- ○柴山委員
-
二院制の両院の権限について、参議院の権限に、現在形骸化している裁判官、最高裁判所判事の国民審査に代替する指名機能というものを付与してもいいんじゃないかというように思っております。
それと、選挙制度に関連して、先ほど来、いろいろ意見が出ております。衆議院で小選挙区制を導入するとやはり問題ではないかというような御意見もありましたが、やはり私は、多数党をつくって政権を安定させるといった機能ですとか、政権交代を実現しやすくすることのメリットというものは否定できないというふうに思いますので、民意の集約という言葉で、小選挙区制を政権交代を重視するための選挙である衆議院選挙においては重視するべきではないかなというふうに思っております。
ただ、これに関連して、参議院選挙をそれでは比例代表制を中心に考えるのかというところについては、逆に政党色を薄めた選挙とするべきではないかという反論があるところでございまして、これは私は、両方、ハイブリッドに考えて、結局、現在のような制度というものを当面は維持してよいのではないかと思っております。
道州制の導入に絡みまして、現在の都道府県代表の部分を道州代表にするというプランも私は将来的には検討に値すると思いますが、その際、複選制という形で行うべきかどうかというところは、やはり、今なお定着している現在の直接選挙のメリットということで、少し慎重に考えた方がよいのではないかなというふうに思っておりますし、先ほど船田先生から御意見もあったとおり、推薦制についても慎重に考えるべきではないかなというように思っております。
次に、衆議院の優越性についてですけれども、先ほど、衆議院、内閣に対して参議院が余りにも防衛的になってしまって不都合な事態が生じると、例えば予算等法律の乖離などの事案が出ましたが。これに対しては、アメリカの拒否権、それからヨーロッパでは上院についても解散権が認められておりますが、当面、先ほどちらっと佐藤先生から触れられたところでもあるんですけれども、衆議院の再議決、法律についての再議決の要件を現在の三分の二から緩めていく、過半数まで緩めるかどうかは議論の余地があるかと思うんですが、そういう方向で検討していくのも私は一つの手だてだと思います。
ただ、その場合においては、現在任意的とされている両院協議会、法律の場合は衆議院、参議院の両院協議会は任意的とされているわけですけれども、これを必要的とすることによって、参議院が余りにも軽視されることを防ぐ工夫が必要なのではないかなと思っております。
政党制についてですけれども、私も実は、これは現在の政党のあり方が国民的にいろいろ議論され、または問題が生じている中で、憲法的に組み込んでいってもいいのではないかなと。特に、資金のあり方についてドイツの憲法に倣ったような規定を置いてもよいのではないかなというように思っております。
ただ、民主的秩序を侵害して国の存立を危うくすることを目指す政党は違憲とするというような、こういった闘う民主制についての規定は、ドイツは今小選挙区比例代表の併用制になっていて、少数党が比較的容易に議席を獲得できるシステムになっているというところも一つ背景にあるのではないかなというように思っておりますので、私は、ここの部分は日本の結社の自由、政党の自由というものには必ずしもなじまないのではないかなというように思っております。
以上です。
- ○柴山委員
-
改めまして、このような場で憲法の議論ができることを大変光栄に思っております。私もこの四月まで法律実務に携わっておりましたけれども、先生方あるいは参考人の皆様に大いに学ばせていただきました。本当にありがとうございました。
科学的に申しまして、人間は、翼のないエンゼルではなく、二本足で歩く猿である。ともすると、我々は、人間の理性を過信し過ぎるとともに、ほかの生物との類似性、あるいは環境と仲よくしなければいけないという事実に気づいていないのではないか、そのように感じることがあります。
この調査会で、平和主義や教育の問題を考える際、近代初期の憲法が措定した人間の完全性を前提とした、そういった議論がなされておりましたけれども、私は現実とやはり乖離する部分が大いにあるのではないかなというように思っております。
生物は、厳しい生存競争の末、環境に適合した種を残してまいりました。そうした競争が私たち人間にとっても厳然として大切であるということを率直に認め、その一方で、公正な競争のためのルールというものをきちんと定めること、そしておのおのの個というものを包含し、そして時には個と緊張関係に立つ公の概念というものをその競争と同様に大切にしていくべきだということを、私はこの調査会の場を通して言い続けてきたつもりでございます。
先ほど中川先生がおっしゃったことと少し関連するんですけれども、憲法をもし改正するとした場合、私は二回行わなければいけないのではないかなと思っております。現在の厳しい改正条件のもとでは、やはり大勢の皆様がまずコンセンサスをつくれる、そういうような条項、例えば明文上明らかにおかしいと思われる私学助成の八十九条ですとか、裁判官の報酬の減額を認めない七十九条等のそういった条項をまず修正すること。そして、解釈が余りにも難しい自衛隊の存在など大きな問題については、最大限の合意が得られる範囲で修正をしていくべきではないかなというように思っております。
参考人質疑の中などで、憲法改正の場合の国民投票は各条項ごとに行うべきだという意見もありましたけれども、国民の十分な理解を得るためにも、改正は小幅にならざるを得ないのではないかな、そして、引き続き、あるべき憲法の抜本的な姿について、しっかりと国民とともに理解を深め、議論を深めていくべきではないかなというように思っております。
本当にありがとうございました。
|