委員会での発言
法務委員会
第159回国会 衆議院 法務委員会 第29号 2004年05月25日(火)
午前十時開議
○柳本委員長
 御苦労さま。
 柴山昌彦君。

○柴山委員
 自由民主党の柴山昌彦でございます。
 本日は、参考人の皆様、お忙しい中をありがとうございます。
 先般の九・一一テロ、あるいはイラク情勢の悪化、あるいは先ほど来御質問に出ているような外国人犯罪の増加の中で、我が国の外国人犯罪に対する取り締まりの強化の声というものは非常に大きくなっていると私も認識しております。今回の法改正はそのような要請に一定程度こたえたものであると私は認識しております。
 まず、竹花参考人にお伺いしたいのは、例えばこうした罰則の強化、特に不法入国者に対する罰則の強化、そしてその一方、一定の入国管理官署にみずから出頭した不法滞在者のうち、軽微な事案については上陸拒否期間を短縮するというような措置も設けることによって、より入管手続の徹底というものを図っていると思うんですけれども、こうした手続を外国人自身がしっかりと認識しなければ、その取り締まりの実は図れないと思います。ところが、外国人の大半は、不法入国者あるいはオーバーステイの外国人というものは、そんな日本の制度なんか知ってはいない。そのような中で、先ほど申し上げたような黄金の橋である上陸拒否期間の一定の場合の短縮ですとか、あるいは罰則の強化というものをどうやって周知徹底していけばよいのか。
 また、私は、こうした不法就労の問題というのは、やはりそれを雇う側に非常に大きな問題があると思っています。今回は、不法就労の助長罪についても、罰金二百万円以下というものを三百万円以下というふうに引き上げていますけれども、こうした罰則の強化についての周知徹底、これもまた同様に非常に重要な問題であると考えます。これについてどのような施策をお考えなのか、竹花参考人にお伺いしたいと思います。

○竹花参考人
 法改正の周知にかかわる問題でございますけれども、東京都は、不法滞在者対策を講ずる上で、先ほど申し上げましたように、特に不法滞在者対策、外国人の犯罪を防止する上で、やはり中国人の組織犯罪を抑止するということが最も重要な課題だというふうに考えておりまして、その点で在日の中国人の方々と意見交換を進めてきております。
 その過程で明らかになっておりますのは、こうした入国管理の内容について中国人社会は非常に大きな関心を持っており、それは不法滞在者にとっても同様であるということでありまして、どういう対策を講じるのか、あるいは政府がどういう対応の変化をするのかということについては、非常に速い速度で主に口コミで伝わってまいるというふうに思っております。
 が、一方で、その対話の中に、中国人向けの情報紙を発行しておられます、新聞ということですから、一週間に一回程度の新聞を発行しておられる方々が多数おられますけれども、そういう方々とのお話の中で、実は東京都がこの問題に関心を持っていることについてはその新聞に載せてもらいまして、こういう不法滞在者対策についても入管局と一緒になって、悪い者には厳しく、そうでない者については早く帰れるような方法を考えているぞというようなことにつきましても、彼らの新聞を通じまして、東京都の姿勢といったようなものについても、これまで既に周知をする方向で努力いたしておるわけでございます。
 いずれ本法案が改正されますれば、法務省当局ともいろいろるる相談をいたしまして、東京都といたしましても十分な工夫をしてまいりたいと考えております。(柴山委員「雇う側の問題」と呼ぶ)雇う側につきましては、東京都におきましても産労局がございますので、そうしたところから事業者にあててそうした情報の周知を進めてまいりたいと思っております。

○柴山委員
 ありがとうございます。
 今回、不法就労者が非常にふえているという問題については、雇う側にも非常に問題がある。実際、雇用の調整弁的な役目をオーバーステイの外国人に負わせて、そして景気が悪くなったら真っ先に切り捨てて、それで生活の糧がなくなったこうした人たちが犯罪に走る、そういうような面が私は否定できないと思うんです。
 こうした日本に在留する外国人、定住外国人について、日本の人たちと同じような法制度に組み込む。具体的には、帰化制度をあるいはもう少し弾力的に運用した方がよいのではないか。あめとむちという言葉もありますが、いわば、外国人のうち、日本に本拠を持ち、日本人と同じような生活をしている人にはもっと積極的に日本国籍を一定の要件のもと与えていったらよいのではないかと私は考えるのですが、これについてどのようにお考えでしょうか。竹花、山神、市川各参考人の方々にお伺いしたいと思います。

○竹花参考人
 不法入国あるいは不法滞在を長期間継続することで日本における永住資格等が得られるということが蔓延するのは、やはり入国管理上問題があるというふうに考えます。が、他方で、日本における外国人労働力の活用の方法につきましては、現状不法就労者がこれだけ多いという実情を考えますと、そのニーズがあるというふうにも考えるわけでございまして、その適切な受け入れ方について、やはり国全体としてクリアな方針を立てていくべきだというふうに考えます。

○山神参考人
 私も、不法に長い間滞在し、働いているということの積み重ねの上で、例えば永住あるいはそのまま帰化というふうな話になりますと、それはかえって新たな不法入国あるいは不法残留による就労ということを招きかねないと思いますので、必ずしもそういうふうな方向でいくのが望ましいとは考えておりません。
 しかしながら、やはり、今竹花参考人も申されましたように、現実に働く需要があるというふうなこと、そしてこれが長い間そういうふうに伝わってきているということは間違いない事実でございますので、一方では、それは治安問題だという意識を、雇い主がそういう意識を持つように啓蒙を進めなければなりませんが、もう一つはやはり、そういうふうに社会に必要な労働力の部分をどうやって埋めていくのかという真剣な議論が必要かもしれないと思います。
 特に、先ほどちょっと、一九九〇年代前半の三十万人近い不法残留者が二十数万人まで減ってきた、もちろんこれは失われた十年という経済的な停滞もあったかもしれませんけれども、同時にやはり、そこに日系人が入ってきて働いたこと、あるいは、これもさまざまな御意見ございますけれども、技能実習制度によってある程度すき間を埋めることができたというふうなこと、そういうふうなこともございます。
 今後の外国人労働者の受け入れ問題についての議論が必要だと考えるゆえんでございます。

○市川参考人
 まず帰化制度でございますが、在留資格があるなしということとはまた別に、帰化制度あるいは永住の資格の付与を弾力的に運用するということは、これは十分考え得ることでありまして、それによって在留を安定させて生活の安定を図っていくということは、選択としてあり得ることであろうと思います。ただ、これは日弁連として今見解を申し上げているわけではございませんが、個人的な意見としては、そういうことはあるだろうと思います。
 ただ、帰化ということになりますと、これは日本国籍を取得させるということでございまして、その選択も一つの選択だとは思いますが、やはり外国人の方たちというのは、それぞれ自分たちの国の背景であるとか言語、文化を持って日本に来ていらっしゃるということでございまして、日本国籍に一律帰化するべきであるというような政策もまたいかがかなと思います。むしろ、それぞれの民族的背景や言語的な背景というものを広く包み込むような形で共存していく、共生していくという社会の構築ということをもう一つの視点として持っていくことが一つは必要ではないかなというふうに思っております。

○柴山委員
 非常に難しい問題ですけれども、外国人の中でも、例えばフィリピンとか東南アジアの方から入国した女性が、事実上日本の男性と肉体関係を持って、婚姻ということをしないまま子供ができてしまう。その子供を学校に連れていかないわけにはいかないわけですから、学校に上げる。そうしたら、その子供はどういう法的な地位があるんだということは、私も弁護士時代に非常に難しい問題が出てきたのを記憶しております。
 そのような中で、国籍の取得というもの、あるいは定住としての保護をもう少し弾力的に考えていくべきではないかということを再度申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 さて、難民の認定制度については、この後、恐らく民主党の皆様方から非常に詳細な質問があるものと思いますので、そちらの方に譲りますけれども、ただ一点、私が山神参考人にお伺いしたいのは、先ほど市川参考人の方から提起された、参与員制度を導入するとすれば、そのあり方について非常にしっかりと考えるべきではないかという御提言がありました。専門家、特にUNHCRの方々、あるいは日弁連の方々を積極的に登用していく、またその人数比も考慮して、入国管理行政を担う人たちとのバランスというものを考えていかなくてはいけないのではないかという御提言がありました。これについてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

○山神参考人
 現在提出されている法律案を見ますと、法律あるいは国際関係についての有識者の中から選定されるというふうなことになっておりまして、その規定ぶりとしては、恐らくそういうふうな視点から選ばれるのが望ましいんではないかと存じます。日弁連からというふうに、あるいは日弁連の意見を聞くかどうかというふうなことにつきましては、それは恐らく、これを任命される法務大臣のところで考えられるべきことでございますけれども、やはり、せっかく公平中立というふうなことをねらって行われた制度でございますから、その趣旨に見合ったような任用がされるものと私は確信しております。
 今、ただ、UNHCRのお話が出ましたので、UNHCRとの関係についてだけ一言申し上げますと、難民条約上、UNHCRとの協力関係というのは一般の問題として広く規定されておりまして、難民不認定に関する異議申し出の過程だけでなくて、もっと認定申請一般からさまざまな格好で意見交換がなされているものだと思います。
 むしろ、国連難民高等弁務官事務所と各主権国家との関係が、余りに対立的なものがたくさんあるとかというふうなことが内外に出てくるのはかえって好ましいことではなくて、むしろ、国際機関と各主権国家は協力して難民の問題の円滑な処理に当たっているというふうなイメージをさらに高めますためにも、もし、法務省あるいは外務省とUNHCRとの間の意見の違いとかがあるのであれば、むしろビハインド・ザ・シーンというふうな格好で緊密な協力がなされていくべきもの、そんなふうな感想を持っております。

○柴山委員
 まだ聞きたいことがたくさんあったんですけれども、持ち時間が終了しましたので、これで終わらせていただきます。
 きょうはどうもありがとうございました。

戻る