委員会での発言
決算行政監視委員会
第162回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第5号 2005年05月18日
○細川委員長
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

○柴山委員
 自由民主党の柴山昌彦でございます。
 本日は、質問の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。時間もございませんので、大きな質問を幾つかさせていただきます。
 まず、財務大臣にお伺いしたいと思います。
 さきの財政演説で、財務大臣は、新規国債について発行予定額を四年ぶりに前年度よりも減額されたというようにおっしゃいました。しかしながら、平成十七年度末の国及び地方の長期債務残高は対GDP比で一・五倍、また公債残高は一般会計税収の約十二年分に相当するという、世界最大の借金大国になっているということでございます。
 どうしてこのような事態になってしまったのか、お伺いしたいと思います。

○谷垣国務大臣
 今柴山委員がおっしゃいましたように、我が国の今の財政状況、本年度末になりますと、国の公債残高が五百三十八兆円程度、地方と合わせますと七百七十四兆と、主要先進国の中でも最悪の状況になっているわけです。
 なぜこういう状況になったのかということでございますが、主としてこのように公債残高が積み上がってきたのは平成に入ってから、九〇年代でございますけれども、長引く不況を克服していくために、財政にその下支えをする役割が期待をされて、累次の経済対策あるいは減税措置が打たれまして、一方、景気が低迷しておりますので税収が落ちてくる、そういうことが背景にあったと思います。
 多分、委員がおっしゃりたいのは、ではそれならば、なぜその時点でそういう事態を回避するような措置をとってこなかったのか、なぜ今の状況をあらかじめ予防するような政策決定が行えなかったのかということだろうと思います。
 これはなかなか評価も難しいことでございますが、この公債発行残高ががんとふえたのは、いわゆるアジア金融危機以降、日本の金融システムも動揺した平成十年代に入ってからということではないかと思います。
 具体的に言いますと、小渕内閣のときに、小渕総理が六兆円の減税というものを公約にされまして総理になられまして、公債発行額がばんとふえたわけでございます。そのときに小渕総理が世界一の借金王ということをおっしゃったことは、委員も記憶に新たなところではないかと思っております。
 そこで、要するに、このときに公債発行額ががんとふえたことの功罪がどうだったのかということに触れなければなりません。あの当時は、御承知のように、金融も非常な状況でございまして、私は、このような措置があの緊急事態を乗り切るのにはかなりの効果があっただろうと思います。
 そうしますと、この金融危機みたいなものをなぜ生んだのかという問題になってくるわけです。
 実は、そこに橋本元総理が座っておられますので、ある意味ではちょっと申し上げにくいことがあるわけですが、橋本内閣時代に、いわゆる財革法というものをつくられて、当時の財政状況を克服しようという大きな努力がなされたわけでございます。現在我々が財政再建を考えていくときにも、今効力を停止しておりますこの法律は一つの手がかりになるわけでございます。世上、あのときの非常な景気の低迷を生んだのは、これはもう橋本先生がそこにおられて大変申し上げにくいんですが、橋本内閣のときの国民負担の、いわゆる九兆円と言われておりますが、それが原因だという見方もございます。
 しかし、子細にあの当時の資料を点検してみますと、いわゆる国民負担が強化をされて、財政再建の努力がなされて、それはもちろん経済にある意味での影響がございました。それを乗り切り、ようやく日本経済がそれを吸収してきたかな、吸収しつつあるなと思ったときに、いわゆるタイのバーツの下落から始まります金融危機が起こりまして、そしてそれが日本の金融秩序にも火が噴いて、いわゆる長銀や日債銀を初めとする大銀行の破綻につながっていった。それを乗り越える努力が小渕さんのああいう政策であったのではないかと思います。
 したがいまして、こういった一つ一つの政策については、現在でもそれぞれ評価がございます。当時でもございました。小渕さんの六兆円減税というのは間違っているという意見が与党の中にも強くあったのは事実でございます。
 そういう中で、現在、この六兆円減税等々をどう評価していくかというのは大変難しい問題でございますけれども、ああいう苦境をようやく乗り越えることが私どもはできつつあると思っておりまして、そうしますと、今度は財政再建に本格的に着手しなければならない時期に来ているのではないか。
 大変私の視野も限られておりますけれども、委員の御質問に的確なお答えかどうかわかりませんが、そんなふうに私はこの何年間の財政の足取りを見ているわけでございます。

○柴山委員
 まさに、重みのある歴史、財政事情だったと思いますが、そのような中で、アメリカは二十世紀の末にクリントン政権で、御指摘のような世界的な金融不安の中、財政均衡を達成しております。アメリカにできてなぜ日本にはできないのか、財務大臣の御意見を伺いたいと思います。

○田野瀬副大臣
 私の方からお答え申し上げたいと思うんですが、米国の連邦政府の財政収支についてでございますけれども、先生おっしゃるように、一九九二年度がピークでございまして、約二千九百億ドルの赤字を計上しております。ところが、一九九〇年代の歳出歳入両面からの財政健全化への取り組みに好景気も相まって、一九九八年度には約七百億ドルの黒字を計上しておるところでございます。
 こういう健全化に向かってどういう施策をとったのかということでございますが、九〇年及び九三年の包括財政調整法、いわゆるOBRA90、93などで、裁量的経費の上限等を定めるキャップ制度や、義務的経費の支出を新たに求める場合や減税を行う場合にそれに見合った財源を必要とするペイ・アズ・ユー・ゴー制度を導入いたしました。また、それ以外に、国防費や社会保障費等の歳出抑制及び所得税、法人税の増税等の歳出歳入両面からの取り組みを実施しておりまして、財政を健全化させたと私ども承知しておるところでございます。
 また、こうした財政健全化への取り組みが長期金利の低下につながりまして、民間の設備投資等を促進させて、安定した経済の拡大に寄与した、こんな評価も承知をいたしております。
 我が国政府としても、こうした事例を念頭に置きつつ、二〇一〇年代初頭の国、地方を通じた基礎的財政収支の黒字化を目指して、歳入歳出両面からバランスのとれた財政構造改革を強力に推進してまいりたい、まいらなきゃならない、こんなふうに考えております。

○柴山委員
 これからのかじ取りが大変難しくなってくると思います。
 そのような中で、例年決定されるさまざまな政策税制、各省庁であるんですが、その利用の度合い、歳入の欠缺に結びつく度合い、またそうした政策税制の効果、こうしたものをそれぞれきちんと逐次検証されているのでしょうか。

○田野瀬副大臣
 これにつきましても私の方から御答弁申し上げたいと思うんですが、先生おっしゃる政策税制すなわち租税特別措置は、特定の政策目的を実現する観点から、公平、中立そして簡素という租税原則がございますけれども、その例外措置として講じられてきているものでございまして、常にその政策目的、効果や政策手段としての適正性を十分に吟味いたしまして整理合理化を行っていく必要があると思います。先生おっしゃるとおりでございます。
 そのための前提として、従来より、関係省庁に対しまして、毎年度、租税特別措置の利用状況調査票の提出を求めております。さらには、租税特別措置の要望書において、施策の必要性、これまでの政策効果、施策の達成目標、達成目標に達していない場合のその理由などについて記載を求めております。各省においてこういった事前、事後の客観的な政策評価を求めることによって、租税特別措置の政策効果の把握に私どもとしては努めてきたところでございます。
 こうした取り組みを行う中で、利用実績が低調である租税特別措置や既に政策目的を達成したと思われる租税特別措置などについて縮減、廃止を行う一方、真に有効な政策措置を集中、重点的に講じてきておるところでございます。
 今後とも、必要に応じまして、要望書の記載内容の充実を図るなどにより、関係省庁の協力を得つつ政策効果の把握に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

○柴山委員
 今御指摘のように、基本的には各省庁自身がそうした政策の検証を行っているということだと思っております。本当に各省庁自身がそのような検証を正しく行っているのかどうかということも、システムのあり方として検討をし直さなくてはいけないのではないかという問題意識を提示させていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 今、テレビの番組などでも格差社会ということが大変言われております。野党の皆様からも折に触れて自殺者の増大などについて指摘がされているところです。こうした社会の格差化、諸外国との比較ということで結構なんですけれども、大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思います。

○谷垣国務大臣
 日本の戦後社会が目指して達成してきたものはいろいろあると思いますけれども、貧富の格差の少ない、あるいは地域地域をとりましてもそれぞれの地域の格差の少ない、均衡ある国土の発展という理念もそうでしょうし、あるいはジニ係数等を見ましても、一番格差の少ない社会をつくってきたことは間違いのないところだろうというふうに思います。これが戦後日本の達成した大きな成果であったと思います。
 ところが、今、いろいろなところに格差が生じてきているじゃないかという御指摘がございます。これはジニ係数なんかの面でも若干あらわれてきているところでございますし、また、景気回復といっても地域によって大変格差がある、職種によっても格差があるということもその一つなのかもしれません。
 これは私の見方でございますが、やはり戦後、ある意味で非常に成功した体制をつくってきた。その体制が、今のグローバル化や少子化、あるいはさらに言えば人口減というような社会の中で、活力を生む体質では必ずしもなくなってきたという現実があって、それを乗り越えていかなきゃならないということが今あるんだろうと思います。そういうミスマッチみたいなものが、さっきおっしゃった財政赤字を生む一つの原因にも、必ずしも金が一番効率的なところに流れていかないということもあったんだろうと思います。
 したがって、それを克服しようとして現在構造改革というものが行われているわけですが、それは、今まで手厚く均衡ある国土をつくり、非常に所得の格差も少ない社会をつくってきたいろいろな規制を、ある意味では取っ払っていく作業とも共通しているところがありますので、ある意味では、委員のおっしゃるような現象が出てきているというのも構造改革の中に含まれる一要素なのかもしれないというふうに思っております。
 できるだけ規制をなくして、民間に任せて、個人でできることは個人でやっていくようにというのが今の構造改革の一つの流れでございますけれども、そうしていくと、一方、セーフティーネットみたいなものはきちっと整備をしていかなければならないだろうというふうに思いますし、ある程度今までのぜい肉を落としたときには、私は、家庭のきずなとか地域社会のきずなとか、そういったものをもう一回どうやって再興していくかということも考えていかなきゃならない時期が来るのじゃないか、こんなふうに思っております。
 今までよりももう少し自由度を拡大していく方向に持っていきたいと思いますけれども、何か額に汗をしないでえらく大金を得るというようなことは、やはり日本社会に余り横行させてはいかぬのではないかなというふうに思っております。

○柴山委員
 そういう社会情勢の認識の中で、今後の税制について、時間もありませんので一言だけお伺いしたいと思います。
 直間比率の是正ということはよく言われておりますが、外国との比較の関係で、所得税を払っている人が少ないのではないか。要するに、フラットな水準でより多くの人に納めてもらうために、一方では所得の把握にさまざまなコストがかかるという問題もあると思います。所得税のこれからのあり方。また、今、相続税を払っている人が大変少ない、一方では物納で苦しんでいる人たちがいる。相続税の今後のあり方。それぞれについて一言ずつ大臣の所見をお伺いしたいと思います。

○谷垣国務大臣
 所得税について、柴山さんは今、日本の場合、課税最低限をもっと下げていって、所得税を払う人のベースを広げていくべきではないかという御主張が多分背後にあるんだろうと思います。
 実はそこのところがなかなか難しゅうございまして、かつては日本は課税最低限が一番高い国であって、むしろそれを下げていくべきではないかというような議論が行われておりまして、若干ながらその課税最低限を下げていくような税改正がなされてきたところでございます。ところが諸外国の方は、その間、控除等を拡大した結果、課税最低限が上がっていくというような現象がございまして、特にイギリスの場合が顕著でございます。
 これはちょっと冗談めいて申しますと、あそこの首相であるブレアさんもそれから私のカウンターパートであるゴードン・ブラウンさんも、現職のときに赤ちゃんをつくられて、そのために扶養控除を拡大したのと、どういう影響があるのかわかりませんけれども、課税最低限が上がっていったというようなイギリスの現象等がございまして、日本は今必ずしも課税最低限が高い国というわけではなくなっているということがございます。
 むしろ所得課税のこれからの課題といたしましては、所得税というのはもう御承知のように基幹的な税制でございますから、やはりある程度税源を集めてくれるという機能を担ってもらわなければなりませんし、それと同時に、所得税というのは所得再配分の機能も果たし得る税制でございます。したがって、今後はそれを少し考えていかなければならないんではないかなと思います。
 こういうふうに申します背景には、もう一つ、三位一体との関係がございまして、これは麻生大臣にお考えいただくことでございますけれども、地方の地方住民税、これに税源移譲していく。こちらの方は、どちらかというと均等化をしなければならない。それとあわせますと、所得税の方は所得再分配の方に少し機能を重点化させていくということが必要ではないかなと思っておりますが、これからそういうあたりを十分議論させていただきたいと思っております。
 それから、相続税は、これまで相続税の負担は累次の減税や各種特例の拡充でかなり緩和されてきたのではないかと思いますが、経済のストック化とか、あるいは所得税、消費税、ほかの税目とのバランスを考慮しますと、資産の再分配機能というのも、ここも全く無視するわけにはいかないのではないかと思います。それから、近年、社会保障がある程度充実してまいりまして、家族で老後扶養を行う形態から、社会全体で老後扶養をしていこうということになってまいりましたので、このため、相続時に残された資産の一部を社会に還元する視点も必要ではないかというふうな議論も行われているところでございまして、税調でも、去年十一月にいただいた答申でございますけれども、課税ベースを広げていく方向で検討せよというような議論が行われております。
 他方、今おっしゃったような事業承継等、あるいは委員の選挙区は都市近郊でございますので、農地等の相続で御苦労されている方があるいはあるのかもしれません。私ちょっとよくわかりませんが、想像でそういうことを感じます。ただ、これに関しましては、平成十五年度の税制改正で、相続時精算課税制度、これは、相続時に精算することを前提に生前贈与に対する税負担を大幅に軽減したというようなことで、事業承継を円滑にする道を開いたのではないかと思っております。
 農地については、租税特別措置として納税猶予の制度等々がございますので、こういうものをやはり活用していただくということではないかと思っております。

○柴山委員
 質問時間が終わりましたが、麻生大臣に一つだけぜひお伺いしたいと思います。
 今、公務員改革の一環として、組織の効率化ということがうたわれているわけですけれども、その一つの方策として、アウトソーシングあるいは市場化テストということが行われております。
 しかしながら、こうした分野になじまない、いわゆる弱者保護、公的なセクションというものについてこそ、むしろ効率化、透明化のメスを入れていくべきではないかと思うのですが、こうした分野の合理化、組織改革というものについて、大臣、どのようにお考えかということを最後にお伺いしたいと思います。

○麻生国務大臣
 官と民と言われますけれども、その間に多分もう一個、公、いわゆるパブリックセクターという部分の考え方が最近余り言われず、官と民の間にもう一回公という部分があるという認識を持っていないと、この種の話はなかなか難しいんだと思っております。今、ボランティアという組織が一つのものに、NPOとかNGOとかいろいろな表現がありますけれども、基本的にはそういうことなんだと思っております。
 今、アウトソーシングになじまない部分というものに関して、役所で、簡単なところでいえば、例えば税金、例えば給与計算、いろいろありますけれども、そういったところは、今幸いにして情報通信技術が非常に発展をいたしましたので、行政手続をオンライン化するという法律が通って、これによって、いわゆるバックオフィスと言われる部分のかなりの人たちが、逆に、機械、情報通信技術によって置きかえることが可能。その方たちのいわゆる回せる部分というのは結構出てくるはずであります。これは、かかってその市における経営者の能力にもよるんだと思いますが。

 そういったところで、今言われたような部分に関しては、むしろ人というものを、これは減らせるところを減らさねばならぬとは思いますが、いわゆる治安とか、よく言われる部分につきましては、これまでも減少させる中にあって増員させてくるということをやってきておりますので、私どもとしては、そういっためり張りをつける、いろいろな表現があろうかと思いますが、そういった形で、つけるところと減らすところはきちんと分けてやらぬといかぬというように考えております。

○柴山委員
 本当は森岡政務官にも質問を御用意しておりましたが、大変申しわけございません、質疑時間が終了いたしました。以上で終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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