- ○柴山委員
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先ほど鹿野委員から、現在、主権在民の理念というものが本当に機能しているのかという大変貴重な視点を御提示いただきました。官から民への号令は、必ずしも十分その理念が実現されているとは言えない状況にあると私も考えております。これは、現代の膨大な行政需要の拡大あるいは中央集権的な体制ということにももちろん一つの原因があると思いますけれども、国民の側にもやはり原因があると考えております。我々は余りにも、政治、また、自分の地域ですとか国を支えていこう、そういうことに関して無関心であったのではないかと思っております。
また、先ほど永岡委員そのほかからいろいろ御指摘があったとおり、これ以外の場面でも、やはり国民がただ自分のことだけに関心を持つのではなくて、もっと家族とか地域とかそういった事柄に関心を持ち、それを支えていく、そういった気概がなければ日本の社会というものは変わっていかないんじゃないかな、そのように考えております。昨今のさまざまな報道で提示されている事件を見るにつけ、私も全く同感であります。
ここで、憲法の前文を見た場合、前文というのは、国の形をつくる憲法のさらに基本理念をうたうエッセンスであります。そうしたエッセンスの中に私は個人的人権の尊重主義というものは確かにはっきり書くべきであると思っておりますが、いわばそれとセットにした形での、こうした、地域やあるいは国を大切にするという理念や公共性の理念、そして、自己の権利、自由に対する責任の概念をセットにした形で書いていくことが必要であると私は考えております。
こうした考え方に対しては、憲法というものは国家権力に対する制限規範である、そういった責任や義務は法律で定めればよいではないか、こういう批判がよくなされます。確かに、近代憲法はそういった理念のもとに制定されたものでありますけれども、憲法は、一方で根本法たる性質もあると考えております。法は、やはりバランスをとって制定されるものですから、こうしたバランスのとれた価値観をうたっていくことが私は必要であると考えております。
私は、歴史、文化、家族、そういったものはやはり憲法に書かざるを得ないと思っております。土井委員からは先ほど、そういった概念は内容として一定のものではないのではないか、また、丸谷委員からは、そうしたものを書いていくとより多くの人の共感を得られないのではないか、そういうような御懸念も提示されました。
しかし私は、そのような確かに一定性を持つ概念ではないということをあえて認めながら、それぞれの家族、そしてそれぞれの地域、そういったものに関する寛容性というものを前提とした上で、そういったものを大切にしていくということは大切なことではないかというように感じております。私は、ビジネス等あらゆる場面で今グローバル化が進展する中で、これを進めていかなければいけないという立場に立っておりますけれども、だからこそ、そうしたアイデンティティーというものはこれからますます大切になるのではないかというように考えている次第であります。
さて、平和主義について一言申し上げたいと思います。
私も、平和主義というものは非常に大切であると思っております。山口委員から先ほどありましたとおり、平和的生存権も、まあ、裁判規範性はその抽象性からないのではないかという疑問はありますけれども、やはり大切である。しかし、武器を捨てて戦争をやめることによって本当に平和というものは実現するのでしょうか。冷戦の崩壊によって地域紛争がふえてしまっている、また、最近ではテロが多発をしている。そのような中で、不作為によって平和というものが本当に守られるのでしょうか。やはり我々は、一定の平和に対する貢献をしていくことが必要だと考えております。
もちろん、その内容につきましては、日本が軍事的な部門で貢献をするのが果たして世界の安全のためにプラスなのかどうなのかということは考えていかなければいけません。ただ、そうした問題意識はしっかりと持たなければいけないと思っております。
時間がほとんどありません。あと一言だけ申し上げます。
生命の尊重、そして、これからはやはり環境の重視ということを訴えていかなければいけないと思っております。憲法前文、内容をより豊かに、わかりやすく、今申し上げたような諸理念をつけ加えていっていただけたらというように思っております。
以上です。
- ○柴山委員
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現行憲法下で六十年近い間、内外で生じたさまざまな事象を考えるとき、現行憲法の果たしてきた役割の大きさ、そして人権、平和のありがたさというものを私は本調査会で学ばせていただきました。と同時に、多くの立法府の方々、行政府の方々、司法府の方々、そして何よりも国民の皆様方がこの憲法と現実のはざまで大変な御苦労をされてきた、そのようなことも勉強をさせていただきました。その中で、この憲法調査会の議論が報告書にまとまるという歴史的な時期を私がこの席で迎えることの幸運を本当に感謝したいと思っております。
この報告書については、先ほど船田幹事から御指摘があったとおり、多数意見そして少数意見を明記し、一定の方向性というものを持たせるべきであると私は考えております。そして、こうしたチャンスは何度も訪れるとは限らないと考えております。二大政党が政権を競い合い、そして激動する世界情勢、環境の問題、少子化問題が深刻化する中、一定の問題点については、早急に私は、現実的な政治的日程として、国民の信を問うそのスケジュールづくりに取りかかっていくべきではないかなというように考えております。
その観点からは、先ほど枝野会長代理から的確に御指摘があったとおり、国民的関心をしっかりと喚起していかなくてはいけないと考えております。もちろん、我々も政党の所属構成員でありますから、それぞれの政党のプランというものを独自性を持って主張することは必要であると考えております。
しかし、先ほど申し上げたとおり、一定の問題点については、喫緊の改正の課題として、全国民的合意を得られるような形で、しっかりと共通の合意を求めていくということをぜひ検討していかなければいけないと思っております。それは、私たち自民党に課せられた課題である、枝野会長代理が御指摘のとおりでもありますが、と同時に、もちろん、民主党あるいは公明党、第二、第三党についても同じような課題が課せられているのだということをぜひ御理解、御認識賜れればと私は考えております。
そのような中で、何人かの先生方から御指摘があったとおり、この憲法調査会を、恒常的に憲法問題につき議論をする、そして国民投票法等の具体的な法案を提出できるような、そういう組織に何とか改組していく、発展させていく、そういう私は時期に来ているというように考えておりますので、この点につきぜひ御配慮をいただきたい、そう強く申し上げながら、発言を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
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