- ○下村委員長代理
- 柴山昌彦君。
- ○柴山委員
-
自由民主党の柴山昌彦でございます。
参考人の先生方におかれましては、本日は、御多用中のところをどうもありがとうございます。
個人的なところを申し上げますと、青山参考人は、私が学生時代に民事執行法を教えていただいた非常に学恩ある先生ということで、本日は、よろしくお願い申し上げます。
早速質問に入らせていただきます。
今回の破産法の改正につきましては、先生方から御説明のあったとおり、非常に大きな前進であると私も考えております。そこで、まず先生方、なかんずくユーザーとしての立場から綿引参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、今回の破産法改正が積み残した問題点、とりわけ経済界におきましては、例えば管財人の解除権との関係で、登録のない契約、登録のないライセンス契約の保護などをどうやって図っていくかというようなことが私は個人的には問題なのではないかなと思っているんですけれども、今後の課題についての御意見をまず先生方にお伺いしたいと思います。各参考人の先生方にお願いしたいと思います。
- ○青山参考人
-
ライセンス契約は、双方未履行の、双方が義務を持っている一種の双務契約であろうというふうに思います。そこで、ライセンサー、ライセンシー、どちらでも一方が破産した場合の処理は、これは破産法の今までの現行法の規定ですと、五十九条の双方未履行の双務契約から考えていくべき問題であろうというふうに思います。
そこで、破産管財人は、従来のライセンス契約を継続するのかどうかということを選択し、そしてその結果、もし継続をするということになれば、そのために払うべきものは財団債権として払うし、解除した場合には、相手方からの損害賠償という問題は破産法の中で処理する、そういうことになっているというふうに考えております。
- ○綿引参考人
-
お答え申し上げます。
今回の破産法案で、賃貸人が破産した場合の取り扱いについては、賃借人が対抗要件を備えている場合について、破産管財人の解除権を制限するというふうにしたわけですが、この規律は、契約上の使用収益権一般を対象とするということで、第三者に対抗することができる権利を目的とするライセンス契約におけるライセンサーの破産についても適用されるということになったわけです。しかし、対抗要件制度が用意された知的財産についても、通常実施権の登録は実務上非常に少ないと言われておりますので、一歩前進ではあるものの、やはり限界があるなと考えております。
この点、昨年の七月に政府の知的財産戦略本部がまとめた報告の中に、知的財産権法における第三者対抗要件制度の見直しに関する検討を行うというようなことを言っておるようですから、知的財産権法による保護をちょっと今は期待しているという形でございます。
以上でございます。
- ○須藤参考人
-
弁護士会の方で統一的に、この点が積み残しなのでまた改正をというような統一見解は持っておりません。あくまで個人的な意見でございますが、例えば、いろいろな債権の優劣を決めるときに、現在は租税債権というものが一番優先する形になっておるわけでございますが、考え方によりますと、倒産した企業に一番密接なところから保護すべきではないか。
例えば、労働債権というのは、そこに全面的に依拠していた人たちの権利ですから、これが最優先されて、それからその企業と取引をしている取引債権、こういったものが次に優先される、そして金融債権、そして租税債権は国民全体で負担するんだから一番遠い債権ではないかなどという考え方もありまして、いろいろ優先関係については意見がたくさんあるところでございます。ただ、租税債権の優先性というものについて、もう少し見直されてもいいんではないかというような個人的な考えを持っております。
以上でございます。
- ○柴山委員
-
どうもありがとうございました。
次に質問させていただきたいのは、先ほど来、破産者のモラルハザードと、あとは、一度破産した人でももう一度やり直すことができるようにしなくてはいけないという、二つのある意味では相反する要請をどうやって調整していくかということに非常に大きな議論が割かれたのではないかなと思っております。
その点から、今回の免責制度については、私が先ほど質問しようと思っていた事項については須藤先生の方から、悪意で加えた不法行為の運用の問題、あるいは給与再生の開始手続から七年ですか、以内の免責の申し立てというものが免責不許可になるということの問題点については御指摘いただいたんですけれども、私がここで一つ取り上げたいのは、免責手続中、例えば同時廃止とかによって既に破産手続が終わった後、免責が確定するまでの間に強制執行が結局できなくなってしまうというところで、これは非常に大きな議論、また判例の動きもあったところだと思うんですけれども、これについて新法では、個別の強制執行は結果としてはできなくなってしまうということで、行き過ぎた破産者の保護になっているのではないかという意見も当然あろうかと思うんですけれども、これについての御意見を伺いたいと思っております。
- ○下村委員長代理
-
だれがいいですか。
- ○柴山委員
-
では、青山先生と須藤先生に。
- ○青山参考人
-
お答え申し上げます。
今の問題は、最高裁の判例も出ておりますが、例えば、破産手続が同時廃止で終わった、免責の申し立てをしている、その間に、例えばその破産者の被相続人が亡くなって自分に財産が少し入ってきたというと、それを目がけて強制執行をする。その強制執行が許されるかどうかといいますと、従来の制度では、それは強制執行は禁止されておりませんので許されたわけでございます。しかし、その後に破産者が免責を許可されますと、そうすると強制執行でとられたものが不当利得になるかどうかということの問題もございました。
そこで、今度の破産法の改正は、そういう破産手続と免責手続が連続しないことによって、その間を縫って債権者が、強制執行をかけられる債権者とかけられない債権者との間にバランスを失するのはおかしいのではないか、たまたま債務名義を持っている者は強制執行をかけられるし債務名義を持っていない者は強制執行がかけられない、そういう債権者の平等に違反するようなことはやめようと。それからまた、後になって免責が許可された場合に、その間にとられたものが結局返ってくるのかこないのか、そういう複雑な問題もありますので、この点は、債務者の再生、再チャレンジを保障しようということで一連の手続とした。
これは私は、モラルハザードを生じさせないで、むしろ、これはアメリカ法なんかと同じですが、破産手続と免責手続を一つの倒産手続として考えることの方が合理的だというふうに考えております。
以上です。
- ○須藤参考人
-
お答え申し上げます。
破産というのは、破産宣告、今度の言葉で言いますと破産手続開始決定ということになりますが、その開始決定時にある財産はすべて吐き出す、先ほど自由財産というのが広げられたという点はございますが、しかし、それ以外の財産というものはすべて吐き出して弁済に充てるという手続でございますから、したがいまして、その後、免責をされるということは非常に妥当なものだろう。そうすると、たまたまその手続が進行している途中で給料債権等が差し押さえられるというのは、これはやはり何とか防止してあげていいんではないか。弁護士会の中ではほとんどがそういう意見でございまして、差し押さえを許さないことがモラルハザードを来すんではないか、このような意見は余りなかったように記憶しております。
以上でございます。
- ○柴山委員
-
個別の問題点をやっているとほとんど時間がなくなってきますので、ちょっと大きな観点から質問をさせていただきたいと思います。
今回、我々自由民主党では、倒産法制のみならず、例えば、中小企業の社長さんを連帯保証人にとる包括根保証制度について、これを何とかして見直す必要があるのではないか、保証人を保護する必要があるのではないかという観点から意見を述べさせていただいているところでございます。
そのような中で、保証人の倒産法制におけるあり方について、従前、いわゆる全部義務者ということで、破産宣告後にその保証人が履行しても、一部履行である場合には、その破産債権者たる地位の承継をする必要がなかったわけですね。この点について、実は、今まで実務に非常に混乱を来していた部分があって、例えば保証協会の代理人とかから、一部弁済するので破産債権の一部について地位承継をしてくれなんということを私も弁護士時代に何度か言われたこともあるんですけれども、こういうような制度をむしろ促進した方が保証人の保護ということにもつながるのではないかということで、いわゆる、この点についての抜本的な改革というものについてどうお考えか、青山先生に特にお話を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
- ○青山参考人
-
大変大きな難しい問題を提起されました。今、法務省では、保証制度の見直しという、法制審議会にそういう部会がありまして審議しておりますけれども、そこでその問題を扱うかどうかは私は十分には存じておりません。
会社が倒産した場合に、特に中小企業の場合には、社長さんが個人保証人になってもらわなければお金を貸さないという事態は、もう一般的でございます。そうすると、もともと有限責任である会社が倒産すると、では個人である連帯保証人である社長さんが今度は前面に出てきて無限責任を追及される、これはおかしいのではないかというのは、感覚としては私は非常によく理解できる、その点は委員のおっしゃるとおりでございます。
さて、それでは、民法の保証制度、特に連帯保証というものをどういうふうに考えるかという大きな問題があろうかと思います。もともと連帯保証人、あるいは通常の保証人もそうでありますが、主たる債務者が破産した場合には連帯保証人が全面的にそれを引き受けるということで民法はつくられているわけですね。
しかし、一般に世の中で、私も何人も連帯保証人になって大丈夫かなと思ったこともありますけれども、連帯保証人になる場合に、それほど、この人が倒産したら自分は全部ひっかかるということをきちんと意識して判こを押すのか、あるいはそこまで考えていても、判こを押さないと言ったらこれは人間関係がこじれちゃうなというようなことがあって判こをつい押してしまうという現実があろうかと思います。
最近は、そういう個人、連帯保証にかわって保証協会とかそういうものができつつありますけれども、しかし、全部が保証協会で保証がされるわけではない。そうすると、委員今御指摘のように、やむを得ず連帯保証人になってしまった、それで主たる債務者が倒産しちゃった、さあどうしようかという事態はおっしゃるとおりだと思います。
これは二つの方向があると思いますが、一つは、連帯保証というものはそういうものであるということをきちんと教育して、そういうものとして運用していくということが一つ。もう一つは、連帯保証人の義務というものを軽減するということは、これは法律の改正をすればできるわけであります。どちらをするかということは、これは日本の金融政策全体との関係で考えなければならない問題かなということで、特に私は今連帯保証人の義務は軽減した方がいいというような定見は持っておりません。広く検討していただきたいというふうに思っている次第でございます。
- ○柴山委員
-
最後の質問とさせていただきたいんですけれども、これも私の実務における一つの経験であったんですけれども、賃貸借契約における賃貸人の倒産についての今回の法制度について、対抗要件を備えればそれは引き続き保護されるというお話をいただいたんですが、この場合の賃借人の敷金返還請求権がどうなるかという問題が一つございます。
これについては、再生手続あるいは会社更生手続におきまして一定の保護はされたところでございますけれども、実は、私、これが果たして本当に全額保護されるものなのかどうなのかというところで、非常に、裁判でも争った経験があるものですから、これについて、今後、破産手続でどのように処理されるのかということについて御意見を伺いたく思います。それでは、青山先生と、では須藤先生にお願いします。最後の質問です。
- ○須藤参考人
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お答え申し上げます。
間違っておりましたら青山先生に御訂正いただきたいと思いますが、敷金を預けている場合に、賃料は払うけれどもそれを寄託しておいてくれという制度が今回設けられたわけでございます。
そうしますと、敷金の返還請求権というのは、後に明け渡した後でなければ返還の請求ができないわけで、現在、すぐにそれを賃料と相殺ということはできないわけですが、そのように、寄託させておいて、後に明け渡すときに賃料と敷金返還請求権を相殺した上で寄託していたお金を全額返してもらう、こういったことができるようになったんだというふうに私は理解しておりまして、これは妥当な改正だろうというふうに思っております。
以上でございます。
- ○青山参考人
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私の答えも今の須藤参考人の答えと全く同じでございますが、従来は、賃貸人の破産の場合に解除ができる、賃借人は保護されない、ただ敷金を納めている場合には当期及び次期の分だけが保護されるという法制であったわけですが、今回は、賃借人はそこに居続けることができるという保護の制度を取り入れ、今御指摘にありましたように、敷金返還請求権についても、寄託という制度を設けることによって金銭的にも保護が図られたのではないかというふうに思っております。
- ○柴山委員
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以上です。どうもありがとうございました。
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