委員会での発言
財務金融委員会
第161回国会 衆議院 財務金融委員会 第13号 2004年12月1日(水)
午前十時開議
○金田委員長
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

○柴山委員
 自由民主党の柴山昌彦でございます。
 今回の西武鉄道問題で、私の地元所沢が大変な混乱に陥っております。言うまでもなく、上場廃止に伴う株価の暴落によって、株主のみならず、株式を担保にとっている金融機関にも大変なダメージが生じています。また、所沢の駅前、西武の関連会社がたくさん事務所を構えているわけですけれども、こうした地域の再開発にも大きな影響が出るのではないかというように言われております。
 また、先生方御案内のとおり、ことしは西武ライオンズが日本一になったわけですけれども、この西武ライオンズが所沢から移転してしまうのではないかということで、地元ファン、また関連の取引先等が大変大きな不安に陥っております。さらにまた、大変悲しいことでありますが、親会社コクドも、株式事務担当者がお亡くなりになるという事件もありました。
 こうした事態について、まず伊藤大臣に、どのようにお感じであるかということを冒頭伺いたいと思います。お願いします。

○伊藤国務大臣
 委員からは西武鉄道の上場廃止の問題についてお尋ねがあったわけでありますけれども、個別の上場株式の取り扱いというものは市場開設者、取引所が自主規制規則に基づき判断するものであり、西武鉄道株式の取り扱いについても、東証が同社からの聴取を踏まえて規則に基づき判断されたものと承知をいたしております。
 上場廃止により、委員からも御指摘がございましたように株主等の関係者に影響が生じているわけでありますけれども、東証においては、その規則である上場廃止基準に照らして厳正な対応がなされたものと考えております。

○柴山委員
 今のお答えなんですけれども、きょう午前中、東証の代表取締役社長の参考人質疑もあったと承知しておりますが、その東証の監督官庁は金融庁でございます。また、言うまでもなく、証券取引等監視委員会、これについてもやはり監督庁は金融庁である。また、今回、西武鉄道の会計監査人が二十七年間あるいは十年間の長きにわたってずっとその地位にあったということが問題とされていますが、公認会計士審査会もやはり金融庁が本来監督をしてしかるべきだ。
 もちろんのことながら、金融庁からはこうした機関に対して人の派遣を行う、そして監督行政を行う。そんな中で、金融庁の責任というものはかなり大きなものがあるのではないかと私は考えておりますが、この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

○伊藤国務大臣
 今委員からは金融庁の責任についてお尋ねがあったわけでありますけれども、一連の不適切なディスクロージャーに関する事案が続く中で、こうした問題が証券市場の情報開示制度に対する国民の信頼というものを大きく揺るがすことになっている、こうした問題意識を私どもも強く持っているところでございます。
 こうしたことを踏まえて、私どもといたしましては、十一月の十六日にこの対応策を取りまとめて公表させていただいたところでございますけれども、そこに盛り込まれた一つ一つの対策というものを強力に推進していくことが金融庁としてまず果たすべき責任ではないかというように考えております。

    〔委員長退席、江崎(洋)委員長代理着席〕

○柴山委員
 率直に申し上げて、それで十分かなという感は否めないわけでございまして、とりわけ、先ほど申し上げたように、やはり大勢の株主あるいは金融機関がこれによって強いダメージをこうむっているわけでございます。
 そうしたダメージを受けたステークホルダー、これへの支援策、そういった対応について何かお考えでしょうか。

○伊藤国務大臣
 一般論として申し上げさせていただきますと、上場廃止となった株式の所有者やあるいは当該株式を担保に貸し付けを行っている金融機関は、あくまでも自己責任原則のもとでみずからの投資判断あるいは経営判断で取引を行っていることから、仮に上場廃止によって損失が生ずることがあったとしても、こうした株主、金融機関に対し何らかの公的な支援措置を講ずることは困難であるというふうに考えております。

○柴山委員
 今、自己責任というお答えがあったんですけれども、自己責任というのはやはり適正な情報開示が大前提だと私は思っております。
 そのような観点から、先ほど大臣から御答弁をいただいたディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応、これについてのペーパーをちょっといただいて事前に見せていただいたんですけれども、その中で、今回有価証券報告書が提出されていた関東財務局から証券取引等監視委員会に検査、報告徴求権限を移してしっかりとやるよというようなお話があります。しかし、結局、これまでそうした検査機能というものが十分機能していなかったからこういう問題が起こったんじゃないですか。
 アメリカのSECが陣容約三千人、それに対して日本の監視委員会はわずか二百三十七人、地方の財務局に在籍する監視官を合わせても四百四十人にとどまるということで、体制としては大変貧弱ではないか、また、権限もやはりなかなか限定的で十分機能しないのではないかというように考えますが、この点、どのようにお考えですか。

○伊藤国務大臣
 証券市場の信頼性というものを確保していくためには、適切な情報開示がなされるということが極めて重要だというふうに考えております。そうした中で、一連のこういうような不適正な事案が生じたということは大変遺憾なことでありまして、こうした事態というものを重く受けとめて、まず開示企業、そして監査人、そして市場開設者、それぞれ市場に関係する関係者がこの事態というものを重く受けとめて、しっかりとした信頼性向上に向けての対応をしていくことが必要であるというふうに考えております。
 金融庁におきましても、先ほど来委員から大変厳しい御指摘をいただいているところでございますけれども、そうしたことを重く受けとめて、私どもとして対応策を取りまとめ、公表させていただいたところでございますが、この中に盛り込まれた施策というものを一つ一つ丁寧に、そして強力に推進することによって、市場に対する信頼性というものを確保していきたい、また、私どもの審査の体制も含めて、しっかりとした体制整備を行って対応していきたいというふうに考えております。

○柴山委員
 それ以外にも、今後の対応策としては、経営者の有価証券報告書の正確性あるいは適時開示等に関する宣誓書を提出させるですとか、あるいは上場会社における社外取締役の強制ですとか、そういったことも私はオプションとしては考えられるのではないかなというように思っております。
 また、今回いろいろ方針が出ているわけですけれども、これは行政指導にとどまるのでしょうか。それとも、きちんとした法律として明文化されるのでしょうか。

○伊藤国務大臣
 私どもが取りまとめをさせていただいた対応策、この中には、情報開示制度に対する信頼性を向上させていくために、いろいろな観点から対応策を取りまとめさせていただきました。その中には、先生の今御紹介がありましたものに関係する部分として、金融審議会の関係するワーキンググループにおいて議論をしていただくというものがございます。こうした中で積極的に議論をしていただいて、早急に考え方を取りまとめていきたいというふうに考えております。そのような形で審議会で御審議をいただきたいというふうに思っておりますけれども、その中には、もし法律の改正が必要になってくるものがあれば、それに対応して私どもとしても国会での御審議をお願いしていかなければいけないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今ワーキンググループにおいて議論がスタートをいたしましたので、このワーキンググループにおいて精力的な御審議をお願いしたいというふうに思っております。

○柴山委員
 西武鉄道も大変な問題だったんですけれども、あわせて日本テレビの問題についてもちょっとお伺いしたいんですが。
 報道によりますと、渡辺恒雄グループ本社会長の名義株の保有者が実は読売グループ本社であったというようなことを金融当局に事前に報告していたというものがありました。
 もしこのとおりならば、金融庁はいわば株主偽装の事実を知っていながら適切な対応をとらなかったということになると思うんですけれども、これはどのように説明されますか。

○伊藤国務大臣
 個別事案の詳細についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、日本テレビ放送網を所管する関東財務局におきましては、有価証券報告書の訂正報告書の提出があった日の前日に、会社から有価証券報告書の訂正が必要である可能性がある等の説明があったと承知をいたしているところでございます。また、訂正の内容につきましては、具体的な話をお伺いしましたのは訂正報告書提出の約二時間前のことであり、関東財務局が訂正報告書の適正性について了承を与えたということはないと承知をいたしております。

○柴山委員
 この問題については、やはり事実関係をしっかりと確認していくことが必要かなというように思っております。
 続きまして、ちょっと西武鉄道の方に話を戻させていただきたいと思うんです。名義株の配当について、実際に株式を保有して収益を享受している者に課税がなされるということが私は大前提だと思っているんですけれども、もしそのように課税処分がなされていたのであれば、なぜ有価証券報告書の記載の誤りを指摘できなかったのでしょうか。これは国税当局の方に伺いたいと思います。

○村上政府参考人
 お答えいたします。
 国税の課税関係をちょっと御説明いたしますが、配当につきましては支払い段階で一応源泉徴収がなされております。ただ、その所有者が単なる名義人であるときには実際にその配当収益を享受する方に課税するということで、実質所得者課税と言っておりますが、そういうことで運用させていただいているところであります。
 それで、なぜそういったことがわかった場合に関係当局に話をしないのかということだと思いますが、国税職員には、国家公務員法による守秘義務以上に、各税法で重い守秘義務が課せられております。これは、申告納税制度のもとで税務の執行を円滑に行うためには納税者の皆様方の信頼と協力を得ることが必要でございまして、もし税務職員が職務上知り得た秘密を漏らすとするならば、納税者と国税当局との信頼関係が損なわれ、ひいては申告納税制度の基本とします税務行政の運営に重大な支障を来すということになりかねません。
 したがいまして、調査の結果、調査内容、有価証券の記載問題等を含めましてそういうようなことを知り得たとしましても、一般的に関係当局に通報することはいたしておりません。

○柴山委員
 そうはいっても、国税庁と金融庁というのは、いわば旧大蔵省のもとではやはりかなり緊密な関係が私は認められていたと思うんですよね。そのような中で、国税庁が虚偽記載を知っていて金融庁が全く知らないということは、私はどう考えてもおかしいと思います。また、刑事訴訟法上もやはり告発義務というものが明定されているところでもありますので、今の御答弁はかなりしゃくし定規に過ぎるのではないかなというように思うんですが、もう一度お考えをお聞かせ願いたいと思います。

○村上政府参考人
 お答えいたします。
 刑事訴訟法に公務員の告発義務が規定されているわけでございますが、先ほど申しました理由から、税務調査の結果知り得た事実についてそういう当局に対し告発することについても、おのずから消極的にならざるを得ないと考えております。
 なお、この点につきましては、法務省の見解につきましても、守秘義務が設けてある趣旨から考えて、税務の執行上特に支障があるという場合には告発義務は免除される、そういった国会答弁も法務省の方からなされているところであります。

○柴山委員
 今回の問題もそうなんですけれども、やはり私は、資本市場の公正なルールの確立と、それを担保するための制度というものを早急に構築していただかないと、いつまでたってもこの国の市場というものが投資家の信頼を得られないままであるということを強く申し上げたいと思っております。
 若干早いですが、私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

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