委員会での発言
法務委員会
第159回国会 衆議院 法務委員会 第33号 2004年06月02日
午前九時三十二分開議
○柳本委員長
 御苦労さま。
 柴山昌彦君。

○柴山委員
 自由民主党の柴山昌彦でございます。
 私の方からは、昨日、長崎県佐世保市で発生した小学六年生の女子児童殺害事件について質問させていただきたいと思っております。
 なかなか未解明の事実がまだたくさん残されているわけですけれども、報道では、同級生の女子児童が行ったとされております。
 ここで、刑事局長の方にお伺いしたいんですけれども、いわゆる凶悪犯、殺人、強盗、放火、それと強姦ですね、凶悪犯に該当する行為を行った刑事未成年、十四歳未満の少年少女の最近の動向、統計、こういったものがあれば、どのような状況になっているのかお聞かせください。

○樋渡政府参考人
 警察庁の統計によりますと、平成六年以降おおむね百八十名前後で推移しておりまして、昨年、平成十五年には、最近では初めて二百人を超しまして、二百十二名となっております。昨年、二百人を超えた大きな原因は、凶悪犯のうちの放火犯が一昨年に比して六十四名増加していることが原因だと考えられます。

○柴山委員
 先ほど松野委員から、こうした少年少女に対する処遇というのは厳罰一辺倒ではいけないのではないかという問題提起がなされましたが、処遇についての質問はまた後ほどさせていただくといたしまして、仮に今回、報道されているように、同級生の女子児童、今まだ十一歳だというように仄聞していますが、この児童がその事実を行った、あえて犯人と言いますけれども、犯人であった場合には、その後はどのような手続、処分がなされることになっているのでしょうか、引き続き刑事局長の方にお伺いしたいと思います。

○樋渡政府参考人
 刑法の規定によりまして、行為時に十四歳に満たない場合は刑事未成年者として犯罪が成立せず、少年法上は三条一項二号により、「十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年」、すなわち触法少年として扱われることになります。したがいまして、行為時に十四歳に満たない場合は、逮捕などの犯罪捜査のための強制処分を行うことはできません。
 このような少年につきましては、第一義的には都道府県知事や児童相談所長によりますいわゆる児童福祉法上の措置にゆだねられておりますので、警察官としては、十四歳に満たない者による刑罰法令に触れる行為であることが判明した場合、児童相談所に通告することになります。児童相談所長は、必要があると認めるときは、一時保護を加え、または適当な者に委託して一時保護を加えさせることができます。
 そして、児童福祉機関は、通告を受けた児童につきまして、家庭裁判所の審判に付することが適当と認められる場合にはこれを家庭裁判所に送致することとなっておりますが、それ以外の場合には、例えば都道府県において児童自立支援施設入所等の措置がとられることもございます。
 家庭裁判所が事件の送致を受けたときは、事件について必要な調査、審判を行うこととなります。家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、観護措置として少年鑑別所送致などの措置をとることができ、この収容期間は、法律上四週間が限度とされております。
 家庭裁判所は、審判において、事案の内容に応じて、保護観察、児童自立支援施設送致などの保護処分などの決定をすることができます。児童自立支援施設への収容期間は、家庭裁判所で保護処分が言い渡される際に決められるわけではなく、施設側の判断によりますが、特に法律上の定めがあるとは承知しておりません。
 以上でございます。

○柴山委員
 詳細な御答弁をちょうだいしましたけれども、要は、今回警察によって補導がされて、逮捕という手続はないというお話でしたけれども、補導がされて、それで児童相談所から家裁に送致されて、それで観護措置がとられて、それが四週間、長くても四週間というその期間ですね、事実解明手続というものが一切予定されていない。
 少なくとも警察は、一般の刑事事件の場合には、当然のことながら、もちろん相当の犯罪容疑がある場合に限りますけれども、強制処分ということもできる、また任意処分として証拠物を領置したりあるいは実況見分ということを行ったりすることができるわけですけれども、こうした事実解明についての手続というものが、その後、観護措置、その後の少年審判というところに至るまで一切予定されていないのではないかという疑問があるわけでございます。
 これについて、何か事実解明について有効な手段があるのかどうかということを、まず刑事局長にお伺いしたいと思います。

○樋渡政府参考人
 おっしゃられるとおり、犯罪ではございませんので、警察が捜査する権限は持っておりません。家庭裁判所に送致された後は、家庭裁判所が、その少年に対する保護処分等を決定するに当たっての事実調査を家裁が主導で行うことになるわけでございます。

○柴山委員
 家裁の調査というお話が出まして、ただ、その家裁の調査といっても、当然のことながら調査に関する必要な権限というものについては予定されていないわけでございます。
 当然のことながら、被害者にとっては、何よりもまず、どういう事実があったのか、そこが一番の関心事でございまして、もちろんその後に引き続き行われる民事上の損害賠償等の手続もございますし、また、こうした事件の再発防止といったものについても、やはり事実の確定、調査というものが何よりも重要になってくると思うんですけれども、そのあたりは一体どうなっているのかということを重ねてお伺いしたいと思います。

○樋渡政府参考人
 少年法によりますと、家庭裁判所といたしましては、事実調査のために刑事訴訟法が準用されておりまして、捜索、差し押さえ等の強制処分はできることになっております。要するに、犯罪ではございませんので、捜査機関が捜査する権限は持っておりませんでして、すべて家庭裁判所で事実の調査を行うというのが現状でございます。

○柴山委員
 実際に家庭裁判所で調査を行って、その場合に刑事訴訟法の規定が準用されるとありますけれども、例えば、家庭裁判所の調査官の方が、今回加害者とされる女子生徒の家に行って、それで、インターネットのホームページへの書き込みが何か原因だというように報道されています、これは事実関係はまだ確定されていないのでわかりませんけれども、そういうような証拠品を例えば捜索、押収するために調査官の人がパソコンを無理やり持ってきて、それでパソコンをあけて中身を調査する、親が嫌だと言うのに無理やり押収するという手続は予定されているんでしょうか。

○樋渡政府参考人
 これは法律上のことでございますけれども、委員御指摘のようなことは、家庭裁判所の調査官ではなくて家庭裁判所自体が法律上はできることになっております。そして、それを実際にどうやっているかにつきましては、これは犯罪ではございませんで、検察を全然通らないものでございますから、現状等をちょっと私の方でお答えする資料がないところでございます。

○柴山委員
 いや、だから、そういう、裁判所がやることになっているとか、法律が準用されているとか、理屈の問題ではなくて、実際にそういういわば有形力によって、抵抗された場合にそれを、例えばお母さんがそんなことやめてくださいというふうに言われた場合に、それでも、これは事実関係のために必要ですからといってそれを振り切ってでも事実関係を調査しなくちゃいけないときは調査しなくてはいけない、そこら辺の手続は全く法律上定められていないのが現状ではないんでしょうか。

○樋渡政府参考人
 家庭裁判所は、加害少年といいますか触法少年の将来の保護の観点もありますので、どういうようなところまで踏み込めるかという事実上の問題はあるかもしれませんが、その点、私は推測を交えて申し上げるのは控えさせていただきますけれども、家庭裁判所に送致する前、児童相談所の方に行くことしかないわけでありますから、そこでの調査というのは全くなされない。これが大きな一つの問題点だろうというふうに思っておるわけでございまして、家庭裁判所に行ってからは家庭裁判所が法律を使ってどのように調査されるか、これも一つの事実上の問題ではありますけれども、それ以前に調査をする機関がないというところ、それをどうやっていけばいいのか、現在、刑事局内に置いておりますプロジェクトチームで鋭意検討をさせていただいているところでございます。

○柴山委員
 捜査というと、確かに、特に刑事未成年、少年少女というような場合には、あるいは我々弁護士の中で言われているのは、ともすれば捜査機関の質問に対して迎合的な傾向がとられたり、いろいろ弊害があるということは存じています。
 ただ、そういうことの弊害があるにしても、例えば付添人の方の同席の上で必要な調査を行うことができるようにするとか、あるいは、もちろん、先ほど御指摘のあったように、犯行直後の証拠の保全、収集というものが一番この手の事件については必要でありますから、その行為直後の証拠の収集ということをどうするかということについては、適正な手続をしっかりと整えて法整備を行う必要があるんじゃないかということを私も考えているんですが、この点、法務副大臣、立法に関する何か意見があれば、ぜひお伺いしたいと思います。

○実川副大臣
 いわゆる触法少年の事案につきましては、今議論がありましたように、刑事訴訟法に基づく捜査ができなくなり、事案の真相解明が十分できないのではないかという指摘があることは承知をいたしております。
 青少年育成施策大綱におきましては、現在、触法少年の事案について、警察機関が必要な調査を行うことができる権限を明確化するための法整備について検討をすることが盛り込まれております。
 法務省といたしましても、この問題の重要性を踏まえまして、先ほど刑事局長が、局内にプロジェクトチームを設けまして、法改正の要否を含めまして検討を進めているところでございます。今後も、関係機関と協力しながら、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

○柴山委員
 いろいろ難しい問題があると思いますが、ぜひしっかりと検討していただければと思います。
 次に、こうした少年少女の処遇についてお伺いしたいと思います。
 今、刑事未成年について、特に今回の加害者とされる方、少年院に送致するということは予定されていない、児童自立支援施設で、開放的な空間で教育を中心とした措置を加えていく、しかもその期間も不定期というように御説明があったかと思います。
 教育という点も確かに重要だと思いますが、現在、被害者の人権の観点から、やはり、教育の観点だけではなくて罪を償うというような観点の処遇も必要なのではないかという指摘があると思っております。なかんずく、可塑性のある少年だからこそ、自分の行ったことの重要性というものをしっかり認識することが、その少年少女の更生のためにも必要なんじゃないかなと私などは考えているんですけれども、触法少年について、今回の事例はともかく、少年院に対する送致というものを可能にすべきではないか、この問題提起について、法務副大臣あるいは刑事局長の御見解を伺えればと思います。

○実川副大臣
 委員御指摘の十四歳未満の少年を少年院に収容することはできませんけれども、この点につきましても、先ほどお話し申し上げましたように、青少年育成施策大綱におきまして、触法少年につきましても、早期の矯正教育が必要かつ相当と認められた場合には少年院送致の保護処分を選択できるような法改正を現在検討しておるところでございます。
 法務省といたしましても、関係機関と協力しながら検討を進めていきたいと思います。

○樋渡政府参考人
 今副大臣の方から答弁をしていただきましたとおりでございまして、刑事局内に置きましたプロジェクトチームにおきましても、先ほどの調査権限、この少年院送致を可能にする問題、保護観察のあり方の問題等を鋭意検討しているところでございます。
 できるだけ早期にまとめて、法制審議会にかけるものがあれば上げたいというふうに思っているところでございます。

○柴山委員
 早期にというお話があったんですけれども、少年犯罪についても、我々自民党の中では、これについてしっかりとやはり数を減らしていく、教育の観点も含めてしっかりと対処をしていくということを大きな重要な課題としているわけでありますけれども、難しい問題ではあるけれども、早急に早急にと言うだけでは話は一向に前に進まないわけでして、実際にどういう法改正がいつまでにできるのかということが一番重要ではないかと思っておりますが、法改正の時期、これについてはどのような見通しでいらっしゃるのか、改めて法務副大臣に伺いたいと思います。

○実川副大臣
 先ほどから委員御指摘の触法少年の事案についての事実解明のために必要な調査権の明確化の法整備、また、早期の矯正教育に必要な、相当な触法少年に対しての少年院送致の選択であるとか、保護観察中の少年の遵守事項の遵守を確保し、指導を一層効果的にするための制度的措置、これらにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、十分な検討が必要でございまして、結論を出す時期、その内容につきましては、現時点では何とも申し上げられませんけれども、いずれにしましても、できるだけ早く必要な検討を行い、適切な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。

○柴山委員
 大変難しい問題であるとは認識しておりますけれども、とにかく、教育の問題も含めて、この少年の犯罪に対する対処の問題というのは、非常に重要な、これからの日本の治安の根幹をやはり左右する問題だと思っておりますので、ぜひ早急に、対処、検討をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。どうもありがとうございました。

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