでしょうか。
○平野国務大臣
先ほども議員からの御質問、同じ質問がございました。政府の関係者がいたことも事実でございますが、それは、その会合の目的が同期会、こういうことであって出席をした、こういうことでございますので、それについては、私は、そういう趣旨でないならば、慎重に対応し遠慮してもらいたい、こういうことを申し上げました。
○柴山委員
それでは本題に入ります。
まず、このパネルをごらんください。
これは、今回の資金問題についての全体図です。小沢氏の資金管理団体である陸山会が二〇〇五年一月七日に東京世田谷区の土地を買ったと登記及び収支報告書上記載されていたのですが、実は、前年、二〇〇四年の十月二十九日に購入されていたことが読売新聞の報道から明らかになりました。小沢氏は、この問題につき、単純なミスだとされています。
そして、この購入の原資は、こちらの資料の左半分にあるとおり、二〇〇四年十月二十九日付の、みずからの銀行からの借入金をさらに陸山会に貸したものであるというのが従来の御説明でした。しかしながら、陸山会に四億円が入金したのは二〇〇四年十月二十九日の午後だったのです。一方、実際に不動産屋に三億四千万円で代金の決済がされたのは同じ十月二十九日の午前中でありまして、この時点では、陸山会の資金残高はわずか二億数千万円でした。ここで、不動産購入に巨額の帳簿に載っていない金が故意に使われ、収支報告書に虚偽の記入がなされた疑いが浮上したのです。
この部分は、報道によると、小沢氏の元秘書で今月十五日に逮捕された民主党の石川知裕議員が、虚偽記入の事実を認めて、小沢氏個人から四億円を借りたと述べており、仄聞するところによると、小沢氏も十六日の民主党大会で、原資は積み立ててきた個人の資金であって、何らやましいことはないと説明されているということです。
しかし、そうすると、小沢氏は、御自分の積み立ててきたお金で不動産を買うことを石川議員に一方で指示しながら、同じ金額を銀行から借り入れて不動産の購入原資とすることを了承し、対外的にもそう説明していたことになります。どう考えても、小沢氏自身が、御自分の積み立ててきたお金が収支報告書に記載されないことを御存じだったとしか思えません。
きのう、折しも、石川議員が、小沢氏が不記載を了承していたと供述していることが報道されています。
そこで、原口大臣にお尋ねします。
政治資金規正法上の虚偽記入罪を犯すことを了承していた場合、政治家本人にその共犯が成立するのではないですか。
○原口国務大臣
柴山議員にお答えいたします。
個別の案件についてはお答えする立場にございません。
○柴山委員
そして、この購入原資が個人資産だという小沢氏の御説明にも疑惑が持たれています。
けさの報道では、購入原資には奥様や三人の子供さんの名義のものが含まれ、合わせると七億円を超えるので不足はないと小沢氏が主張される見通しだということが報道されました。しかし、小沢氏がこれに先立って明らかにした資産の大半は、お父様からの遺産を信託銀行に預けていたのを引き出したものであると報道されており、その金額は約三億円であって、石川議員が小沢氏から受け取ったという四億円には足りません。御家族の方々には、ぜひ、しっかり事情を検察庁に御説明いただきたいと思います。
一方、三重県の中堅ゼネコンである水谷建設株式会社の元幹部が、くしくもこの不動産取引と同じ二〇〇四年の十月十五日の金曜日に小沢氏側に五千万円を持っていったと供述していることがテレビ報道で取り上げられています。そして、水谷建設側の供述では、その後の土日を挟んで翌銀行営業日の十八日月曜日に、石川氏の陸山会口座への五千万円の入金がされたということなのです。そして、先ほど申し上げたとおり、そのわずか十日ほど後に、東京世田谷区の土地を陸山会が購入しました。購入資金にこの資金が使われた可能性は本当にないのでしょうか。
まず、菅財務大臣、または国税庁に確認します。仮に、この購入資金が建設会社などの企業から小沢氏個人に寄附されたものであった場合、それを表にしないと、小沢氏に課税上の問題が生じるのではないですか。
○岡本政府参考人
あくまで一般論として申し上げさせていただきます。
政治家個人の方が受けた政治活動に関する寄附金は、雑所得の収入金額となります。雑所得は、総収入金額から政治活動のための支出を含む必要経費の総額を差し引いた残額が課税の対象になります。残額がない場合には課税関係は生じないということでございます。
○柴山委員
政治資金とされる部分を含めた経費を控除した上で雑所得となって、それに税金がかかるという御答弁だったと理解いたしました。
それでは、お伺いします。もしこれが政治資金であった場合に、政治資金の収支報告書にもあらわれていないというのみならず、企業から個人あるいは資金管理団体への献金があったことになりますが、これは政治資金規正法上、今回容疑がある虚偽記入罪のほかに何か問題は生じないのでしょうか。
総務大臣にお伺いします。企業から個人あるいは資金管理団体への寄附があった場合に、政治資金規正法上、問題は生じないでしょうか。
○原口国務大臣
柴山議員、一般論としてお答えいたします。(発言する者あり)
○鹿野委員長
はい、座って。
どうぞ答えてください。
○原口国務大臣
政治資金規正法についてお答えをいたします。
第二十一条第一項において、会社等は、政党及び政治資金団体以外の者に対して、政治活動に関する寄附をしてはならないこととされており、何人も、この規定に違反してされる寄附を受けてはならないこととされています。同法第二十二条の二でございます。
いずれにしても、柴山議員、総務省としては、個別の事案については実質調査権を有しておらず、具体的な事実関係を承知する立場にないので、個別の案件についてはお答えすることができません。
○柴山委員
政策の質問をしろという御指摘がありましたが、企業、団体からの献金禁止は、民主党が昨年の総選挙のマニフェストで訴えていたことであることを付言させていただきます。
続きまして、水谷建設は、小沢氏のおひざ元にある岩手県胆沢ダムの工事を国土交通省からジョイントベンチャーで下請受注しており、同社の元幹部は、資金提供は受注の謝礼だったと供述していると報じられています。あわせて、供述の中で、元請の大手ゼネコンが工事費に上乗せして後から穴埋めしてくれるというから提供したと話しているとのことで、現に、鹿島など他の建設会社にもことし一月十三日に東京地検特捜部の強制捜査が入るなど、同じく土地取引の原資に関する捜査が進められていると見られます。
そこで、千葉法務大臣にお伺いするのですが、このように、公共工事を受注する会社から国会議員が見返りとして寄附を受ける行為があっせん利得罪などの刑罰に触れる可能性はありませんか。一般論としてで結構ですので、お答えください。
○千葉国務大臣
一般論としては柴山議員も御承知のとおり、条文をそのまま引用して、読んでいただければわかることだと思いますけれども、あくまでも一般論では、あっせん利得処罰法上の公職者あっせん利得罪は、公職にある者が、国もしくは地方公共団体が締結する契約または特定の者に対する行政庁の処分に関し、請託を受けて、その権限に基づく影響力を行使して公務員にその職務上の行為をさせるように、またはさせないようにあっせんすることまたはしたことにつき、その報酬として財産上の利益を収受したときに成立する。これが構成要件でございます。
○柴山委員
大変明確に御答弁をいただき、ありがとうございました。
先ほど来、報道ベースで物をしゃべるなという御指摘が多々ありました。しかしながら、今申し上げてきたことを裏づける話をする人物がいます。昨年七月まで約一年、石川議員の私設秘書をしていた金沢敬氏で、ことし一月十四日に自民党本部で実施された勉強会において、昨年三月に小沢事務所の大久保秘書が西松建設事件で逮捕された際、石川議員とともに、鹿島や西松建設、西松建設の政治団体の名刺、ゼネコンからの陳情ファイル、鹿島からもらった胆沢ダムのファイルなどを隠したと述べておられました。この発言と同趣旨の記事がことしの文芸春秋二月号にも記載されています。また、石川議員が証拠隠しの指示を小沢氏から受けたとも発言しています。
これらの発言が信頼できるものなのか、それとも、与党の皆さんがおっしゃるように、全く信頼の置けないものなのか確かめるべく、委員長に金沢敬氏の参考人招致を求めます。
○鹿野委員長
後刻、理事会で協議をいたします。
○柴山委員
この不動産購入の原資には、あわせて、旧自由党が解散した際に、同党の政治資金団体である改革国民会議に流れた多額の政党助成金が用いられた可能性も指摘されております。しかしながら、この後、同僚の小里議員からこの件については質問をしていただきます。
最後に、前原大臣にもう一度お伺いいたします。
群馬県の八ツ場ダムについては、マニフェストに書いたからという理由で、さしたる手続もなく建設中止を表明する一方で、小沢氏の地元岩手県の胆沢ダムについては、ゼネコンから業務受注の見返りに巨額の裏献金が小沢氏に流れた疑惑が発生し、そして建設予算が計上されている。
これで本当に予算やマニフェストの公平性に対する自信が、あるいは信頼が図れると前原大臣はお感じになっておられますか。明確に御答弁ください。
○前原国務大臣
百四十三のダムについて、何をもって再検証するのかしないのかということについての一線は、本体工事に入っているかどうかということでありまして、胆沢ダムは本体工事に入っておりましたので、継続をしております。
○柴山委員
私が申し上げたかったのは、予算やマニフェストの公平性に対する信頼が図れるとお考えかどうかということでございました。
時間がなくなりましたので、以上をもちまして私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
第173回 国会 予算委員会
第173回 国会 衆議院 第3号
平成21年11月4日(水)
午前九時八分開議
○鹿野委員長
基本的質疑を行います。
この際、一昨日の大島君の質疑に関連し、柴山昌彦君から質疑の申し出があります。大島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。柴山君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦です。
この財政難の折、十一月二日の報道によれば、総理が平成二十年に株を売って得た七千二百二十六万円余りもの所得を申告していないことが判明したということです。また、連日報道されている総理の献金問題についても、税法違反があるのではないかという疑問が出されています。
そもそも民主党は、企業・団体からの献金を禁止する方向を打ち出していますが、そうしたものを禁止しても、個人からの献金があったかのように巨額にわたって偽装することを認めれば、政治資金の適正化、透明化は図れません。また、結局は、企業・団体献金隠しに利用されるおそれもあります。
総理、この問題は重大です。ぜひとも誠実に、かつ要を得た御答弁をお願いいたします。
まず、確認いたします。
総理は、弁護士とともに行ったことし六月三十日の記者会見で、偽装献金は四年間で百九十三件、総額二千百七十七万八千円だと発表されました。間違いありませんね。
○鳩山内閣総理大臣
この件に関して、改めて国民の皆様方におわびを申し上げたいと思います。
今、柴山委員からお話がありましたとおり、六月三十日の時点でお話を申し上げました、その数に間違いはありません。
○柴山委員
このような処理が行われた背景として、総理は、この六月三十日の会見で、会計実務を任せていた元秘書の気持ちを推察してこう述べておられます。個人献金が余りにも少ないものですから、そのことがわかったら大変だという思いが一部にはあったのではないか。
しかし、総理、実際は四年間で個人献金は二億円超と、ほかの政治家と比べて突出しています。というのは、総理の個人献金は、氏名などの個別記載の必要がない年間五万円以下のものが大変多いからなんです。
こちらのパネルをぜひ見ていただきたいと思います。
このパネルは、総理の資金管理団体である友愛政経懇話会の個人献金に関する図です。ごらんのとおり、平成十七年から二十年まで、総理が訂正発表されたのは、右側の実名献金の部分のみです。四年間の匿名献金は、合計で個人献金総額の六割を超える一億三千万円余り。仮に最大額の五万円の寄附ばかりだったとしても、延べ二千六百人もの寄附があったことになってしまって、極めて不自然です。無論、政治資金パーティーはこれとは別にあるわけです。
総理、六月三十日の会見では、この五万円以下の献金について、弁護士が、まだ完全には終わっておりません、調査を続けるということでありますと約束されています。また、七月十日には、衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会から、理事会の協議に基づいて、友愛政経懇話会の質疑に関連し、五万円以下の献金を記載した会計帳簿をもとに、人数、金額等の明細を速やかに提出されることという要請文がそちらに届いているはずです。
こうした約束や要請に基づき、五万円以下の匿名献金がどのようなものなのか、明らかにしていただけますね。いかがですか。
○鳩山内閣総理大臣
今、柴山委員がお話をされましたように、六月三十日の時点において、いわゆる五万円以上、すなわち表に名前が出る部分に関して、私どもが依頼した弁護士による調査によりまして、先ほどお尋ねがありました額が判明をいたしました。そのときに、私が、なぜこのようなことを元会計実務担当者が行ったか、これは推察の域を出ないのでありますが、その思いを私なりに判断して申し上げたところでございます。
私は、実は、この件に関して、もともと私の個人資産が勝手にこのような形で虚偽記載の穴埋めに使われてしまったということを全く承知しておりませんでした。そのことが大変に国民の皆さんに御迷惑をおかけしたことは事実だと思います。
私が申し上げたいことは、すなわち、このような事件が発覚した日以降、この調査を依頼した弁護士からは、一切その元会計実務担当者と連絡をとってはならない、もしとったとすれば、そのことによっていろいろと口裏合わせをされたというふうに思われてはいけない、したがって、私は、その日以降、一切、彼とも電話も含めて連絡をとっておりません。
その六月三十日の時点においては、私は、やはり何か私自身が、個人献金そして企業献金、その額をそれなりに、ある意味で個人献金の部分もふやすようにすることがむしろ透明性が高まってよいのではないかという発想をいろいろな機会で述べておりましたから、元秘書もその思いで、しかしなかなかうまくいかないから、それを合わせるために虚偽記載をしたのではないか、そのように考えておりました。
しかし、そのときに、五万円以下の部分に関しては、調査を依頼した弁護士からは、まだ確実にそこのところは調査が進んでおらないからよくわかりません、ただ疑わしい部分もないとは言えないのではないかという話はありました。
したがって、いまだに私も、どのくらいその中で実際に本当に小口で納めて寄附をしてくださった方がおられるのか、また、そのうちのどの部分が虚偽であるのかということは判明しておりません。
連絡も一切絶っておりますので、そのような状況でございまして、その中で、今御案内のとおり捜査が進んでいるということでありますので、地検の捜査にゆだねて、全容が解明されることを祈念しているところでございます。
以上です。
○柴山委員
元公設秘書の方に接触をしなくても、政治資金収支報告書やそれに付随する会計帳簿は、総理がいつでもごらんになれるわけです。したがって、御自分でそうしたことについて調査をし、そして全容を把握することは極めて容易であります。
少し質問をかえます。
ここで重要なのは、総額五万円超にせよ以下にせよ、こうした偽装献金の資金源です。
六月三十日の会見、そして今総理からもお話がありましたように、総理個人のお金を預けていたものが不正流用をされていて、自分は全く知らなかったけれども、それが一千万円を楽に超えているという説明が弁護士からありましたが、間違いありませんね。
○鳩山内閣総理大臣
そのことは事実でございます。
○柴山委員
では、それを超える偽装献金があった場合、その資金源はどうなっているのでしょうか。
朝日新聞の十月二十五日の報道によれば、平成十六年から二十年までの政治資金収支報告書に記載されていた合計約一億七千七百十七万円に上る小口の匿名献金の大半が、鳩山家の資産管理会社である株式会社六幸商会の管理資金だったと報じられています。これは事実ですか。
○鳩山内閣総理大臣
六幸商会というのは、私を初め、私の家族の資産の管理をしているところでございます。その中の管理資産というのは、すなわち私の個人資産ということでございます。
○柴山委員
要するに、個人の口座、それから六幸商会の口座、これが二つとも偽装献金に使われていた可能性を、今総理はみずからお認めになったと理解をいたします。
現に、十月二十九日付のNHKニュースでも、総理の先ほど来問題となっている会計担当の元公設秘書が二つの口座からこの偽装献金の資金を引き出していたとしています。
一つは、総理個人名義の口座であり、必要に応じて、秘書が通帳などを預かって金を引き出していたとされています。
もう一つは、六幸商会のことだと思いますが、鳩山氏の資産管理会社が管理する口座であり、資金が必要になるたびごとに、総理自身が了承したとする指示書が会社に出され、元秘書が金を受け取っていたと報じられているんです。このような手順であったことは、私どもの調査でも確認をしております。
いずれにせよ、総理がこの資金操作を御存じないことはあり得ません。間違いありませんね。
○鳩山内閣総理大臣
今お尋ねがありましたが、元の秘書、会計実務担当者が、お金が足りなくなりましたということで、いわゆる六幸商会に管理してもらっている私の口座から、これだけお金が足りないから貸してください、引き出させてくださいということで、引き出すことに私が署名しているのは事実でございます。
ただ、その全容が幾らになっているかというようなことも、私自身、全くこの全容を承知していないで、いわゆる私の政治活動に対するお金が足りなくなったから私のお金を借用するんだな、そういう思いでそれを理解して、署名をしていたのは事実でございます。それは、調べればすべてわかるわけですから、総額をお調べになればわかりますが、そこは、すべて今、地検の方で捜査が進んでおりますので、いずれ全容が判明すると思います。
○柴山委員
総理、こちらのパネルにも書きましたが、政治資金規正法では、年間一千万円を超える寄附は、たとえ政治家がみずから代表を務める資金管理団体に対しても行うことができないという量的制限が罰則つきで定められているんです。
あなたは、自己資金とおっしゃいますが、この規制違反があるかどうか全く無関心だったんですか。
○鳩山内閣総理大臣
言うまでもありませんが、その一千万という、寄附において上限があることは理解をしておりました。
したがって、私は完全に元秘書を信頼しておりましたから、その部分、一千万円までは当然のことながら寄附とする、それを超えた部分は当然のことながら貸し出しをするという、すなわち、私のお金を借りて運営をする、そして、したがって、その部分に関しては後で当然返してもらうような判断ができていたものだと理解をしておりました。
○柴山委員
御自分の刑事責任に関する問題ですから、これが本当に貸し付けに使われていたのか、それともそれ以外の支出に使われていたのかということを、当然総理みずからが確認をされていなければおかしいという話になると思います。
委員長、以上の質問に関する事実確認のため、株式会社六幸商会の社長である小野寺重穂氏の参考人招致を求めます。
○鹿野委員長
後刻、理事会で協議いたします。
○柴山委員
総理、偽装献金の資金源について、総理御本人以外の個人、例えばお母様などの親族ですとか、会社、労働組合などの団体からのものはないと言い切れますか。
○鳩山内閣総理大臣
私としては、私の知る範囲においてそのようなものはない、そのように信じておりますが、そのこともすべて、今、地検の捜査が進んでおりますので、そこで全容が解明される、そのように信じております。
○柴山委員
総理が、この問題について説明責任を果たす御意思が全くないということがわかりました。
申し上げるまでもなく、政治家個人の資金管理団体、こちらに対する企業・団体献金がもしあるとすれば、それ自体、政治資金規正法によって罰則で処罰をされることになっています。そして、代表を務める政治家以外の個人、これには親族なども含まれますけれども、こういう方からの献金が年間百五十万円を超えることも、同じく罰則つきで禁止されていることを付言させていただきます。
次の質問に移ります。次も大変深刻な質問です。
私たちの調査や報道によれば、平成十七年以降、実際に献金をしていなかった方々に対しても、友愛政経懇話会の方で所得税の寄附金控除に係る証明書が発行されていたことが判明いたしました。こうした不適切な発行は、四年間で延べ百十六名、献金額合計千四百三十万円分に上るということです。
そこで、財務省にお尋ねしたいのですが、この不正交付された書類が寄附金控除に実際に使われたという事実はありますか。イエスかノーかだけで結構ですので、お答えください。
○藤井国務大臣
イエスかノーかだけよりも若干申し上げますが、選挙管理委員会などでこれは出すわけですね。そこは適正に調べていると思います。それに対して、国税庁に対してその申告書が出てくるということでございます。それについては、申告書というか、寄附のための書類が適正であるという前提で国税は処理をいたしております。
○柴山委員
要は、提出されているということは間違いないということでよろしいわけですね。
○藤井国務大臣
選挙管理委員会から出たものは提出されているというふうに申し上げられると思います。
○柴山委員
選挙管理委員会から出たものが提出されているということについて確認をさせていただきました。
では、総務省に伺います。
偽装献金であるとして収支報告書から削除された平成十七年以降のこの架空の寄附金の控除証明書について、鳩山氏側に返還の指導をした事実はありますか。それに対して鳩山氏側から返還された証明書は何通ですか。事前通告しています。
○原口国務大臣
柴山議員にお答えいたします。
友愛政経懇話会の収支報告書から訂正、削除された寄附者の寄附金控除のための書類の返却を当該政治団体に指導した事実はあるのかという御質問だったと思います。
法に定めがございませんので、指導した事実はございません。
○柴山委員
総務省に返還された証明書はありましたか、なかったんですか。これについて答弁漏れだと思います。お答えください。
○原口国務大臣
柴山議員にお答えいたします。
法に定めがないものですから、指導をしていません。ですから、定めがないものを返却するということを、これは適切にやってくださいと言ったことはあります。(柴山委員「それは指導しているんでしょう」と呼ぶ)これは指導ではありません。法に定めがないということでございます。そのことを御理解ください。
○柴山委員
わかりました。指導という言葉は撤回をさせていただきましょう。
いずれにせよ、適切に処理をしてくださいと言われて、鳩山氏側から返還された証明書は何通ですか。
○原口国務大臣
柴山議員にお答えをいたします。
友愛政経懇話会に交付した寄附金控除のための書類については、その後、総務省では確認をしておりません。
○柴山委員
こうした架空の証明書がもし利用されていれば、所得税の脱税や国家に対する詐欺行為となりますし、これがもし廃棄されていたとすれば、それは偽装献金隠しのための不当な公文書の破棄となります。
さて、総理と弁護士の六月三十日の会見によると、偽装献金が始まった時期は平成十七年ごろ、少し前かもしれないとのことでした。よろしいですね。
○鳩山内閣総理大臣
はい、そのように私も感じております。
○柴山委員
しかし、今回、偽装献金発覚に伴う収支報告書の訂正方法として、当該偽装額を寄附項目から削除するとともに、総理御自身から友愛政経懇話会に対する貸付金に追加するという形で処理をされていますが、平成十七年以前からも偽装献金があることに気づいていた以上、その金額も貸付金に加味するべきではなかったんですか。
○鳩山内閣総理大臣
これは、いわゆる弁護士の方による調査によりまして平成十七年以降の分まではまず明らかになった、ただ平成十六年以前のものに関しては必ずしも正確にまだわからないということが六月三十日の時点の報告でありました。
その意味で、当然のことながら、もし平成十六年以前においてもそのような事実というものがあるのであれば、当然その分、私の個人資産から偽装の部分に流用されていたということになるわけでありますし、今お尋ねがありましたように、その部分に関してはまたしっかりと、今検察において調査をされていると思いますから、その額がもし判明いたしましたら当然また貸し付けという形で処理をする必要が出てくる、そのように思っております。
○柴山委員
いずれにいたしましても、平成十六年以前の部分、そして今回問題となっている五万円以下の部分、偽装献金の額が間違っていたらさらに貸付金額の訂正が必要になるということを総理御自身がお認めになったと理解をいたしました。
とすれば、先日発表された閣僚資産報告書にある貸付金の記載もうそということになりますが、結局、総理の発表される経理関係の書類はすべて信用できないということになりませんか。
○鳩山内閣総理大臣
私は、今調査をして判明している事実に基づいて修正を申し上げているところでございます。できる限りそこは正確に行いたい。ただ、その後、今お話がありましたように、この小口の部分、さらには平成十六年以前の部分に関しても当然、貸し付けから偽装という部分があったとすれば、その部分に関して修正をしなければならない、そのように理解をしております。
○柴山委員
それでは、次の質問に移ります。
総理御自身の責任についてお尋ねをいたします。
総理は、六月三十日の会見で、先ほど申し上げたとおり、今回の事件について、総理はおろか会計責任者も見ていないという状況で、会計の実務担当の秘書が一人でやっていたとお話しされています。
しかし、先ほど述べたとおり、秘書が偽装献金のために六幸商会から資金を引き出すたびに、あなたは指示書を出しておられる。しかも、名前を勝手に使われた人には、総理の同級生や高校時代の恩師などのあなたの個人的な知り合いまで、住所や氏名が明記されているのです。あなたが無関係だったとは到底思えないんですけれども、いかがですか。
○鳩山内閣総理大臣
本当に申しわけないことに、私が大変にお世話になった方々の名前がその中に入っていました。私がお世話になっていない方でも失礼な話ではありますけれども、そういった恩師に対して大変申しわけないことをしたという思いは強く感じております。逆に言えば、もし私がこんなことを知っていたらば当然やらせる話もないわけでありまして、全く承知をしておらなかったことが残念でなりません。元会計実務担当者を完全に信頼し切ってしまっていたことを、会計責任者も元会計実務担当者を信頼しておりましたから、その意味で、大変、うちの事務所のコミュニケーションというものが足りなかった、その結果でこのようなことを起こしてしまったことは本当に申しわけない、今そのような思いをさらに感じております。
○柴山委員
そのことを別にしても、かつて鈴木宗男衆議院議員の秘書が、いわゆるムネオハウスの受注に絡む業務妨害事件で逮捕された件について、総理は、平成十四年五月二日の夕刊フジの記事において、このように書かれています。「私は以前から鈴木議員に辞職を求めてきたが、議員の分身と言われている会計責任者の逮捕は議員本人の責任であり、改めて強く求める。」と述べておられます。
また、土井たか子元衆議院議長の秘書による秘書給与流用事件でも、総理は、平成十五年七月二十三日のメールマガジンで、「私は政治家と秘書は同罪と考えます。政治家は金銭に絡む疑惑事件が発生すると、しばしば「あれは秘書のやったこと」と嘯いて、自らの責任を逃れようとしますが、とんでもないことです。」「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです。」と述べておられます。
今回、会計実務担当者が犯した事件について、あなたはどう責任をとられるのですか。
○鳩山内閣総理大臣
会計実務担当者も当然元秘書であります。私も、かつて何度もいろいろとこういった政治腐敗の話が出た際に、このように、秘書が犯したことだから、だからこれは議員は関係ないんだというような弁明をすることは潔く思っておらなかった、それは言うまでもありません。このことは私自身にも適用できる話だと思っています。
その意味で、会計責任者に対する監督及び選任というものに対してそれなりの責めというものを感じてはおりますが、元会計実務担当者に対して会計責任者が同じように信頼し切ってしまって、この問題を全く把握しておらなかったということも問題があると思っております。私自身に全く責任がないと申し上げているつもりもありません。
したがって、全容をまず、地検に今捜査が及んでおりますから、その捜査を進めていただいて、全容を解明していただきたい、まさにそのことを感じておりまして、そのことを通じて、すなわち、いわゆる監督責任があるかという話であろうかと思いますが、監督責任の是非に関しては、捜査が今進行しておりますから、そこにゆだねたいと思っております。
○柴山委員
それでは、当該担当者の刑事責任が確定した場合はどうするおつもりですか。
○鳩山内閣総理大臣
まだそのようなことが確定をしておるわけでありませんから、そのときに判断を申し上げたいと思いますが、仮定のお話に今ここでお答えさせていただくのは控えさせていただきたい。御容赦願いたい。
○柴山委員
念のために申し上げますが、政治団体の代表者が会計責任者の選任、監督について相当の注意を怠ったときには五十万円以下の罰金に処すると規定されておりますし、また、罰金刑に処せられた場合は五年間の選挙権、被選挙権の停止となり、議員生命にもつながる重要な事態となる。このことを総理にはぜひ最後に御認識をいただきたいと思います。
委員長、質問の最後に当たりまして、この鳩山資金スキャンダルの集中審議をぜひ開催していただきますようにお願いいたします。
○鹿野委員長
後刻、理事会で協議をいたします。
○柴山委員
質問を終わります。ありがとうございました。
第171回 国会 衆議院 内閣委員会
第171回 国会 衆議院 第17号
平成21年7月8日(水)
午後一時二分開議
○保坂委員
社民党の保坂展人です。
お二人の林大臣、御就任おめでとうございます。
きょうは、まず最初に、規制緩和ということで、これまでの許認可が届け出制になったということで、KDDIが行ってきた国際オペレータ通話、これは日本国内から〇〇五一をダイヤルするとオペレーターの方が出てくる、こういうサービス、そして、海外からジャパンダイレクト、このサービスが、二〇一〇年の、つまりは来年ということになりますね、三月三十一日以降終わるということについてお尋ねをしていきたいと思うんです。
きょうは柴山外務大臣政務官に来ていただいていますが、これまでこのジャパンダイレクトが果たしてきた役割というのはかなり大きいんだということを私は聞いております。例えば、盗難に遭った場合に日本のカード会社を的確に捜してくれて解除の申し入れをつないであげるというようなことであるとか、あるいは事故、病気、そういった個人のアクシデント、さらには、最近では新型インフルエンザでメキシコでホテルに滞在をしているところに日本から架電をしても電話がかからない、あるいはかかっても言葉の問題で日本語、英語では通じないということで、大変利用が多かった、こういうことなんです。
外務省として、邦人保護ということで現地の大使館等あるわけですけれども、こういったジャパンダイレクトが廃止をされるということに対して私は懸念を持っているんですね、大丈夫だろうかと。高齢の方の旅行者も多いです。四十二、三回ダイヤルすれば直接できますよと、これはスーパージャパンダイレクトですか、これも導入されるということですが、この点について、柴山さん、いかがですか。
○柴山大臣政務官
お答え申し上げます。
今先生がいろいろと事例を挙げて御質問されましたけれども、邦人保護という観点から申し上げますと、一般的には、海外邦人からの援護要請、これは主として滞在国の国内通話として管轄の在外公館に対して行われているのが実情です。まれに、確かに海外邦人から外務本省の邦人保護を担当する部署に対して直接国際電話をいただくということはありますけれども、そのまれな事例におきましても、一般的には通常の直接国際電話であるというように承知しております。
そして、それ以外のさまざまな、外国から日本に対する通話ですけれども、外務省としては、海外から日本への電話のかけ方の照会を受けた場合には一つの手段として御紹介をすることはありましたけれども、結果として、どの程度の海外邦人が日本国内への国際通話の際に御指摘のKDDI国際オペレータ通話を利用されているかということについて、私どもとして把握してはおりません。
○保坂委員
きのう、部屋に、私のもとに来てもらいました。私ちょっと驚いたのは、大体、日本からメキシコにかける、つまり日本から海外、これはもうやっていないんじゃないかと言うんですね。ところが、やっていないというのは間違いでした。やっているんですね。ですから、こういうときに、新型インフルエンザで、ホテルで、ちょっと出られなくなっているというときに、こういうオペレーターを介した通話で安否確認や家族の通話がされているということを外務省が認識していないのはとてもおかしいし、では、これが廃止をされたらどうするんだと言ったら、通訳を介した会社を紹介しますと言うんですね。
柴山政務官、これは費用はどのぐらいかかるか、御存じですか。
○柴山大臣政務官
一般的には、通訳を扱う会社にはさまざまなものがありまして、一概に相場等は、平均幾ら幾らということは、なかなか言いにくいと思っております。
それと、今先生が御指摘になった新型インフルエンザに際して、確かに安否確認等の必要性から、日本からの海外に対する通話そのものがふえたということはあるのかもしれませんけれども、それによって、御指摘のKDDI国際オペレータ通話がどの程度ふえたのかということについては、これは外務省としては把握はしておりません。
○保坂委員
柴山大臣政務官に確認したいんですが、ロシアは核大国、軍縮の話も再開されて、それはうれしいことですけれども、ただ、日本の使用済み核燃料の再処理というのはうまくいっていないのは御承知のとおりなんですよ。六ケ所もなかなか進んでいかない。
もう時間がないので、では林大臣が原子力関係を所管されているので、そこで総括して答えていただいてよろしいですか。
六ケ所で処理がし切れないんですよ。大量の委託を今度ロシアにしていかなければいけないという日本側の事情もある。他方において、ロシアでこういったIAEAの査察体制は現状はない、ないけれども、ここの、具体的にアンガルスク国際ウラン濃縮センターというところは記されている。私たちとしては、やはりIAEAのしっかりした保障措置があることが前提であって、例外だけが走るなんということがないようにしっかりこれは目を光らせていかなければならないと思いますが、その点についていかがですか。
○林(幹)国務大臣
原子力安全委員会を抱えていますけれども、あくまでも国内での所管でございまして、ちょっと所管外でありますので、コメントは控えたいと思います。
○柴山大臣政務官
今委員御指摘のとおり、現在の協定の中で、我が国からロシアに対して使用済み核燃料を含めた原子力関連品目等の移転を行うためには、ロシアにおいてIAEA保障措置が実際に適用される施設が存在することが条件となっておりまして、この点は本協定に明記をされております。
ですので、政府としては、先ほど参考人から答弁をさせていただいたとおり、こうした点についての見通し等が得られた上で、この協定の締結について必要な承認を求めるために国会に提出をするという予定でおります。
ですので、今おっしゃったように、IAEAの保障措置が適用される施設がどこにもないままで我が国の使用済み核燃料から回収されたウランが再濃縮のためにロシアに移転されるということはございません。
そして、急いでいるんじゃないかという御指摘なんですけれども、日ロ原子力協定は、二〇〇七年の四月から本年二月まで計八回にわたる交渉を経まして、その内容について日ロ両国政府間で合意が得られたということから、去る五月十二日に署名を行ったものでありまして、御指摘のような国内事情との関連性はありません。
第171回 国会 外務委員会
第171回 国会 衆議院 第18号
平成21年6月24日(水)
午前九時開議
○近藤(昭)委員
大臣、ありがとうございます。
大臣にも御説明をいただきましたように、さまざまな背景、手続がある中ではありますが、ぜひ、しっかりと推進をしていっていただきたいというふうに思うわけであります。
ところで、政府は、今月十二日、情報交換を主な目的とした租税条約を英領のバミューダ諸島と締結するための交渉を始める、こういう発表をされたわけであります。
今回のバミューダとの交渉開始は、四月のG20首脳会合がタックスヘイブンの監視強化で合意したことによる、我が国のタックスヘイブンへの監視の強化の一環ともとれるわけでありますが、同じく租税回避地と言われる英領ケイマン諸島や香港島との租税条約交渉への弾みとなることが私は期待されておると思います。
今回、バミューダ諸島との交渉に至った背景やねらいについて、具体的な説明をお聞かせいただければというふうに考えます。
○柴山大臣政務官
お答えいたします。
御指摘のとおり、租税に関する透明性の確保等に協力的でない国、地域を通じた国際的な脱税及び租税回避行為の防止に向けては、OECD、G8、そして今御指摘のあったG20といった多数国間の枠組みにおける取り組みが行われていますけれども、こうした国や地域との間で直接国際基準によった情報交換を実施する枠組みを構築することによりまして、国際的な情報交換ネットワークの整備及び拡充を図ることが重要だと考えております。
このような観点から、我が国政府といたしましても、今お話があったように、本年六月にバミューダ政府を対象といたしまして、租税に関する情報交換を主体とした協定の締結に向けた交渉を開始したところです。このような協定を我が国がバミューダとの間で締結することは、現下の国際経済金融情勢のもとでタックスヘイブン問題への関心が高まっている中で、OECD等の場を通じた国際的な取り組みと相まって、我が国としても重要な役割を果たすことにつながると考えております。
○日森委員
特にウラン鉱山ということが大変焦点になっていると思うんですが、これまでオーストラリアとかカナダとかいうところから中心に輸入をされてきたんですが、カザフスタンとの協力関係、これが一層強化をされるという御答弁がございました。そうすると、特に、恐らく焦点の一つであるウラン資源をどのように日本側で利用していくのか、その計画について、できる限り具体的にお示しいただきたいと思います。
○柴山大臣政務官
委員御承知のように、我が国は、平和的目的に限って利用するために、主に原子力発電所等の燃料として、カナダ、豪州等の諸外国のウランを輸入しております。
それと同様に、二〇〇七年六月、カザフスタンとの原子力協定締結交渉を開始する中で、原子力の平和的利用及び核不拡散等を担保するのに十分な内容の協定を作成すべく、現在、鋭意交渉を行っているところであります。
○日森委員
先ほども出ましたが、オバマ大統領のプラハ演説というのがございました。核の廃絶に向けて我が国も努力を行うというふうに中曽根外務大臣もおっしゃっておりまして、「ゼロへの条件 世界的核軍縮のための「十一の指標」」というのを発表されました。核不拡散はそのための重要な要素だというふうに私どもは理解しています。
先ほどと同じ答弁かもしれませんが、カザフスタンと原子力協力を進めるという中にあって、どのような努力が進められているのか、もうちょっと具体的にお示しいただきたいと思います。
○柴山大臣政務官
委員の御質問ですけれども、個別具体的な計画については、商業上の考慮も必要であることもありますので、ちょっとこちらでの説明を差し控えさせていただきたいと思います。
ただ、カザフスタンは、ウラン資源の供給国として大きな可能性を有しているわけですから、ここからウランを輸入できれば、将来、我が国の原子力発電の安定的な運転にとって有益であるというように考えておりますので、そういう方向で交渉を進めております。
○日森委員
中央アジアプラス日本、これも先ほどどなたか御質問がありましたが、ちょっと違う角度で御質問したいと思うんです。
当時外務大臣だった麻生総理が、中央アジア非核地帯条約案起草のために資金を拠出して非核兵器地帯創設を支援する意向というのを示しておるわけです。中央アジア諸国は、先ほど武正委員の御質問にございましたけれども、五カ国が非核地帯を宣言している。中央アジア諸国もその早期署名に向けて核兵器国を含む関係国間の協議を実施するということになっているんですが、この点について、カザフスタンとの確認は既に行ったのかどうなのかということについてお聞きをしたいと思います
○柴山大臣政務官
お答えいたします。
御指摘の条約は、中央アジア五カ国の批准を得まして本年三月二十一日に発効しておりますけれども、本件条約が実効性を伴って機能するには、核兵器国の義務を定めた議定書、これが発効することが望ましいわけで、我が国としては、核兵器国との協議の現状を含め、カザフスタンを含む中央アジア五カ国に対して確認を行うなど、関連の動向を注視してきました。しかし、現時点でそのような協議が行われたとは承知をしておりません。
第171回 国会 外交防衛委員会
第171回 国会 参議院 第21号
平成21年6月23日(火)
午前十時開会
○白眞勲君
防衛大臣、どうもありがとうございました。今日はこの辺りで私は結構でございますので。防衛省さんは大丈夫でございます。ありがとうございます。
それでは、EPA協定についてお聞きしたいと思います。
まず、ベトナムとのEPA協定についてお聞きしたいんですけれども、この条文を見ますと、将来における看護師や介護福祉士の受入れの可能性について言及があるわけなんですけれども、どうなんでしょう、外務省さん、これは受け入れるおつもりなんですか。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
御指摘のベトナムとの関係なんですけれども、ベトナム国内では医療、介護水準の向上ですとか人材育成が必要だとされておりまして、また、看護師に係る国家試験制度等も未整備であるといった状況にあります。ですので、交渉において、インドネシアやフィリピンと同様の受入れ枠組みを設けるという結論には至っておりません。
最終的には、本協定の発効後、可能な場合には一年以内、遅くとも二年以内に結論に達することを目的として両国間で引き続き交渉していくということで合意をいたしまして、これを協定で我が国の約束として明記をしました。
ただし、先生御指摘の点ですけれども、この約束はベトナム人の看護師候補者をインドネシアやフィリピンと同様の枠組みで将来受け入れていくということについて何ら現時点で決めているものではありません。
なお、この継続交渉に係る約束とは別に、我が国の現行の入管法令で認められている内容を本協定でそのまま約束してほしいというベトナム側からの要望を踏まえて、現行の入管制度の範囲内で、我が国の看護師免許を取得した日から最長で七年間、看護業務に従事するための入国及び一時的な滞在を認めるということ、これについては合意をしております。
○白眞勲君
交渉をこれからしていくんですよというお答えなんですけれども、交渉するには、当然、こちらとしてのスタンスというのを見せていかないとこれは交渉にならないと思うんですね。
受け入れる方向で交渉していくのか、いや、受け入れたくないけれども向こうからの強い御要望があるから、その辺はそういうスタンスで交渉していって、どこかで妥協点を見出していくつもりなのかどうか、この点についてちょっとお答えいただきたいと思うんですけれども。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
今申し上げたとおり、まず、とにかくやはり我々としては質の確保というところが重要な問題であるというように思っております。
当然のことながら、インドネシアやフィリピンとの間で特別の枠を設けて受け入れていくというような仕組みをつくっておりまして、ただ、その制度設計として、現時点では、やはりベトナムの国内状況、そういったことも今申し上げたような状況もありますし、また、トータルとしての看護師、介護福祉士候補者の受入れの実施状況、こういう部分もしっかりと見極めていかなければいけないと思っておりますので、総合的な判断として交渉に当たっていきたいというように思っております。
○白眞勲君
そうしますと、次に、スイスEPA協定について日本との関係でお聞きしますけれども、原産地証明制度が今回簡素化されたということですけれども、これは、今までのEPA協定、特にASEAN関連についてはこれちょっと内容が違っていますよね。これはASEANから簡単に言えば文句出ないのかなという感じがするんですね。こっちもこういうふうにしてくれないかという要請ですけど、この辺どうでしょうか。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
今御指摘のとおり、日・スイスEPAに規定される原産地証明制度は、これまでASEAN等で行われておりますような発給当局が原産地証明書を発給する第三者証明制度ということを採用しているのに加えまして、今回、輸出国の権限のある当局から一定の基準を満たしているとしてあらかじめ認定を受けた認定輸出者、これによります原産地申告を認めていくという制度が設けられておりまして、輸出者はこれら二つの制度のうちいずれかを用いるということができるようになります。
この原産地申告制度によって、今申し上げた認定輸出者、こちらは原産品であることの証明に必要な費用及び時間が軽減され、輸出手続が円滑に行われるということになります。これによって日本・スイス間の貿易が促進されることが期待されるということになるわけです。
ただ、今御指摘のように、じゃ、これまでとの均衡はどうなのかという当然声も出てくるんだと思います。要は、認定輸出業者の信頼性という問題をどう考えるかということだと思うんですね。
本件制度の実施に当たっては、これまでのやはりスイスの実績などについてもしっかりと我々精査をいたしまして、日本・スイスEPA及び日本、スイス両国それぞれの関連国内法令、これに基づいた認定輸出者の認定要件の在り方、それから運用ということについてしっかりと厳格に行っていけるかどうかということだと思うんですけれども、双方、認定輸出業者が認定条件を満たさない場合には、その認定の下で不適切な運用を行う場合には認定の取消しの義務をきちんと行っていくと。あるいは、原産地申告に疑義がある場合、原産地申告の真正性あるいは正確性についてそれぞれ締約当事国が確認を行っていくと、そういうことをしっかりと担保していくという制度を設けております。
そのような確認ができない場合には関税上の特権待遇を与えないことができるということが定められておりまして、本制度を適正に運用することによって迂回輸出等の問題にも適切に対処できるというように考えております。
○浜田昌良君
今答弁いただきましたように、相手国の信頼に足る制度が前提になりますけれども、貿易量からすればスイスに比べ圧倒的にやっぱりASEANなりが大きいわけですから、そういう国々への日本の事業者の輸出をするときの負担を考えれば、そういう能力構築を図りながら世界の貿易を活性化するというのも日本の貢献の大きな一つだと思いますので、前向きに検討をいただきたいと思います。
次に、ベトナムとの人の交流の話に移りたいと思います。
これにつきましては既に白委員からもまた小池委員からも質問がございました。今回の日・ベトナムEPAにおいては、日本での資格を取ったベトナム人看護師は、フィリピンEPAやインドネシアEPAと違いまして、これらの二つのEPAの場合は期限なしの在留資格が認められたわけですね。今回は違うと、七年間だと。その理由は何かというと、向こうの国に看護師や介護福祉士の国家資格がないというのが根拠になっているわけですね。
だから、そうであれば、相手国に看護師の国家資格の制度をつくってあげると、このための技術支援をするというのは向こうの国のいわゆる医療水準の向上にもなるわけですから、是非こういう視点で是非ODAを活用してそういう制度づくりをし、その延長線の中には七年じゃなくて期限をなしにしていくということも含めて考えていくと、こういう見方が重要と思います。これらについての御答弁いただきたいと思います。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
御指摘非常にごもっともだと思います。その御指摘の技術協力については、今回協定署名時の共同声明に添付されている日・ベトナム間の協力事業・計画リストの一項目として、ベトナムの看護師、介護福祉士の資格制度整備のための技術協力という項目が盛り込まれているところであります。
この技術協力については、現在ベトナム政府が我が国に要請する支援の内容を検討しているところでありまして、今後、同政府から具体的な要請が出された後、実施の是非を含めて我が国政府において検討を行うこととなります。
○井上哲士君
日本共産党の井上哲士です。
EPAと日本農業の問題に絞ってお聞きいたします。
まず、外務大臣にお聞きしますが、ベトナム、スイス、両国の農林水産物の平均関税率はそれぞれ幾らか、また、両国より平均関税率がはるかに低い日本がこの分野で譲許する理由は何なのか、まずお願いします。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
WTOの統計によりますと、ベトナム及びスイスの農林水産品に対する平均関税率は、それぞれ二四・二%及び四三・五%でありまして、我が国の平均関税率二一・八%よりも高い水準となっております。
そして、後段の、なぜ日本がこの分野で譲許するのだということについてなんですけれども、当然のことながら、日本そしてこれら両国との間におきましては、産業構造も国の発展段階も違うわけでございます。そして、それを踏まえて、こうしたEPA協定を締結すれば相互発展に資するということからこうした協定を締結するわけでありまして、その上で、お互いの困難な状況を考慮しまして互いの国内産業へ悪影響を与えないよう十分留意をした上で、御指摘の農林水産品も含めて双方が関税の撤廃や削減を行っているということで御理解をいただきたいと思います。
○井上哲士君
カナダの先ほどの報告書では、日本の輸入自由化によって日本では穀物及び肉製品の生産が減少する、こうありまして、国内農林畜産業への経済的打撃を指摘をしているわけですね。立場に変わりはないという答弁でありましたが、堅持していただきたいと思います。
同時に、国内農業への打撃を及ぼす懸念のもう一つは日本とオーストラリアのEPAでありますが、今年三月に第八回会合をされております。オーストラリア側からの日本側への農林水産品の関心品目について、現時点ではどういう要求がされているんでしょうか。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
日豪EPA交渉におきましては、豪州サイドよりは、米、牛肉、乳製品、砂糖及び小麦を含む多くの農林水産品に係る関税等の国境措置に関して特恵的な待遇を得ることについて関心が示されています。
第171回 国会 決算行政監視委員会
第171回 国会 衆議院 第5号
平成21年6月10日(水)
午前九時二分開議
○平岡委員
二十一年度までに七千九百億円ということで、これで終わったわけではない、まだまだこれから続いていくんだろうというふうに思います。
今大臣が言われたように、何のためにこれはあるのかというと、やはり基本的には大量破壊兵器に対応するということが視点だと思うんです。では、しからば、大量破壊兵器とは一体何なんですかということですね。一つは、化学兵器ということもあるでしょう。ただ、これについては、禁止条約で北朝鮮だけが周辺諸国では加盟をしていないという状況。それから、生物兵器でありますけれども、生物兵器について言えば、これは北朝鮮も含めて周辺諸国は参加しているということですね。それから、やはり最大の問題は核兵器ということなんだろうというふうに思います。
この問題については、やはり私は一つ一つ丁寧に、大量破壊兵器というのが使われない状況、あるいは大量破壊兵器を運搬するミサイルというものが使われない状況、こういうものをつくっていく努力をしていかなければいけない。ただ単にBMDをつくれば安心というものでもないでしょうし、BMDができれば、それに対抗するための措置を周辺諸国がとっていくということになって、まさに軍拡競争になっていくということであって、お互い全くためにならないというふうにも思います。
それを前提として、私たちは、先ほど言いました大量破壊兵器の中でも、核兵器については、東北アジアの非核地帯条約というようなものをつくっていきたいということで党の中でも提案をさせていただいているということでありますけれども、今、世界各地に実は既にそういう条約というのはあります。南半球は実質的には非核地帯にもう全部なっている。東南アジアでも条約はできている。モンゴルも非核地帯宣言をやった。こんなことで進んでいるわけでありますけれども、そうした世界の非核地帯条約のような動きについては、日本政府としてどう評価しているんでしょうか。これは外務大臣政務官、答弁いただければ。
○柴山大臣政務官
お答えいたします。
今、委員が御指摘になった非核地帯条約としては、中南米におけるトラテロルコ条約、南太平洋におけるラロトンガ条約、そして東南アジアにおけるバンコク条約、中央アジア非核兵器地帯条約、これらが発効しています。
これらの条約は、締約国が核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという、いわゆる非核三原則を内容としておりまして、それぞれの地域の平和と安定の強化に向けての努力のあらわれであると私どもとしては受けとめております。
これらの条約においては、いずれも、すべての核兵器国の参加を予定した議定書が存在しておりまして、その中には、核兵器国が非核兵器国に対して核兵器の使用または使用の威嚇を行わない、いわゆる消極的安全保障などを……(平岡委員「中身はいいですから。評価です」と呼ぶ)はい。
こういう議定書があるんですけれども、ただ、トラテロルコ条約を除いては、そうした議定書、実はすべての核兵器国が署名、批准を終えている状況にはありませんので、これらの条約がより実効性を伴って機能するのかどうかということについて、引き続き関連の動向を注視していきたいというように考えております。
第171回 国会 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会
第171回 国会 衆議院 第7号
平成21年4月23日(木)
午前九時開議
○中谷委員
先ほど外務大臣は、国連の決議も出された、まさに国際社会として看過できない状況に陥っているということでありますが、この国連決議の内容について御説明を願います。
○柴山大臣政務官
御質問のありました昨年ソマリア沖海賊に関して採択された国連安保理決議、こちらは、第千八百十六号、第千八百三十八号、第千八百四十八号及び第千八百五十一号と四本あるわけですけれども、この具体的内容といたしましては、例えば、ソマリア沖で海軍艦船及び軍用機を展開させている各国に対して海賊行為への警戒を要請したり、あるいは、ソマリア沖の公海上における海賊対策に特にこうした海軍艦船及び軍用機を派遣することによって積極的に参加すること等を要請しています。
○赤嶺委員
日本共産党の赤嶺政賢です。
きょうは、ソマリア沖の海賊問題についての総理への質問であります。
ソマリア沖の海賊は、国際的な犯罪行為であり、現地周辺国の警察活動を基本に国際的な連携協力で対処すべき問題です。日本は、ソマリアと周辺国の海上警察力の強化や、ソマリアの内戦と貧困の解決に向けた支援を行うべきであって、自衛隊は派遣すべきではないというのが私たちの立場であります。
そこで、外務大臣に確認しますが、ことしに入って以降、ソマリア沖の海賊事件はふえているのか、あるいは減っているのか、端的にお答えいただけますか。
○柴山大臣政務官
お答えいたします。
ソマリア沖の、またはアデン湾の海賊事案は、特に昨年の夏以降急増しております。昨年は百十一件で世界の約四割、〇七年の約二・五倍の事案が発生しています。
今委員御質問のことしについてですけれども、ことしに入って海賊事案は四月二十日現在で八十二件発生しておりまして、既に昨年の件数の七割強、ハイジャックされた船舶は二十隻に達しております。そして、十六隻が抑留されており、約二百七十名の乗員が人質となっているということで、顕著な増加傾向が見られるというように判断できると思います。
第170回 国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会
第170回 国会 衆議院 第2号
2008年12月10日(水)
午後零時十一分開議
○藤村委員長
次に、柴山外務大臣政務官。
○柴山大臣政務官
柴山昌彦でございます。
外務大臣政務官として、国民の皆様の御期待にこたえるべく、中曽根大臣の指導のもと、沖縄及び北方問題に全力で取り組む決意でございます。
藤村委員長初め本委員会の先生方に御指導、御協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。(拍手)
第170回 国会 安全保障委員会
第170回 国会 衆議院 第2号
2008年11月27日(木)
午前九時開議
○今津委員長
これより会議を開きます。
この際、柴山外務大臣政務官より発言を求められておりますので、これを許します。柴山外務大臣政務官。
○柴山大臣政務官
おはようございます。外務大臣政務官の柴山昌彦でございます。
今津委員長初め委員の皆様方にごあいさつを申し上げます。
本日も、タイあるいはインドから大変な事件のニュースが飛び込んできているわけですけれども、こうした国際情勢が依然として不透明な中で、我が国の安全と繁栄を確保するために一層の努力が必要であると考えております。
私は、外務大臣政務官としての責任を果たすべく、中曽根外務大臣の御指導のもと、外交、安全保障政策の推進に全力で努力をしてまいります。
委員長初め本委員会の皆様方の御指導と御協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
第170回 国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会
第170回 国会 参議院 第2号
2008年11月12日(水)
午後零時十分開会
○委員長(市川一朗君)
柴山外務大臣政務官。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
柴山昌彦でございます。
外務大臣政務官として国民の皆様の期待にこたえられるように、中曽根大臣の指導の下、沖縄及び北方問題に関して全力で取り組む所存でございます。
市川委員長を始め委員各位の先生方に御指導、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
第170回 国会 外務委員会
第170回 国会 衆議院 第1号
2008年11月7日(金)
午前九時三十一分開議
○河野委員長
次に、外務大臣政務官柴山昌彦君。
○柴山大臣政務官
外務大臣政務官の柴山昌彦でございます。
激動する時代の中で、外交上の諸案件に外務大臣政務官としての全力を尽くしてまいる所存でございます。
河野委員長初め委員各位の皆様方の御指導と格段の御協力をお願い申し上げます。
ありがとうございます。(拍手)
第170回 国会 外交防衛委員会
第170回 国会 参議院 第1号
2008年10月23日(木)
午前十時開会
○委員長(北澤俊美君)
柴山外務大臣政務官。
○大臣政務官(柴山昌彦君)
外務大臣政務官の柴山昌彦でございます。
北澤委員長を始め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げます。
中曽根外務大臣の指導の下、我が国の外交上の諸課題に全力で取り組み、職務を全うしてまいる決意でございます。
また、本委員会担当政務官として、委員長また委員の皆様方の格段の御指導と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
第169回 国会 法務委員会
第169回 国会 衆議院 第10号
2008年04月22日(火)
午前九時三十分開議
○下村委員長
これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員
ありがとうございます。
まず、本日、参考人の皆様方には、法務委員会に御出席をいただき、貴重な御発言を賜ったことを心からお礼を申し上げたいと思います。
まず、山下先生にお伺いしたいと思います。
今回の保険法改正の大きなコンセプトとして、いわゆる第三分野に関しての規定の新設ですとか、あるいは共済契約への拡大など、カバーする範囲を広げているということが挙げられるかと思います。
ただ、これだけ保険商品が多様化している中で、いまだに伝統的な損害保険あるいは生命保険の枠組みということはしっかりと維持している。御案内のとおり、年末の税制改正では、保険料控除の範囲で生命保険、損害保険の壁をどう考えるかということが大変大きなテーマとなりました。また、今回の保険法と保険業法との間で傷害疾病保険の範囲がずれているというようなことも指摘されている部分であります。この点についてどのようにお考えになるかということを、まず冒頭お伺いしたいと思います。
そして、二点目なんですけれども、共済契約の規律の問題なんですけれども、先ほど今尾参考人の方からも御指摘がありましたとおり、共済契約の中には、もちろん数理計算を前提とする大規模なものもありますけれども、自助的、相互扶助的な要素を強く持つものなど、非常に多様な種類があるかと承知をしております。
こういった部分を、例えば少額短期というような観点に着目して、契約ルールの異なるものを設定するというようなことも十分考えられ得たのではないかなと思うんですけれども、この点についてどういう議論がされたのかということをぜひお伺いしたいというように思っております。
○山下参考人
ありがとうございます。
御質問の今回の保険法案で適用対象としておる保険あるいは共済の類型と、例えば業法であるとか税法における保険の類型との関係という点でございますが、特に業法の面につきましては、今回、第三分野の保険、傷害疾病保険に関する規定を設けようということで、これは従来、保険業法の方では約十年前の全面改正で傷害疾病保険、第三分野の保険の類型化も図ったわけでございます。それとの関係をどうするかということを一応慎重に審議いたしまして、やはり今回の保険法案では業法とは少し異なる類型化を図っているわけでございます。
これは、契約として考えますと、保険会社であるとか、共済事業を営んでいる組合、これがどういうふうな事業者であるかということよりも、契約内容、すなわち保険契約者、共済契約者と保険者、共済者との間の私法上の権利義務という関係で考えれば、事業者がどういうものであるかということよりは、契約内容がどうかということが決定的に重要である、こういうことでございまして、そういう面から考えると、保険法案のように、傷害疾病定額保険契約という類型を立て、それからもう一つ、損害保険契約の中に傷害疾病損害保険契約、こういう形の類型に分けて整理するのが適切であろうということになったわけでございます。
これに対して、保険業法でありますとか各種の共済事業法、特に保険業法の方は生損保の分離という、事業者がどこまで業務を営んでいいのかということについて、やはり監督の観点から類型化を図る必要があるわけでございまして、そういう観点から、従来、保険業法でとってきた類型化というものを、改めて金融審議会の場でも維持してよいかどうかということを検討いたしまして、やはり業法上は従来の枠組みを維持するということが必要であろう、その上で、両者が食い違った場合に何か実務上深刻な問題が生じないかということを精査したわけでございますが、特段、この点で問題は生じないだろうという判断で今回のような法案になったものでございます。
それから二点目の、共済契約を今回の保険法案で規定するに当たりまして、例えば少額短期というふうな契約類型を取り出して、一般の保険、共済契約とは別の規律を設けてはどうかという点でございますが、保険法というのは、この法案をずっとごらんいただきますと、やはり民事の基本法でございまして、例えば損害保険契約あるいは生命保険契約というものを、いわば保険金額で規律を分けていくというふうなことは民事の法律では基本的には技術的に難しいだろうということでございます。
そうすると、保険契約、共済契約を一元的に規律するということになろうかと思いますが、そのときに、少額短期の保険契約に契約法の面でも強い規制を及ぼして、そういう少額短期の利便性の高い共済が実施しにくくなるというふうなことがあれば、それはそれで問題かと思います。
先ほども意見として申し述べましたように、この保険法案の要綱案をつくる法制審議会の部会では、実際の共済事業者の代表の方にもメンバーとして加わっていただいて、実際行われている少額短期の共済契約も含めて、実務上不都合が生じないかどうかということを慎重に検討して、その結果、特に問題ないだろう、こういうことで今回のような法案になっているわけでございます。
非常に少額の見舞金を支払うような、相互扶助制度のようなものは、そもそもこの保険法案に言う保険契約には該当しない、またその種の制度については従来どおり可能になるという区分けで、そこの具体的な境というのは今後の解釈で明らかにされていくのではないかと思っております。
○柴山委員
ありがとうございます。
続きまして、先ほど来、問題として取り上げられております保険金の不払い問題に関連してお伺いしたいと思います。
確かに、今回のルール、消費者の保護として告知についてのルールの整備、例えば保険者からの質問に回答すればよいという形でのルール設計、また募集人による告知妨害があった場合の支払いというような形で整備をされたことは確かに高く評価するべきであろうかと思います。
しかし、今御説明があったように、今後重大な過失による免責をどうするか、あるいは調査に必要な期間というものをどうとらえるか、重大事由解除、こういった問題についてきちんと詰めていくべきだという御指摘もあるところですし、また、私は、そもそも今回の不払い問題のもう一つの大きな背景としては、やはり説明義務の問題があるのではないかなというように思っております。
例えば、今、最後、坂参考人の方から御指摘があった、責任開始前の発病、こちらについて負担をしないというような問題についても、これをあらかじめきちんと説明していたのかどうかということは私は非常に重要な問題ではないかなと思っておりますし、また一般に、特約について、これをきちんと説明しなかったことによる不払いの問題等についても大きく指摘をされているところでもございます。
こうした説明義務に関して、もちろん消費者契約法あるいは金融商品取引法等の規律なども考えられるかと思うんですけれども、やはり保険法できちんと明定すべきではないかという議論が当然出てきてしかるべきだと思うんです。これについてどのようにお考えか、また、事業者として、この説明義務、不払い等に関する取り組みが一体どのようなものになっているのかということについて、まず生命保険協会の方から御説明をいただきたいと思います。
○筒井参考人
お答えをいたします。
改めて、お支払い問題で大変な御迷惑をおかけいたしまして、本当に申しわけございません。やはり、適切、迅速にお支払いに努めるということは、我々は保険のプロでございますので、そういう自覚のもとに、当然の責務として、こういう問題が二度と起こらないということで取り組んでまいりたいと考えております。
いろいろな再発防止策を組み立てて現在取り組んでいるところでございますが、その最大の柱は、今先生御指摘のとおり、お客様に対する御説明というものをもっと充実し、強化をしていかなければいけないということを重要な柱として今取り組んでいるところでございます。
特に、生命保険の営業職員については、かねてから言われておりましたが、ややもすれば新契約をいただくということに傾斜がかかっているんじゃないかというふうな側面も確かにございましたので、こういう新契約に偏ったような評価体系を大きく変えまして、お客様のアフターサービス、特に御加入いただいている保険契約の内容を定期的にお知らせするでありますとか、あるいは万が一そういう事故が起こったときにどういうふうなお支払いの手続、請求が必要なのかということについての説明、そういった活動も評価するような形で取り組んでいるところでございます。
象徴的な活動としては、御契約内容確認活動、これは弊社日本生命の例でございますが、定期的にお客様を御訪問して、先ほど申し上げたようなお客様への御説明ということを重点に取り組んでいるところでございます。
今回の法案の御趣旨も、そういう説明義務の強化というところは当然趣旨としてございますので、引き続き、今やっている取り組みをさらに強く推進していきたいと考えております。
以上でございます。
○柴山委員
続きまして、損害保険協会の方にもお伺いしたいと思うんです。
特に、これは損害保険協会さんに限ったことではないんですけれども、今、保険会社相互間の合併あるいは統合が活発に行われているところでございます。そのような中で、商品あるいは約款の統合ということが本当にスムーズにいっているのか。もしこの部分で問題があるのであれば、それが、先ほど御説明のあった説明義務、特に約款の説明のようなところに影響してくるのではないかという指摘があろうかと思います。これについてどのように対処されているかということを、まずお伺いしたいと思います。
また、損害保険の場合に、事故があった場合に、ともすると、ユーザーサイドからすれば、請求主義がかかり過ぎているんじゃないかと。今回の法律十四条で、事故についての通知義務が課されていて、これ自体はやむを得ない部分かと思うんですけれども、それにしても、ユーザーサイドからは会社の不親切性ということがややもすると指摘をされている部分かと思います。これについてどのような対応をされているのかということについて、ぜひお伺いしたいと思います。
○柄澤参考人
先生御指摘の点、真摯に業界として受けとめたいというふうにまず考えます。
この間のいろいろな問題につきまして、合併の問題が影響したのではないかという点につきましては、一定程度先生御指摘の点はあろうかというふうに思います。
保険料規模で上位の六社、損保、いずれも合併を経験しております。私ども三井住友海上も二〇〇一年十月に合併いたしました。また、幾つかの統合話も巷間うわさされているという業界でございます。
当社の場合で申し上げれば、既に統合のプロセスは終了いたしまして、三井住友海上としての商品の開発、システムの高度化等に取り組んでおります。旧両社の統合のプロセスにおいては、苦労したことは少なくございませんでしたが、御指摘の商品、約款につきましては、統合プロセスの一環として、統合後の新商品を開発し、御契約者が満期を迎えるごとに移行をお願いし、商品の一体化を進めることができました。
損害保険商品は、主力の自動車保険を初め一年契約が中心であることもございまして、比較的早期に移行が進んだ面もあろうかというふうに思います。システム面の統合も大きな課題でしたが、安全性を重視して慎重に準備を進めることで、大きなトラブルを来すことなく統合できたというふうに考えております。
しかしながら、一方的に統合の事務の混乱等において一部契約者の皆さんに御迷惑をおかけしたことは事実だというふうに思いますので、これを真摯に受けとめて、このようなことがないよう、取り組んでまいりたいというふうに考えます。
また、先生御指摘の請求主義の問題でございますけれども、基本的に各社積極的な請求案内に努めておりまして、例えば三井住友海上におきましては、事故を受け付けた際に、お支払いの可能性がある保険金のすべてを御案内申し上げているところでございます。また、地震などの災害が発生した場合におきましては、お客様のお申し出を待つことなく、保険会社が被災地域のお客様を訪問するなどして、被害状況の把握、保険金のお支払いの御案内を申し上げる活動を行っております。
このように、損害保険の公共性、社会的意義にかんがみまして取り組んでいるところでございますので、よろしく御指導をお願いしたいというふうに思います。
以上でございます。
○柴山委員
質問がまだ全然終わっていないんですけれども、十五分で質疑時間がもう終了してしまいましたので、あとは残りの先生方にお任せしたいというように思っております。
きょうは本当にありがとうございました。
第169回 国会 経済産業委員会
第169回 国会 衆議院 第3号
2008年4月2日(水)
午前十時開議
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
知的財産権の充実をずっと訴えてこられた甘利大臣に、こうして特許法等改正案につきまして質問ができることを大変うれしく思っております。
私は、現行の特許法の有する大きな課題として、国際的連携が必ずしも十分ではないこと、それと、特許の登録ですとか紛争解決に時間やコストがかかり過ぎることをずっと主張してまいりました。今回の改正はその是正に資するものと思いますけれども、まずお伺いしたいのは、特許、意匠、商標の拒絶査定の不服審判請求期間を三十日から三カ月に拡大するという点でございます。これは、もちろん権利保障のためであるとはいえ、さっき申し上げた紛争解決の迅速性の要請からは若干問題も指摘されるところだとも思うんですけれども、この点についてはどういうお考えなのでしょうか。
○肥塚政府参考人
お答え申し上げます。
特許制度については、審査処理件数が増加しておりまして、これに伴って、拒絶査定が行われる件数、さらには拒絶査定に対して不服審判を請求する件数も増加してきております。それから一方で、制度利用者にとっては、各特許出願について審判請求の当否を判断するための調査や検討の時間を十分確保することができないという要望が出されております。
こういう状況下で、審議会でも御議論をいただきまして、他国の特許制度においては、米国ですとか中国では審判請求期間が三カ月、欧州では二カ月となっていること、それから行政不服審査法で、手続保障の観点から、請求期間を六十日から三カ月に拡大する方向だということを踏まえて、請求期間を三カ月に拡大する提案をしているところでございます。
今の期間の問題でございますけれども、特許制度では、審判を請求する際に、特許を請求する技術範囲に補正がなされますと、拒絶査定を行った審査官が再度審査をして、適正な補正がなされていますと、みずからの拒絶の査定を取り消して特許にするという制度、前置審査という制度がございます。
この前置審査、再審査の段階で特許になる確率は非常に高うございまして、いわゆる二〇〇六年の統計で四五%ぐらいございます。また、この審査官による再審査は原則二カ月以内にやるということになっておりまして、補正が行われますとこういうスピーディーな処理がなされるわけでございます。
今回の請求期間の拡大で、補正の検討可能期間が長くなるということになりますと、適切な補正を伴った審判請求がふえるというふうに思われまして、その場合には、審査官による再審査の結果特許にされる可能性がさらに高まるということで、速やかに権利取得がなされるということになろうかというふうに考えております。
それから、このように、審判部における審理待ち期間を経ることなく特許になるケースがふえるということになりますと、結果として、特許庁全体として効率的な出願の処理にもなっていくのではないかというふうに考えている次第でございます。
○柴山委員
結果的には、件数の処理がうまく回ることによって迅速性の要請に資するという趣旨も今御答弁いただいたかと思います。
さて、この期間の問題もそうなんですけれども、先ほど申し上げたようにコストの問題も非常に大きな要素になってくると思います。
特許あるいは商標関係の料金、特に中小企業の負担が大きい十年目以降の特許料ですとかあるいは商標設定登録料の引き下げ、これが実現をしたことは評価をさせていただきたいと思います。
しかし、その引き下げの理由というのが、いわゆる特許会計におけるシステム化等の歳出軽減というようなところが理由になっているわけなんですけれども、そもそもこの特別会計制度というのは、この際抜本的に見直すべきではないか、同じような趣旨を持っている登記特別会計との統一処理も、場合によっては考えていくべきではないかと思うんですけれども、これについて大臣どのようにお考えですか。
○甘利国務大臣
特会というのは、なぜ設定するかといえば、それは受益と負担の関係を明確にするということであります。その意味では、登記特会も特許特会も同じ趣旨にのっとって設置をされた。問題は、その目的が達成されているか、その目的に沿って引き続き行われているかという違いだと思います。
登記特別会計は、コンピューター化を早急に進めていくという趣旨でもって、受益と負担の関係を明確にする特会として設けられているわけなんですが、平成二十二年度末をもって当初の目的を達成すると考えられることから、一般会計へ統合することになったというふうに聞いております。
一方で、特許特会の方は、技術革新に合わせて不断に特許事務が高度化される体制を構築していく、財源としての手数料等の適切な改定をそれに沿って行っていくという仕組みでなされているわけであります。
国内外のユーザーニーズに合わせた制度改正、国際的な出願増に対応したワークシェアリング、それから国際的な制度調和等に不断に対応するために、今後とも、出願人の理解と協力を得つつ、所要の財源を確保するという意味で、特別会計を維持する必要性が依然として特許特別会計にはあるということであろうと思っております。
○柴山委員
御指摘の趣旨は大変よくわかるんですけれども、やはり登記にしてもこの登録にしても、しょせんは手数料であるというような部分では共通性を有するのではないかなと思っております。
また、時代おくれの収支相償の発想を持っていることによって、特許審査関係の請求料を、国際的に見て大変高いと言われている商標の登録料で補っているというような指摘もあります。
そういうようなことからすれば、やはり抜本的な見直しが必要ではないかということを問題意識としてぜひ提起をさせていただければというように思っております。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
今回の改正では、発明を実施できる通常実施権、あるいは、今回仮通常実施権という形で、出願段階での権利も保護される対象また登録の対象となったわけですけれども、この登録で、ライセンシーの情報ですとかあるいはその権利の具体的な内容についてはマスキングをかけることができるという形になっているわけですね。このマスキングは、例えば利害関係人、特に特許権を譲り受けようとする者の取引の安全を害するのではないかというようにも思われるんですけれども、この点はいかがなんでしょうか。
○肥塚政府参考人
先生御指摘のとおり、通常実施権の登録記載事項の開示を制限することによりまして、対抗力を具備した通常実施権者に関する情報は、通常実施権者がサブライセンサーになっている場合も含めて、登録原簿上は不明確となります。この点は御指摘のとおりだと思います。
ただ一方で、特許権取引の実務は専門家同士で行われることがほとんどでありまして、権利を譲り受けようとする者などの利害関係者は、事前に、ライセンス契約の存在についてのデューデリと申しますか法的監査を行うことを通じて、当該権利に関する情報を取得した上で取引を行う場合が多いということは御承知のとおりでございます。
また、特許権の譲渡契約においては、表明保証条項あるいは解除条項を設けることが通常でございまして、仮に、契約時に示されたライセンシーにかかわる情報と事実が異なったことによって譲り受け人が不測の損害をこうむることがあっても、これらの条項に基づくと、事後的には金銭的に補われるということになっていると承知しています。
一方で、特許権にかかわる通常実施権の登録率は、今、十万件に対して千数百件、一%ぐらいにとどまっているというふうに推計されておりまして、登録記載事項の開示制限、ユーザーニーズでございますが、こういうことを導入することによって通常実施権の登録制度が利用しやすくなって、これまで登録されていなかった通常実施権が登録されるようになるということを通じて、特許権の取引の際に、通常実施権の有無について、公示を通じて得られる情報量が全体としてふえるという側面もあるというふうに思っております。また、これらの登録制度の活用を通じて、知財の活用の拡大というのを目指しているのがこの改正の趣旨でございます。
したがいまして、御指摘のような側面はあろうかというふうに思いますけれども、これら全体を考えますと、登録記載事項の開示制限の導入によって、取引の安全が損なわれるケースは限定的だというふうに考えておりまして、むしろ、通常実施権の保護を図る見地からは、開示制限を導入して登録制度の活用を促していくという方が妥当ではないかというふうに考えている次第でございます。
○柴山委員
今、特許権を譲り受けようとする者は、当該特許権のライセンス契約の存否についてはデューデリジェンスをかけるからいいじゃないかというようなお話があったかと思うんです。
ただ、これについては、今の特許というのは、いろいろ複合的な特許が設定をされているものですとか、あるいは、さっきサブライセンスという説明もありましたけれども、そういう形で派生的な権利が発生しているものもあるわけですね。また、本当にプロだけの間しか特許権が流通しないのか、今後さまざまな形での、信託も含めた形での取引がなされる中で、確かに今登録が、余り普及が進んでいないという側面はあるんですけれども、私はやはりこれをオープンにしていくということが求められているのではないかなというように思っております。
現に、諸外国における通常実施権の登録制度を比較しましても、ライセンシーの情報ですとかあるいはライセンス期間、またその権利の内容等については登録事項とされている国が大宗であるというように思います。恐らく、審議会ではさまざまな議論があったかと思うんですけれども、こういうこともぜひ配慮をしていただきたいと思いますし、もし説明に追加することがあればお願いをしたいと思います。
また、今私は、特許権を取得しようとする者についてだけ言いましたけれども、例えば、並列的に別の通常実施権を取得した者ですとか、あるいは一般公衆ですとか、こういったほかの利害関係人に対しても、登録ということをきちんとオープンにしていく要請はないのかということについてもあわせてお聞きしたいと思います。
○肥塚政府参考人
まず、今の最後の点でございますけれども、通常、通説ですとか判例でございますと、通常実施権者は、無権原の第三者が発明を実施したとしても、特許権者にかわって第三者に対して権利を行使するということは認められていないというふうに承知していまして、通常実施権者同士の間の関係、確かに実態として複数の、重畳的に通常実施権が与えられるというようなケースもあろうかと思いますけれども、通常実施権の登録自身は、効力発生要件ではなくて第三者対抗要件でありますので、現行制度の中でも、登録簿上にあらわれていない通常実施権が数多くあるというような状況であろうかというふうに思っております。
さっき先生がお話しになられましたように、海外では開示をする制度をとっている国がございますけれども、その点は、先ほど先生からまさにお話がありましたように、審議会でも議論がございました。ただ他方で、我が国でも動産ですとか債権の譲渡の対抗要件に関する、例の動産・債権譲渡特例法などのような、こういう制度をとっている法制度も徐々に広がってきているのも事実でございまして、したがって、先ほど申し上げましたように、登録記載事項の一般への非開示によって取引の安全性が損なわれるケースは限定的ではなかろうか、むしろ、こういうことの改善を通じまして登録制度の活用を促していく方が、全体としての知財の活用を推し進めるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○柴山委員
次の質問に移りたいと思います。
今度の改正法では、特許法あるいは実用新案法における優先権書類の電子的交換の対象国の拡大について処理がなされています。PDFファイルでこの優先権書類をやりとりするということになるかと思うんですけれども、この際私が心配するのは、やはりセキュリティーの問題でございます。どうしても、間に偽造あるいは捏造というプロセスが入ってきてしまうのではないかなと思うんですけれども、これについてはどのような手当てをお考えなんでしょうか。
○肥塚政府参考人
先生御指摘のとおり、私どものシステムでも、それから国際的にも、ますます特許の世界は情報化が進んでまいりますので、セキュリティーは非常に大事だというふうに思っています。
優先権書類の交換につきましては、一番先駆けてやりましたのは欧州特許庁とで、一九九九年から優先権書類の電子交換を開始しております。その後、韓国やアメリカとの間でも優先権書類の交換を実施しておりまして、今、一カ月当たり大体七千件程度の優先権書類が電子的にやりとりをされている状況にございます。
今回の法改正は、こういう交換実績を積んでいる枠組みを世界各国に拡張しようということの前提として、こういう制度の改正を提案しておりまして、具体的には、欧州特許庁を介してドイツ、フランス、オランダといったような国との優先権書類の交換、それからもう一つは、国際知的所有権機関、WIPOを介して世界各国との優先権書類の交換が可能になるという制度が今議論になっておりまして、WIPOでは二〇〇九年にそのサービスが開始されるということになっております。
このWIPOの制度を含めまして、今までの欧州、アメリカとの実績のもとで拡大していこうというふうに考えておりまして、当面、欧州特許庁それからアメリカ特許庁を介したもの、それからWIPOを介したものを予定しております。したがいまして、ネットワークセキュリティーが確立して信頼性が高い国、あるいは機関を考えております。
そういう意味では、現在の優先権書類のやりとりと同等のセキュリティー基準のネットワークでやられていくというふうに考えておりまして、技術的にはいろいろございますけれども、優先権書類の真正は担保されるんじゃないかというふうに考えております。
ただ、先ほど先生御指摘のように、セキュリティーの問題というのは非常に大事だというふうに考えておりますので、技術的にも、電子化あるいは電子データの交換の過程で、優先権書類の捏造といったことが行われる可能性がないような仕組みを考えておりますけれども、非常に重要な課題でございますので、国際的な専門家会合、これは三極でもWIPOでもございますので、そういう場でも引き続き議論してまいりたいというふうに考えております。
○柴山委員
いずれにいたしましても、送信の過程での作為、また出願人が違うデータを送らせるという、やはりこの両面あるというように私は思っておりますので、今の御指摘は、WIPOあるいは欧州各国とか米国とか、そういうセキュリティーのしっかりしたところからデータをもらう、当面はそこに限るというようなお話だったので、今後しっかりと関係各国と連携、またセキュリティーの問題等もきちんと深めた検討を進めていただきたいと思います。
今回の法律については、喫緊の課題ばかり対応していただけたと思いますので、ぜひ速やかな成立を図っていただきたいと思います。
時間が参りましたので、私の質問は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。
第169回 国会 法務委員会
第169回 国会 衆議院 第4号
2008年03月25日(火)
午前九時三十一分開議
○下村委員長
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
時間がありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
今回議題となっております裁判所職員定員の変更という問題なんですけれども、まずしっかりと注目をしなければいけないのは、法曹人口のトータルの増加のペースに裁判官の増加のペースが及んでいないのではないかという事実だと思います。
裁判官、平成二年には人口は二千十七名、そして十九年には二千六百十名で、この間二九%の増加となっております。一方、弁護士は、同じく平成二年には一万四千百七十三名、平成十九年には二万三千百五十四名で、この間の増加は何と六三%であります。検察官ですら、平成二年、千百七十三名、そして平成十九年には千六百三十四名で、三九%の増加となっております。
今後、司法試験の合格者が年間三千人にもなりなんとする中で、法の支配と紛争処理を飛躍的に高めていこうというこの御時世に、余りにも裁判所の体制は不十分ではないかと思うんですけれども、この点、どのようなお考えなのでしょうか。裁判所の方にお伺いしたいと思います。
○高橋最高裁判所長官代理者
お答え申し上げます。
今、法曹人口が飛躍的に増大しているときに、裁判所の、特に裁判官の増加がそれに見合っていないのではないかという御指摘でございます。
司法修習生が増加いたしますと、判事補の給源、判事補をそこから採る給源も増加するということになるわけでございますが、裁判官の採用数を考えるに当たりましては、まずは司法に対する需要がどのぐらいあるのか、すなわち司法、つまり裁判所の処理すべき業務量がどのぐらいあり、それを処理するのにどのぐらいの人数の裁判官が必要かという観点、基本的にはどの程度の事件が裁判所に提起されるのかという点から検討すべきものと考えております。
法曹人口が増加すれば、ある程度民事事件がふえていくであろうということは予測されることでございますが、それでは刑事事件がそれに比例してふえるかというと、必ずしもそういうわけではございません。弁護士さんがすべて訴訟事件をおやりになるかというと、必ずしもそうではなくて、予防法学の方をされることもございましょうし、さまざまな面がございます。そういう点で、将来的には、法曹人口がふえれば民事訴訟事件もふえるであろうということは想像にかたくないわけでございますけれども、それに対応して裁判官の採用もふえなければならないという関係にはないものと承知しております。
言うまでもないことでございますけれども、裁判官として採用するにつきましては、それにふさわしい資質、能力を持った人材でなければならないわけでございます。今後とも、これらの要素を注意深く見きわめながら、国民のニーズにこたえるために必要な、それにふさわしい人材を裁判官に採用していきたいと考えております。
○柴山委員
刑事事件がふえるわけではないという御指摘でしたけれども、先ほど申し上げたように、検察官の定員は三九%ふえているわけですから、その御立論は説得力がないと思います。
それと、もう一つ言わせていただくと、法曹の資質の問題を取り上げましたけれども、それでは弁護士あるいは検事さんの資質はどうでもいいのかという話です。要するに、法曹トータルの質の強化ということは、我々が司法制度改革の中でしっかりと議論をしていかなければいけないわけですから、裁判所だけがギルド的な既得権益の擁護ということにもしこだわっているとすれば、これは断じて許されないということだけはぜひ申し上げたいと思います。
その上で、先ほど事件数のことについて御指摘をされたんですけれども、それではお伺いしたいと思います。一人当たりの裁判官の手持ち事件数、そして新しく配てんされる事件数、これについて、最近の推移をぜひお聞かせいただきたいと思います。
○高橋最高裁判所長官代理者
最近の全国の裁判官の手持ち事件数、民事訴訟を担当している裁判官の手持ち事件数それから新受件数というものについて、現在、数字を手元には持っておりません。
支部の裁判官でありますと、単に民事訴訟事件だけではなくて刑事、それから保全事件、破産事件、さまざまな事件を担当しておりますので、裁判官一人当たりの民事手持ち事件数、新受件数というのは、数値を出すのは非常に困難であるということは御理解いただきたいと思います。
具体的に申し上げますと、それでは東京地裁の、委員お尋ねの裁判官一人当たりの手持ち件数について、繁忙とされます東京地裁民事通常部の事件数を出してみますと、平均して二百件程度でございます。同じくお尋ねの一人当たりの新受件数、一カ月当たり民事通常部は三十件程度となっております。
○柴山委員
一人当たりの裁判官の手持ち件数が二百件、それから一カ月間に新しく受ける事件数が三十件ということですね。もちろん、これらのすべてが終局処分が判決という形で終わるわけではありませんから、そのあたりは注意をしなくてはいけませんけれども、果たしてこのようなペースで、裁判官がしっかりと熟慮の上、真っ当な判決が書けるかということなんですね。
私の手元に、平成十三年の四月十六日付で最高裁判所事務総局が出した「裁判所の人的体制の充実について」というペーパーがございます。この中に今後の目標として、裁判官の手持ち件数を大幅に減らさなければいけない、手持ち件数を現在の百八十件から四分の三の百三十件から百四十件、こういった形でペースダウンしていくということが必要だというように明記されているわけですね。
にもかかわらず、現状は今おっしゃったような形になっているわけでございます。ぜひこの点について、しっかりと今後、法の支配の拡大ということで必要な体制ということを考えていただきたいというように考えております。
加えてもう一点申し上げたいことは、裁判員制度が、平成二十一年五月二十七日までの政令で定める日で施行されるということなんですね。この裁判員制度の導入に当たって、必要な人的体制は一体どのようになっているんでしょうか。
○高橋最高裁判所長官代理者
お答え申し上げます。
裁判員制度の導入といいますのは、裁判所にとって非常に大きな、特に刑事裁判にとって非常に大きな制度改革であると考えております。制度導入までに、現在の事件動向に適切に対処しつつ、裁判員の参加にたえ得るように、審理の充実、迅速化を徹底しますとともに、制度導入後の手続を円滑に実施するためには、合議体を構成する裁判官のみならず、選任手続において多くの事務処理を担当する書記官を含め、人的体制を順次整備していくことが不可欠でございます。
裁判員制度の導入に伴う増員につきましては、裁判員制度の具体的な運用等について、模擬裁判等を通じて検討を進めているところでございます。これまでに最高裁や全国各地の裁判所において実施された模擬裁判の結果や、これまでの事件数をもとにいたしますと、裁判官についてはおおむね百五十人程度の増員で行うということを考えております。
○柴山委員
この裁判員制度の導入に際して、それだけで裁判官の増員が百五十人必要だというように今御指摘になっているわけですけれども、今各地で模擬裁判をされているというお話はありましたけれども、その中で、この百五十人という人数について、増員の必要性というような声は上がってきていないんでしょうか、どうなんでしょうか。
○高橋最高裁判所長官代理者
お答え申し上げます。
模擬裁判をする過程におきまして、審理及び評議の両面において、これは思ったよりも業務量といいますか手間がかかるではないか、大変ではないかという声が上がっていることは事実でございます。
ただ反面、この裁判員裁判ということによりまして、訴訟関係者の間で共通認識が生まれてきていると思います。それは、できるだけ公判前整理手続で争点を整理して、そこに集中して審理を行う、非常に効率的な審理を行うということが実現できそうな状況が生まれてきております。そしてもう一つ、刑事事件が最近少し動向が、事件数が落ちついてきております。こういった点も考慮しますと、百五十人でやれるのではないかというふうに私どもは考えております。
○柴山委員
今後の裁判所の定員を考えるに当たって非常に重要なのは、紛争解決手続における裁判所の位置づけというものが今後どのようになっていくかということだと思うんです。刑事事件もそうですけれども、紛争解決ということが裁判所の大きな役割になってきます。
その中では、この委員会でも検討されているADR手続ですとか、あるいは準司法手続、行政の中で公正性を確保するために司法に準ずる手続で審査等をするという手続、また仲裁等の手続、さまざまあると思います。
ここで、今後の司法行政の担当者に、裁判所の位置づけについてのビジョンをぜひお伺いしたいというように思います。
○高橋最高裁判所長官代理者
お答え申し上げます。
裁判所は、公正かつ透明な手続を通じて事実関係を確定し、法律を適用して、具体的な紛争を解決する司法作用を行うことをその本質的な役割としておりまして、これまで民事、刑事、行政、家庭事件を、そういう意味で適切に処理してきたものと認識してきております。
そして、最近では、非常に最先端の金融機関同士の合併をめぐる紛争でありますとか、最先端の技術が争われる特許紛争であるとか、これまで裁判所に来なかったような物すごく難しい事件、非常に最先端の事件が来ております。
また、他方、従来は行政の分野に属すると思われてきた事柄も裁判所で担当してはどうかということで立法が行われてきております。最近の薬害C型肝炎の被害者救済特別措置法でありますとか児童虐待防止法の改正などは、そういうような議論がされたというふうに私ども承知しております。
さまざまな裁判所の関与が求められてきておるわけでございますが、その背景には、社会構造が行政による事前規制型社会から事後救済型社会へと転換しつつある、そういうことを反映しているのではないかと思われるわけでございまして、中立公正な機関としての裁判所に対する期待が高まっているのではないかと思われます。
このような事件について裁判所はどういうスタンスで対応するのか、先ほど言われましたADRでありますとか準司法手続、行政不服審査手続の改正でありますとか、そういった点についてどういう考えを持っているのかということでございますが、政策的な問題についてあれこれ申し上げるのは必ずしも適切ではございませんが、先ほど申し上げましたような司法の本質にそぐわないようなものについては、やはり裁判所がそれを担当するのは適当ではないと考えております。
私どもは、すべての社会的紛争が裁判所で解決されなければならないと思っておるわけではございません。ADRの特徴もございます。安くて、解決の方法が柔軟性があって速いとか、そういういろいろな特性を備えたADRもございましょうし、専門の行政不服審査手続で十分解決される紛争もあると思います。
あくまでも裁判所はラストリゾート、つまり、最後のよるべきところとしてその機能を果たすべきところでございますので、そういう機能に即した事柄については、裁判所としては引き受けていかざるを得ないと考えております。
○柴山委員
今、独占禁止法の改正の議論で、要するに、行政の審判制度を廃止して、裁判所の手続に一本化しようなどという議論も行われているわけですけれども、先ほど御指摘をいただく中で、そういう単純な議論というものが果たして妥当するのかどうかということについては、ぜひ我々議員がしっかりと考えていかなければいけないというように思っております。
この紛争解決の多様性ということについて、法務省からもし御意見がありましたら、司法法制部の方から伺いたいと思います。
○深山政府参考人
委員御指摘のとおり、一口に法的紛争と申しましても、さまざまなものが存在しておりまして、紛争解決に関する国民のニーズも多様であると考えております。
そこで、今般の司法制度改革におきましても、労働審判制度の創設、仲裁制度の整備及び裁判外紛争解決手続の認証制度の創設など、国民にできる限り多くの紛争解決手続の選択肢を提供して、それぞれの紛争に適した解決方法の選択を可能にするというようなことが図られていますし、いずれの紛争解決手続も迅速で公正なものになるよう制度の充実が図られております。
中でも裁判所は、今最高裁の御答弁にもありましたけれども、紛争解決制度の中心的な存在であることは否定できませんし、他の方法では解決できない紛争を含むすべての法的紛争の最終的な判断機関でございますので、日常的な紛争から高度な専門技術にかかわる紛争まで、いかなる法的紛争にも対応することが求められていると思っております。
法務省の立場としては、今後とも、各種の紛争解決手続が国民にとって多様なニーズにこたえ得るものになるようその整備に努めるとともに、裁判所が国民に求められている機能を十全に発揮できるよう必要な検討を行っていく所存でございます。
○柴山委員
時間が終わりましたので、以上で質疑を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
第168回 国会 財務金融委員会
第168回 国会 衆議院 第6号
2007年12月4日(火)
午後一時二十二分開議
○石井(啓)議員
それでは、本法律案の趣旨についてまず申し上げます。
現在、振り込め詐欺等の預金口座への振り込みを利用した犯罪行為が行われた場合には、金融機関は、捜査機関等からの情報提供を受けて、約款にのっとり、預金口座の利用の停止、解約を行い、その預金口座に係る資金を別段預金で管理しまして、申し出のあった被害者に被害金を返還する扱いをとっております。しかしながら、平成十九年三月末の時点で約八十億円もの資金が被害者に返還されることなく金融機関に滞留をしておりまして、被害回復が十分に行われていない状況にございます。
このように金融機関に滞留しておりますのは、一つは、この預金口座に係る預金の債権が名義人に帰属をしておりますので、金融機関には被害者と名義人と二重の支払いリスクがあるということがございます。もう一つは、預金口座に複数の被害者から振り込まれている場合における被害者に対する分配のルールが定まっていない、このことから、金融機関から被害者への資金の返還が進んでいない、こういう状況にございます。また、被害者が訴訟を提起する等の方法によって預金口座に係る資金の返還を求めることについては、時間とコストがかかります上に、特に名義人が行方不明の場合が少なくないという状況で、余り行われていないわけであります。
そこで、振り込め詐欺等の被害者の財産的被害の迅速な回復に資するために、犯罪に利用された預金口座を、一定の慎重な手続のもとに失権をさせまして、これを原資として被害者に被害回復分配金を支給する、この手続等を定めることにしたものでございます。
また、本法案の概要について申し上げますが、本法律案は、振り込め詐欺等の預金口座等への振り込みを利用した犯罪行為の被害者の財産的被害の迅速な回復に資するために、犯罪利用預金口座等に係る預金等債権の消滅手続、振り込み利用犯罪行為の被害者に対する被害回復分配金の支払い手続等を定めたものであります。
まず、預金等債権の消滅手続でありますが、金融機関は、捜査機関からの情報等を勘案いたしまして、預金口座等が犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があるときは、預金等債権の消滅手続の開始に係る公告を預金保険機構に求めなければならないということにいたしまして、六十日を下らない権利行使の届け出に係る期間内に名義人等による権利行使の届け出等がない場合は、公告に係る預金等の債権は消滅するということにしております。
次に、被害回復分配金の支払い手続でありますが、預金等債権が消滅した場合には、金融機関は被害回復分配金の支払い手続の開始に係る公告を預金保険機構に求めなければならないことといたしまして、三十日を下らない申請期間内に申請があったときは、被害者及び被害額を認定して、被害回復分配金の額を決定してこれを支払うこととしております。
なお、被害額が消滅預金等債権の額を上回る場合には、被害者の被害額により案分した額を支払うということにしております。
次に、預金等債権の消滅手続において失権した名義人等の救済措置でありますけれども、名義人等の預金等債権が消滅した場合であっても、権利行使の届け出等に係る期間内に権利行使の届け出を行わなかったことについてのやむを得ない事情等について名義人等から必要な説明が行われまして、この預金口座等が犯罪利用預金口座等でないことについて相当な理由があると認められる場合には、名義人等が金融機関に消滅預金等債権の額に相当する額の支払いを請求することができるというふうにしております。
支払いを行った金融機関に過失がないときは、預金保険機構に対してはその支払い相当額の支払いを請求することができるとしております。
さらに、被害回復分配金の支払い手続が終了いたしまして、まだ残金がある場合につきましては、金融機関はその残金を預金保険機構に納付しなければならないとしておりまして、預金保険機構は、その納付を受けた金銭について、省令で定める割合を除きまして、犯罪被害者等の支援の充実のために支出することとしているところでございます。
以上であります。
○関委員
今、石井先生から、概要、趣旨をお伺いしまして、本当によく、すばらしくでき上がっているな、弁護士とも何度も何度も打ち合わせされたというところも伺っていますし、全銀協、金融機関の方ともしっかりと打ち合わせされたということが本当に反映されているなというのが、今非常に感じたところでございます。
そして、一方、銀行の方は、金融機関の方は、実務手続としまして、いろいろなことが今後も発生することでございますけれども、一点、確認をさせておいていただきたい点がございます。それは、振り込み利用犯罪行為による被害財産とまた他の財産が一つの振り込みされた口座に混在している場合、このような場合の預金口座等はどのように扱われるか、その点についてお伺いしたいと思います。
○柴山議員
お答え申し上げます。
関議員には、私どもの苦労の成果につきまして最大限の賛辞をいただいたこと、まず御礼を申し上げたいと思います。
今の御質問ですけれども、確かにおっしゃるとおり、名義人に関しては、たとえ犯罪行為を行ったにしても、その預金には固有財産ですとかあるいは他の正当な取引によって振り込まれたお金等々が混在をしているという事例が多々あるわけでございます。しかしながら、私どもの考えといたしましては、金融機関が事前に被害財産とそういった他の財産を区分することが困難であることから、名義人等の権利保障にはしっかりとした形での配慮をしつつ、預金口座等に係る預金等の債権全額につきまして、預金等債権の消滅手続を実施することとしております。
こうした形で預金等債権の消滅手続がとられた場合には、権利行使の届け出等に係る期間内に行使の届け出があれば預金等債権の消滅手続は終了し、そして、その届け出等がなければ預金等債権全額が消滅してしまうという形をとらせていただいているわけでございます。
なお、このように権利の全部が消滅した場合でありましても、名義人等の救済措置といたしまして、名義人等が権利行使の届け出等に係る期間内に権利行使の届け出を行わなかったことにつきまして、やむを得ない事情があったということについて必要な説明を行った場合には、金融機関に対して当該被害財産以外の固有財産の支払いを請求することができるということを二十五条二項で定めさせていただいております。
○関委員
今、柴山代議士の方から内容の説明を受けまして、本当に手続が明確化されておりまして、今の手続がきっちりと踏まえられますと、預金口座の名義人とももめることなくスムーズに事務が進んでいくだろうということが想像されるところでございます。
〜中略〜
○関委員
私も民間の金融機関で十七年ほど働いてまいりましたけれども、今、石井代議士がお答えいただいたようなことで、この立証というのは実際に金融機関しか無理だな、私も全く同感でございます。そのことを一言申し添えておきたいと思います。
最後の質問をさせていただきます。
これは政府等によります周知、公表に係る責務規定ということでございますけれども、この法律案に関しまして、民主党の案の方では、政府に対して、法律の円滑な実施を図るため、法律の趣旨及び被害回復分配金の支払い手続等に関する事項等について、広報活動等を通じ国民に周知を図り、その理解を得るよう努めるものと規定をされております。これは当然のことだとは思うんですけれども、そのことをあえて言わなければならないのかなという気もいたすわけでございまして、その点につきまして、与党の提案者の方から感想を聞かせていただけたらと思います。
○柴山議員
関委員御指摘のとおり、どのような法律でありましても、法律が成立し、そしてそれが施行されれば、それを誠実に執行する責務のある政府としては、その周知を徹底しなければいけないというのは当然のことだと私どもも考えております。ましてや、この振り込め詐欺等に関する法律に関しては、国民に対して、なおさら、身近な法律関係について平易にわかりやすく説明しなければいけないという必要性が大きいものと考えております。したがって、わざわざ特別の規定を設けるまでもなく、そういった国民への周知広報をするということは当然に私どもとしては予定しておりましたので、あえて御指摘のような条文を設けなかった次第であります。
〜中略〜
○小川(友)委員
関連して再度お伺いします。
被害回復分配金の支払い手続が実施されていることを知らない被害者、自身がいわゆる振り込め詐欺等の被害に遭ったことを認識していない被害者が存在し得る可能性ということは当然想定がされると思います。
そのような意味で、三十日という支払い申請期間というものはちょっと短過ぎるのではないかなというふうに、要するに支払い申請期間が三十日間であるということは短過ぎるのではないかなというふうに考えますが、いかがお考えでしょうか。
○階議員
今のはおっしゃるとおりだと思っていまして、私どもの案は、三十日間だと被害者の支払いの申請の期間としては短いということで六十日間設けておりますので、そういった意味で、被害者の保護には我々の方の案が資するのかと思います。
○小川(友)委員
与党として、今の民主党、野党案を聞いていてどのようにお考えになっているか。この一元化、二元化の方がいいというのが与党案ですよね。その辺をどうお考えなのか、お伺いします。
○柴山議員
後段の三十日間の権利の届け出期間というものが、もしこれが単体で、被害者保護のための救済期間として、そこで終わりなんですよということであれば、それは若干短いのかなという感触もあると思います。
しかし、先ほど来御説明をさせていただいているとおり、既にその前提として六十日間の公告等の手続がありますので、少なくとも、被害者と見込まれる方は、その期間内に自分の被害について認識する機会というものは確保されているわけです。
それを前提とした上で、その申請のみの期間を三十日という期間に限ることは、先ほど御説明があったかと思いますけれども、確定刑事事件等に係る犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律との均衡からいっても、必ずしも短いとは言えない。むしろ、被害回復の迅速性ということに重きを置いた形で、処理の迅速性を図っていくというフェーズに入っていくのかなというように思いますので、また、トータルとしての期間の既存の遺失物法との均衡も考えてこのような制度設計をしたということでございます。
加えて申しますれば、一度被害者が、これは申し出をすれば被害回復が図れるんじゃないかということで手を挙げたんだけれども、最終的に、何か知らないけれども、調査のときには黙っていた名義人がやおらよっこいしょと手を挙げてきて、いや、やはりあれはおれのものだと言った場合に、金融機関として、こうした手を既に挙げてきた被害者に対して通知を改めて全部出し直さなくちゃいけないという形での混乱ということが見込まれることについても、ぜひ御配慮いただきたいと思います。
以上です。
〜中略〜
○佐々木(憲)委員
次に、預金等に係る債権の消滅手続という問題ですが、法案では、疑うに足る相当な理由があると金融機関が判断した場合となっておりますね。法案では、相当な理由を判断する基準ということで四点挙げておるわけですね。一つは捜査機関等からの情報提供、それから被害状況について行った調査の結果、それから名義人の住所への連絡等による名義人の状況についての調査の結果、預金口座等に係る取引の状況、この四つを挙げられているわけです。
相当な理由という場合、預金口座を債権の消滅を行う場合には、この四つが基準になっている。しかし、凍結を判断する場合、最初に私が申し上げました凍結、最初の凍結という場合の判断、これは判断基準に差があるわけですね。そういう認識でよろしいですね。では、与党案。
○柴山議員
この部分は、民主党の提案と私どもの提案で差がないものと考えますので、私の方から答弁をさせていただきます。
今、階議員の方から御答弁がありましたとおり、口座の凍結ということに関しましては、要は、名義人、いわゆる加害者がこれを引き出すのを何とかして食いとめなければいけないということで、もちろん金融機関側の債務不履行のリスクというものはありますけれども、比較的迅速性に重きを置いた形で凍結等の運用をしなければいけないという必要性があるのに対しまして、佐々木委員が御質問されたとおり、失権という部分に関しましては、むしろ、より名義人の権利保護にしっかりと重きを置いた形での扱いが必要になるというわけで、御指摘の法四条の各号に、失権をさせてもやむを得ないという形で、これはあくまでも例示列挙でありますけれども、相当の理由というものを書かせていただいた次第でございます。
なお、これに加えまして、先ほど階議員の方から法三条の方について御説明があったのと同様、金融機関が行う認定方法の詳細につきましては、全銀協等の業界団体で、実務を踏まえた形でガイドライン等の統一的な基準ですね、口座売買を疑わせる相当な理由ですとか、あるいは異常な入出金、過去の履歴等と比較して異なる形での取引履歴が発生しているような場合等々、精緻な検討がされているというように承知をしております。
第168回 国会 災害対策特別委員会
第168回 国会 第4号
2007年11月2日(金)
午後一時三十二分開議
○西村(智)委員
そこで、先ほど答弁の中にありました、遡及はしないけれども、それと同様の支援が行われるべきであると考えている、提案者はこのようにおっしゃったと思います。やはり、この遡及についての地元の要望は本当に強いわけなんですけれども、昨日も私は担当大臣、泉大臣に質問させていただきましたが、その同様の支援というのは一体何を想定されておられるのか、この中身を具体的に伺いたいと思うんです。
一部報道などで、これは萩生田提案者がどうも発言されたというふうに承知をしておるんですけれども、復興支援基金への国からの支援で住宅本体への支援が行えるようにする、それだから、仮にこの法律が新潟や能登に遡及しなくてもカバーされますよというふうに話があった、そんなふうに承知をしておるんですけれども、本当に総務省から基金の適用の範囲についてそのようなお話というのがあったんでしょうか。伺いたいと思います。
○柴山議員
今西村議員から御指摘のあった点ですけれども、先日の衆議院総務委員会におきまして、増田大臣から次のように御答弁がありました。
能登半島地震や中越沖地震の災害復興基金に係る地方団体の負担について一定の交付税措置を講ずることとしているが、国の被災者生活再建支援制度とも歩調を合わせて、住宅本体に係る支援金の支給事業については、従来は交付税措置の対象外としていたところであるが、今般、国の支援制度が改正された場合には、地方公共団体の判断により、災害復興基金を通じて、改正後の支給内容におおむね相当する程度の支援金を支給しようとする場合、交付税措置の対象とすることを考えているというものでございます。
○西村(智)委員
基金の上乗せについてはどのくらいのものが示されているんでしょうか。ここは大事なところなんです。つまり、基金の総額というのは、既に総務省の方からは、新潟へは一千二百億円ということで示されております。これはもう九月の上旬に既に示されているんです。これに基づいて県の方は支援メニューを構成しております。ですので、基金の大幅な上乗せがなければ、総務大臣が仮にそのようにおっしゃっているとしても、これは到底受けられる話ではありません。具体的な額の提示はあったんでしょうか。
○柴山議員
具体的な金額についてのお尋ねでございます。
内閣府の試算によりますと、今の制度と与党案における改正支援金支給額の差額は、能登半島地震においてはおおむね十七億円、中越沖地震についてはおおむね三十二億円とされております。
そして、総務省の方から、今御指摘があったそれぞれの復興基金の運用益、これは五年分を積み上げますと、能登半島地震でおおむね三十七億円、中越沖地震で九十億円であるということで、改正法遡及適用のレベルをカバーする範囲であるというような形で聞いております。
○西村(智)委員
しかし、それは総務省がはっきりと示しているわけではありませんし、基金全体の中で、基金の利益の総額を今おっしゃって、その中から内閣府が試算している額は十分賄えるというふうな御答弁でしたけれども、何度も申し上げますけれども、ほかにも基金ではいろいろなことをやらなくちゃならないわけなんです。全部が全部この住宅本体への投入に充てられるというものではありません。そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思います。ですので、私たちは、あくまでもここはやはり、地元自治体からも要望がありますように、法律の遡及、これはしっかりとやらなくちゃならない、これは立法府の責務であると考えております。
最後に一つ伺いたいんですけれども、昨日、この災害対策特別委員会におきまして、我が党の寺田委員の方からも、そして私の方からも、いわゆる災害に係る住家の被害認定基準運用指針の見直しについて質問をさせていただきました。私が質問したのは判定方法についてでありましたし、寺田委員の方から質問がありましたのは、地震関係の災害と水害関係の災害と、これは余りに違うのではないか、つまり、水害に伴う被害の実態を踏まえていないのではないか、こういう指摘があったところでございます。
~ 中略 ~
○日森委員
この間、中越沖地震の被災者のお話を伺ったら、これは柴山先生も一緒だったんですが、三年前、きょう長島先生もいらっしゃいますが、山側で地震が起きた、今度は海側で起きた、もう一回来るんじゃないか、こういう不安にさいなまれながら、生活再建を今これから始めようというところなんですね。そういう思いが一つある。
それから、あるマスコミの世論調査でも、住宅再建、八〇%が、住宅再建に支援するというのは当たり前じゃないかというマスコミの世論調査の結果も出ていました。当然、その結果、そういう世論を形成しているのは、中越沖や能登で被災した方々の実態を見て、本当にこれは放置できないぞということが実は背景にあって、八割以上の人が住宅再建にも支援すべきだというふうに賛意を示しているということだと思うんです。
こういう思いにどうこたえていくのかというのが、やはり今大変重要になっているんだと思うんですよ。重要になっているんだと思うんです。別の形でという話もありましたが、でも、法律そのものはやはり生身の人間を相手にしているのであって、そこに今、仮設住宅にやっと入れました、これから生活再建をやっていきましょうという人たちが現にいらっしゃる。いらっしゃるけれども、その人たちは対象外であるということで論議が進んでいくということについて、私自身も非常にじくじたる思いがあるんですよ。
そういう意味で、何度も同じことを聞いて申しわけないんですが、そういう、例えば、これからよりよい支援法をつくっていくんだ、そのために柔軟な対応もしていくぞという御決意を伺ったわけですから、遡及適用の問題について改めて修正する余地があるのかどうなのかということについてお聞きをしたいと思います。
○柴山議員
ありがとうございます。
先日、被災者の皆様のお話を、日森議員ともども、私もお伺いしたところでございます。
まさしく御指摘のとおり、要はしっかりとした救済を、遡及適用したのと同じような形で行えるかどうかという、理屈よりも実際の支援のあり方をしっかりしていくということが大切なのではないかというように思っております。
先ほど西村議員からも御質問があったとおり、復興基金の運用で果たして、ほかにもさまざまな用途がある中で、十分なのかという御指摘もありました。それについてももちろん、新潟県から例えば相談があれば、その運用状況も踏まえながら、しっかりとした形で真摯に対応していくということを考えております。
また、遡及適用については、例えば、今御指摘のあった能登また中越沖地震以外に、長島先生もいらっしゃいますけれども、平成十六年の中越地震もあるわけなんですね。同じ新潟の中でも、旧法を受けて、または、仮に平成十九年一月一日以降、この改正法の適用をした場合にその適用を受けるという方々との間のバランスの均衡を欠くというところがあるわけです。また、赤羽先生は阪神・淡路大震災に被災されています。
ということで、どこまでさかのぼったら本当に皆様に御納得のいただくような形で制度が設計できるのかということは、公平性の観点から非常に難しい議論になってこざるを得ないのではないかというように思っております。
また、先ほど来御説明申し上げているように、今回の制度設計をした場合の将来の震災あるいは災害に対する相互扶助ということから考えても、今回は公布日以降の災害を対象とすることとして、これで直接救われない方々に関しては、先ほど来申し上げているような別の形での十全な救済ということをしっかりと検討させていただきたいというように考えております。
なお、阪神・淡路大震災につきましても、厳密に言えば、この法律が遡及適用されたということではなくて、復興基金の事業の拡充等を通じて対応したということをあわせて申し添えさせていただきます。
○日森委員
あの阪神・淡路の場合にはこの法律がなかったわけで、しかし、別の意味で幾つかの特別立法みたいなものをつくってかなり対応した。もちろん十分じゃありません。それは赤羽先生が一番御存じだと思いますが。十分じゃありませんが、そういう対応もあったということなんですよ。
この法律がその三年後にできて、改正に改正を重ねてきて、今回本当に使い勝手のいい中身にみんなの努力でしていこうということになっているわけで、そういうお言葉は確かに理屈の上では理解できるんですが、しかし、本当に被災された方々のお気持ちを考えると、何とかそこのところは合意を得てやっていくことができないのかということをちょっと改めて、お聞きをするんじゃなくて、お願いとして申し上げておきたいと思います。
それから、復興基金の活用の問題で、これも何度も言われていることなので、それが同等の支援になるかどうかということは非常に定かではありませんけれども、仮にその復興基金並びにほかのものを使って同等の支援ということになるのであれば、遡及適用ということも、それをもっと考えてもいいんじゃないかという気が素人判断としてはするわけですよ。
復興基金で支援を行う、これは大変大きな役割を果たしているというふうに思っていますが、別の方法での支援というのを、それは実効ある支援になるわけですから、これはある新聞の社説によると、実際に遡及適用してほしいと思っている方々から見ると、あれだけ頑張ってつくってもらった与党案が遡及について触れていないということに本当に失望している人たちから見ると、例えば別の形で支援していこうじゃないか、同等の支援ができるんだったらやっていこうというのは物すごい期待感があるんですよ。
今のところ、与党はそういう話をされていますが、具体的にどういう形でそれをおやりになろうとしているのかということについて、もしここでお示しいただけるんだったら、それはある意味で、十分ではないけれども、遡及を期待している多くの被災された方々の気持ちに若干なりともこたえることになるんじゃないかというふうに思うんですが、その辺はどうでしょうか。
○柴山議員
具体的な救済の方法についてのお尋ねでございます。
遡及適用しない場合にも、現行法、これは先ほど来答弁をさせていただいておりますとおり、居住関係の経費についてわずか二八%の支給率にとどまっているという大変使い勝手の悪い制度なんですけれども、これと改正法による支給額との差額分、これにつきましては、被災県の判断によりまして設置した復興基金、これは能登半島であれば五百億円、また中越沖地震であれば千二百億円、また平成十六年の中越地震であれば三千億円、この復興基金の運用を通じて支給する場合に、基金造成のための起債利子分の三分の二が対象となる特別交付税の措置を使いまして、しっかりと国として支援をしていくということを考えております。
なお、支給対象についてしっかりとした、これまで認められなかった形での運用を改善していくというのは、西村議員に対して答弁をさせていただいたとおりでございます。
○日森委員
ですから、今その話はわかりました。恐らく政府とも御相談されて今度の案はおつくりになっていると思うんですが、それがしっかり担保されるのであれば、本当にこれから復興支援をやっていこうと、今みんな仮設に入っている方がたくさんいらっしゃるわけですよ。その方々が復興に向けて本当に意欲を持ってやっていくということになるんですが、そこはそういう話ですということだけだと、これはなかなか、同等の支援について検討したいと言われても、納得できないところがあるんじゃないかという気がしてなりません。そこをぜひ詰めていただきたいと思いますよ。もう少し具体的な形で、これだけの支援ができますということにしていただかないと、ちょっとその気持ちにこたえたことにはならないんじゃないかというふうに思います。
もう時間がありませんので、あと一点だけ。
これは質問が出たかもしれませんが、先ほど申し上げました、山で地震が起きて、長島先生のところですが、三年前、山で起きて、今度は海で起きて、もう一カ所どこか起きるんじゃないか、今度は一体どうなるのかという不安を、新潟の方だけじゃありませんけれども、持っていらっしゃいます。
二重被災者がたくさんいらっしゃるわけですよね。この方々に対する対応について最後にお聞きをして、終わりたいと思います。
○柴山議員
二重被災者につきましては、それぞれの災害について支援金を申請をいただければ、それに応じて支援を受けることができるという制度となっております。
なお、新潟県が設置した復興基金では、二重被災者に対する支援メニュー、これがきちんと整備をされておりますし、また、義援金の配分においても、二重被災者に対する増額配分が行われるというように承知をしております。
〔委員長退席、望月委員長代理着席〕
第166回 国会 法務委員会
第166回 国会 衆議院 第25号
2007年07月04日(水)
午後一時三分開議
○七条委員長
次に、柴山昌彦君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
DV法の質問に先立ちまして、少し時間をちょうだいして、マスメディア等で話題になっている新司法試験問題漏えい疑惑についてお伺いさせていただきます。
この事件は、司法試験考査委員である法科大学院の教員がみずからの学校の学生らに対していわゆる答案練習会等を実施していたところ、今回の本試験で類似の問題が出題されたため、この試験の公正性に疑惑、疑念が生じているといった問題でございます。
既に当該考査委員は解任をされておりますけれども、今後、今回の試験の公平性をどういった形で図っていくのか、法務大臣
にお伺いしたいと思いますし、またインターネット上では、同じような事案がほかにもあるというような指摘がされているところですけれども、そういった事案について調査をされるおつもりがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○長勢国務大臣
今回、考査委員によって不適正行為があって、特に受験者の方々を初め皆さんに御迷惑をかけたことについては大変残念に思いますし、こういうことのないように再発防止に努力をしていかなければならないと思っております。
法務省といたしましては、試験委員会を通じて、考査委員の方々に、こういう受験指導をしたことがあるかないかという報告を今求めておるところでございまして、その結果を踏まえながら、また文部科学省とも連携をしながら、再発防止のための措置を進めていきたいと思っておるところでございます。
また、この試験をこれでどういうことにするのかということも各方面から御心配の向きがあるわけでございますが、試験の採点、判定は司法試験考査委員で行うことになっておりますので、今回の試験の採点あるいは合否等に影響を与えるかどうかについては、この司法試験考査委員において専門的な立場で今検討をしていただいておりますので、私といたしましては、その結果を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。
○柴山委員
今回の事件の背景には、新司法試験導入の後、法科大学院間で非常に熾烈な競争があるといったことが挙げられると思います。
このような中で、今後こうした事態を二度と起こさないためにどういうことをお考えであるか。例えば、こうした答案練習会を既に実施している現役の教員については考査委員になるまで一定の期間を設けるとか、そういった具体的な形での再発防止策を検討されているかということについてお伺いしたいと思います。
また、こういった試験は、やはり委員の関心事ですとか、あるいは社会でいろいろと取りざたされている重要な事件等々を反映して問題がある程度絞られてくる、重要論点ということが発生するのはやむを得ない部分もあるわけですけれども、それがために、予備校を通じて、また特定の首都圏の受験校が、情報収集能力に秀でている一定の受験校だけが試験で非常に有利であるというような事態になってしまっては、これは新司法試験導入の理念に反する事態が発生してしまうというように考えますが、こうした情報格差の問題についても今後どのように対応されていくのか、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○長勢国務大臣
新司法試験において、また法科大学院を創設するに当たって、司法試験についての予備校化を避けて、より広い範囲からの法曹を養成していこうという理念に基づいて行われてきたものでございますので、今先生御指摘のような点はぜひなくしていかなければならないことだと思います。
法務省においても、また文科省においても、そういう受験指導のような予備校化については従来からずっと注意を喚起してきたところでございますので、実態等も今申し上げましたような形で調査をしておりますので、その結果を踏まえて、さらにすべきことがあるかどうか、対応策を検討したいと思っております。
情報格差の問題についての御質問でございますが、御指摘の趣旨はわからないわけではありませんが、自然に起こる事象でありますので、どういうふうに考えればいいのか、ちょっと今のところ私として申し上げることが特にないのをお許しいただきたいと思います。
○池上政府参考人
ただいま大臣からお答え申し上げましたような趣旨で、司法試験委員会では、さらに公正な試験を行うために検討を続けていくこととしているところでございます。
また、情報格差等の問題につきましては、司法試験委員会といたしましても、司法試験問題を公開するのはもとより、出題の趣旨等もできるだけ速やかに公表するなど、そういった情報格差がないように努めているところでございますが、さらに、新しい司法試験が法科大学院の教育と連携する形で進められているという制度の中で、どのような公正さをさらに保っていくかということについて検討を続けてまいりたいと考えているところでございます。
○柴山委員
いずれにいたしましても、今回、法科大学院に入られる方は人生をかけてこの試験に臨まれるわけですので、しっかりと納得のいく形で対応をしていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
DV法の質問に移らせていただきます。
今回、DV法の改正に際して、生命身体という重要な法益を守るためのDV法の保護命令の対象の拡大に当たって、なぜ個人の生活の安全等を守るためのストーカー規制法の類型を用いたのか、法案提出者にお伺いしたいと思います。
○南野参議院議員
お答えいたします前に、私の不注意で左足を骨折してしまい、本日、車いすを使うことになっております。座ったままの答弁、よろしくお願いいたします。
柴山先生の御質問にお答えさせていただきたいと思います。
接近禁止命令が発令されるという被害者は、多くの場合、精神的に極めて不安定な状態にあるということが指摘されているところでございます。そのような被害者に対しまして、ストーカー規制法のつきまといなどとして禁止されているような、面会を求める内容、または嫌がらせ的な内容、またはそういう態様、その電話等が行われる、そういった場合には、戻らないといつまでも嫌がらせを受けて困らせられるのではないか、またもっと怖い目に遭わされるのではないかなどといった恐怖心などから被害者が配偶者のもとに戻らざるを得なくなってしまう、また要求にこたえざるを得なくなってしまう、そういう生命身体への危険が高まるということが考えられております。
そこで、今回、このような行為の禁止を命じることができることとしたものでございます。
○柴山委員
確かに、条文上、十条では、「裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、」こういった禁止の命令が出せるというように定められているところで、保護法益はあくまでも生命及び身体だということを今確認させていただきました。
その上で、お伺いいたします。
十条二項の五号には、緊急やむを得ない場合を除いて夜の十時から朝六時までの間に電話をかけることを禁止している、そういう条項がございます。とすれば、脅迫も面会も内容としていないけれども、緊急を要しない、例えば子供は元気にしているかという電話を夜の十時半にする行為、これは、さっき申し上げた生命または身体に危害が加えられる危険がないということで、命令の対象にはならないんですか、なるんですか。
○南野参議院議員
今先生お問い合わせの午後十時から午前六時までの間における電話等につきましては、その内容いかんにかかわりませず、接近禁止命令が発令されている被害者が一般に著しく不安を感じ、恐怖心などから配偶者のもとに戻らざるを得なくなったり、または要求に応じて接触せざるを得なくなったりして生命身体への危険が高まると考えられることから、禁止行為としたものでございます。
したがいまして、生命身体に危害を加えるものではないとの抗弁をいたしましたとしても、命令違反を免れることはできないということでございます。
○柴山委員
それでは、全く同様の内容の電話を午後七時にかけたらどうなりますか。
○南野参議院議員
電話禁止命令が発せられた配偶者が午後七時に被害者に電話をかけることは、改正後のDV法第十条第二項各号に掲げた行為に該当しない限り禁止されない、そのような電話を受けた被害者が一般に著しく不安を感じるものとまでは整理しませんでした。刑罰をもって担保する電話等禁止命令の対象とはしなかったところでございます。
○柴山委員
これを聞いておられる方で、今の御説明で御納得される方がどれぐらいいらっしゃるかということなんですけれども。十時半ならば一律だめよ、けれども九時半ならば、もちろん、繰り返してかけたり無言電話はいけないというふうにされているわけですけれども、電話してもオーケーよ、そういう法律になっているわけですね。
例えば、この通信禁止のニーズが今どのぐらいあるのかということについて、厚生労働省にぜひお伺いしたいと思います。
現在、婦人相談所等の支援センター、また、先ほど神崎先生からも御指摘があったような民間シェルターは、こういう加害者からの電話については一切取り扱わない扱いとしています。今回、この改正法が昼間の電話を容認するという姿勢を明確に打ち出したことによって、この現在の扱いを厚生労働省は改めるんですか、改めないんですか。
○村木政府参考人
DV法の被害者の方を婦人相談所や民間シェルターにおいて保護している場合でございます。
この場合、加害者を含む外部からの被害者に対する通信、電話等でございますが、これについては、被害者がそこに保護をされているか否かを含めて問い合わせには応じないというのが取り扱いの原則でございます。この取り扱いは、被害者の安全確保の観点、また一時保護という物事の性質上、不可欠なものというふうに考えておりますので、この取り扱いを今回変えるという方針はございません。
○柴山委員
電話をさせないというのは、通信の自由という憲法の権利にかかわるものです。それを制限するということであれば、当然のことながら、相当の理由が必要ですし、場合によっては法律上の根拠ということが必要になると思います。だからこそ、今回、法律を変えてそういうものに対応しようというふうにしたわけですけれども、ストーカー規制法という別の趣旨を持った法律を用いることによって、こうしたきちんとした手当てが十分できていないのではないか。
今、厚生労働省さんから、引き続き立法事実は変わらないというようなお答えがありましたけれども、これは厚生労働省さんの取り扱いが間違っているのか、あるいは今回の立法が不十分なのか、それについて法案提出者はどのようにお考えですか。
○村木政府参考人
先ほどの答弁に少し補足をさせていただきます。
婦人相談所や民間シェルターの場合は、もちろん加害者の方々がそこの相談所そのものにお電話をかけてくるということを制限しているわけではございません。そういう意味で、加害者の方が直接被害者に対して通信等をしていく、これを禁じる趣旨とはやや趣旨が違うのかというふうに考えているところでございます。
○柴山委員
これ以外にもいろいろと類型はございます。ぜひ、各委員の先生方には、その内容を精査された形で、再度、必要があれば検討をしていただけたらと思います。
以上でございます。
第166回 国会 内閣委員会
第166回 国会 内閣委員会 第28号
2007年6月13日(水)
午前九時開議
○河本委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
私どもの党では、飲酒運転根絶プロジェクトチームを結成して、今参考人の皆様からお話があったような悲惨な事故の予防策の策定に取り組んでまいりました。その一員として、先日、法務委員会の方でも質問をさせていただいたわけですけれども、きょうは、こちらの内閣委員会で引き続き質問をさせていただきたいと思います。
きょう、まず取り上げたいのは、そちらのPTでも提言をさせていただいた酒類提供罪、要するに、飲酒運転をする可能性のある方にお酒を勧める行為自体を処罰するという規定でございます。
従前、こうした行為は酒酔い、酒気帯び運転の教唆、幇助犯として取り締まりがされていたわけですけれども、これまでのこうした取り締まりの実績、検挙件数について、冒頭、お伺いしたいと思います。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
教唆、幇助ということになりますと、その本犯があるわけでございますが、酒酔い運転、酒気帯び運転の検挙件数は、平成十七年が、酒酔い運転千六百七十五件、酒気帯び運転十三万九千百九十八件、また平成十八年は、酒酔い運転が一千四百七十八件、酒気帯び運転が十二万三千六百九十八件でございます。
これに対しまして、飲酒運転に係ります教唆、幇助の検挙件数でございますが、平成十七年、教唆が二十四件、幇助百五十一件、また平成十八年は、教唆三十六件、幇助二百九十一件でございます。
○柴山委員
今御指摘があったように、平成十七年から平成十八年にかけては、報道等でも明らかなとおり、こうした酒酔い、酒気帯び運転の合計の数は減っているわけですけれども、教唆あるいは幇助の検挙件数はふえているという結果だと思いますが、これはどのような背景に基づくものでしょうか。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
飲酒運転の検挙件数が減少するのに対して教唆、幇助の検挙件数が増加したという点でございますが、これはある程度警察の取り締まりの姿勢が反映しているものと考えております。
本犯がありまして、その後、教唆、幇助がございますが、昨年八月二十五日の、この委員会でも指摘がありましたあの痛ましい事故でございますが、これも契機といたしまして、飲酒運転取り締まりに際し、教唆、幇助の存在が疑われる場合には、これを積極的に厳正に捜査するということで都道府県警に対しまして指示いたしまして、取り組みが強化されました。
したがいまして、数字を見ますと、教唆につきまして、昨年一年間では三十六件でございますが、実はこのうちの二十三件が九月以降のものでございまして、また、三百二十三件が幇助でございますが、このうち百八十四件はやはり九月以降の検挙でございまして、そのことをうかがわせるものでございます。
〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕
○柴山委員
取り調べを強化したというお話がありましたけれども、それでも、十二万件以上の総数のうち、こうした教唆、幇助犯の検挙件数は三百件ちょっと。割合にすれば、トータルの中でわずか〇・三%未満という件数なわけですね。
そこで、今回、酒類提供罪等の新設を見たわけですけれども、先ほど冠婚葬祭のお話もございましたけれども、例えば、冠婚葬祭あるいは会社の新人歓迎会などで、車で会場に来た人に対して、いやいや、ちょっとぐらい飲んだって大丈夫だから場を盛り上げるためにも酒を飲めというように勧める行為は、この条文で処罰されることになるんでしょうか。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
現在、酒を提供し、または勧める行為でございますが、勧める行為につきましては、道路交通法ではこれはしてはならないとなっていますが、今回の御提案申し上げております改正案については、勧めることは対象としておりませんで、提供したということにしております。
提供したと申しますのは、そのお酒につきまして処分権限を持っている方が、自分で管理するものを、これを相手方に、飲める状態に置く、そういう概念でございます。
したがいまして、今例示がありました冠婚葬祭あるいは歓迎会などの席でございますが、例えば歓迎会でございますれば、全部自分持ちで、酒を本人に対して提供するということを自分の責任であるいは自分の処分権限の中で行っている、そういうことですと提供ということになり得るわけでございますけれども、たまたまそこにあるものを飲んだり飲ませたりした中で、たまたま勧めたというだけですと、これは対象外というふうに考えております。
○柴山委員
まず問題なのは、お酒の処分権限ということがなかなか十分明確ではないということ。
それと、あと、お酒を飲む方の側が、自分はきょうは車を置いて帰ろうというように思っていた場合、こうした飲酒運転を想定していない方にお酒を勧める行為、この行為は今回の条文で処罰されることになるんでしょうか。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
なお、一点訂正させていただきたいと思いますが、先ほど、幇助の検挙件数、十八年につきまして三百二十七件と申し上げましたが、二百九十一件ということで訂正させていただきます。
それから、ただいま御指摘の点でございますが、これは、飲酒運転をすることとなる者に対しまして酒を勧め、あるいはその他の幇助行為をするということが今回対象でございますので、飲酒運転をするつもりがない人に酒類を提供して飲酒運転をする意思を生じせしめて運転させるという場合には教唆犯ということになりますので、これは道交法六十五条第一項の教唆犯に該当するというふうに考えております。
○柴山委員
ただ、この条文を見ると、何人も、第一項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対して、酒類を提供し、飲酒を勧めてはならないという条文になっているんですね。これは、運転をすることとなるおそれがある者に対する酒類提供を処罰するわけで、別に、飲酒運転をするつもりである人に対して酒類を提供し、飲酒を勧めてはならないと書いてあるわけではないわけです。
つまり、そういう飲酒運転をするかもしれない人に対してお酒を提供する行為を処罰しているのに、その方がたまたま飲酒運転を、いや、自分は本当はするつもりはなかったという場合には、教唆犯ですから、酒気帯びあるいは酒酔い運転と同じ刑で処罰される。だけれども、そうしたことをしようというように決意をしている人に対しては、お酒の提供をした人は、例えば酒酔い運転の場合の酒類提供であれば、上限三年の懲役ということで軽く処罰をされる。これは、ちょっと条文の書き方としてはなかなかわかりづらいところではないかということだけ申し上げておきたいと思います。
また、今御指摘があったように、酒類提供をした場合に、それが教唆犯に当たるような場合、あるいは今回の条文に規定されていない形での幇助、手助けになるような場合については、結局、明文の規定というものは設けられないことになってしまうわけですけれども、そういうようなことでこうした飲酒運転関与ということが適正な処分を図れるのか。特に、一番最初に数字を御指摘いただいたように、こうした事案は極めて検挙件数が少ない、もうゼロと言っても過言ではありません。取り締まりを強化してもこういうような状況なのに、本当にこうした飲酒運転の関与ということがしっかりとした処罰がされるのかということについて、国家公安委員長の御見解を伺いたいと思います。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
御指摘のように、今回の改正法は、幇助行為の中から一定の悪質な類型のものを取り出して、これを正面から処罰の対象とし、かつ処断刑を重くするというものでございますので、したがいまして、それ以外で、非定型的なもので、しかし幇助行為に当たるという場合には、従来同様に幇助犯に該当いたしますし、また教唆に該当する場合にはもちろん教唆犯として該当するわけでございます。
したがいまして、今後、法改正がなされますと、特に悪質な車両等提供あるいは酒類の提供、それから一定の同乗行為でございますが、これに対しまして、捜査上、そういうことがないかということを正面から捜査していくと思いますし、また、今回、全体として飲酒運転に対する重罰化が図られてまいりますので、したがって、それに該当しない場合であっても、教唆ないしは幇助になっていないかどうか、こういうことも含めて捜査するわけでございますので、その数字がどこまで出てくるかというのは一概には言えませんが、少なくとも、積極的な取り組みによりまして、責任追及というものが進んでいくものであろうというふうに考えております。
○柴山委員
次の質問に移りたいと思います。
今回の改正法では、免許証の提示義務についても大きな変更が加わっています。従前は、無免許などが客観的に明らかな場合にだけ免許証の提示義務というものが課されておりました。しかし、今回、道交法違反ですとか交通事故を起こした場合には、今申し上げたような要件なしに免許証の提示義務が課されることになったわけでございます。この趣旨を簡単に御説明いただきたいと思います。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
現在、道路交通法の規定では、第九十五条でございますが、免許証の携帯義務が定められておりまして、違反に対する制裁もございます。実際に免許を持っているかどうかということにつきましては免許証を見て確認するわけですけれども、その提示を求めることにつきましては、現在は、基本的には運転者が任意で免許証を提示していることを前提として成り立っておりまして、走行状態から明らかに無免許等であるという、つまり、一定の場合に限って運転者に免許証の提示義務を課しております。これに違反しますと制裁がある、こういうことになっております。
近年は、交通違反の取り締まり現場では、警察官が運転者に対して免許証を提示するように任意の協力を求めましても、その法的根拠は何か、あるいは任意であれば応ずる必要はないなどと申し立てて、これを拒否する事案が少なからずございます。
一方、平成十三年の改正によりまして、飲酒運転その他、制裁強化がなされましたことから、免許を取り消され、長期の欠格期間を指定される者が増加しておりまして、いわゆる潜在的な無免許運転のリスクのある層が増加しているわけですが、今回の改正によりますと、さらにこれが増加するという見込みでございます。
そこで、この無免許運転、これはひき逃げの動機にもなっておるわけですが、これに対応するために、第六十七条第一項で規定されます事由、一定の場合でございますが、これに加えまして、車両等の運転者が道路交通法の規定に違反している場合、つまり交通違反のあった場合や、交通事故を起こした場合には、この者に対しまして免許証の提示を求めることができるということにしようとするものでございます。
○柴山委員
要するに、免許禁止期間が今度の改正法で延びるわけですから無免許のリスクというものが大きくなる、そのことも踏まえて今回免許提示義務というものを強くしたというようなお話があったかと思いますけれども、それでは、例えば、今回対象となる交通事故において、車両が大破してしまって、もうその車にはこれ以上乗れないというような場合には、運転者は免許の提示を拒否できるということでよろしいでしょうか。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
そのとおりでございます。現在の免許証の提示につきましては、危険防止の措置として、それ以上運転させていいかどうかということを確認するわけでございますので、そのような事例で、車が大破していてもう運転することは事実上ないということになりますと、この六十七条第二項で想定しております事由から外れてまいりますので、その場合には、この条文に基づく提示義務はないということになります。
○柴山委員
ただ、一般的な常識からして、交通事犯として非常に重いものを犯しておきながら身分を明かすことを免除されるというような規定のあり方というものが本当に妥当なのかどうなのかということについては、ぜひ検討をしていただきたいというように思っております。
次の質問に移ります。
改正法は、七十五歳以上の高齢者に対して、認知機能の検査を義務づけるなど、規制を強化しております。そして、聴覚障害者に関しては、一定の標識の表示を義務づける一方、これまで免許取得を制限していたのをどのように改めることになるのか、御説明をいただきたいと思います。
○矢代政府参考人
申し上げます。
聴覚障害者の方につきましては、現在の制度は、これは欠格条件から外してはおるわけですけれども、その適性として、一定の聴力があるかどうかというのを検査いたしまして、それ以下の場合には適性がないということで免許が不合格になる、こういうことでございます。
それで、現在制度改正を進めようとしていますのは、聴力に係る適性基準、聞こえ方の程度でございますが、現在の基準に合致しなくても、ワイドミラーを装着した車を使うことによりまして慎重に運転してもらえばいいということで、まず、ワイドミラーを装着した車を運転することを条件に、それからもう一つは、今回法律でお願いしようとしているわけでございますけれども、聴覚障害者が普通自動車を運転するときに聴覚障害者標識を表示していただくということを義務づける、そういう条件で免許を与え、運転していただく、そういうふうになってまいります。
○柴山委員
ワイドミラーをつけて、そして車には聴覚障害者であることの標識をつける。これによって、ただし、全くクラクションが聞こえない、また、物が倒れてくるときのような音も聞こえない、あるいは、自転車や自動車のブレーキ音、急ブレーキ音も聞こえないという方々に免許を付与することについて、十分安全性が図れるのか。要するに、そうしたワイドミラー等の装着によって、外部から音として入ってくる情報がないことの代替手段になり得るのかということについてどのような調査をされたのか、お聞かせいただきたいと思います。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
まさにその点が、平成十三年にその問題を御指摘を受けながら、調査研究に時間を要し、現在の制度提案になったということでございます。
この間、私どもは、聴覚障害者の方々で、現在、補聴器をつけますとその基準を満たす人がおられますので、その方々の協力を得まして、補聴器をとった状態で運転するということをやっていただきました。つまり、音が聞こえない状態でございます。これによりまして、さまざまな交通の場面、死角のある場面でございますとか、あるいは車線変更その他でございますが、実験いたしました。その結果、ワイドミラーを活用することによりまして慎重な運転をいたすれば安全に運転できるという結論に達しました。
あわせて、この間、諸外国の、聴覚障害者に対する免許付与の状況を見ておりますが、諸外国でも、多くの国では普通自動車につきましては無条件で聴覚障害者にも運転免許を与えている国が多いわけでございますけれども、その国における考え方なども参考にしながら結論を得たわけでございます。
これがこれまでの検討の状況でございます。
○柴山委員
確かに、バリアフリーに対して思いをいたすことはとても大切なことだと思いますし、諸外国との比較ということもしっかりと行っていただいたことはよいことだと思っております。ただ、諸外国が本当に日本のような非常に交通状況が悪い国と同一の形で論じられるのかどうかということについては、もう少し検討が必要かなというように思っております。
そして、何よりも、今、例えば東京都の道路交通規則の八条三号では、大音量でカーラジオをかけて走行することを禁止しているわけですね。これが一体どういう規制になるのか。また、今、道交法の五十四条では、山道とか見通しの悪い場所、こういうところでは警笛鳴らせという標識が立っていまして、そこに来ると、危険回避のために警笛を鳴らすことを義務づけているわけですね、法律上。
これで、健常者の方と聴覚障害の方とが上りと下りの道を走っているような場合は、両方が警笛を鳴らせば、どちらかが健常者ですから危険回避の措置をとれるわけですけれども、両方とも聴覚障害の方が走っておられるような場合には危険回避の措置がとられないわけですね。こういうようなこともきちんと調査されて結論を出したのかどうかということについて、ぜひ御説明をいただきたいと思っております。
〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
その点も、私どもが調査研究に手間取った一つのポイントでございます。警音器使用というのは、今御指摘のようなケースで必要なわけでございますが、端的に申し上げまして、聴覚障害者の方は警音器の音はとれません、聞こえません。それを前提で安全が確保できるかどうかということでございました。
それで、聴覚障害者の方は、実は警音器の使用について十分な経験がないので、御自身で使ったことがないんですね。それで、それをまず使えるかどうかということで、これは実際にやってみました。どういうふうにして、どの程度の音を、どのくらいの時間鳴らすのだ、こういうことでやりました。それから今度は、音を御自分でとれないわけでございますけれども、見通しのとれないカーブ、あるいは交差点なんかでも一緒でございますけれども、そういう場合の見通しのその線のとり方、それから、相手に自分の車を見せる、前部をどういうふうに見せていくか、そういうところがポイントでございますが、そういったところについての教育が可能であるかどうか、こういうことで実験してまいりました。
結論的には、一定の訓練は必要なのでございますけれども、それは充足できるということでございます。
それから、一部の公安委員会、地方の公安委員会規則で、確かに、音または声が聞こえないような状態で運転してはならないという規定がございますが、これは運転者の遵守事項でございますけれども、これは健聴者の方々について、この方々は通常、音が聞こえるわけでございまして、音が聞こえない状態というのは通常ない状況になるわけでございますが、そういう状況で運転してはならないということでございます。聴覚障害者の方々は、通常、音が聞こえない状況で生活しておられますので、実質的な問題としては、これと同列には評価する必要はないだろうという実質的な判断がございます。
また、規則自体の理解といたしましても、これは、健聴者の方がカーラジオあるいはその他の音で必要な音または声が聞こえないような状態をつくり出して運転することを禁じているものであるので、したがって、この規則そのもの自体が私どものこれからやろうとすることと抵触するものではないという理解をしておるわけでございます。
○柴山委員
ぜひ慎重に検討をしていただけたらと思います。
もっとたくさん質問を用意してきたんですが、時間がございませんので、最後の質問とさせていただきます。
この改正法の施行期日なんですけれども、特に、運転免許の取り消しを受けた方が再度免許を取得できるまでの期間を大幅に十年間と延長したわけなんですけれども、これの施行が公布後二年となっているんですね。なぜこうした行政処分の強化を行うのに二年の施行期日という大変長期を要するのかということについて、しっかりと御説明いただきたいと思います。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
これは、率直に申し上げまして、運転者管理システムの改修の問題でございます。
今回の一連の改正でも、できるだけ急ぐということで、制裁強化につきましては三カ月以内ということで御提案を申し上げているわけでございますけれども、免許の処分関係につきましては、膨大な資料を運転者管理システムで処理しておりまして、これによりまして、運転免許証の交付あるいは更新、あるいは免許証の取り消し、停止、あるいはその他のさまざまな講習の区分などでございますが、これはさまざまな要素の組み合わせで、期間計算も相当複雑になっております。
したがいまして、これまでの経験からいたしますと、これを間違いないものとして運用しようといたしますと、二年をいただかないと自信を持ってプログラム改修できないということでございまして、したがいまして二年とはいたしておりますけれども、当然のことながら、用意ができる見込みがつけば、できるだけ早く施行したい、そういう考えではございます。
○柴山委員
一刻も早く施行していただきたいのと同時に、先ほど御説明があったように、免許証の提示義務については、これは欠格期間が長引くことによって免許提示義務の規定を強化したわけでして、この罰則はもう公布から三カ月後には施行になるわけですから、そこはやはり論理的な矛盾というか不合致というものが生じているのではないかということを最後に指摘させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
第166回 国会 法務委員会
第166回 国会 衆議院 第15号
2007年5月11日(金)
午前九時三十二分開議
○柴山委員
自民党の柴山昌彦でございます。
折しも、きょうから春の全国交通安全運動が始まったわけでございます。まさしくタイムリーなこの委員会質問であると思っておりますので、ぜひ国民の関心が高まる形で委員会運営をしていきたいというように思っております。
さて、今回の改正法案は二つの大きな柱があるわけですけれども、その一つに、危険運転致死傷罪の対象に二輪車を含めることとしたことが挙げられると思います。これについて、平成十三年の改正以降、一体どのような必要が生じたのかということについて、まずお伺いしたいと思います。
○小津政府参考人
お答え申し上げます。
平成十三年に危険運転致死傷罪が新設されました際に、衆参両法務委員会におきまして、自動二輪車の運転者を同罪の対象とする必要性につき、今後の事故の実態を踏まえ、引き続き検討すべき旨の附帯決議がなされたわけでございまして、これを受け、同罪の新設後に発生した二輪車の運転者による業務上過失致死傷事犯を調査いたしましたところ、その中には、酒酔い運転によるもの、赤信号無視によるもの、著しい速度超過によるものなど、危険かつ悪質な運転行為によって被害者を死亡させ、または被害者に加療期間一カ月以上の重傷を負わせるなどの重大な結果を生じる死傷事故が少なからず発生している状況にあるということが明らかになったわけでございます。
また、二輪車による事故の被害者、遺族などから、危険運転致死傷罪の対象が四輪以上に限定されていることを疑問とし、その対象を二輪車にも拡大することを求める声が見られるようになっているところでございます。
そこで、二輪車の悪質かつ危険な運転行為による重大な死傷事故の事案の実態に即した適正な科刑を行うため、今回の法整備が必要になったと認識しております。
○柴山委員
確認なんですけれども、十三年の法改正以降に二輪車の事故がふえるというような事実があったのか、それとも、十三年の法改正以降調査をしたらそういうような事案もあったということなのか、そのいずれかということです。もし後者であれば、十三年の法改正時点できちんとした調査を行っていれば、二輪車の部分も含めてきちんと対象とすることが可能であったというような意見も当然出てくるところだろうと思うんですが、それは一体どちらなんでしょうか。
○小津政府参考人
ただいま私も施行された後の数字だけ申し上げたわけでございまして、まさに、施行された後の実情を調査したらそのようなことであったということでございます。したがいまして、施行された後、例えばその数字が前と比べて飛躍的に伸びたということを申し上げているわけではございません。
それでは、当時、なぜ二輪車まで含めなかったのか、こういうことになろうかと思います。そこはいろいろな御議論があり、まさにその中で両法務委員会の附帯決議もいただいたわけでございますけれども、当時、立案当局といたしましては、業務上過失致死傷罪としてそれまでは扱われることが多かった事案につきまして、新たに危険運転致死傷罪という大変に重い法定刑のものを設けるに当たりまして、その適用範囲について慎重に考えたものと理解しております。
○柴山委員
ありがとうございます。
それでは、今回の改正法の二番目の柱であります自動車運転過失致死傷罪の創設についての質問に移らせていただきたいと思います。
先ほど、大口先生の方からも御質問がありましたけれども、今回なぜ自動車を特別扱いにするのかという問題意識は当然あり得るところだとは思います。先ほど、法務大臣
の趣旨説明の中で、多数の死傷者が出るなどの重大な結果を生じるものがあるんだというお話がありましたが、当然、JR福知山線の脱線事故等を見ても明らかなとおり、頻発する列車事故では非常に多くの方が亡くなる事例が多々あるわけです。
また、先ほど御答弁の中で、運転者の注意義務違反についてお触れになっていたと思うんですが、例えば、爆発物の取り扱いですとか、あるいは放射線を取り扱っているような施設においては、その注意義務違反の程度が非常に重いからこそ生じる死傷の結果ということもあるわけです。これ以外にも、食品衛生の取り扱い、あるいは製薬業務等の部分において、自動車だけを特別扱いすることの合理性ということをもう一度ちょっと御説明いただければと思うんです。
○小津政府参考人
お答え申し上げます。
まず、国民の皆様の規範意識あるいは量刑の実情という観点から申し上げますと、業務上過失致死傷罪が適用される事犯のうち、飲酒運転中の死傷事故を初めとする悪質な自動車運転による過失致死傷事犯につきまして、その量刑や法定刑が国民の規範意識に合致しないとして、罰則の強化を求める意見がこの点については見られる。また、法定刑や処断刑の上限近くで量刑される事案も、悪質な自動車運転による過失致死傷事犯については近年特に認められるようになってきたわけでございますが、それ以外の業務上過失致死傷事犯についてはそのような状況が認められないということがまず一つございます。
次に、自動車を他の車両や歩行者等が往来する道路等において運転するということ、これは自動車の性状、形状等からすると、いわゆる業過傷が適用される業務の中でも人の生命身体を侵害する危険性が類型的に高い。
また、もう一つ、自動車の運転による過失致死傷事犯は、その発生を防止するためには、基本的に運転者個人の注意力に依存するところが大きいというところが大変大きな特徴でございます。大変大きな危ないものを扱っている業務はほかにもあるわけでございますけれども、そのような業務について、事故の発生を防止するためには、いろいろと業務を取り扱っている組織、企業等のシステムの中でその防止が図られる面が大きいというものもあろうかと思いますが、自動車については、もちろん道路の状況を整備する等々はございますけれども、やはり基本的には個人の注意力ということになってくるということでございます。
そのような特徴に着目すれば、単にこの部分だけを重くすればいいということだけではなくて、そのような類型化という点からも、これを取り出してその部分の罰則を強化するということに合理性があると考えたものでございます。
○柴山委員
ありがとうございました。
また、これも大口先生から先ほど御質問があったところなんですけれども、危険運転致死傷罪の対象を拡大すればよいのではないかという問題意識がありました。これについては御答弁がありましたのでここでは繰り返しませんけれども、特にアルコールあるいは薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる事案、なかんずく飲酒運転ですね、この部分については、やはりこの構成要件ですと、先ほど暴行類似というようなお話もありましたが、アルコールの影響があること、そしてそれを認識していることというところが要件となってきますので、非常に狭い類型なのではないかという批判はあろうかと思います。
私は、早川理事が事務局長をされている自民党飲酒運転根絶プロジェクトチームの一員として、飲酒運転の適切な処分については特に関心を持って取り組んできた者の一人なんですけれども、特にこの飲酒運転の部分について、危険運転致死傷の対象とする部分が狭いんじゃないかというところについて、ごく短く御答弁をいただけたらと思います。
○小津政府参考人
飲酒運転中の事故というのが危険運転致死傷罪の一つの典型的な事例であることは間違いありませんし、また、委員御指摘のように、現行法では、その影響によって正常な運転が困難な状態での走行行為ということにはなっております。さらに、これは故意犯でございますので、その認識が必要であるということでございます。
それから、そのうち後者の点につきましては、やはりこれは、故意犯であるということでここまで重い法定刑でございますので、ここのところを緩めるのも困難ではなかろうかと思いますし、また、危険運転致死傷罪全般につきまして、先ほど申し上げたような事情がございますので、今回の改正では、ここのところを広げると申しますか、緩める改正はしなかったということでございます。
○柴山委員
ということで、適切な処分ができないということで、道交法において、酒酔い運転あるいは酒気帯び運転の処罰の強化というところが次に想定されるところだと思います。
そこで、これは道交法の方になりますけれども、現在、法改正がまさしく議論されているところだと思います。道交法における酒酔い運転あるいは酒気帯び運転の擬律がどうなるのかということについて、御説明をいただきたいと思います。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
今回、道路交通法改正を御提案申し上げているわけでございますが、まず、飲酒運転に対する罰則、酒気帯び運転が現在、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金になっておりますが、これを三年以下の懲役または五十万円以下の罰金にということでお願いしております。また、酒酔い運転につきましては、三年以下の懲役または五十万円以下の罰金となっておりますが、これを五年以下の懲役または百万円以下の罰金ということで、それぞれ引き上げるものでございます。
○柴山委員
となると、酒気帯び運転、酒酔い運転で人をひいてしまった場合にはそれぞれどのような処分になるのか、懲役刑の上限で説明をしていただきたいと思います。
○小津政府参考人
危険運転致死傷罪ではなく業務上過失致死傷罪が成立したということを前提にして御説明申し上げますが、道路交通法の改正が行われて刑法が現在のままであったということを前提にして御説明申し上げますと、酒気帯び運転の罪と業過致死傷罪の併合罪となりますと、道交法が現在のままだと六年以下の懲役でございますが、道路交通法改正後、刑法は現在のままだといたしますと、両罪の併合罪として七年六月以下の懲役ということになります。
次に、酒酔い運転の場合でございますが、これは、現行法では、同じく道交法が現在のままだと七年六月以下の懲役でございますが、この部分につきましては、道交法の改正が実現いたしましても、やはり併合罪加重の結果として七年六月以下の懲役になる、こういうことでございます。
○柴山委員
当然のことながら、重く処罰されることになる。ただし、酒気帯びの場合であっても、酒酔い運転であっても、重い業過の刑の上限が五年であるために、その一・五倍ということで、七年六月で両方とも同じ刑になってしまうということになるんだろうと思っております。
ただ、今回、酒気帯び、酒酔い運転を重く処罰する道交法改正が実現をするとなれば、酔いをさまして出頭する行為を誘発するのではないかという疑問が出てくるところだろうと思いますし、あるいは、その直後に飲み直しをする、それによってそういった運転であることを隠そうとする動きが出てくるのではないかという疑問も指摘をされるところだろうと思います。
これは、実は、危険運転致死傷罪が設けられた当初もこういった懸念の声があったと思いますし、また現に遺族の皆様からも、飲酒運転根絶プロジェクトチーム、自民党の中で設けられた会の中で、そういった事案を何とかなくしてほしいという悲痛な訴えもあったところでもございますので、これについてどういうようなお考えをお持ちかということについてお伺いしたいと思います。
○小津政府参考人
まず、危険運転致死傷罪が本来適用されるべき事案につきまして、委員御指摘のようなことでその罪を免れるということがあってはなりませんので、捜査当局といたしましては、仮に、その事故を起こした者が事故直後に現場を離れた場合でありましても、また何か、飲酒の状況をごまかすような行為をした場合でありましても、その者が実際にどのように飲酒をしたのかということをいろいろな方法で捜査いたしまして、それが運転行為中にどのような影響を及ぼすものであったのかということについて鋭意捜査を尽くしているわけでございまして、現にいろいろな事案で、委員御指摘のような事案につきましても危険運転致死傷罪で処罰をしているということでございます。
もう一点につきましては、ひき逃げそのものにつきまして、道路交通法の世界でどのような手当てをするべきか。また、これについては、引き上げる方向で検討されていると承知しておるところでございます。
○矢代政府参考人
あわせて御説明を申し上げます。
事故を起こしまして逃げるということはあるわけでございまして、ひき逃げでございますが、確かに、酒を飲んでおったために逃げたというのが、捕まえてみますと、大体二割ぐらいがそのようなケースでございます。
それで、この捕まえた後のことなんですが、捕まえますと、ひき逃げの事故でございますので、実は、その車がどこから来てどこに行ったかという経路を特定する必要があるんです。そういうわけで、前足、後足を含めまして、その前後の行動を捜査いたしまして、そのひき逃げの事案自体を確定しますとともに、どのような状況であったのかということをつまびらかにしてまいるわけでございますが、そこで、その事故の原因が飲酒運転によると疑われる場合には、その事故前の飲酒運転の状況等を捜査いたしまして、これを結果にあらわしていく、こういうことをやるわけでございます。
それから、今、法務省刑事局長からもお話がありましたが、今回の道路交通法改正では、あわせて、ひき逃げ事件につきまして、現在、五年以下の懲役または五十万円以下の罰金となっていますが、これを、十年以下の懲役または百万円以下の罰金への引き上げをお願いしているわけでございまして、そうしますと、事故を起こしてひき逃げということになりますと、十五年まで引き上がります。そういうわけで、大幅な制裁の強化になりますので、これはひき逃げを抑制する方向に働く要素にはなるかと考えております。
○柴山委員
最後の御答弁ですけれども、要は、お酒を飲んで酔ったことを隠して逃げた場合には、救護義務違反と、仮に今回刑法を改正しなかった場合には業務上過失致死傷で処断ができるので、十年、それから五年、一・五倍の計算によっても、単純加算の計算によっても、十五年以下ということで処断をされる。先ほど御説明があったとおり、酒気帯び、酒酔い運転で致死傷をした場合には、両方とも七年六月の上限ですから、逃げたらかえって損をする、上限が七年六月ではなくて十五年以下となってしまうということで、逃げるモチベーションがなくなるという理解でよろしいわけですか。
○矢代政府参考人
御指摘のとおりでございます。
○柴山委員
ということであれば、今回の自動車運転過失致死傷罪を創設しなくても、ある程度適正な処罰がなされるようにも思われるのですが、それでも今回の法改正が必要な理由を御説明いただきたいと思います。
○小津政府参考人
確かに、道路交通法の改正が実現いたしますと、道路交通法違反のうち、特に酒気帯び、酒酔いを伴うもの、あるいは救護義務違反を伴うものにつきましては、相当に重く処罰されるということになるわけでございます。ただ、幾つかの点でそれで十分であろうかということでございます。
基本的には、非常に悪質で大変重大な結果を生じている事案のすべてが、それではお酒を伴うもの、あるいは逃げたものかというと、決してそうではないわけでございますので、やはり、基本法であります刑法の世界における、これまでは業務上過失致死傷でございますけれども、飲酒運転による今回の構成要件、そこの世界できちんと評価をするということが考え方としても大事でございますし、実際の運用上も重要ではないかと思うわけでございます。
また、具体的ないろいろな面を見ていきますと、先ほど委員も御指摘になられましたように、道交法の改正が実現して、刑法の方をいじりませんと酒気帯びでも飲酒運転でも七年六月になってしまう等々の問題もあるわけでございますけれども、基本的には、私が先ほど申し上げましたような考え方で、やはり刑法の方の改正が必要であると認識しておるものでございます。
○柴山委員
確かに、おっしゃるとおり、今回、刑法をいじらなければ酒気帯びでも酒酔いでも七年六月が上限ですが、今回、こちらの刑法を改正することになれば、先ほど御答弁いただいたとおり、酒気帯びが十年、そして酒酔い運転であれば十年六月ということで差が出てくるし、当然のことながら、より重く罰せられるという部分はあるかと思います。そして、それプラスアルファで、やはり自動車事故に対する世論の厳しい目、また抑止の必要性ということに関しては一定の理解はいただけるものと私も考えております。
ただ、飲酒運転撲滅に向けた取り組みは、厳罰化だけで足りるというものではないと私は思うんですね。やはり総合的な取り組みをしていかなければ、こういった悲惨な事案、特に、先ほど川口の事故について大口先生も御指摘をされていましたけれども、去年、非常に大きなきっかけとなったのが、福岡の幼児三人がお亡くなりになった大変痛ましい事故だったわけですが、こうした事案の再発ということは十分防止できないのではないかと思っております。
そこで、ほかにどういう取り組みがなされているのかについて、ぜひお聞かせをいただきたいというように思っております。
○矢代政府参考人
お答え申し上げます。
飲酒運転でございますが、このたびの道交法改正案におきましては、飲酒運転本人の制裁の強化にあわせまして飲酒運転の周辺者に対する制裁強化、つまり車両の提供ですとか酒類の提供あるいは同乗、一定の条項についてこれを厳罰化するということで、周辺者対策を入れております。
この制裁強化も、つまるところ、飲酒運転をしない、あるいはさせないという意識を確立するというわけでございますので、取り締まりを強化するほかに、運転者等の教育、さまざまな機会がございますが、これを警察あるいは他の機関と協力してやる場合もありますが、これを徹底するということでございます。飲酒運転の危険性を周知する必要があります。
それから、各企業において従業員についての安全管理をやっておりますが、そのような体制、あるいは飲食店などでは自主的に飲酒運転防止に取り組んでいただいておりまして、このようなさまざまな局面での飲酒運転をさせない、あるいは許さない環境づくりが重要でございまして、これは内閣府ともども、私ども、あちこちお願いいたしまして、取り組みを推進しているところでございます。
それから、自動車運転代行業でございますが、これは、営業が適正に営まれれば飲酒運転の防止には確実に資するものでございますので、国土交通省と私ども一緒にやっておりますが、連携しながら、業者に対します指導監督、一定の場合には取り締まりも行いまして、これが国民に広く利用されるように業務の適正化を図っていきたいと考えております。
○松本政府参考人
私ども、飲酒運転の根絶対策の一環といたしまして、技術を活用した対策を実施していくということも大変重要であると考えております。
このため、飲酒している場合には、その状態を自動的に検知してエンジンが始動しないようにする装置、アルコールインターロック装置と呼びならわしておりますけれども、この開発、実用化につきまして検討するために、一月三十日に警察庁あるいは法務省とも一緒に、さらには自動車メーカーの専門家にも入っていただきまして、技術課題検討会を立ち上げたところでございます。
現状の技術といたしましては、欧米におきまして、呼気、呼吸の中のアルコールを検知するという方法が一部実用化されております。具体的には、飲酒運転違反者への制裁として、運転する場合にはアルコールインターロックつきの車しか運転してはいけない、こういう形で運用されていると聞いておりますけれども、本人確認が難しい、つまり成り済ましがやりやすいとか、耐久性が十分でないなどの課題があることが判明しております。現在、これらの課題への技術的対応について議論を進めているところでございます。
これらを踏まえまして、年内に、現状の技術をベースにした場合に、飲酒運転常習者への活用を念頭に置いた技術的要件の整理をしたいと考えております。
それから、将来的な技術でございますけれども、まだメーカーにおいても調査研究段階でございますが、技術課題の明確化の検討を進めまして、今後の技術開発を促進してまいりたいと思っているところでございます。
○荒木政府参考人
内閣府でございます。
昨年九月に、交通対策本部におきまして、「飲酒運転の根絶について」を決定いたしまして、政府を挙げて飲酒運転根絶に向けた取り組みを推進しているところでございます。
指導取り締まりを徹底するのはもちろんでありますけれども、飲酒運転を絶対にしない、させないという国民の意識改革を図るために、集中的、継続的な政府広報を行いました。また、関係省庁から業界に対しまして、運転者に対してお酒を提供しないように協力依頼を行ってきております。
先ほど警察庁の方からもありましたけれども、飲食店等におきまして、最寄りの駅からの無料送迎を行ったり、あるいはタクシーや代行運転の割引券を配布したりというような取り組みがふえてきております。また、運輸業者、運送業者においても、就業時に必ずアルコール検知を行うというような業者がふえてきていると認識をいたしております。そういった官民挙げての取り組みによりまして、ことしに入って、飲酒の死亡事故が昨年に比べ約四割ほど減少を見ているところであります。
飲酒運転追放の機運が高まっておりますこの時期をとらえまして、引き続き飲酒運転根絶に向けた広報啓発に強力に取り組むこととしておりまして、先ほど御指摘のございました、本日から始まります春の全国交通安全運動におきましても、飲酒運転の根絶を全国重点として取り組みを強化してまいりたいと考えております。
さらに、アルコール依存症等の常習的な飲酒運転対策につきまして有識者の意見を聞きながら検討を進めることといたしまして、先日、常習飲酒運転者対策推進会議を関係省庁とともに立ち上げさせていただきました。
以上でございます。
○柴山委員
特に、最後のアルコール常習者の対策は、日本はアメリカ等に比べて大分おくれているというような指摘もあるところですので、しっかりと検討をお願いしたいと思います。
時間が終わりましたけれども、最後に、こうした飲酒運転等悪質な交通事故の根絶に向けた法務大臣
の決意を、ぜひ一言お伺いしたいと思います。
○長勢国務大臣
今各各内閣府等からも御説明があったとおりでありまして、政府を挙げてこの飲酒運転等重大な交通事犯に対する対応措置を強化していきたいと考えております。そういう中で、今回、法案を通していただければ、何よりもやはり国民の皆さんの意識がきちんとすることが基本になると思いますので、こういうことも含めてお役に立てればいいのではないかというふうに思っております。
○柴山委員
ありがとうございました。以上で終わります。
第166回 国会 日本国憲法に関する調査特別委員会
第166回 国会 衆議院 第5号
2007年4月12日(木)
午前十一時一分開議
○中山委員長
これより両法律案並びに保岡興治君外三名提出の修正案及び枝野幸男君外二名提出の修正案を一括して質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
本委員会で大変長時間にわたって与野党間で活発で真摯な調査及び審議がなされた結果、ことし三月十七日、与党から、与党案、民主党案の併合修正案が提出されたのに引き続きまして、今般、民主党からも修正案を提出していただくこととなりました。まず冒頭、民主党の真摯な議論には敬意を表したいと思います。
しかし、その上で、今、園田先生からは、民主党の考えと与党修正案との間には厳然たる相違点が存在していると言わざるを得ないといった御発言がございました。以下、私の質問で、本当にそれが厳然たる差異なのか、乗り越えられないものであるのかということについて、個別にお伺いしていきたいと思っております。
まず第一に、投票権者の範囲でございます。
民主党案におきましては、国民投票の投票年齢について本則で十八歳以上として附則で関連法令の見直しをするとしておりますけれども、その内容及び趣旨は一体どのようなものなのでしょうか。そして、与党案において幾らでも先送りできるというような御説明も今あったわけですけれども、この点についてどのように考えておられるのでしょうか。民主党修正案提出者及び与党修正案提出者それぞれにお伺いいたします。
○枝野委員
私どもは、成人年齢あるいは他の選挙権年齢が二十であったとしても、憲法改正の国民投票については、より長期にわたって国民を拘束するという性質にもかんがみ、より若い世代に可能な限り投票権を認めるべきであるということで十八歳の投票権ということを従来から主張してきております。と同時に、私どもは、もともと十八歳成人、十八歳選挙権も主張しておりますし、国民投票について十八歳にするということであるならば、成人年齢を初めとして、それを出発点として十八歳に引き下げることをきちっと検討して結論を出すということは当然あっていいことだろうということで、こういった附則を設けております。
与党修正案にも似たような附則がございますが、法改正がなされるまでは二十とするという規定が与党案にはくっついております。ところが、国会は、どちらの案によっても、施行までの三年の間に関連法令を見直すという法的義務が課せられている。この法的義務をちゃんと実行するのであれば、それまでの間は二十とするという与党にだけある附則は必要ないはずなんですね。
にもかかわらず、そういった必要ない附則をつけているというのは、附則には書いたけれども、この義務を履行しない、あるいは履行できない可能性があるということを少なくとも危惧しておられるのは間違いないわけでありまして、ちゃんと三年以内に関連法令を整備するならばそんな規定は必要ないことでありますので、それは先送りの意図があるのではないかと勘ぐられても仕方がない。
三年以内にちゃんと整備をするということで与党のお気持ちがかたいのであれば、民主党案で何の問題もないということであると思います。
○船田委員
私ども与党の併合修正案におきましても、本則において十八歳以上ということを決定させていただいております。これは言うまでもなく、諸外国の例を見ても十八歳以上というのが世界標準である、こう思っております。これを取り入れることといたしました。
ただ、本法施行までの間に関連法令、私どもが明示をしているものは公選法それから民法その他ということになっておりますが、少なくとも公選法、民法については十八歳、二十から十八になるようにこの期間において法整備をしなければいけないということを附則で載せております。
なお、経過措置ということで、その関連法令が施行されるまでは二十以上のまま、こういうことにいたしておりますのは、例えば、何らかの理由によりまして公選法の規定が十分整備されないという事態が起こったときに、国民投票法案が十八以上、そして公選法による選挙が二十以上という事態が万が一生じた場合には大変な混乱を招くことが予想されることから、私どもは、万が一を考えての措置ということで書いたわけであります。
しかし、これを書いたからといって、先延ばしにしようという意図は一切持っておりません。ここまで本則においても十八歳以上ということを明示している以上、我々与党としては十八歳に整備をするということについては政府に対して非常に大きな責任を負ったわけであります。したがって、これを履行することは与党の責任として確実にやらせていただきたいと思っておりますので、そのような心配は無用であると考えております。
以上です。
○柴山委員
よくわかりました。
続きまして、公務員の政治的行為の制限についてお伺いしたいと思います。
民主党案においては、公務員の行う国民投票運動については国家公務員法、地方公務員法等の公務員法制における公務員の政治的行為の制限規定を適用除外とするという修正を行ったわけですけれども、その内容及び趣旨がどういうものであるのか、民主党修正案提出者にお伺いしたいと思います。
一方、与党修正案提出者に対しては、今、園田先生の方から、附則において検討を加えるということがどういうことを検討しようとしているのか意図不明であるというような御指摘があったわけですけれども、この論点についてどのように考えておられるのか、それぞれお伺いしたいと思います。
○枝野委員
現行の国家公務員法や地方公務員法におきましては、憲法改正国民投票に際しての意見表明などを念頭に置くことなく、それ以外の政治的行為を専ら念頭に置いて服務上の問題として規制をしてきています。この現行公務員法制に何ら手当てをしないまま放置をいたしますと、原則自由であるはずの国民投票運動も、公務員法制の観点から規制がかかってしまうことになります。しかも、その規制のかかり方は、現行法制を前提としますと、国家公務員法による人事院規則と地方公務員法、さらにはその他の特別職公務員の特別規定などによって、それぞればらばらになってしまいます。
さらに、そもそも公務員法制の政治的中立性は与えられた憲法秩序の枠内における公務員の義務であるのに対して、国民投票運動は憲法秩序それ自体を形成する作用に直接関与するものでありますから、主権者国民として最も重要な権利であり、もちろん公務員である以上は一定の制約に服するということは認めますけれども、しかし、やはり原則自由である、より一般的な政治活動以上に制限は制約的でなければいけない、少なくなければいけない、こういうふうに考えます。
したがいまして、我々は、公務員法制上の政治行為の制限規定によって制約されることのないよう、国民投票運動には公務員法制上の政治的行為の制限規定を適用しない条項を置くという修正を行ったものであります。
なお、このことによって、では公務員は何でもしていいのかということになるとそうではありません。これを原則自由にするかわりにと言ってはなんですけれども、我が党が当初は予定していなかった地位利用の禁止の規定を置くことにいたしました。地位を利用してということは許されない。
さらに言えば、例えば国民投票運動に名をかりて、国民投票運動としての実体ではなくて、例えば特定の政党や特定の公職の候補者を支援するような活動をすれば、これはまさに名をかりてということでありますから、この原則自由というところの自由の枠からは外れるだろうというふうに考えます。
それから、他の公務員法制上の信用失墜行為等の規定は、当然いきますので、それに該当するということで、悪質といいますか、公務員として、いかに憲法秩序を形成する作用に直接関与するものだといっても許されないような行為については、この規定があっても何ら問題なく規制を受ける、許されないことになるというふうに考えております。
○葉梨委員
前回、この委員会でも御答弁をさせていただいたわけなんですけれども、与党案においては、附則の十一条で「公務員の政治的行為の制限に関する検討」というような状況になっておりますが、検討を加えるというのは、検討して何もしないということではございません。これは、ここにもございますとおり、「この法律が施行されるまでの間に、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、」「検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」ということですから、これは義務でございます。
なぜこのような形に置いたかというのは、実は私自身は、民主党の修正案と我々与党案とそれほど違いがあるというふうには感じておりません。前回も申し上げましたように、公務員法の世界においては、公務の中立性という観点から諸規制が加えられている。公務の中立性があるからといって、十二月十四日に与党提案者が答弁いたしましたように、国民投票に関しての勧誘だとかあるいは意見の表明が制限されることになってはならない。
どちらの世界、国民投票法の世界でそれを規律するのか、あるいは公務員法の世界で規律するのか、これはもう技術的な問題だろうと思うんです。公務員だからといって意見の表明は全部いいんだといって、では職務専念義務違反の行為もできるのか、あるいは信用失墜行為に当たる行為もできるのか、そこのところはいろいろと議論があるところだろうと思うんです。
ですから、そこのところをしっかりと整理しながら、公務員法の世界において、国民投票に関する意見の表明だとかあるいは勧誘だとか、これはしっかりできるんですよ、しかしながら、ほかの公務の中立性に関する規制については公務員としてちゃんと守ってもらわなきゃいけないんですよということをその世界においてしっかりと整理していただく方が、国民投票法において単に適用除外とするというよりも丁寧な議論ができるだろう。その意味での検討でございまして、これは、この法律が施行されるまでの間に必要な措置を講ずるという、あくまで義務でございますから、何について検討を加えるというのは、今申し上げたとおりでございます。
○柴山委員
続きまして、新聞の無料枠についてでございます。(発言する者あり)
○中山委員長
静粛に願います。
○柴山委員
民主党案についてでございますが、新聞の無料枠の規定、これを削除する修正を行ったということでございますけれども、これは一体どういう趣旨に基づくものであるのか、お伺いしたいと思います。
それとともに、与党案においては、この民主党の削除修正を受けて、新聞の無料枠についてはどのように考えておられるのか、それぞれお伺いしたいと思います。
○枝野委員
私どもは、発議をした国会として、国民の皆さんにその内容等について周知をする責任があると一方で思います。
ただ、この間のこの委員会における議論の中で、なぜ国会つまり政党だけが公費を使って賛成だとか反対だとかアピールできるのか、発議をした側なんだから、むしろ発議を受けた側で賛成だとか反対だとかというところにこそ金を回すべきじゃないか、こういう指摘がたくさんありました。この両方の要請を満たさなければいけないだろうというふうに思います。
そうした中で、いわゆる電波媒体については、ほかに手段がありませんので、放送局の電波を使って、無料CMと誤解をされていますが、正確に言うと政見放送類似の、それぞれの政党が主体となって賛成反対どういう理由でなのかということを国民の皆さんにお伝えする枠を、これはほかに代替手段がないのでやらざるを得ないだろう。
ただ、紙媒体については、別途、広報協議会で選挙公報のような公報をつくることになっていて、これは賛否両方対等の枠で国民の皆さんに周知をするという仕事を公費を使って行うということがあります。それがあるにもかかわらず、それに加えて新聞の無料枠まで公費を使ってやるということになると、なぜ国会だけ、なぜ政党だけそんなにやれるんだ、むしろ発議を受けた国民の側こそが自由闊達に意見表明して運動すべきではないかという声になかなかこたえられないなというふうに思っています。
実際に公報を配布する手段は一般的には新聞に折り込むということになるだろうと思いますので、折り込まれる方に公報があるんだから、新聞本体の方に何も広告を、わざわざ税金を使って買い取って、同じように政党に広告させる必要はないということであります。もちろん、政党を含めて、新聞広告等を自費で行うということについては全く自由でございます。
以上です。
○船田委員
今、民主党から御指摘をいただいた点でありますが、確かに活字メディアを使っての広報という点では広報協議会がつくる予定のパンフレットもございます。またその他さまざまな雑誌等がありまして、確かに活字の部分では一定の広報活動といいましょうかPRはできることとなっておりますが、それら私費で行うものについては、やはり賛否の平等という観点からすると、確かにばらつきがあると思います。したがって、活字メディアにおきましても、新聞の存在の大きさを考えた場合には、新聞をあえてなくすということまで踏み切ることはできないんじゃないか、私はこう考えております。
また、テレビの無料枠もございます。テレビは確かに有効な媒体ではございますけれども、国民の感情に訴えるとか、あるいは刺激的な内容で報じてしまう危険性もなきにしもあらずということでございます。また、テレビやラジオなどは、一度見たものや聞いたものはその場で過ぎ去ってしまうわけでありまして、やはり活字という固定した媒体を見て、何回も読み直して確かめる、こういう国民の間での奥の深い議論に資することは新聞の役割としてはとても大きいものがあると考えておりますので、私どもとしては、新聞無料枠につきましてはやはり存置をして税金の範囲内でしっかりとこれを措置するべきである、こう考えております。
○柴山委員
続きまして、今度はテレビ等の有料広告についてお伺いしたいと思います。
民主党案はこの点で大変重要な修正がされております。投票日前のテレビ、ラジオにおける有料広告の禁止期間を発議後の全期間という修正をされた理由についてお伺いしたいと思い ます。一方、与党修正案提出者には、投票日前のテレビ、ラジオにおける有料広告禁止期間を一週間から二週間に延長する案を提出しているわけですけれども、この点について、民主党の修正案を受けて、どのように考えておられるでしょうか。それぞれお伺いしたいと思います。
○枝野委員
表現行動についてですから、できるだけその規制は少ない方がいいというふうに我々も思っております。ただ、この委員会でるる議論されてきておりますとおり、テレビCMというのは非常に多額なお金がかかりまして、普通の人がかかわることはできない種類のものである、そして、かける金額の大きさによって圧倒的にその影響力に差が出るということになります。
私は、賛成側、反対側どちらがお金をお持ちでどうこうというのはその発議の内容によって違いますから、それをあらかじめ予見を持ってする必要はないと思いますが、いずれにしろ、経済力によって差がつく。しかも、電波というのは一種の公共物でありまして、限られた電波は限られた人たちしか持っていない。紙媒体であれば、新聞、一般紙に広告を載せれば多額のお金がかかるかもしれませんが、テレビに比べれば大幅に金額は少ないですし、さらに言えば、同じような紙媒体でほかに安い手段でということがあります。ただ、電波は代替性がない、しかも大変大きな金がかかるということになります。
たくさん金をかけて、たくさんCMをしたから、ではそれでその意見が多数になるという影響をどれぐらい与えるかというのは、これは検証のしようがないのでわかりません。しかしながら、結果的にたくさんCMが流れた方が多数であったなんていう結果が出たときに、それは金で買われた憲法じゃないかだなんてことになれば、でき上がった憲法に対する国民的信頼は非常に低いことになる、悪い影響を与えることになるというふうに思います。したがって、経済力の多寡によってCMの量に大きく差がつくということがないことが、でき上がった結果との関係で望ましいだろうと思います。
では、賛否平等になるようにというようなことを何らかの規制ができるのかといえば、それは現実のテレビコマーシャルの売り方、買い方から考えると現実的に難しいだろうと思いますし、表現の自由に対する介入のあり方として、形式的にだめだというのと、実質に踏み込んでいいとか悪いとかというのでは、実質に踏み込んでいい悪いという方が介入としては大変強力な介入になって、できるだけ避けた方がいい。賛否平等にできるだけ近づけるようになんていう決め方をすると、それが賛成のCMなのか反対のCMなのかの内容に踏み込むことになりますから、そういう規制の仕方はできない。
そうすると、全面的にテレビCM自体を禁止して、賛否どちらのサイドもテレビCMは使わない。ただ、賛否どちらも、少なくともテレビ媒体からは、国の政見放送類似のところではメッセージが発信される、あとは放送媒体以外の、どなたでも自由に参加できる媒体を通じて運動しましょう、これがやはりフェアなあり方じゃないか、こういうふうに考えて全面禁止ということに踏み切りました。
○船田委員
私ども与党の原案では、七日間の禁止ということを決めました。
これは、やはりテレビCMが、先ほど申し上げましたように場合によっては国民の感情に訴えるとか影響力が非常に大きいということが挙げられました。また、一度テレビCMにおきまして誹謗中傷などがもしあった場合に、それを打ち消すような、つまり言論に対しては言論で対処していく言論の自由市場というものがきちんと機能すればそれはそれでいいのかもしれませんが、やはり投票日数日前にこれをやられた場合に、反論するだけの時間も与えられなければこれは大変なことになる、こういったことを考えましてまず七日間の禁止を考えたわけであります。
しかしながら、さらにこの委員会でのさまざまな議論の中で、非常にその影響力が大きいということも明らかになってまいりました。また一方で、これは今枝野委員が話をされましたように、財政力の差によってテレビCMをいっぱい流せる政党とそうでない政党あるいは団体、こういった金銭的な差による賛否のアンバランスも当然出てきてしまうということで、これを十四日間禁止ということとしたわけでございます。
しかし、民主党がおっしゃるように全期間禁止ということになりますと、少し行き過ぎではないのかなということを考えました。確かに、一方では広告主という立場もございます。その表現の自由も考えますと、全期間禁止はちょっと行き過ぎているな、こういうことも考えまして、両方のバランスをとりまして十四日間というのが妥当ではないか、このように考えて修正をさせていただいたということでございます。
○柴山委員
民主党案提出者に今の点でちょっとお伺いしたいんですけれども、今、国民投票法案に対する国民の周知が必ずしも十分ではないというように言われておりますけれども、民主党修正案提出者は、有料CMでなくて評論番組あるいは報道番組等で周知行為は十分行われるというような御認識でしょうか。
○枝野委員
国民投票が行われますよということ自体は、その広報は別途あり得るんだというふうに思いますし、それをテレビコマーシャルに使ったりして行うことについてはこの法律で別に禁止をされていない。つまり、それは選挙管理委員会的な形で、投票がありますよ、こういう周知はもし必要があればきちっとやった方がいいんだろうと思います。でも、憲法改正の発議がされて投票がありますよということ自体は、それなりにきちっと周知をされるんだろうというふうに思います。
その上で、賛否それぞれの内容についてはということであれば、そもそもが十五秒とか三十秒のテレビCMで内容について国民の皆さんに理解を求めようという発想自体がやはりちょっと現実的ではないんだろうなと。印象、イメージを伝えて、賛成を募る、反対を募るということにやはりならざるを得ない。
そういう意味では、政見放送類似のかなりまとまった時間を賛否それぞれからきちっと流すとか、あるいは紙媒体でじっくり読んでいただくとか、それこそ御指摘のあったような、いわゆる番組の中で、放送局が中立な立場で賛否両論についての意見を国民に伝えることを通じて、内容についてはきちっと伝わるというふうに思っています。
○柴山委員
最後に、両案について、最も隔たりが大きいと思われる国民投票の対象について質問をさせていただきたいと思います。
今回、民主党案においては国政における重要な問題に係る案件について国民の賛否を問う一般的国民投票制度の対象を限定する修正を行われたわけですけれども、その趣旨はどのようなものなのでしょうか。そして、この点を与党修正案提出者はどのように評価をされているのか。それぞれについてお伺いしたいと思います。
○枝野委員
当初の案でも、具体的な法律案を国民の皆さんに賛成ですか反対ですかというようなことは、少なくとも憲法四十一条の趣旨に照らして望ましいことではないというふうに考えております。もちろん、法的には拘束力がないということでありますから憲法四十一条に反しないと思いますが。
我々も想定をしている国政問題、重要問題というのは、具体的な法律案について賛成か反対か国民に問うということではなくて、例えば、脳死のときには中山先生と私と違う案のそれぞれ提出者でありましたが、それについて国民の意見を問うとかということではなくて、脳死を人の死と認めることについてどう思いますかというような、つまり憲法四十一条に反しない、その前提となる重要な問題についての国民の意見を問う、そういうことをもともと当初から意図している法律のつもりでおりましたが、この委員会での議論を踏まえて、どうも誤解をされる、あるいは少なくともそこのところがあいまいであるという認識を深めましたので、今のような、つまり具体的な法律案について聞くわけじゃありませんよと。
あるいは、憲法四十一条との兼ね合いで国民投票に付することが普通は望ましくない、間接民主制の趣旨からして望ましくない案件もたくさんある。というか、これは最終的にはポジティブリストで書いた方がいいんだろう、これをやっちゃだめということではなくて、これについてやりなさいと。ネガティブリストなのかポジティブリストなのかはこれから決めてもいいと思うんですが。
いずれにしても、何らかの形で、今のように、具体的な法律案を聞くわけではないですよ、あるいは事柄の性質上、国民投票に付すのは適切ではないものがありますよねというようなことを、きちっと基本的なルールを決めた上で国会として整理をしなきゃならないということは当初から考えておりました。
ただ、そのことについてきちっと明示的に書いた方が、何でもかんでもかかるのかみたいな不安を与えないということになると思いましたので、今のような趣旨のことを法文上明確にしたということであります。
○葉梨委員
先に与党案について簡単に説明してからコメントをさせていただきたいと思います。
与党で法律を出すわけですけれども、もちろん、国民の中には今自衛隊が違憲であるというような意見もあることは承知しておりますけれども、我々としては、憲法に反する疑いが非常に強いようなものを法律として書くことはなかなかできないだろうと思うんです。
現行憲法においては、間接民主制というのをベースにして、そして直接民主制については限定列挙という形をとっております。諮問的な国民投票といったところで、やはり相当な拘束力を持ってくるとなれば、それはどうしても直接民主制の導入ということで、公述人からもさきにお話がございましたけれども、憲法改正も必要になるんじゃないかという議論もあろうかと思います。
しかし、憲法調査会あるいは憲法調査特別委員会を通じて、やはり一般的な国民投票あるいは予備的な憲法改正に関する国民投票についての必要性もるる各委員あるいは各参考人、各公述人からもお話があったわけです。
そこで、そこのぎりぎりのところということで、与党案においては、憲法改正を要する問題及び憲法改正の対象となり得る問題について、これはまあ九十六条の外延という形で位置づけられようと思いますけれども、国民投票制度に関し、その意義及び必要性の有無について、日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとすると。
先ほどの公務員の政治的行為と違いまして、意義及び必要性の有無というような形で憲法との整合性を持っているわけですけれども、ただ、こう書いておけば、憲法審査会の中で憲法上一般的な国民投票の位置づけが一体どうなるんだというような議論は当然なされるというふうに、私は事実上の話としては思っております。
民主党案について申し上げますと、非常に限定した形で条項を絞っていただいたということと、非常に大きな点というのは、間接民主制との整合性について民主党が明記していただいたということはやはり前進だと思いますし、議論のベースというのは相当近づいてきているというふうに私自身は感じております。そんなに大きな違いということはないと思います。
○柴山委員
今の葉梨先生のおっしゃったことと私も全く同感でして、両案の実質的な差異というものは、少なくとも認識のレベルではなくなってきていると思います。(発言する者あり)
○中山委員長
静粛に願います。
○柴山委員
きょう、これをもって質疑を終わりますけれども、与党案、民主党案、今お伺いしたところ、広告規制については若干の差異はありますけれども、それ以外の部分については、少なくとも基本的な認識、ポリシーに関しては内容がほとんど一致しているというように思われます。
この点について、最後、民主党修正案提出者に認識を再度お伺いするとともに、国民主権原理を実効化させるための大変重要な法案、また七割の国民が整備に賛成しているこの法案をくれぐれも政局に絡めることがないようにすべての会派に要望いたしまして、私の最後の発言とさせていただきます。
○枝野委員
私、この間の報道も皆さんの御議論もちょっとよくわからないところがあるんですが、与党の皆さんはほとんど違いがないとおっしゃっているのであるならば、民主党案に御賛成いただければ円満にすべてが解決するんです。ここがよくわからなくて、早く採決をしろと言っているのは与党の皆さんで、我々は、もっともっと議論をすればもっともっと詰まるかもしれない、なおかつ違いがあると申し上げている。そちらは、違いがないとおっしゃっているんだったら、なぜ民主党案に賛成できないのか、それがさっぱりわからない。
しかも、先ほどの話のとおり、違いの大きな点は、三年以内にちゃんとやるかどうかという違いです。しかも、今の国会の状況を考えれば、これから三年間は皆さんの方が多数で、法律をつくるということについての圧倒的な決定権を持っていらっしゃるわけです。私ども三年間につくるという決定権を持っていない側が、その三年間でちゃんとやってもらわなきゃいけないことについてちゃんと法律上担保をとらざるを得ないということは当然のことだと思うんですね。ですから、この違いについては、三年以内にちゃんとやるということであるならば、我々の側に乗っていただくのが、今現に、それから今後三年間、国会で多数を持っている可能性の高い皆さんの当然の責任であろうというふうに申し上げたいと思います。
第165回 国会 本会議
第165回 国会 衆議院 第14号
2006年11月7日
午後一時開議
○議長(河野洋平君)
この際、内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣山本有二君。
〔国務大臣山本有二君登壇〕
○国務大臣(山本有二君)
ただいま議題となりました貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
現在、多重債務問題が大きな社会問題となっている状況を踏まえ、貸金業の適正化、過剰貸し付けに係る規制及び出資法の上限金利の引き下げ等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、貸金業の適正化を図るため、財産的基礎要件として最低純資産額を五千万円に引き上げること等、参入要件を厳格化するとともに、貸金業協会を内閣総理大臣が認可する制度を設け、その自主規制機能を強化し、広告の適正化や過剰貸し付けの防止等について自主規制規則を制定させ、当局が認可する枠組みを導入すること等としております。また、借り手保護の観点から、貸金業者に対する取り立て規制の強化等の措置を講ずるとともに、新たに業務改善命令を導入すること等、所要の措置を講ずることとしております。
第二に、借り手の返済能力を超えた貸し付けが行われないよう、内閣総理大臣が信用情報機関を指定する制度を創設するとともに、貸金業者が個人向けに貸し付けを行う場合に指定信用情報機関の信用情報を利用して返済能力の調査をすることを義務づけ、年収の三分の一を超える貸し付けを原則禁止すること等、所要の措置を講ずることとしております。
第三に、借り手の金利負担の軽減を図るため、貸金業者に適用されてきたいわゆるみなし弁済制度を廃止し、業として行う貸し付けにつき出資法の上限金利を年二九・二%から年二〇%に引き下げること等、所要の措置を講ずることとしております。
第四に、やみ金融に対する罰則を強化するため、年一〇九・五%を上回る超高金利の貸し付けに対する罰則を新設するとともに、無登録営業に対する罰則を懲役五年以下から十年以下へ引き上げること等、所要の措置を講ずることとしております。
第五に、政府は、関係省庁相互間の連携を強化することにより、カウンセリング体制の整備、やみ金融の取り締まりの強化、この法律による改正後の規定の施行状況の検証等、多重債務問題の解決に資する施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならないこととしております。
なお、貸金業制度のあり方や出資法及び利息制限法に基づく金利の規制のあり方について、この法律の施行後二年六月以内に、過剰貸し付けに係る規定等や出資法及び利息制限法の規定を円滑に実施するために講ずべき施策の必要性の有無について検討を加え、その検討の結果に応じて所要の見直しを行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(河野洋平君)
ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。柴山昌彦君。
〔柴山昌彦君登壇〕
○柴山昌彦君
自由民主党の柴山昌彦です。
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
多重債務問題の解決は、我が国にとって重大かつ緊急の課題であります。テレビをつければ、あるいは町中で、オペレーター役の若い女優やマスコットの動物が登場する消費者金融、いわゆるサラ金の広告が至るところにはんらんしています。そして、十日で二割、三割といった法外な高金利の、いわゆるやみ金融のばっこ、臓器を売ってでも、あるいは死んで保険金で返せなどといった過酷な取り立て、家庭崩壊。私は、東京弁護士会の広報委員として、このような近年急速に深刻さ、悲惨さを増している実情を取材してまいりました。
現在、消費者金融の利用者は約千四百万人、そのうち約二百三十万人が多重債務状態だと言われております。そして、我が国の年間の自殺者数は約三万人ですが、そのうち相当数が多重債務状態に陥っているとも言われております。なぜ、このような悲惨な状況が、特に無担保消費者金融において続いてきたのでしょうか。そして、国はこれまでどのような対策をとってきたのでしょうか。金融担当大臣に御説明を求めます。
このような中で、利息制限法で定める一五ないし二〇%の上限金利と、出資法で定めた刑罰金利であり、かつ貸金業法上書面を作成して任意に返済すれば有効となる二九・二%の上限金利に挟まれたグレーゾーンの存在が、債務者を苦しめるものとして大きくクローズアップされました。
裁判例においては、このグレーゾーンの返済の任意性を厳格に解するものが続出し、ついには、こうした高利息の返済を一回でも怠れば一括して残りの債務を即時に支払わなければいけないという当たり前のいわゆる期限の利益喪失約款をもって、特段の事情がない限り返済が任意に行われるものでないと本年一月十三日に最高裁が判示しました。
その結果、二九・二%という高い金利を容認するこの貸金業法の規定は既に事実上効力を失っており、全国至るところで、既に債務者が支払った利息制限法超過利息の返還訴訟が起きています。既にこうした動きがある中で、今回の改正法案が法文上グレーゾーンを廃止することの意義を金融担当大臣にお伺いします。
一方、例外や特例なく上限金利を利息制限法の水準に引き下げた場合、貸し倒れの危険性の高い消費者や事業者が適法に融資を受けられなくなり、かえってやみ金融を増長させかねないですとか、資金調達を初めとするコストや貸し倒れリスクに耐えられない中小の貸金業者が淘汰され、信用収縮、いわゆるクレジットクランチが発生するなどといった懸念も示されています。
自民党においては、ことし五月に金融調査会のもとに貸金業制度等に関する小委員会を設置して以来、関係部会との合同会議も含めて、ほぼ二十回にわたりこの問題を討議しました。消費者問題、金融問題のエキスパートを初め、多くの議員たちが、ベテランから当選一回の皆さんまで、まさに改革政党の名にふさわしい正々堂々たる議論を繰り広げたのであります。(拍手)
結局、今回の法案では、少額融資の場合に一定の高金利を認める特例を設けることや、利息制限法の上限金利の融資金額による区分の見直しは見送られ、あわせて、これまで金利規制の抜け穴となっていた保証料などについても、利息と合算して上限金利規制の対象とすることになりましたが、こうした金融排除やクレジットクランチの懸念に一体どのように対処していくのか、金融担当大臣にお伺いします。
また、今回の法案では、無登録業者に対する罰則が懲役五年から懲役十年に引き上げられるなど、やみ金融に対する罰則も強化されておりますが、やみ金融に対する取り締まりの強化にどのように取り組んでいくのか、その決意と具体的な取り組みについて国家公安委員長にお伺いします。
さて、こうした対応以外にも、多重債務問題の解決のためには非常に広範な対策が必要です。特に、借り入れの額については、債務者ごとの総量規制が不可欠ですし、期間についても、例えばいわゆるリボ契約について規制を設ける必要があります。このほか、貸金業者の登録要件、信用情報機関のあり方、貸し付けの際に業者に課される規制や取り立ての際の規制の強化について、それぞれ改正法でどのような手当てがなされているか、金融担当大臣にお伺いします。
なお、これまで述べてまいりましたそれぞれの対策には、経済や債務者への影響を慎重に考え、一定の経過措置が必要と考えますが、具体的な施行時期、スケジュールについて金融担当大臣の御説明を求めます。
一方、こうした債務者への対策としては、このたび発足した日本司法支援センター、いわゆる法テラスやカウンセリング機関の体制強化が必要であり、あわせて、債務整理等の専門家である弁護士会などの協力を仰ぐことが不可欠となるので、これら関係機関、団体による多重債務者への支援に関して法務大臣のリーダーシップが大いに期待されるところです。今後どのような取り組みをお考えか、法務大臣にお尋ねいたします。
しかしながら、既に、例えばにせものの高級時計を情を通じた業者から借りさせて、それを質受けするなど、消費者を食い物にした新たな金融手段が登場しています。こうした行為に対する取り締まりの強化にどのように取り組んでいくのか、国家公安委員長にお尋ねいたします。
また、貸金業者の中には、みずからが行う強制執行に用いる公正証書を作成するのに必要な債務者の同意を、委任状を債務者から不当に入手することによって得ることが多く見られています。さらに、債務者の生命保険契約をみずから締結し、保険料の立てかえ払いも行って、債務者の死亡後、生命保険金をもって債務の返済に充てさせている例までもが見受けられます。このような状況にどう対応していかれるのか、金融担当大臣の御所見を伺います。
いずれにせよ、今回の法改正を円滑に施行するとともに、新たな対策を講じ、さらには借り手教育を充実させていくためには、関係省庁が連携して、また官民が一体となって、総合的で息の長い取り組みを行っていくことが必要です。この作業では、内閣官房が司令塔となって省庁横断的な情報収集及び対応を進めていくことが非常に重要だと思いますが、内閣のかなめである官房長官より、それに向けた御決意をお聞かせください。
最後になりますが、今回の改正内容については、長年にわたり多重債務問題に真摯に取り組んでこられた日本弁護士連合会などの諸団体から、高く評価する旨のコメントが発表されました。安倍総理は、拉致問題に関し、一人の被害者も見捨てることはしないと述べられていますが、多重債務問題で亡くなる方を根絶することも、国を挙げての重要な課題です。一日も早くこの法案を成立させ、国民の期待にこたえることが立法府としての責務であることを強調して、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕
○国務大臣(塩崎恭久君)
柴山議員にお答えいたします。
多重債務者問題に関する内閣官房の対応についてお尋ねがございました。
政府といたしましては、多重債務問題の解決に向け、政府を挙げて取り組む決意でございます。このため、内閣官房に多重債務者対策本部を設置し、改正法の円滑な施行に加え、消費者教育の強化やカウンセリング体制の充実等について、関係省庁が連携して取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣山本有二君登壇〕
○国務大臣(山本有二君)
柴山議員にお答えいたします。
多重債務問題への政府のこれまでの対策についてお尋ねがありました。
政府としては、近年、貸金業者による高金利での過剰な貸し付け等により多重債務問題が深刻化しており、その解決が重要な課題となっていると認識しておりました。こうした認識のもと、政府としては、これまでも、貸金業規制法等関係法令が累次改正される中で、法令に基づいて厳正かつ適切な監督に努めるなど、借り手の保護のための施策の実施に努めてきたところでございます。
今回の改正において、いわゆるグレーゾーン金利を廃止することの意義についてお尋ねがありました。
今回の法案では、多重債務問題を解決するために有効なあらゆる施策を講じることとしており、その重要な施策の一つとして、貸金業法第四十三条に基づくいわゆるグレーゾーン金利を廃止し、出資法の上限金利を二〇%まで引き下げることとしております。これにより、債務者の金利負担が軽減され、多重債務問題の解決に資することとなるものと考えております。
信用収縮などの懸念に対し、どのように対処していくのかとのお尋ねがございました。
今回の改正により、新たな多重債務者を発生させない枠組みを構築する必要がありますが、その過程において、現在の借り手が急に返済を迫られ、かえって生活に悪影響が出るような事態を招かないようにすることも必要であると考えております。こうした点も勘案し、今回の改正におきましては、上限金利引き下げと新たな過剰貸し付け規制の実施までおおむね三年程度の準備期間を設けることとしております。
借り入れの額や期間に対する規制など、改正法上手当てされている施策についてのお尋ねがありました。
今回の改正においては、上限金利の引き下げとあわせて、返済能力を超える借り入れが行われないよう、個々の借り手の総借入残高を指定信用情報機関を通じて把握させた上で、総量規制を導入するとともに、いわゆるリボルビング契約の毎月の最低返済額等についての自主規制規則を制定させ、金融庁が認可することとしております。
このほか、貸金業者に対して、純資産要件の引き上げや資格試験の導入など参入要件を厳格化するとともに、日中の執拗な取り立て行為の禁止などの取り立て規制の強化及び事前の書面交付義務など行為規制の強化を行い、多重債務問題の解決に資する総合的な施策を講じることとしております。(拍手)
〔国務大臣溝手顕正君登壇〕
○国務大臣(溝手顕正君)
柴山議員の御質問にお答えいたします。
まず初めに、やみ金融に対する取り締まりの強化についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、高金利貸し付けや違法な取り立て等、やみ金融事犯については依然として深刻な被害が出ているものと認識しております。
警察では、これまでもやみ金融事犯の取り締まりを強力に進めてきたところでありますが、今回の改正を機に、関係機関、団体とも連携しながら、今後、さらに取り締まりを強化し、被害防止に努めるものと承知いたしております。国家公安委員会といたしましても、この問題について警察に寄せられる国民の期待と信頼にこたえることができるよう、その取り組みを督励してまいる所存でございます。
次に、消費者を食い物にした新たな金融手段に対する取り締まり強化の問題であります。
警察は、貴金属や商品券等を利用した金融手段についても、それが実態として高金利の貸金業と認められる場合には、これまでも出資法や貸金業規制法を適用して厳正に対処しているものと承知いたしております。御指摘のような新手の金融手段につきましては、それが違法な行為に該当すれば、警察においても厳正に取り締まりを推進していくものと承知いたしております。(拍手)
〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕
○国務大臣(長勢甚遠君)
柴山議員にお答え申し上げます。
多重債務者への支援に関する取り組みについてお尋ねがありました。
御指摘の多重債務者への支援については、日本司法支援センターにおいて、法的トラブルを抱えた国民に対する情報提供業務の一環として、多重債務問題などの金銭の借り入れに関する法的トラブルの問い合わせを受け付け、破産手続等の法制度に関する情報や多重債務者に対する助言等を行うカウンセリング機関などの相談機関に関する情報を迅速適切に提供しております。
多重債務の問題に適切に対応するためには、御指摘のとおり、弁護士会の協力を得るなど、関係機関、団体との連携協力のもとに司法支援センターの業務が行われる必要があります。このため、司法支援センターにおいては、協議会を開催するなどして、関係機関、団体との連携協力関係を一層深めるよう努めているところであります。(拍手)
第165回 国会 日本国憲法に関する調査特別委員会
第165回 国会 衆議院 第4号
2006年11月2日(木)
午後二時開議
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
本日のお話をお伺いしまして、与党あるいは民主党の提案者の皆様ともども、国民投票運動の保障を最大限図っていかなければいけない、表現の自由あるいは学問の自由、政治活動の自由に照らしてそのような意見を持っているということを改めて認識した次第です。
しかしながら、両案ともにこれに対する規制を容認しております。そこでそれぞれの提出者にお伺いしたいのは、そのような規制によって守ろうとする利益は一体何なのか、これについて手短にお答えをいただきたいと思います。
○保岡議員
まず、特定公務員の国民投票運動の制約の条項については、中央選挙管理会の委員等というのは、やはり手続の中立性、公正さを担保するという意味で、最もその手続に直接携わる方たちですから、これは運動にかかわることを禁止して、中立性やその信頼を保護法益と考えていいんじゃないでしょうか。
それから、裁判官や検察官、公安委員会の委員、警察官というのは、その職務の性格や強制力によって投票人の意思決定に対して他の一般の国民ではなし得ないような大きな影響を及ぼすおそれがある職種のものであるという意味で、国民の自由闊達な意見の表明とか、国民投票運動の盛り上がりなどに対する自由、公正さというものを保護法益にしていると考えていいのではないかと思います。
○園田(康)議員
柴山委員にお答えを申し上げます。
民主党の場合は、私どもは保護法益としては、国民投票の投票そのものにかかわる自由な運動というものが行われるべきものであろうという形から、この国民投票そのものの自由と公正をしっかりと担保していきたいというふうに考えた次第でございます。
したがって、この国民投票運動そのものに関しましては、いわゆる国民の意見表明、政治的な意見表明というものがきちっとここで担保されなければいけない。そこにかかわる規制をかけていくということになれば、すなわち、先ほどから議論が、午前中でも出ておりましたけれども、萎縮効果を生んでしまうことになってしまうというところから、ここに関しましては少なくとも必要最小限度のものにとどめようという形で、例えば投票事務関係者、そういったところでの運動禁止というものを設けたということでございますけれども、そのほかにつきましては私どもは原則自由という形をとらせていただいている次第でございます。
○柴山委員
基本的には、両案とも自由な意思表明を確保するための公正性の確保ということを中心としていると思います。
ただ、ここでちょっと問題提起をしたいんですけれども、公務員の政治活動の禁止、これは公職選挙法等に規定されている、あるいは国家公務員法等に規定されているわけですけれども、この場合の保護法益としては公務の中立性に対する国民の信頼ということが挙げられるのではないでしょうか。
憲法は十五条二項で公務員は全体の奉仕者であるというように定めております。また、憲法に限って言えば、九十九条で憲法尊重擁護義務が公務員には課されています。先ほど笠井委員が御指摘のような宣誓をするという行為が公務員には課されています。このような中にあって、猿払事件で問題となったように、すべての公務員について一律に国民投票運動を制限するということはいかがかと思いますが、例えば、一昔前は閣僚が憲法改正に言及しただけで首が飛んだ時代がありました。そういうようなことを考えた場合に、例えば裁判官がその担当している案件とは別のコンテクストで自由に改憲を主張するような場合に、憲法上の争点が問題となっている裁判が仮に発生した場合に、その当事者が裁判官に対して忌避を申し立てることができるんでしょうか。
私は、公務員の職務に対する国民の信頼、中立性への信頼、こういうことを考えた場合に、最低限、与党の提案された裁判官、検察官、公安委員会の委員並びに警察官、こういった公務員の国民投票運動に関しては、意見表明にとどまる場合はいかがかと思いますが、少なくとも一定の制限というのはやはり必要になってくるのではないかと思うんですが、この点について両党の提出者に伺いたいと思います。
○保岡議員
先生言われるように意見表明はだれでも自由にできるということを前提として、いわゆる国民投票に関する勧誘行為、こういった国民投票運動というものについては、先生のおっしゃるように、先ほども私も申し上げたように、裁判官等の特定公務員、あるいは場合によっては一般的な公務員でも、地位利用といったものは、職種柄、あるいはそれに伴う強制力、あるいは類型的に国民の投票の公正さに影響を与える疑義が生ずるおそれがある。したがって、らしさという信頼を確保する意味でも必要だと思って我々は提案したんです。
しかし、いろいろ海外調査をしたり、いろいろ議論して、けさの小委員会でも議論してまいりまして、やはり裁判官にしても、デンマークなどの判事さんといろいろディスカッションしたんですけれども、そのときも、裁判官であれこの国では国民運動は禁止されていない、ただ、それはひとえに公務員の自分の立場からする自制というか常識的な対応の範囲内の問題であって、したがって公務の公正さを疑われるような場では発言を控えるようにするなどみずから判断している、特に高い地位にある公務員ほどそういうような判断をきちっとしているというお話でございました。
そういうようなことを考えると、例えば裁判官だとか検察官だとか、そういう法律家に、むしろ節度を持った常識の範囲内で憲法に対する意見を言ったり、それに伴って多少意見表明からオーバーするような行動も目くじらを立てて何か罰則で担保して禁止する必要まであるかどうかについては、これは外国の例なども参考によく考えてみたい。与党としては、そういうふうに今後の再考を含めて検討の余地を念頭に今考え方を取りまとめようといたしております。
○園田(康)議員
先ほど公務員の発言、特に裁判官について御指摘があったわけでございますけれども、今保岡委員からも発言がございましたし、本日の午前中の意見の中でもございましたけれども、いわゆるそういう地位の方々が憲法改正についての意見をされるということは、自然と意見表明という形にはなるんでしょうけれども、さらにそこから判決に絡んだ話をするというところまでは至らないのではないか、その点はそれぞれの良識あるいは常識の範囲内でおさまるのではないかというふうに考えていると同時に、そういったことがなされれば、自然とその地位に当たる方々にいわゆる常識、社会的な通念の中から批判が出てくるものというふうに考えるわけでございますので、この点は心配には当たらないというふうに私は思っております。
○柴山委員
諸外国の事例については原則自由ということは、確かにそのとおりだと思います。ただ、例えばフランスのように、原則は自由ですが、公的助成を受けてキャンペーンを行う政治団体に関しては一定の規制が課されるというような事例もあることですから、やはり公的な色彩を帯びた団体あるいは機関の運動に関してはいま一度見直してもよいのではないかなという問題意識を私は持っております。
また、公務員の地位利用の問題につきましても、威迫と呼べるようなものについてまで放置しておいてよいのかということについては、ぜひ問題提起をさせていただきたいと思います。
次の質問に移りますが、教育者の地位利用についてでございます。
これは公立あるいは国立学校以外に私立学校に関しても恐らく当てはまる規制なのだと思いますけれども、与党案を拝見しますと、学校の児童生徒に対して地位利用をしてはいけないという規定になっておりますが、当たり前のことですが児童は国民投票の投票権はありません、そのような事例においてまでなぜこうした地位利用の禁止を設けているのか。また、これも学説の講義をするということまで地位利用に当たるのかどうかという問題提起がいろいろな方からなされますが、この地位利用の意味についてもあわせてぜひお伺いしたいと思います。
○船田議員
お答えいたします。
今柴山委員御指摘のように、教育者の地位利用ということについては、与党案としては国民投票運動については禁止をしたい、こう考えております。これには、もし公務員法だけで対応するとすれば、私立の学校の教育者が除外されるということもありますので、これはやはりバランスをとらなければいけないということで対応したいと思っております。
ただ、御指摘のように確かに児童は投票権者ではありませんので、児童に対して直接投票を依頼するというようなことは考えにくいわけでありますが、教育者が児童に対して間接的にその保護者に働きかける場合、その児童に対する教育者としての地位を利用して直接に保護者に働きかける場合、そういった、子供を通じて保護者に何らかの影響を及ぼし得るのではないかということに着目をしたわけでございます。
例えば、もうちょっと詳しく申し上げれば、特定の憲法改正案に対して賛成または反対するように児童を通じてその保護者に依頼をする行為とか、保護者会の席上や家庭訪問の際に国民投票運動をするという行為、あるいは教育者が教室において社会科の科目として児童に特定の憲法改正案に賛成または反対するよう講話をする、そしてそれが親に伝わっていく、こういったような例も考えられるんだと思っております。
ただ、この問題につきましては、先ほど来話が出ておりますように、地位利用そのものということを罰則として設けるべきかどうかということについては、なお諸外国の例を見ながら、また、きょう午前中のさまざまな角度からの議論を見ながら慎重に検討していかざるを得ない、このように思っております。
○小川(淳)議員
民主党案におきましては、教育者の地位利用につきましても特段の制限を加えていないわけでございまして、議論になっております公務員の方、検察官、裁判官、教育者、これは極めて良識的な、高い良識を持った行動が常に求められているわけですから、まずはそこへ信頼を置きたいと思います。
その上で憲法秩序には、日ごろ遵守をしていただいている公務員、教育者もこの国民投票に限っては憲法秩序に働きかけていただく主権者の一人でございまして、そういう意味でも自由な政治的な意見の表明の機会は最大限確保してまいりたいというふうに考えております。
○柴山委員
続きまして、罰則に関する質問なんですけれども、与党案では国民投票運動に関する買収罪が設けられています。これについて影響を与えるに足りる物品もしくは財産上の利益等の提供ということがなかなかわかりづらいという指摘が恐らくあろうかと思います。これについてどのようにお答えになるでしょうか。また、先ほど民主党の方から指摘がありましたとおり、公務員、教員に対する取り締まりということが本当に現実的かということをお伺いしたいと思います。
一方、民主党に関しては、こうした買収の規定が本当に不要なのか。先ほど余りないだろうというお話がありましたが、我々は起きた場合にどうするかということを議論しているわけでありまして、犯罪も同じでありまして、どんな悪質なものでも起きたときに本当にそれを放置しておいてよいのかという観点からぜひ考えていただきたいと思います。法的なペナルティーがなくていいのか、社会的非難で本当に足りるのかということについてぜひお伺いしたいと思います。
○船田議員
お答えいたします。
私どもは、組織的多数人買収罪ということで、これは公選法にも準じながらこのような規定をとりました。しかし、公選法の規定はかなり厳しいものでございますので、できるだけその要件を限定いたしました。例えば、組織によるものである、それから、多数の投票人に対して行われるものである、それから、賛成または反対の投票をしまたはしないように勧誘をするという行為がある、そして、その投票をしまたはしないことの報酬として金銭の授受がある、あるいは、賛成または反対の投票をしまたはしないことに影響を与えるに足る物品その他の財産上の利益、これはサービスも含めまして、そういったものに限定をして、買収罪という形をさらに限定していこう、こういう考えであります。
おっしゃるとおり影響を与えるに足る物品というのは一体何だろう、こういうことでございますけれども、我々、一つは財貨性ですね、そのものが利益をその人間にどの程度与えるのかということや、あるいは市場流通性、お金を払うことによって市場で買うべきものがただで入ってしまう、こういったことが一つの条件としてはあるのではないかと思っております。
ただ、それを突き詰めていきますと、それでもなお非常にあいまいな部分が出てくる。例えば国民投票運動の意見表明をする手段として通常使われているもの、例えばDVDであるとか、それから、反対を唱えている有名な学者が書きおろしで自分でパンフレットや本を書いてそれをただで会場で配った場合どうなのかとか、そういった問題についてはなお整理をしていく必要があるだろうということで、これはこれからまた議論を深めながらなるべくさらに限定をする方向で考えていきたいと考えています。
○園田(康)議員
民主党も、御指摘のとおり一票をお金で買うような行為は当然許されるものではないという側に立つわけでございますが、しかしながら、今回そういった罰則は設けていないということは、高度に、私どもは、自由闊達な国民投票運動というものが展開されていくという、それに対する萎縮効果が働かないということを前提に置いているわけでございます。
しかしながら、起きた場合はどうなるのかというようなお話を今ちょうだいしたわけでありますけれども、我々は主権者たる国民の政治的な意見表明の機会は最大限配慮をしていかなければいけないというふうに考えると同時に、それに対する悪質なケース、先ほどから少しいろいろ出ておりますけれども、悪質なケースがどのようなものであるのかということの構成要件、これはどうしても今の現時点ではあいまいになってしまっているのではないかなという懸念を一方で持っているわけであります。
したがって、例えば一票をお金で買うということが、一億人の投票権者がいらっしゃるわけでありますので、その過半数を買収するという状況が果たして可能であるかどうか、あるいは秘密裏にそういったことを行うことができるかどうかというところがまだ私たちは疑問を持っているところでございます。また、それが仮に明るみに出たという形になれば、やはり、先ほどのお話ではありませんけれども、十分に社会的な制裁を受けるに足るものというふうに思っております。
そしてまた、個人の当落を争う選挙という形ではございませんので、個人的な利害関係から買収行為へとつながる危険性については今現時点においてもそれほど高くないというふうに判断をさせていただいておりますので、今の現時点では特段そういった萎縮効果を生じさせるような罰則を設けるということは考えるに至っていないということでありますけれども、しかしながら、今後の議論の中で、やはりこれはどうしてもまずい、見過ごしておくことはできないというものが出てくれば、それにつきましては私たちも検討の余地がないということではないというふうに申し上げておきたいと思います。
○柴山委員
ありがとうございました。質問を終わります。
第165回 国会 法務委員会
第165回 国会 衆議院 第1号
2006年11月1日
午前九時三十二分開議
○七条委員長
これより法務委員会財務金融委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が委員長の職務を行います。
第百六十四回国会、内閣提出、信託法案及び第百六十四回国会、内閣提出、信託法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
両案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承願います。
これより質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
本法案に関しましては、私は二回目の質問となりますが、この連合審査会の中で議論がより深まればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
まず、お伺いいたします。
改正法のもとで、信託銀行等の受託者にはどのような義務が発生することになるのでしょうか。端的にお答えいただきたいと思います。
○長勢国務大臣
おはようございます。
受託者が受益者に対して負う信託法上の義務について御質問でございますが、これについては信託法案の第三章第二節に規定をしてございます。
具体的な受託者の義務の主なものは、一つは、信託事務の処理をするに当たっては、自己の財産に対する場合と同一の注意では足りず、より高度の注意をもってしなければならない、いわゆる善管注意義務でございます。二つ目は、自己の利益ではなく、受益者の利益のために行動すべきであるという忠実義務。三つ目は、一つの信託で受益者が複数ある場合には、受益者を公平に取り扱わなければならないという公平義務。四つ目に、受託した信託の信託財産と自己または他の信託の信託財産を分けて管理しなければならないという分別管理義務。五つ目に、信託事務処理を委託した場合には、委託先である第三者を選任、監督しなければならないという委託先の選任監督義務。六つ目に、信託事務処理の状況についての報告をしなければならないという報告義務、もう一つ、帳簿等の作成、報告、保存及び開示をしなければならないという義務などを規定いたしております。
○柴山委員
大変多岐にわたる厳しい義務が課されているわけなんですけれども、こうした受託者の義務が、新しい改正法の信託法案及び信託業法においてどのような形で緩和をされているのか、それぞれお伺いしたいと思います。
○寺田政府参考人
この新しい信託法案におきましては、今大臣からお示しいたしました義務のうち、基本的に二つの大きな義務について緩和というべき措置がされております。
これは、第一に、受益者の利益相反行為に関する規定の見直しであります。利益相反行為に関しましては、今の規定を強化する、もう少し明確にするという部分もございますが、もう一つ、利用者の方から非常に御要望がありましたのは、今の規定でありますと、利益相反行為は基本的に禁止ということでございまして、非常に硬直的であるということでございます。
そこで、今度の新しい法案におきましては、例えば、ほかに買い手がないような信託財産に属する財産を受託者が適切な価格で自分の固有財産にする、売買をするというようなものについて、実質的には受益者の利益にもなるという配慮から、信託行為に定めがある場合や重要な事実の開示を受けて受益者がこれを承認した場合、このような場合には、これを例外として扱いまして、利益相反行為を一定の要件のもとに許すという緩和策をとっております。
第二は、受託者の自己執行義務、今大臣から申し上げたところでございまして、これは現行法では、信託行為に定めがある場合またはやむを得ない場合に限って信託を第三者に委託するということが認められているわけでございますけれども、今日の社会においては非常に分業化、専門化が進んでおりまして、この信託分野でも、必ずしも自分でみずからやるのではなくて、むしろ専門家である第三者に事務を委託した方が適切であるという場合も決して少なくない、こういう情勢にございます。
そこで、新しい法案では、第三者に信託事務の処理を委託することを許容するという定めがない場合であっても、目的に照らして相当である、こういう要件のもとに、受託者はこれらを第三者に委託することができるということで合理化を図っているところでございます。
○柴山委員
ただ、ここで問題なのは、信託というのは、そもそも他人を信じて託するというところから来た契約類型なわけですね。そこには、受託者は当然、受益者に対してしっかりと利益相反行為を排して忠実に物事を処理しなければいけないという義務が、要は中心的な義務として課せられているはずであります。
そのような場合に、受益者が、いや、そういう義務は負わなくていいですよという形で解除してくれればともかく、それ以外の類型で、例えば、正当性あるいは相当性というような要件でこれを緩和するというのは、私は大変大きな問題を含みかねないと思います。そこら辺の類型はやはりきちんと説明をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○寺田政府参考人
おっしゃるとおり、この義務は非常に基本的なところでございますが、今言った合理化の観点から、おのずから、したがって、例えば、新しい法案の三十一条の二項の四号に言う「正当な理由がある」ということは解釈されるべきところであります。
例えば、価格の相当性ということが非常に問題になるわけでございますけれども、信託財産に属する土地が競売に付されているというようなときに、受託者が競売手続において正当な手続で落札する、競落するというような場合は、これは問題ないのではないか。
あるいは、管理型の信託で申し上げれば、例えば、銀行を経営している受託者が、全く普通の預け入れをする者と同一の利率で信託財産に属する金銭を受託者の固有財産に預金する場合というような、いわゆる自行預金と言われるわけでございますけれども、こういうようなものは、一般的な利率と全く同じでございますので、ほかに考えられる余地が余りないということでございますから、これはまた正当な理由に当たるというように思われるわけでございます。
それから、運用型で申し上げれば、信託財産に属する金銭を、市場で有価証券を購入する、その有価証券を受託者が固有財産で売却したという、これもまた市場を通すということによって、価格メカニズムの点で全く不当なところはないはずでございますので、こういうものは許される、そういう理解に立っております。
○柴山委員
また、信託契約に関しては、要するに、利益を受ける受益者がしっかりと受託者を監視することによってみずからの利益を図れるというところが恐らく肝になっているんだと思うんですが、例えば、今回の改正法では、受益者と受託者が一体であるというような契約類型が認められることになっております、期間は限定されるということになるんでしょうけれども。
そういうような場合に、受託者と当初受益者が一緒であるような場合に果たして本当にこうした監視機能ということが十分発揮できるのかというところがきのうの参考人質問でも出てまいりましたので、その点についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
○寺田政府参考人
おっしゃるとおり、信託の委託者、受託者、受益者の三者の関係のうち委託者と受益者が一致するもの、これは今も自益信託としてあるわけでございますし、今回新たに、委託者と受託者が一致しているもの、これは自己信託、信託宣言として認めるわけでございますが、問題は、信託の本質は受益者のために受託者が義務を負うというところにございますので、この受託者と受益者の一致というのは基本的には認めないという方針に立っております。
ただ、完全に認めないということになりますと、例えば受益権を売り出そうとしているときに、まだ売り出す前に一時的に受託者がこれを持っている状態というのは今の状態に相当するわけでございますけれども、それを完全に禁止してしまいますと、非常に実務的にも、買い手が見つかるまでの間もそれは許されないというようなことでございますので、そこで、期間制限といたしまして一年間という期間を限って、今回、そのようなことを容認するということを明らかにしたわけでございます。
これはあくまで期間限定の措置で、いわば信託としては異例のことでございますので、信託関係全体としては眠っているも等しい状態でございます。この間は、確かにおっしゃるとおり、受益者の側から受託者を監視するという意味は、全く両者が一致しておるわけでございますので、ありません。
ただ、これが、一たん受益権が他人の手に渡るということになりますと、たちまちそこに忠実義務というのは顕在化してまいります。したがいまして、この時点で第三者のためにする意味が出てくるわけでございますので、一年間の間に限るということで例外措置を認めたことによって、基本的に、だれかの権利が害されるということはないのではないかというように考えているわけでございます。
○柴山委員
同様の質問でございます。
金融庁で、受託者の義務の緩和について一体どのような措置がとられているか、教えてください。
○山本国務大臣
信託業法改正案では、当事者間の合意による受託者義務の軽減を原則として認めておりません。これは、多数の受益者の取引の安全、公平、そういった観点からであろうと思いますが、信託法改正の趣旨を踏まえまして、受益者保護に問題がない場合に限って受託者義務の合理化を図ろうとしております。
○柴山委員
ありがとうございました。
続きまして、この改正法で大変大きな議論を呼んでおります自己信託の許容について、これまでもかなり議論が尽くされてまいりましたけれども、若干補足して説明をさせていただきたいと思います。
要は、この自己信託に対する不安の本質は、信託財産は固有財産と独立の存在であるにもかかわらず、自己信託の場合には、簡単にそのままの名義でそうした独立財産をつくることができる。これは、要は、メリット及び需要とは裏腹の関係で、それが悪用されるのではないかというデメリットが指摘をされています。
そしてもう一点は、そのようにして形成された独立財産が、範囲が不分明である、また中身もよくわからぬ、そういった外部開示の問題があるかと思います。特に、開示の問題に関しては昨日の参考人質問でも取り上げられたところであります。
そこで、お伺いいたしますが、信託財産が固有財産から切り離されたこと、及び、信託受益権勘定といいますか、財務諸表においてどういう取り扱いになるか、それぞれぜひお聞かせいただきたいと思います。
○三國谷政府参考人
お答え申し上げます。
信託法と信託業法がございますけれども、信託法によりますれば、信託の受託者が貸借対照表、損益計算書等の帳簿を作成いたしまして、これを受益者が閲覧、謄写することが可能となっております。
信託業法の方でございますが、こちらの方では受託者が信託財産状況報告書等を受益者に交付することとなっております。
○柴山委員
ただ、信託受益権を構成する財産がどのようになるかというような個別の問題に関しては、これは公認会計士の先生方からも非常に懸念が表明されていることですから、ASBJで今検討が進められているというように聞きますけれども、しっかりとこれを、一年後の自己信託に関する施行のときまでには明確にしていただきたいというように思います。
次に、この自己信託に関して、課税の適正ということが十分になされるのかということが非常に大きな疑問点となっております。利益隠しに使われるのではないかということが恐らく筆頭の懸念だと思いますけれども、これについて、ぜひ御説明をいただきたいと思います。
○田中副大臣
ただいまの御指摘のように、自己信託などで会社同様の事業を行うような場合に法人税等の租税回避が起こるのではないか、こういう懸念が指摘されておりまして、今までも、各方面、関係者の御検討があったところでございまして、私自身も重要なポイントである、このように思っております。当然、私は、課税の公平及び中立性の確保の観点から法人課税を行うべきだ、このように考えております。
いずれにしましても、信託法案への税制上の対応については、今後、十分な検討を行った上で、十九年度、来年の税制改正において措置してまいりたいと思っております。
いずれにしても、財務省といたしましては、適切に、公平、中立性の観点からしっかりと扱ってまいりたいと思います。
以上でございます。
○柴山委員
これ以外にも、事業信託の問題あるいは倒産隔離の問題について、いろいろと聞きたいことがあるんですが、私の持ち時間は終了いたしましたので、残余の質問はほかの委員の先生方にお任せしたいと思います。
きょうはどうもありがとうございました。
第165回 国会 法務委員会
第165回 国会 衆議院 第4号
2006年10月25日
午前十時二分開議
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
信託法に関しては、今、大口委員からお話がございましたとおり、制定されてから八十年以上実質的な改正がされなかった法律でありまして、それを今回のような形で大変ドラスチックに大幅な改正を加えるということですので、ぜひ慎重に審議をしたいというように思っております。大口委員から御質問がありました事項については、できるだけ重複を避けながら質問を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、大変その弊害が懸念をされております信託宣言、いわゆる自己信託の問題点についてお伺いしたいと思います。
今、大口委員から御質問がありましたとおり、これに関して、さまざまな将来の可能性というか有益性については指摘をされているとおりだと思います。証券化ビジネスの拡大ですとか、あるいは事業再編において必ずしも法人格、その権利主体を交代する必要がない、あるいは最後に御指摘がされたマンション管理等において有効活用できるのではないか、さまざまな指摘がされております。
ただ、実際にこの信託宣言を導入しているアメリカで果たしてこれがきちんと活用されているのかどうかということについて、例えば二〇〇五年十一月二十一日付の「金融財政事情」、こちらの方に紹介をされているところによりますと、アメリカでは、個人の相続ですとか贈与の手段として信託宣言は活用されているけれども、ビジネス分野においては決して一般的には活用されていないという指摘がされています。信託宣言を利用した公的機関であるファニーメイの住宅ローン、こちらの債権流動化というようなものを除いては余り活用されていないというようにも指摘をされていると思います。
ですから、今申し上げたようなさまざまなメリットは、別の、例えば営業譲渡ですとか、あるいは企業担保を利用しての資金調達とか、あるいはマンション管理についてももう少し管理組合について柔軟な制度をつくっていくとか、そういう代替的な手段でカバーできるのではないかという指摘も恐らくされるところだと思うのですが、この外国との比較、あるいはその代替手段との関係、こういうものについて、冒頭、ぜひ御説明をいただきたいと思います。
○長勢国務大臣
外国の自己信託について、どういうことになっておるかというお尋ねだと思います。詳細、また必要があれば事務方から答弁をさせますが、先生も相当勉強されておられるようで、先生の方が詳しいのかもしれませんが、答弁をさせていただきます。
今おっしゃいましたように、海外においても自己信託というのは認められておるわけで、例えばアメリカでは、アメリカの統一信託法典においても、信託の設定方法の一つとして明示をされております。
アメリカで具体的な自己信託の例としては、今もお話がありましたファニーメイが住宅ローンの証券化で信託宣言をする場合とか、あるいは銀行の預金者が、その預金につき、みずからを他人のための受託者である旨の信託宣言をすることによって預貯金信託をする場合、債務者が債務を支払うためにみずからの特定の財産を信託財産として自分で受託者になる場合等が挙げられます。ちょっと日本では余り例のない、少ない例だと思います。
また、イギリスでもアメリカと同様のものが認められておるというふうに承知をいたしております。
なお、ドイツ及びフランスには信託制度がございませんので、こういう自己信託というものもございませんが、EUにおける取り組みとしては、一九九九年一月に欧州信託法の権威者が集まってつくりました欧州信託法基本原理におきまして、自己信託による信託の設定も認められておるというふうに承知をいたしております。
必要があれば、詳細は事務方から答弁をさせます
○寺田政府参考人
先ほど申しましたように、この制度はもともと英米法の制度でございまして、英米においては、今大臣が御説明申し上げましたような利用形態というのが一応考えられておるわけでございます。
ただ、委員も御指摘のように、アメリカにおいて、ではこれが全面的にビジネスに利用されているかといいますと、これもまた、一部、債権の流動化には利用されておりますけれども、それは総合的な評価としてはまだまだこれからだという御意見も当然あるわけでございます。我が国でも、とりわけ同じように債権流動化にこれを利用したいという声があるわけでございますけれども、そういう意味では、この自己信託というのはこれからの制度だ、利用面においてはこれからの制度だということにもなるわけであります。
ただ、大臣が申し上げました三つの例のうちの後の二つ、つまり、だれかのために資金を預かっているという状態は一般に広く見られることであります。ある種の会費というのを幹事さんが預かっている、こういうものをどういう権利関係に置くのが適当かというと、おっしゃるとおり、いろいろな代替手段と申しますか、法律で賄えることもあるわけであります。現にそういうときは民法上の寄託がされているというような形になるわけでありますけれども、そうした場合に、では私の債権者にそれが差し押さえられないのが正当なのかどうかということは常に悩むところであります。
そういった意味で、こういう新しい選択肢が民事上もできるということはそれなりに意義のあることだと思いますし、それが商事上、事業上も利用される場面があるということも、これも否定しがたいところでございますので、私どもとしては、できるだけ弊害防止措置というのを考えた上でこれを利用に供するというのが正しい姿勢ではないかなと考えているわけでございます。
○柴山委員
まさに弊害なんですけれども、今寺田局長がおっしゃった財産の隔離ということがこの制度の大きな眼目になっておりまして、その意味で、先ほど大口委員も財産隠しに対する不安ということを口にされたわけですけれども、こういった執行逃れをどのように防止していくか、あるいは対外的なディスクロージャー、ガバナンスの問題も含めてですけれども、これをどうしていくか。また、租税回避の問題ですね、利益を移転して税金逃れを図るんじゃないか。あるいは、マネーロンダリングに使うんじゃないか。こういうようなさまざまな懸念が指摘をされているところだと思いますが、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
○寺田政府参考人
今、弊害として予想され得るものを列挙していただいたわけでございます。
先ほども大口委員の御質問に対して御答弁申し上げたとおり、財産隠しと一般的に言われましても、この場合は、だれかと通謀してその財産をどこかにやってしまうということではなくて、自分の手元にありながら責任財産から一部離れるという性格のものでございますので、当然、債権者を詐害するかどうかということが問題になるわけであります。
この点については、先ほど申しましたように、これはいわば受益者のもとに実質的な利益を移転してしまうという形でございますので、通常の詐害行為と本質的には変わりがないんじゃないかなというように考えるところであります。したがって、本来であれば、詐害行為取消権ということがあれば、それをうまく立証できるかどうかという問題だろうと思います。
ただ、先ほど申しましたように、これを懸念される方の中には、実際上の問題としてなかなか難しいのではないかという御懸念もあったものでございますから、私どもの手当てといたしましては、詐害行為については、裁判所によって詐害行為の取り消しがされて初めて債権者が掴取すべき財産としてもとの委託者のもとへ戻ってくるというのではなくて、二十三条の二項にお示ししているところでございますけれども、もう要件さえあればいきなり強制執行を当該債権者ができるという形の規定を設けたわけでございます。したがいまして、執行を逃れるということからいえば、相当強力な武器が債権者側には与えられたというように御評価いただけるのではないかと思います。
なお、先ほど申しましたように、それでも、債権者が動くだけでは十分ではないという場合に、これはいわば公共的な悪のレベルだという評価ができまする場合には、公益確保のための措置として、裁判所が関係者の申し立てによって信託の終了を命ずるという措置も用意されているところでございます。
次に、税金逃れという問題がございます。これは、実際に税務でこれをどう評価して税金をおかけになるかということでございますので、この点について、一年の執行の延期をここに盛り込んでいるということで先ほど申し上げたわけでございますけれども、この自己信託についてどういう課税の仕方をするかということは、一般的な信託の課税とはまた一段レベルの高い検討をしていただくということになろうかと考えております。
それから、マネーロンダリングの問題も御指摘があるところでございます。ただ、この点は、一般的なマネーロンダリングの懸念については規制がございまして、金融機関等による本人確認法あるいは組織犯罪処罰法等がございますので、そちらのいわば公的な規制にこの自己信託も当然服するということになるわけでございます。そういったわけで、法律上の手当てとしてはこれでなされるところでございます。
あと、事業者につきましては、もちろん、冒頭に申しましたような事業者特有の規制というのもまたあり得るところでございますが、それは信託法自体の問題ではない、こういう整理でございます。
○柴山委員
事業者の問題にもお触れになったんですけれども、この自己信託、信託宣言を取り扱うことのできる主体に関する規制、これは、今寺田局長の方からお話があったように、信託法自体には定めがないということでよろしかったでしょうか。そうだとすれば、信託業法の方でどのような定めがされているのでしょうか。
○寺田政府参考人
信託法でこの自己信託をだれができるかということについては、何の制約も一般的にはございません。受益者の定めのない信託につきましては経過規定で一定の制約がございますが、この自己信託につきましては、先ほど申しましたように、個人でのニーズというのも、福祉その他を中心として十分に考えられるところでございますし、またビジネスにおいては当然考えられるところでございますので、その制約はないということにいたしているところでございます。
○渡辺(喜)副大臣
自己信託を行う者が信託業法上の登録を受ける要件いかん、こういう御質問でございますが、一般に自己信託を行う者が多数の受益者を顧客として事業を行う場合には、多数のお客さんと事業者との間に情報量や交渉力の差が生じます。また、信託は信託財産を受託者が自己名義で管理運用するという特質がございますから、事業者側に特に高い信頼性が求められるわけであります。
したがって、信託受益権を多数の方々が取得できる場合には、一定の要件を定めた上で、信託業法上の登録を求めることといたしております。具体的には、自己信託を行う者が信託業法上の登録を受ける際には、株式会社とか合同会社等でございますが、会社法上の会社であること、次に、一定以上の資本金、純資産を有すること、第三に、自己信託を的確に遂行することのできる人的構成を満たしていること、第四に、兼業業務が信託事務の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと等の要件を満たすことを求めることとなります。
○柴山委員
最後の兼業規制についてなんですけれども、要は、自己信託業務に悪影響を及ぼしてはいけないという以外に、従たる業務として他業をしなくてはいけないですとか、あるいは兼業する業務について何らかの種類の規制をするとか、そういったようなことは想定されていないのでしょうか。
○渡辺(喜)副大臣
兼業を行う場合でございますが、通常の信託に係る信託会社の兼業業務につきましては、この兼業が本業である信託業務に関連性、それから付随性を有することが承認の要件とされております。これは、信託会社につきましては、銀行、保険会社などと同様に、自己名義で他人である顧客の財産を預かるという特徴がございますので、兼業業務を行うことによって本体業務に影響を及ぼすことがないよう、専業を原則とした規制を行っているということに基づくものであります。
他方、自己信託につきましては、みずからが所有する財産を受益者のために管理運用するという特徴がございますので、他の事業活動に伴って生じた財産を自己信託する目的での参入が想定されるということを踏まえれば、専業が原則であるという前提はとり得ません。自己信託業務と他の業務との関連性及び付随性は特に求めないことといたしております。
そのために、自己信託を行う者につきましては、兼業業務の状況が悪化をし、信託財産を毀損する事態を未然に防ぐため、兼業業務の財務の健全性を確認できるような基準を内閣府令で定めることといたしております。
○柴山委員
ただ、忠実義務の緩和ということに関して、信託業法の方では緩和にストップをかけているわけですから、ある程度そこら辺はしっかりとした信託契約の保護ということを行っていくことが特に業法の関係では必要ではないかなという問題提起だけをさせていただきまして、次の質問に移りたいと思っております。
新しい信託の仕組みとして、限定責任信託制度が導入をされました。この制度について、なぜ必要かということについて、まず簡単に御説明をいただきたいと思います。
○寺田政府参考人
限定責任信託につきましても、この法案を作成する過程でいろいろな議論があったところでございます。しかし、最終的にはやはり必要だということでこういうことを載せているわけでございますけれども、もともと限定責任信託と申しますのは、対象となる信託の財産が、その信託の運営の過程で生じた債権の債権者の責任財産であってそれだけだ、そういう信託でございます。
通常の信託におきましては、なるほど、受益者に対する責任の関係では、今申しましたように信託財産そのものが責任財産に限られるわけでございますけれども、その他の関係では、外形的に受託者が権利の主体、財産の主体になるわけでございますので、これの活動に関して生じた債権についての債権者は受託者にその責任を追及できるというのは大原則でございます。これは我が国の信託法だけではなくて、もともと英米法の信託でもそれが大原則になるわけでございます。
しかしながら、この信託をいわばビジネスに利用する傾向にあるわけでございますけれども、そういうことになりますと、どういたしましても、債権者というものの持っている債権が、受託者が全部この責任を負うというのは、同じようにビジネスをしている例えば会社を想定してみますと、甚だ不都合があるところでございます。本来なら、そのビジネスをしている財産そのものが公示されているわけでございますから、その財産をもとに債権者は責任財産を考えていただいてもいい、そういうものがあるはずでございます。
ただ、そういう財産においては、もちろん公示でありますとか、責任財産の確保というのが非常に重要になってまいりますので、それは相当の手当てをする、そういうことを条件にいたしまして、責任財産を信託財産そのものに限った、債権者に対する責任財産を限った、そういう信託を新たに認めるということがビジネスの上では非常に有用である、こういう御指摘がございましたので、そういう形でこれを用意したわけでございます。
○柴山委員
ビジネスにとって有効であるということはそのとおりなんでしょうけれども、例えば、信託財産に責任が限定されるということになりますと、その財産が滅失あるいは毀損をされてしまったような場合には、これは当然のことながら、信託債権者としては大変な損害を受けるわけですね。ですから、これについて、どういう責任が受託者に準備をされているのか、そして、それが過失責任なのか無過失責任なのかということについても御指摘をいただきたいと思います。
また、この財産については、例えば、土地工作物であるような場合に、土地工作物責任、つまり、危険な工作物とかによって不法行為責任が発生をしたりすることもあろうかと思うのですが、そういうような場合にでも、そのものの価格だけに責任が限定されるということでよいのか等々含めて、ぜひ御指摘をいただきたいと思います。
○寺田政府参考人
おっしゃるとおり、限定責任信託というのは、先ほど申し上げましたように、結局のところ、債権者にとって、どういう資産状況にあるかということがわかるような仕組み、またそれが限定責任信託であるということがわかる仕組み、それが非常に重要でございますし、また、どういう種類の債権がその対象になるかというと、やはり一定の債権は責任を限定しないのが適当だということもまた考えられるわけでございます。
まず、前者の方から申し上げますと、これはそもそも、取引する相手に対しまして、これが限定責任信託のためにする契約であるということを示さないとこの効果は出ないという規定になっております。
次に、今度はその財産の中身が流出するかどうかという問題でございますが、一番は、受益者に対して全部その財産を給付してしまうということになりますと、債権者はたまらないわけでございます。したがいまして、これについては、純資産額の範囲内において一定の額しか受益者に対して給付をしてはならないという規定を置いているところでございます。それに違反して給付が行われた場合には、受託者、受益者の方から逆に限定責任信託の方に財産を戻さなきゃならない、そういうてん補義務を負っているわけでございます。それから、受託者、受益者は、一定時期に生じた欠損額についても、同じようにてん補責任を負うわけでございます。
次に、どういう対象について責任の限定が決まるかどうかでございますが、これは原則としてはそういうことですべての債権ということになるわけでございますけれども、今おっしゃったような不法行為債権については、責任を限定するのは政策上適当でないということで、限定の対象から外しているというところでございます。
○柴山委員
過失責任か無過失責任かというところについても、当然会社法の改正と結構パラレルな部分がありますので、ちょっとお答えを追加していただきたいのと、あと、済みません、ちょっと質問を追加させていただくのですが、ガバナンスの問題として、先ほどの自己信託、信託宣言については、第三者、士業の方によるチェックということが働いていますし、公正証書で契約を定めなければいけないという仕組みも確保されております。しかし、今回のこの限定責任信託に関しては、特にどういうガバナンス、さっき公示ということをおっしゃってくださったんですけれども、そういった仕組みがあるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○寺田政府参考人
失礼いたしました。
先ほど御説明いたしましたてん補責任は、会社法の四百六十二条の第一項第六号と同様の性格のものでございますので、これは過失責任ということになるわけでございます。
次に、ガバナンスの問題でございますが、これは、一般的にガバナンスをどう信託においてとるかと申しますと、それは基本的には受益者がこれをチェックしているということになるわけでございまして、受益者には受託者を監督、監視するための帳簿閲覧権等、あるいは報告請求権等が認められておりますし、違法行為を是正するために、損失てん補の請求権でありますとか、あるいは信託の違反行為の差しとめ請求権まで認められているわけでございますが、受益者が必ずしも判断能力が十分でないという場合には、新たに信託監督人の制度を設けている、これが一般の信託の利用で限定責任信託のガバナンスをカバーする部分でございます。
しかし、先ほど申しましたように、限定責任信託においては、特に債権者にとっての債権債務状態の公示、財産状態の公示というのが重要でございますので、通常の信託と異なりまして、必ずその信託についての計算書類の作成義務というのがございます。これは二百二十二条でございます。したがいまして、これによって、債権者にとっては通常よりもしっかりした公示がされるということになるわけでございます。
第四に、限定責任信託の受託者に対しまして、仮に信託事務が悪意、重過失で行われたということになりますと、受託者はこれによって第三者に生じた損害を賠償しなければならない。会社法で言う取締役の第三者責任みたいなものがここでも認められているわけでございまして、そういう悪意、重過失がある場合には、債権者は直接にその限定の責任性を打破することができる、こういう関係になっているわけでございます。
○柴山委員
しっかりと穴のないような制度運用をしていただけたらと思います。
次に、目的信託、受益者を特定しない形の信託についての質問をさせていただきたいと思います。
先ほど、大口委員の方から、福祉型の信託制度について、現行法制度上、甚だ規定が不備であった、利用しにくかったという問題提起がございました。公益信託に限定されない形でこうした受益者を特定しない形の信託ということが導入されたのは大変画期的なことだとは思うんですが、まだまだ不十分な点があるのではないかと思います。先ほど、三年を目途としての見直し、業法の見直しということも御指摘をいただきましたので、それについてはぜひしっかりと前向きに進めていただきたいと思います。
ただ、ちょっと概念上整理をさせていただきたいのは、例えば、個人が、相続あるいは後継ぎ相続人というんですか、孫等に財産をとっておきたいというような後継ぎ遺贈型の信託、これと今回の目的信託、これはどのように概念上区別されるのでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
○寺田政府参考人
今委員がおっしゃいました後継ぎ遺贈型の信託と申しますのは、委託者が、自分の生存中は自分が例えば受益者になる、死亡したら、第一に自分の妻が受益者になる、妻が死亡したら子供が受益者になる、そういう転々と受益者が変わっていくタイプの信託でございまして、受益者連続型とも言うわけでございます
もともと信託と申しますのは財産の処分の側面がございまして、遺贈に近いことをこれをもって行えるということでございますので、遺贈の場合ですと所有権が完全に移ってしまうわけでございますが、この後継ぎ遺贈型信託というのは、受益権が次々と移るわけでございます。そこが違うわけでございます。
したがいまして、本来ですと所有権が移る、それが、ある人のその所有権は一定期間たったらまた次の人に移る、また次の人に移るということになりますと、ちょうど所有権が期限つきのものになってしまうという、民法の概念からいきますと極めて異例のことになります。それは、民法ではさすがに認められていないわけでございます。
しかし、この後継ぎ遺贈型は、単なる受益権がそういう転々とするわけでございますので、機能的に似た側面はございますが、しかし、概念上は全くそういう所有権の期限性というようなものは抜けられるわけでございまして、これは、どちらかといいますと、信託の先進国であります英米においては、こういう型の信託こそまさに信託のメリットだということが言われるくらいでございます。
しかし、これについても、いろいろ問題は相続との関係であるということから、一定の制約は課しているわけでございます。所有権秩序との関係で、余り長くなってもどうかということで、世代ということを考慮いたしまして制約は課しているわけでございますが、しかし、こういうニーズはこれからの高齢化社会には必ずあるだろうということで、今回、これを間接的に、つまりどういうものは有効かという形で示すことによって、新たにこの信託法の中に登場させた、こういう関係に立っているわけでございます。
〔委員長退席、上川委員長代理着席〕
○柴山委員
余り長期のものについては認めないということで、今回は三十年という期間が限定されていたかと思います。
これは確認としてですが、この後継ぎ遺贈型の信託についても、遺留分を侵害することはできないという規制があることは当然だと思いますが、その点の確認がまず一点です。それから、これは後継ぎ遺贈型には限らないのですけれども、受託者が死亡して財産主体がなくなってしまったときに、この目的信託の財産というのはどのような扱いになるのか。それぞれについて、お答えを簡潔にいただけたらと思います。
○寺田政府参考人
先ほど申しました後継ぎ遺贈型の信託につきましては、三十年という期間制限があるわけでございますが、当然のことながら、先ほど相続秩序の問題もあると申し上げましたとおり、これのやり方によっては遺留分の侵害ということが起こり得るわけでございますが、それは、相続法の秩序の方が優先する、つまり、遺留分の侵害がある場合には、当然、遺留分減殺請求権を持っている者は、その限度でその権利を行使することができるということになるわけでございます。
次に、受託者が死亡した場合の目的信託のあり方についておっしゃったわけでしょうか。
目的信託といいますのは、今の後継ぎ遺贈型の信託とは異なりまして、これは受益者がいないわけでございます。そう言いますと信託の本質にやや問題が生ずるかもわかりませんが、信託としては、いわば公益目的のようなものが現在でも目的信託的なものとして認められており、しかし、今後の公益を果たす主体のあり方といたしまして、基本的には非営利なものを認め、その上にさらに公益があれば公益認定をして、いわば要件を積み重ねた上で公益という新たな地位に上る、そういう仕組みが今後構想されている関係で、公益信託というのではなくて、非営利信託としての目的信託を認めたものでございます。
これについて、受託者が死亡するということになりますと、この種の信託においては、基本的には受託者についての信認というのが非常に重要なものでございますので、受託者の相続人がそのまま受託者になるというようなことはございません。あとは、信託そのものがどう終了するかという利害関係者の問題になるわけでございます。
○柴山委員
今後、税金の話についても恐らくしっかりと見ていかなければいけないと思います。
例えば、遺贈によって目的信託がなされたような場合、この場合の課税関係についてちょっと指摘をさせていただきたいと思うのです。
目的信託の場合は、受益者が不特定なわけですから、基本的には委託者が当然課税をされなければいけないということになるんでしょうけれども、遺贈によってこれがなされた場合には、委託者がいなくなるわけですから、これは結局課税ということが適切になされないのではないかという問題点が多分出てくるんだと思います。
この点について、課税当局はどのような形で対応をされるのか、教えてください。
○古谷政府参考人
お答えをさせていただきます。
御指摘ございましたように、現行の相続税法におきましては、遺言によって受益者が特定されない信託が設定された場合、委託者の相続人は委託者の地位を引き継ぐということになっておりますので、現在では適切な相続税の課税ができるわけでございますけれども、今般の信託法案におきます遺言信託、ここでは、委託者の相続人は相続によって委託者の地位を承継しないということになっております。したがいまして、遺言によりましていわゆる目的信託が設定されました場合には、委託者が亡くなりますと、御指摘がございましたように、その権利につきまして相続税として課税できないという問題がございます。
このことが相続税の租税回避に用いられる懸念がございますので、私どもといたしましては、この信託法案に対する税制上の対応につきまして、十九年度の税制改正でいろいろな検討をしなければいけないと思っておりますが、その中で議論をさせていただいて、適切に措置をさせていただければというふうに考えております。
○柴山委員
税制の問題については重要な論点が結構たくさんありますので、時間も残り少ないのですが、簡単に網羅したいと思います。
まず、結局、受益権を生み出すのがこの信託制度なんですけれども、例えば無償でその受益権を第三者に与えたような場合の贈与税、個人の場合ですが、贈与税のかかり方はどのようになっていくのか。また、受益権を売却したときの課税がどのようになっていくのか。また、受託者に対してどのような形で課税がされるのかということについて、それぞれお答えをいただきたいと思います
○古谷政府参考人
お答えをいたします。
まず、委託者以外の者に受益権を取得させる、いわゆる他益信託が無償で設定されました場合には、その設定されました時点で委託者から受益者へのいわゆる信託受益権の贈与があったものとして、贈与税が課税をされます。それから、信託受益権が受益者から譲渡をされました場合には、課税上は信託財産を譲渡したものとして、譲渡所得税の課税が行われるということでございます。
それから、受託者に対する課税というお話がございましたが、信託財産は法律的には受託者に帰属をしておるわけでございますけれども、現行の信託税制におきましては、このような信託財産から生じます収益に対しまして、信託の内容ですとか性格に応じまして幾つか取り扱いを異にしております。
具体的に申し上げますと、特定目的信託ですとか私募投信のような一定の投資信託につきましては、同様の活動を行う特定目的会社などとのバランスを踏まえまして、その収益につきまして受託者の段階で課税を行う、いわゆる法人課税を採用しております。
それから、貸付信託ですとか証券投資信託といいました不特定多数の受益者を有するような、いわば金融商品的な性格を有する信託に対しましては、これは収益が受益者に現実に分配をされるところまで課税を繰り延べまして、受益者の段階で、分配された時点で課税を行うという考え方をとっております。
それ以外の信託でございますけれども、これにつきましては、信託財産から生ずる収益等が受益者に帰属するものだというふうにみなしまして、事業年度ごとに、分配がなくても、受益者にいわゆるパススルー課税をするといった取り扱いを行っております。
以上でございます。
○柴山委員
まだまだ非常に重要な論点がたくさん残っておりまして、例えば先ほど大口委員が御指摘いただいた忠実義務の緩和のところの類型化、特に、受益者の同意なくしてこれを本当に緩和してよいのか、その類型化が十分なのかといった論点、あるいは信託の併合あるいは分割制度についての規律、あるいは受託者が破産をした場合あるいは信託財産が破産をした場合の取り扱い等々、実務的に本当に取り上げなければいけない論点が多々ございまして、時間があればお聞きをしたかったのですけれども、これで質疑時間終了ということですので、またほかの委員の先生方にぜひ御質問をいただければと思っております。
どうもありがとうございました。
第164回 国会 法務委員会
第164回 国会 衆議院 第31号
平成18年6月14日(水)
午前十時一分開議
○石原委員長
これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
本日は、参考人の先生方、貴重なお時間を割いていただきまして、本当にありがとうございました。
なかなかなじみの薄い国際私法の問題についてなんですけれども、まず、両参考人、特に鈴木先生にお伺いしたいのは、こうした領域の法律が必要になるのは、特に取引法について、やはり先進国同士で不整合な部分があるということが大きな要因になってくると思うんですが、この特に取引法の部分について、先進国間での統一の動きをもっと促進すべきではないかという意見があるかと思います。そうした意見について、何か日弁連として取り組まれているのでしょうか。
○鈴木参考人
おっしゃるところは、取引に関する実質法の統一という問題であるかと思います。
この実質法の統一の問題につきましては、個々の実質法の分野におきまして統一化の動きがあると思いますが、現状で、日弁連として正面から取り組んでいる現状にはございません。実際の国際私法の改正問題の取り扱いにつきましては、むしろ、まだ統一が進んでいない、あるいは、現状では統一できていない分野についてどのような処理をするかということを中心に検討しております。
○柴山委員
ありがとうございます。
それでは、法案の中身について具体的にお伺いしていきたいと思います。
今回、日弁連の方から、特に消費者契約ですとかあるいは労働契約ですとか、弱者保護の問題については大変な御関心をお持ちだったと伺っております。特に消費者を対象とした不法行為について、より消費者に有効な形での準拠法を選択できないかというお取り組みがなされたところも評価をさせていただきたいんですけれども、その一方で、労働契約に関しては、これは割とすんなりと、労務提供地を労働契約に最も密接に関係する地の法という形で推定をなさっているというか、そういう法案になっております。
EUでもそういった定めがなされているということは伺っているんですが、ただ、それですと、労務提供地を労働者保護が少ないところにあえて持っていって、それで働かせるというようなことも当然考えられるわけでして、消費者のところで日弁連さんが御提案されたように、例えば労働者の常居地、さまざまなフォーラムの中から、労務者に一番有利なものを選択する自由を認めるべきではないかという主張も恐らく考えられるところではないかと思うんですが、これについて日弁連の御意見はどうなんでしょうか。
○鈴木参考人
日弁連としまして、労務提供地をもちまして最密接関連地と推定するということに賛同いたしましたのは、労働者自身が日常的に業務を通じまして服さなければいけないさまざまな取り決め、それはやはり労務提供地が中心になるだろうということでございます。
例えば、日本の労働者が日本におきまして外国の企業との間で労務契約を締結して、準拠法が外国法になるというような場合もあるかと思いますが、その場合でも労務提供地である日本の保護を受けるということを念頭に置いております。
○柴山委員
ありがとうございます。
それでは、一般の法律行為につきましての準拠法の選択についてお伺いしたいと思います。
今回、非常に大きな考え方の変更があったわけでして、いわゆる行為地法では、鈴木先生が論文で書かれている例えばFOB契約ですとか、あるいは最近問題となっているインターネットの契約とか、必ずしも行為地が明確でないというような事例がありましたので、これを契約に密接に関係する地という形に変えているわけですね。ところが、これはこれでやはり非常に適用に難しい問題が出てくる部分もあるんじゃないかということで、以下、ちょっと具体的に事例を挙げて質問させていただきます。
先ほど鳥居先生の方から御説明のあった、例えば売買契約。売買契約の場合は、物の給付を行うということが特徴的な給付だよというのはわかるんですけれども、例えば消費貸借契約ですね、お金を貸します、借りますと。日本の法制では、お金を貸すというところは契約の内容になっていないんですね。これは要物契約として契約の成立要件にはなっていますけれども、あくまでも、債権債務の関係としては、貸した後のお金を返すというところが債務の内容となっているわけです。そうなると、日本の法律では、お金を借りた人が一方的に貸し主に対してお金を返さなければいけないということが債務の内容になっているわけですね。
そうなると、給付というのは、お金を借りた方が貸した方に対してこれを渡さなければいけない、返さなければいけない。だから、これが特徴的な給付になるのかということですね。あるいは、準消費貸借契約という類型があります。これは、例えば売買契約によって、代金債務を貸し金債務に切りかえるというような場合ですね。こうした場合に、果たして特徴的な給付というのは一体どういう考え方をすればいいんだろうかということについて、鳥居先生、ぜひ伺いたいと思います。
○鳥居参考人
実は、この特徴的給付というのは大変難しいところがございまして、今、質問者の方が言われましたような問題点はございます。したがいまして、特徴的な給付があると言える場合についてはこの推定を行うことになるわけでございますので、それが非常に不明確であるという場合には推定は働かない。推定でございますから、反証ができるということでございます。
○柴山委員
鈴木先生から、もし今の事例について何か補足されることがあれば。
○鈴木参考人
不明確な点につきましては、判例法の集積であるとかによってこれから明らかにされていくと思いますが、今の御質問の例でいきますと、消費貸借契約自体の弁済は金銭の弁済にすぎないということで特徴性がないんじゃないかというのもありますけれども、恐らく締結された時点で、例えば債務者の資産であるとか債務者の責任財産の状態であるとか、そういったその時点における最も密接に関連する場所というのは比較的容易に見出せるのではないだろうかと思います。
従前の場合ですと、それを行為地という概念でやっておりましたので必ずしも明確ではなかったということでありまして、今回の法律である密接関連地という概念の方がより便宜にかなっているのではないだろうかと思います。
○柴山委員
ちょっと事前にいろいろと勉強させていただいた範囲では、むしろ逆に、例えばお金を貸すという契約の場合は、貸し主、要するに債権者ですね、債権者の貸す行為自体を何か特徴的な給付と考える考え方もあるというように聞いておりますので、このあたり、本当に基本的な類型の契約なわけですから、混乱が起きないような形で今後運用がされ、また解釈が積み重ねられていくことが必要なのではないかというように感じております。
次の質問に移らせていただきます。
先ほど鈴木先生の方からも御指摘くださった不法行為、特に生産物の引き渡しの不法行為についてなんですけれども、これについて、特に鳥居先生の方にお伺いします。
被害者が生産物の引き渡しを受けたということの認定が、例えば、被害者の方が第三国で、全く被害者に本来縁もゆかりもないような地で引き渡しを受けて、それを自分の国に持って帰って使う。そして、自分の国で、例えばとんでもない製造物の欠陥によってけがをしたというような場合に、本当に、たまたま購入した第三国、縁もゆかりもない国の法律で、これを日本の裁判所なりが判断するということが妥当なのかどうか。具体的に予見可能性の縛りももちろんあるとは思うんですけれども、こうした原則についての妥当性について、もう少し突っ込んで御説明をいただければと思います。
○鳥居参考人
今おっしゃいましたようなことが起こるわけでございます。したがいまして、例えば、全く思いもかけない、要するに、ある国で、男性の方でしたらひげそりの機械をお買いになって、それをまた旅行によって全然別の国で使っているときに故障が起きてけがをした、そういうような場合というのは当然考えられるわけでございます。
けれども、これはやはり想定できないということでございますので、一応は、そこにございますように、まだ法案の内容が頭の中に何条と入っておりませんのでもう一度見させていただきますが、生産物責任につきましては常にそういう問題が起きるということは考えられていることでございますので、予見できない場合には、通常予見できないものだということになりまして、生産物の引き渡しということについて法案の十八条はそのように申しておりますけれども、この場合にはやはり事業所の所在地の法になるということが出てくるのではないかと思います。
○柴山委員
そろそろ時間がなくなってくるんですけれども、ただ、今最後に鳥居先生がおっしゃったように、結局、わけがわからないようなところで引き渡しがされてしまったような場合には、その場合は生産者の主たる事業所の所在地の法律で定めることになっているわけでして、これが本当に被害者の保護という観点から妥当性を持つのかどうかということについて鈴木先生にお伺いします。
あと債権譲渡で、先ほど鳥居先生の方から、集合債権譲渡等のニーズがそんなに大きくないんじゃないかという御指摘がありました。債権自体が一体となって譲渡される場合に、債権それぞれの準拠法が違うような場合には、やはり譲り渡し人の例えば居住地、常居地等をフォーラムとするようなことも考えられてしかるべきではなかったのかと思うのです。
以上二点について、鈴木先生、御意見があればお願いします。
○鈴木参考人
まず、先ほどの生産物の引き渡し地の問題でございますが、例外としまして、通常予見することができない場合には、生産業者等の主たる事業所の所在地法になる。それでもだめな場合、それでも不都合のある場合というのが、恐らく、明らかにより密接な関係がある地がある場合というふうに考えるのがいいかと思います。
例えば、今、外国の生産しましたエスカレーターが日本で生産物のゆえに事故を起こしたという場合を考えたらよろしいと思うんですが、このような場合には、事故に遭った人は決してエスカレーターの引き渡しを受けているわけではございません。そうしますと、一体どこがより密接な関係がある地かというふうに考えますと、恐らくおのずと答えが出てくると思います。
それからもう一つ、債権譲渡の準拠法に関する御指摘でございますが、おっしゃられましたように、恐らく集合債権譲渡の場合のことも想定した上で、譲り渡し人の常居所地を一つの準拠法としてどうだろうかという意見もありました。ただ、集合債権譲渡の場合に、全部譲渡人を同じくする場合とは限りませんで、それぞれの債務者がまた異なっておりますので、譲渡債権そのものの準拠法というのは必ずチェックしなければいけないということで、いろいろ考えました結果、日弁連としては、実務的にこれが簡便であろうというふうに考えたわけでございます。
○柴山委員
本当は、この後、身分法について鳥居先生に詳しくお聞きしたかったんですけれども、大変残念なんですが、持ち時間が終了してしまいました。すばらしい法律の改正の内容だと思いますので、しっかりと支えていきたいと思っております。
どうもありがとうございました。
第164回 国会 決算行政監視委員会
第164回 国会 衆議院 第7号
2006年6月12日(月)
午後一時開議
○柴山委員
自由民主党の柴山昌彦でございます。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
まず、総理に伺います。
総理は今通常国会を延長しない方針を示され、教育基本法の改正、憲法改正国民投票法案の審議など重要案件が軒並み先送りになりました。一方、この秋に実施される自民党総裁選に総理は立候補されない旨明言しておられますので、これらはすべて次の政権に引き継がれるわけです。
総理は、ポスト小泉、あなたの後継者に何を期待しておられるのですか。何を託したいと思っていらっしゃるんですか。
○小泉内閣総理大臣
まず、私は、九月で任期が切れますから、それまでは総裁として、また内閣総理大臣としての職責を果たすべく全力を尽くしていく。そういう中で、今国会、今月の十八日で会期末を迎えます。皆さんの御協力のおかげによって、かなりの法案も成立を見ました。
今御指摘の、教育基本法改正案また国民投票法案、あるいは防衛省昇格の法案、これは、本来与党と野党第一党が対立すべき法案でないと思っています。決して先送りするということではなくて、これを審議していただき、次の総理・総裁がこれを成立させることによって、与野党共通の国家の基本問題についての認識ができればよし、成立すれば実績にもなる。改革に終わりはないし、総理大臣の仕事はだれがやっても困難であり、懸案は山積しております。これはどの時代にも共通しております。
そういうことを考えますと、総合的に考えて、今国会延長せずに、自由民主党も総裁選挙が行われる、野党第一党の民主党も代表選挙が行われる、お互い、夏休みに入りますから、時には頭静かに国家の将来をかくあるべしと考えるのもいいのではないかと思います。
○柴山委員
与野党一体として改革に邁進をしなければいけない、まさしく、重い課題、次期政権に課された一つのノルマではないかと思っております。
そこで、次にノルマの問題についてお伺いします。 今、多くの社会保険事務局で行われていた国民年金保険料の不正免除問題で、これは、村瀬社保庁長官が保険料の納付率を六割台から八〇%に回復させるというノルマを設定したことが原因だという声があります。顧みれば、昨年四月に発生したJR福知山線の脱線事故でも、日勤教育の名のもとに運転士に課されたノルマが大惨事を招いたと言われています。また、最近の耐震偽装問題でも、事業者が建築士に鉄筋の量に関して厳しいノルマを課したことがああいった構造計算書の偽装を呼んだとされているわけですね。 このように、ノルマを掲げることに疑問の声が上がっていることについて、総理はどのようにお感じになりますか。
○小泉内閣総理大臣
ノルマという言葉がいいかどうか、それはともかく、目標というものを掲げるということは、どの世界においても必要だと思います。
その目標なりノルマが達成可能であるか、実現可能であるかということを考えるのは、ノルマ設定、目標設定においても重要なことだと思っております。それが不可能なノルマなり目標を掲げて、これを達成しろ達成しろと言ってしりをたたくのがいいのかどうか。それを受けた人たち、また指導者の、ふだんの性格なり人柄なり指導力にも影響があるんだと思います。
いずれにしても、一定のノルマなり目標を掲げるのは悪いことではないと思っております。
○柴山委員
今御指摘のとおり、ノルマの設定自体は決して悪くないけれども、ノルマの設定の段階で、あるいは実施の段階で、法令遵守、いわゆるコンプライアンスを意識することですとか、問題行為をチェックできる体制、ガバナンスを確立することですとか、あるいは今御指摘のように、常にノルマや業務の見直し、評価を行っていくこと、そういうことが大切だと思うわけです。まさしく業務の中身、質の確保が重要だということだと思います。
今通常国会で行政改革推進法が成立しましたけれども、国家公務員を五年間で五%以上純減させるとか、原則二年後までに政策金融機関を一元化して貸付金残高をGDP比で半減させるとか、特別会計の統廃合によって五年間で二十兆円の財政健全化を図るといった内容は、いわば量の改革なんですね。ノルマの発想なんです。これはこれで、今おっしゃったように、よいことですし、わかりやすいと思うんですけれども、今後は、今申し上げた質の改革が求められるのではないでしょうか。予算を削りながら、どのようにサービスの効率を上げていくかという戦略の立案や、今やっている政策が本当に効果を上げているかという評価を充実させていくことが大切だと思っております。
竹中総務大臣に、こうした質の改革についての取り組みについて、簡潔にお答えいただければと思います。
○竹中国務大臣
委員がおっしゃいますように、例えば経費の削減とか、まさに法律を遵守しながらしっかりとそうしたことに取り組む、そういう個々の公務員の気持ち、モチベーションをしっかりと持ってもらうということに尽きると思っております。
結局のところ、このためにやらなきゃいけないこと、人事政策上はたくさんあると思いますが、一つの大きな問題は人事評価であると思います。そういう人事評価の制度をしっかりとつくっていく。簡単に言うと能力主義、実績主義ということではありますが、その中に、今おっしゃった質を取り込んでいくということだと思います。
今、そういう意味で、人事評価の第一次試行を行っているところでございます。その試行を行った結果、いろいろな結果が出てくると思います。ここを変えなければいけない、そういうことをしっかりと織り込みながら第二次の試行もやりまして、新しい人事における評価システム、それを確立していきたいというふうに考えております。
○柴山委員
今は個別の公務員の人事評価制度についてお答えをいただいたわけですけれども、今総務省の方では政策評価のあり方についても検討を重ねられていると聞きますので、その点についてもできればお答えいただきたいと思います。
○竹中国務大臣
最近よく使われる言葉で、プラン・ドゥー・チェック・アクション、PDCAという言葉があります。これは民間企業だったらどこでもやっていることだと思います。成果目標を立てて、しっかりと実行して、それを評価する。その評価について、政策の面でも行わなければいけない。そのために政策評価法が定められています。
ちょうど先般、十七年度の政策評価の実施状況等について国会に我々も報告を行ったところでございまして、これによりますと、政府全体で毎年約一万件の政策評価が行われています。その政策評価に基づいて、例えば、例として申し上げますが、公共事業については、平成十四年から十七年度の四年間で総事業費として約三・二兆円規模の事業が廃止、休止、中止されたということになっております。これはいろいろな面でそういうのが出ております。
ただ、これは国民にもっと知っていただかなければいけない、その点が実は大変重要だと思います。総務大臣になりましてから、この重要な仕事をやっているんだからもっと国民に知ってもらおう、そのための努力を重ねておりますが、さらにそういう努力を進めていかせていただいて、また、その成果を国会でもしっかりと御審議を賜りたいというふうに思っております。
○柴山委員
今おっしゃった評価の充実に加えて、行政サービスの利用者の不服を独立した機関が迅速、公平かつ専門的に判断する準司法手続の拡充も有効だということを、あわせて申し上げさせていただきたいと思っております。
現行の国への不服申し立て制度では、二〇〇二年度一万七千六百件のうち、不服申し立てが結局認められたのはわずか一八%、そして、結論まで六カ月以上かかった事例は三五%に上っているわけです。こうした実態をどのように改善するかということも大変重要な課題ではないかと思っておりますので、御検討をよろしくお願い申し上げます。
先ほど、公務員の人事評価制度について御説明をいただきました。能力主義というようなお話がございました。質の改革の一環として、それでは、逆に、同じ業績をより少ない経費で実行したことが報われる仕組みは御検討されていますか。
○竹中国務大臣
先ほど申し上げましたように、全体の中でやはり成果目標をしっかりと立てるということなんだと思います。成果目標というのは、要するに、この政策をやることが目的なのではなくて、政策を行った結果どういうよいことがあるのか。例えば事業でありましたら、ここの混雑率がこれだけ改善するとか、何かの雇用率がこれだけ上がるとかその目標を設定して、それをやる執行はできるだけ自由にやっていただく。そうすることによって、実は経費削減の、先ほど申し上げた一種のモチベーションなんかも出てくるわけでございます。結局のところ、政策のいろいろなところに、先ほど申し上げましたようなPDCAのサイクルをしっかりと取り入れていく、それが基本であると思います。
そのためのモデル事業等々をこの三年間もいろいろやってまいりました。そういうことを拡充していくこと、そしてその中に、私が先ほど申し上げました公務員のそれぞれの経費削減に対する動機づけ、モチベーションをしっかりと取り込んで、その人事評価を適切に行っていくこと、これが必要ではないかと思っております。
○柴山委員
個々の公務員の能率に関する創意工夫を大切にする、あるいは、経費節減についてモチベーションを図る仕組みを検討していくという御説明だったわけですけれども、大変難しいことだと思っております。と申しますのは、民間企業では、経費を削減して利益をふやせば、それは、株価の上昇ですとか賞与の増加といった形で社員や役員にプラスになりますから、みんな必至で節約に努めるわけですよね。私の地元所沢の事業者の方々からも、とても御苦労をされている実態をお伺いしております。しかし、役所では、予算や人員をふやせば、それが権限の拡大につながる一方、予算は基本的に税金によって賄われてしまうわけですから、節約しても役所や公務員には直接のメリットはないわけです。
年末になると私も役所から予算の陳情を受けますけれども、この施策は重要ですから予算と人員の拡大をお願いしますという要望は受けますけれども、いまだかつて、この施策は不要になりました、あるいは、これだけ経費を削減しましたといって予算の削減をお申し出になられる方に出会った記憶がありません。
もちろん、公共事業の随意契約ですとか指名競争入札の不透明性といった一般に指摘されている問題に関しましては、昨今の、入札、契約に関する適正化指針の改正案が、五月二十三日でしたか、閣議決定されたと承知しておりますけれども、それ以外にも、やはり、年度末に工事がふえるですとか、小さなところでは、役所が紙を無駄遣いし過ぎるんじゃないかですとか、終電がまだあるのにタクシーを使うのはおかしいんじゃないかですとか、失礼な言い方になりますけれども、私は、事の性質上、公務員の皆様にはコスト意識という思考回路が欠落しているとしか思えないんですが、いかがでしょうか、竹中大臣。
○竹中国務大臣
御指摘のとおり、こういう人事評価の御専門家がいらっしゃいます、労務管理、人事管理の専門家がいらっしゃいますけれども、そういう専門家のお話を伺っても、民間企業の場合は利益ないしは売り上げ、シェアというような非常にわかりやすい評価の基準がある、それに対して、まさに公務の場合は、本当にそれによって成果がどのくらい上がっているのか、その成果そのものが社会的な評価になりますので、大変難しい問題であるということを口々におっしゃいます。とはいえ、それでも評価をしなければいけないということで、専門家の間でもいろいろな知見が今蓄積されているというふうに思っています。
そういう知見を活用しながら、今まさに、先ほど申し上げました第一次の評価の試行を行っています。その中で、例えば実績面では、役割達成度の評価、それと先ほどの成果の評価、そういったことを組み合わせて、まさに委員がおっしゃったようなその難しい問題に今我々なりにチャレンジをしようとしています。
まだ一次評価が始まったばかりでございます。この一次評価を受けて、つまり、ここの部分はこの評価のままではまずい、今委員がおっしゃったような点、まだうまくここは取り入れられていない、であるならば、今度は二次評価でこういう評価基準をつくってみよう、そういうことの試行錯誤を数次の試行で行っていこうというふうに思っております。
これは諸外国でも大変苦労しているところだとは思いますが、やはりそこに踏み込まないとよい仕事はできませんし、国民の納得も得られないというふうに思っております。
○柴山委員
業績の評価ということと経費の節減ということは、いわば裏と表の関係にあるのかなと思っております。ですから、直截的に、例えば公務員が経費の削減をした場合に、その削減額の一定割合を賞与の増加などの形で当該公務員に還元させるですとか、もっと明確なインセンティブを考えないといけないのではないかというように私なんかは思っています。
あと、役所に民間の人材をもっともっと登用することが必要だと思います。大臣のようにですね。
この決算行政監視委員会で、筒井委員長初め同僚の先生方と昨年十一月にシンガポールに視察に行きましたけれども、シンガポールには、いわゆる公務員試験はありません。また、公務員の身分保障もありません。公務員の給与は民間の水準を参考に頻繁に改定されています。それでも、民間で経験を積んだ、若くて優秀な人材がどんどん公務員に採用されていますし、逆に、郵便事業や金融機関あるいは警備部門などの民営化も活発に行われているわけですね。ぜひ参考にしていただければと思っております。
さて、ことしの六月七日に参議院の決算委員会で、総理は、決算の重要性につきお触れになっていました。しかし、衆議院でも参議院でも、予算委員会は花形委員会とされているわけですが、参議院の決算委員会や行政監視委員会あるいはこの衆議院の決算行政監視委員会は、必ずしもそうは扱われていないと思います。しかし、同僚議員の先生方、今、シーズンですから各種総会に出席されると思うんですけれども、民間の団体では、決算をもとに翌年の予算を検討するのが常識です。
そこで、提案なんですけれども、この委員会で決算審査をする際に、重立った予算単位に関して、査定した財務省主計局の主査と各省の事後評価の担当者、もちろんこれには外部の有識者も含めてですけれども、しっかりと呼んで、時にはサポート役である総務省の行政評価局の方を呼びまして、充実した審議を行う。そして、それを踏まえて次の予算要求ができる。そういうような制度にしたらいかがかと思うんですけれども、どうでしょうか。
○谷垣国務大臣
私、財務大臣になりましたとき、総理からいただいた指示、幾つかございましたけれども、その一つに、予算の質の向上を図ることというのがございました。それで、予算の質の向上を図っていくときに、今委員のおっしゃった決算というもの
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