委員会での発言
郵政特別委員会
第162回国会 衆議院 郵政特別委員会 平成17年06月23日(木)
午前九時開議
○石破委員長代理
 次に、柴山昌彦君。

○柴山委員
 自由民主党の柴山昌彦でございます。本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 さて、これまでたくさんの議論が出てきたわけなんですけれども、ここで少し整理をさせていただきたいと思います。
 自民党で今回の民営化法案に慎重な考えを持っておられる先生方のプラン、あるいは民主党のホームページで示されているプランを拝見いたしましたが、実は、何らかの制度面での改革の必要性というのはどの勢力の方々も認めておられるわけですね。現状でも確かに、生田総裁のもと、大変経営での改善というものは見られるわけですけれども、それでももう実は限界に来ているのだというように総裁御本人がおっしゃっているところであります。
 そこできょうは、細かい点を捨象して、また揚げ足取りもあえてすることなく、大きく整理をさせていただいて、それぞれのプランの比較ということをパネルで行ってみたいと思います。
 さて、お示ししたこちらのプランなんですけれども、まず政府案は四分社化、もちろん持ち株会社あるいは独立行政法人はちょっとこれとはまた別なわけですが、四分社化して民営化という内容であります。趣旨はたびたび政府から説明があるとおりでございます。
 そして、自民党のいわゆる慎重な方々の皆様が提示されている公社維持案、ここではあえてAというように名前をつけさせていただきました。これは、実は今、四年間の中期経営計画、これの終了後に一定の基本理念に基づいて見直しを行っていきましょうというところでありまして、この基本理念というのは、ここに書いてあるとおり、適切な負担を行いつつ民間、公的な業務受託を公社のまま拡大をしていきましょうということであります。趣旨は、中期経営計画の成果を見きわめたい、また、よく言われている郵政の公益性というものをきちんと確保していかなければいけない、また、国民の利便性を拡大するとともに、公社の経営基盤を強化しましょうというところが趣旨として挙げられると思っております。
 また、民主党さんのホームページを拝見したところ、公社のまま金融部門を縮小すべきだ、「民営化よりも正常化」というメッセージが示されていて、これは資金の流れの透明化というところに非常にウエートが置かれているのかなと。それで、要は、郵便局が果たしているのはいわば民の手の届かない部分、民業補完というところを徹底したものであるのかなというように考えております。
 さて、その下に、問題点というところはあえて空欄にしてあります。そこで竹中大臣に、まず、公社維持案Aと公社維持案B、このそれぞれについてどのような問題点が考えられるかということをお伺いしたいと思います。
 このAとBは、公社維持というところでは共通しているんですが、片一方は拡大していきましょう、片一方は縮小していきましょうということで、実は全く違う主義主張に基づくものなんですね。ですから、一部でこの二つを連携させようという案があるんですけれども、これは私は全くナンセンスなのかなというように思っております。
 その上で、この問題点について、それぞれ大臣のお考えを伺いたいと思います。

政府案 (参考)
公社維持案 A
(参考)
公社維持案 B
内容 4分社化して民営化 公社のまま、
民間・公的業務受託を拡大
公社のまま、
金融部門を縮小
趣旨 ・小さな政府の実現
・340兆円の資金の流れを官から民へ
・国民の利便性の拡大
・郵政の公益性の確保
・国民の利便性の拡大
・公社の経営基盤の強化
・「民営化よりも正常化」
 (資金の流れの透明化) ・民業補完の徹底
問題点      

○竹中国務大臣
 我々、政府案も本当に一生懸命考えて出させていただいているわけでございますけれども……(発言する者あり)

○石破委員長代理
 静粛に願います。

○竹中国務大臣
 A案もB案も、それぞれの立場で一生懸命お考えの上、お出しのものだと思います。
 その意味で、短時間で問題点だけあれしますと不十分な点もあるかもしれませんが、あえてお尋ねでございますので思うところを幾つか述べさせていただきますと、やはり、まず基本的な考えとして、民間でできることは民間でやろうという市場経済社会の根本的な原理を考えますと、今のような形で特別の公的な組織でやる必要があるのか。民間でできることを民間でやっていくというその姿勢がやはり政府案の中心でありまして、その点、A案、B案とは違っているというふうに思います。したがって、基本的な哲学の問題があろうかと思います。
 具体的には二点、特に申し上げたいと思いますが、一つは、経営の自由度とイコールフッティングとの関係でございます。
 経営の自由度について申し上げると、公社が取り扱うものというのは、これは公共の目的を担保する公社の性格を踏まえまして、どうしても個別具体的に法律上限定されざるを得ない。その意味で、柔軟で機動的な事業運営に困難を来す、そういう制約があるというふうに思っております。御承知のように、郵便事業を取り巻く環境はすごい変化をしている。金融も同じである。その点を考えますと、やはりこの時代のすさまじい変化に対応していくのは困難なのではないかというふうに思うわけでございます。
 イコールフッティングについて申し上げますと、例えば、現在の公社の制度では法人税そして預金保険料等の負担がない、郵貯、簡保については政府保証が付されている。これはやはり、民間から見ると明らかに優遇措置が講じられているわけでございまして、民間企業と同一の競争条件とはならない。公社の場合、民間企業との間に公正な競争が行われないというような問題点が生じかねないのではないかというふうに思っております。
 民間にできることは民間にというのは、やはり市場における自由な経営と創意工夫、革新に向けたたゆまない努力によって経済社会は進歩していくものである。その意味では、公社形態を維持したままでは限界があるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 そしてもう一点、加えて、金融部門を縮小するということになりますと、これはまた別の問題が生じてくると思います。
 公社に課されている官業であるがゆえの制約を取り払って、経営の自由度拡大によって郵貯、簡保の資金、機能を市場経済の中で効果的、効率的に運用して、郵便局ネットワークという貴重な国民の資源を最大限活用していきたい、我々はそう思うわけであります。そして、国民や地域の利便性を向上させるというふうに考えるべきでありますので、これは、資金の残高を縮小させるのみでは金融の改革の本来の成果は極めて限定的にならざるを得ない。また、規模を無理やりに縮小させた場合に雇用への影響も場合によっては深刻なものになりかねない。そのような問題点が生じようかというふうに思っております。
 その意味で、さまざまな問題を克服して、私たちは政府案を私たちのベストの考えとして御提示させていただいているところでございます。

○柴山委員
 ありがとうございました。
 資金の運用の面についてお伺いしたいと思います。
 しきりに、今回は、出口論の改革をまず最初に優先すべきである、財務省の非効率な財投運用、これを何とかして改革していかなければいけないという指摘がございます。
 ただ、そうした影響力を遮断するには、当然、やはり資金がプールされているこの郵便事業関係の各会社に民営化あるいは天下りの制限ということを行って、その影響力の遮断を徹底すべきであるというのが今回の民営化のプランだと思っておりますが、どのように考えておられますでしょうか。
 あともう一点は、こうした多様なポートフォリオ、宮澤委員等から御指摘があったんですけれども、もしこれを透明な形で運用していくということであれば、民営化しようがしまいが、公社のままでそういった影響力を遮断していくのであれば、ポートフォリオを組むときの困難さ、あるいは国債の消化可能性、こういった部分については同様の問題が出てくるのではないかなというふうに思っておりますが、この点、どのようにお考えでしょうか。

○竹中国務大臣
 柴山委員御指摘のとおり、公社のままで改革することの限界は、この資金の流れを変えるという観点を議論する場合に、私はやはりより明確になってこようかと思います。
 資金の流れを変えるには、当然のことながら、入り口と出口、そして中間、これをすべて同時に改革していかなければなりません。
 出口の財投改革につきましては、これは既に改革が始まっております。政策金融につきましても、骨太の方針で明記をさせていただきましたように、秋に向けて政策金融改革の基本方針をさらにつくっていくということを決めております。そして、その際、政策金融の残高をGDP比で半分程度にするという目標も掲げてやっていくわけでございます。
 しかし同時に、入り口、資金の入り口についてもしっかりとした改革をしなければいけない。今、三百四十兆円、家計の資産の約四分の一の資産が郵貯、簡保に集まっているわけでございますが、これは政府保証が付された政府のお金ということで、安全資産に運用せざるを得ないという宿命を持っております。したがって、そこからはリスクをとる民間の資金には入っていけないという一つの問題点、宿命を持っております。やはりそこを変えない限り、資金の流れを変えて経済を活性化していくということにはどうしても結びついていかないわけでございます。
 一方で、柴山委員が御指摘の第二点、これはポートフォリオでございますから、今度は郵政という経営主体から見た場合でございますけれども、これはこの委員会の場で生田総裁御自身がお述べになっておられたと思いますけれども、やはり多様な資産運用をしないといろいろなリスクに対する対応ができないわけでございます。今のような限られた資産運用では、その有効な、いろいろな金融手法を駆使したポートフォリオが組めない、そういう制約を今の公社である以上は持ち続けるということになろうかと思います。
 そうした観点からも、やはり経営の観点からもポートフォリオの多様化を認める。それはやはり民間と同じ条件で競争していただいて、民間の自由な競争の中でやっていただくしかない。公社としての運用では限界があるということであろうかと思っております。

〔石破委員長代理退席、委員長着席〕

○柴山委員
 業態の自由化については、ちょっと後ほど質問させていただきたいと思います。
 先ほどの表で、問題点のところを政府案についても空欄にさせていただいたんですが、幾つかこれまで指摘をされている中で、分社化というのが非常に不自然であるということが指摘をされております。また、コストがかかるのではないかということも指摘をされております。分社されれば、当然のことながら相互取引に消費税がかかってくる、あるいは資産や従業員の切り分け、これについても基準が必ずしも明確でないとか、あるいはコストがあるのではないかといった指摘があるわけなんです。
 しかし、実は平成十二年の商法の改正で、会社の分割制度というのがわざわざ導入をされております。当然民間会社にもこのようなデメリットというものは生じてくるにもかかわらず、なぜこうした会社の分割制度というものが商法の世界に導入されたのか。生田総裁も分社化自体は別に異議を唱えませんと明確におっしゃっておりますが、これについて法務副大臣の方からお願いします。

○滝副大臣
 ただいま委員の方から、会社の分割が平成十二年の法律で改めて商法にでき上がったという御指摘がございました。そのとおりでございまして、その目的の前に、今回のというか、平成十二年の改正でどういうふうになったかということだけ最初に申し上げたいと思います。
 それまでの商法では、会社の分割はそれなりに可能であったのでございます。要するに、親会社が分割して子会社をつくるときに、親会社が子会社の株主になるという形での分割は可能だったのでございますけれども、親会社の株主が子会社の株主になるということが商法上はできませんでしたので、平成十二年では、あえて親会社の株主が会社を分割したときに子会社の株主に同時になるという改正をいたしました。
 その趣旨は、これは国際化の波あるいは企業の競争力を高める、そういう意味で組織の編成を柔軟化させる、こういうことでございました。

○柴山委員
 先ほどのコストの問題もあるわけでして、実際に会社の分社というものはどの程度実績があるのか、把握されている数字を教えてください。

○滝副大臣
 平成十五年度の数字でございますけれども、これは法務局に会社の登記がされた数字で拾ってまいりますと、株式会社で平成十五年、設立された会社が全国で一万八千。それに対して、分割で設立した会社が、株式会社ですけれども、これが約九百。九百にちょっと欠けますけれども、約九百でございます。約五%ということになります。

○柴山委員
 コングロマリット化あるいはシナジー効果というところから、この分社ということについては反対の意見を唱える考え方の方もたくさんいらっしゃるわけですけれども、法人格が一体でなければこのような効果は発揮できないのか。また、この三事業が一体ということ、特に国営の金融機関、これだけの大規模なものを持つということについてどのようなデメリットというものが予想されるのか。それぞれについて竹中大臣にお伺いしたいと思います。

○竹中国務大臣
 これは、その時々で、分散がいいのか統合がいいのか、いろいろな議論が繰り返されてきていると思います。これは一概にどれがよいという状況ではないというふうに私は認識をしておりますが、コングロマリットで総合的にワンストップのサービスを提供するというメリットもあれば、一方で、経営の専門性を高めるないしはリスクを遮断するという観点から分割をしなければいけないという場合もある。それはまさに経営の実態判断ということなのだと思います。
 いずれにしましても、その場合に、委員まさに御専門家として御指摘のように、一つの法人格を持っていなきゃいけないかどうかというのは、これはまた別の問題になってまいります。一つの別々の法人格を持った中で、しかし一体的な戦略的なグループでの経営というものもあり得るわけでございますし、むしろ、意思決定そのもの、その責任を明確化という観点からは、私の認識している限り、その機能を分社化するような中で、グループとしては全体的にいろいろな戦略性を持ってやっていくという会社も結構活躍しているな、そのような認識を持っております。

○柴山委員
 ただし、今回の分社案というのは、実は私は若干疑問も持っておりまして、というのは、会社法、商法の上では、資産のこうした分割に際しては、債権者、今回のプランでいえば預金者ですとか保険契約者、こうした取引関係者の保護の手続というものが予定をされております。債権者の異議催告という手続がとられておりますが、今回は特段そのような契約者保護の手続というものがとられていないのではないか。この点についてどのようにお考えでしょうか。

○竹中国務大臣
 これは、例えば郵便貯金を持っている債権者である預金者がどのようにその通知を受けるかということなのかと存じますけれども、これについては、基本的には法律の改正をするわけでございますので、法律の仕組みが変わるということを通してその周知徹底が行われるのが原則であろうかと思っております。
 もちろん、それ以外の債権者というのもいらっしゃるわけでございますから、これについては、その準備会社においてやはり適切な措置がとられていかなければならないというふうに思っております。

○柴山委員
 当然のことながら、旧勘定契約の分については政府保証が依然としてつくわけですから、だから、仮に五千億円超の負債を抱えている郵便事業の株式会社の方に資産が切り分けられてしまうということは、村井先生が憲法違反じゃないかというような御指摘があったわけですけれども、預金契約者に本当にそれほど格段の不利益を及ぼすかというと、実はそういったことはないというように考えております。
 あとは、職員の意見聴取手続。一定の、窓口会社等での職員の切り分けということがされるわけですが、職員のそうした身分の変更についての希望の聴取手続等について、どのような設定になっているのでしょうか。

○竹中国務大臣
 これは、新設されます各会社への具体的な職員の帰属につきましては、主務大臣、具体的には総理大臣と総務大臣が作成をいたします基本計画に従いまして、準備企画会社である日本郵政株式会社が、それぞれのビジネスモデルに基づく各社の具体的な業務内容を勘案しながら承継計画において定める、そういう手続になるわけでございます。
 この日本郵政株式会社が承継計画を作成する際の具体的な手続が大変重要だというふうに思いますが、日本郵政株式会社の判断にこれはゆだねられるわけでございますけれども、同社が承継職員の労働条件を定めるに当たっては公社での勤務条件に配慮すること、これが郵政民営化法案の第百七十一条で定められております。したがいまして、そこの職員の帰属先につきましては、公社における就業場所、そして従事している業務などの勤務条件に配慮して定められることになると思います。これによって職員が安心して意欲的に働いていただくということは、我々も大変重要なことであろうというふうに思っております。

○柴山委員
 さて、問題点としてさらに指摘をされているのは、民間会社との競争により民業圧迫にならないかという問題点が種々指摘をされております。もちろん、公務員の身分を保有したままで競争するのとどっちの方が民業圧迫の度合いが強いかということは、これは先ほど大臣が御指摘になったとおりなんですけれども、民営化した上での競争でも、これだけ大きな会社が競争するということになれば、そこにはやはりある程度の緊張関係というものが当然生まれてくるわけです。
 そこでお伺いしたいんですけれども、きょうは日通総研さんもお見えになっているということなんですが、物流の関係でちょっとお伺いしたいと思います。
 改正法の二十九条では、物流業務については子会社からの受託という形でやっていくことが可能であるわけですが、準備期間終了後は本体がこうした物流業務に進出できるようになるということになるわけであります。
 現在、運送業者さんが受けているさまざまな法規制について、イコールフッティングになっていないという批判が、例えばヤマト運輸さんの方から問題提起されておりまして、係争になっていることは皆様御案内のとおりかと思うんですけれども、こうしたイコールフッティングの問題、どのようにお考えでしょうか。
 まず竹中大臣に、これについてどのように処理されるのかということについてお伺いしたいと思います。

○竹中国務大臣
 何といいましても、民営化の最大の目的、目指すところは、経営の自由度を持っていただいて、そしてダイナミックに経営をしていただくということに尽きるわけですが、そうであるからこそ、民間とのイコールフッティングのバランスをどうとるのかというのが大変重要なポイントになってまいります。
 今回の場合、やはり規模が非常に巨大だという委員の御指摘でございますが、全くそのとおりだと思います。そのほかにも、実は、全株を処分するまでは政府出資の形で国の信用や関与が残るという点もございます。また、一般事業会社と子会社を持つ持ち株会社の傘下に置かれるというある種の特例がその間、移行期間ですね、認められるということになりますので、これは金融機関、特に金融の側から見ますと、やはり競争上の優位性を持っているということであろうかと思います。
 こうした点については、与党との協議におきましても、一方で民業圧迫という角度から、他方で経営の自由度という角度から、種々の意見を賜ったところでございます。そうした意見も踏まえまして、今回の法案では、持ち株会社に対しまして、移行期間内における郵便貯金銀行等の株式の完全処分義務を課して国の信用、関与を断ち切ることにする、そして、当初は公社と同様の業務からスタートして、国際業務等々については別の規定もございますけれども、基本的には同様の業務からスタートして、経営の自由度とイコールフッティングのバランスをとっていく、それを民営化委員会の意見を聴取の上、透明、公正なプロセスのもとで段階的に拡大していくというふうな、そういう仕組みをつくっているところでございます。

○柴山委員
 私の方であえて指摘をさせていただきますが、郵政民営化法案の七十四条というところで、郵便事業株式会社は、成立の日以後六カ月間は、貨物利用運送事業法、貨物自動車運送事業法、こうした許可規定というものを猶予される、だけれども、その後についてはイコールフッティングを図っていくというような規定が定められているわけですけれども、きょうは日通総研さんもお見えだということなんですけれども、このイコールフッティングの問題と今回の法律案について、どのようにお考えかということをぜひお伺いしたいと思います。

○塩畑参考人
 日通総合研究所の塩畑でございます。
 物流事業は今、非常に厳しい競争状況下にあるわけですね。したがいまして、若干の競争条件の違いというのが結果的には非常に大きな今後の競争力の相違になってくるというようなことが十分にあるわけです。そういうような視点から考えますと、できるだけ細部にわたってこの競争条件を統一していただくというのは非常に重要なことなんだろうと思うんです。
 ただ、その一方で、郵便事業会社の成り立ちですとか、あるいはユニバーサルサービスを法的に義務づけられているといったような特殊な性格からいたしますと、いきなり条件を完全にそろえるというのは現実に非常に難しいことだろうと思うんですね。したがいまして、大きな問題点だけは少なくともそろえていくというようなことが重要かと思うんです。
 今先生お話しの中にございましたけれども、例えば、小包事業のトラック輸送にかかわる部分につきまして、現在準拠する法律が違うわけですけれども、それが民間の宅配便事業と同じように貨物自動車運送事業法が適用されるというようなことになりますと、かなり大きなイコールフッティング上の問題点は、完全にクリアとはいきませんけれども、ある程度クリアされるというように見ていいのかなと思うんですね。
 ただ、若干次元が違うのかもわかりませんけれども、特に国際事業につきまして、欧米の企業を中心にMアンドAが活発化しているわけですけれども、その郵便事業会社のMアンドA資金が持ち株会社を通して還流するというようなことがあり得るのかどうか、判然といたしませんけれども、そういうことはぜひ歯どめがかけられてしかるべきではないかなというように考えております。

○柴山委員
 今の最後の御指摘は極めて重要な御指摘だったと思います。当然、郵便事業会社は、この前ちょっとどなたか御質問されていたんですけれども、全部、一〇〇%持ち株化されていますので、直接の株式交換ということはできない法律上の定めになっていますが、確かに、御指摘のように、子会社を通じた形での提携というものは十分あり得るわけですから、現にそういうことをされるというようなお話もあるわけですから、それについて、今の御指摘は十分御留意をいただけたらなと思います。
 せっかくですので、今、国際物流の話が出ました。先日麻生大臣が、国際物流は当たればもうかりますというようなお話をされていました。また、この国際物流に関しては、特にアジア市場については今進出しなければおくれてしまうというようなお話もあります。そういうような観点から、このビジネスの将来性あるいは進出の緊急性、こういうようなものについて、もしお考えがあれば伺いたいと思います。

○塩畑参考人
 国際事業でございますけれども、例えば、我が国の輸出入の海上コンテナの貨物量あるいは国際航空貨物量は、長期にわたって非常に伸びております。物流事業の中で際立った成長分野だと言ってよろしいかと思うんですね。したがいまして、有望だということにつきましては、まさにそのとおり、非常に有望なマーケットだと思うんです。
 ただ、それだけに、先ほどもちょっとお話し申し上げましたけれども、欧米の主要物流事業者を中心としまして積極的な展開をしているわけです。こういうような動きに対して、我が国の既存の大手の物流事業者もどういうような対応をしていくべきか、今、相当決断を迫られているというような時期だろうと思うんですね。一言で言いますと、非常に有望ではあるけれども、それだけに競争も激しい、また相当高度なノウハウも要求されるといったようなことでございますから、進出するリスクも当然大きいと言っていいんだろうと思うんです。
 グローバル企業の物流の考え方といいますのは、従来のように、個々の物流業務を切り離して物流事業者に委託するような方向から、トータルで物流を委託するような方向にどんどん変わっているわけですね。これは荷主企業の物流やロジスティックスの考え方が全体最適志向というようなことになっていることを反映したものでございますけれども、そういうような顧客のニーズに対応していくには、グローバル企業のロジスティックスの仕組み、効率的な仕組みを提案できるといったような能力と、国際間のドア・ツー・ドアの物流のオペレーションを非常に高度に、なおかつ効率的にやれるといったようなノウハウが非常に強く要求されるわけです。したがって、単独の企業でこういう仕組みをつくり上げるというのはなかなか難しいということで、合従連衡が非常に進んでいるということだろうと思うんですね。
 もう一点、緊急性のお話でございますけれども、今、中国市場が非常に重要なターゲットになっているわけでございますけれども、御案内のように、WTO加盟以降、中国の物流事業に対する外資規制は順次取り外されております。二〇〇八年にはほぼ完全に外資規制が撤廃される予定になっております。そういうことを受けまして、二〇〇一年から、これは我が国の物流事業者だけじゃございませんで、欧米の物流事業者も非常に活発に中国進出を進めてきております。
 当然、他社に先駆けて顧客ニーズに対応したような仕組みをつくり上げるということはその後の競争上非常に有利な展開になるというのは物流の世界だけじゃないだろうと思いますけれども、そういうような観点からいいますと、可及的速やかに進出をするというのは、このマーケットで成功するための非常に重要な要件になるのかなというように考えております。

○柴山委員
 どうもありがとうございました。
 また、業務の拡大については、特に金融部門で貸付業務の拡大をするということが、特に地域の金融機関との競合ということがやはりかなり懸念される材料ではないかなと私は思っております。特に地域での貸し付けということが、オーバーバンキングの時代ということはいろいろな委員の方から御指摘があるわけですけれども、顧客の侵奪ということがあるのではないかということが言われております。このあたりの民業圧迫について、竹中大臣、どのようにお考えでしょうか。

○竹中国務大臣
 郵貯銀行がどのような経営戦略をとっていくのか、別の言い方をしますと、ビジネスモデルを組み立てて業務展開をしていくか。これはもちろん、言うまでもなく経営判断の問題でございますけれども、そのビジネスモデルが地銀の業務と重なる部分がどの程度あるかないか。これはちょっと、私の立場から具体的に申し上げるのはなかなか難しいわけでございますけれども、やはり郵貯銀行というのは、全国の郵便局ネットワークを通じた地域の顧客基盤が強みになるということで、地域密着型の業務を当然展開していくことになるのではないかというふうに想定をしております。
 そのような中で、この郵便局を通じた資金調達力にすぐれて、資金量も豊富だけれども、少なくとも民営化当初は融資等の資金運用面の能力が十分ではない郵貯銀行が、同じく地域の顧客を基盤とする地銀と、融資業務などのノウハウを補うとともに地域経済の発展に必要な資金を供給するように、例えばでありますけれども、シンジケートローンのような形で、あるいはもっと緊密な業務提携というような形で相互補完していくということも十分に考えられるのだろうと思います。
 また、地銀にとりましても、このような郵貯銀行との提携だけではなくて、郵便局会社と提携することによって、この郵便局ネットワークという強力なチャンネルを活用したビジネスチャンスの拡大というのもあろうかと思います。
 我々としては、やはり大いに競争していただきたいということ、これはございます。しかし同時に、その競争はイコールなものでなければいけないわけでございます。相互の強さを生かして、拡大均衡、プラスサム志向の改革をぜひ相互に続けていっていただきたいと思っているところでございます。

○柴山委員
 今、大臣から、窓口を利用しての貸し付けもあるじゃないか、地銀さんが郵便局の窓口を通じての貸し付けというようなお話もありましたけれども、先ほど加藤先生が銀行法上の問題点について御指摘になられました。それ以外にも、やはりこれまで郵便局と地銀さんとは、お互いが目のかたきにして戦ってきているわけですよね。それが、あしたから、じゃ、地銀さんの窓口として働きなさいといって、人は別にかわるわけじゃありませんから、どれだけモチベーションが上がるのかなという疑問も一部では指摘されるんじゃないかなというふうに思っております。
 また、郵便局のお金を地銀さんに融資しろというようなお話があるんですけれども、これも今、地銀の預貸率が大体七割程度という中で、どれだけその受け入れたお金をきちんとした形で、地銀さんが限られたパイの中で運用できるかということも、私は、実は率直なところ、なかなか難しいのかなという気がしております。
 今、大臣が御指摘のとおり、さまざまなノウハウの融通だとかあるいはシンジケートローンとかについても、しっかりと新しい分野で努力、協力をしていくというようなお話もありましたので、そういうところではきちんと一緒にやっていくという基盤はあるのかなという気はしておりますが、このあたりの微妙な関係について、地銀協さん、きょうお見えになっているということなんですが、ちょっと御意見を、短くお伺いしたいと思います。

○瀬谷参考人
 瀬谷でございます。
 ただいま柴山先生から大変行き届いた御質問をいただきまして、恐縮いたしております。確かにこれはデリケートな問題でございます。私、ありていに、きょうは率直に話せといいますから、せっかくの機会でございます、率直に言わせていただきます。
 やはり基本的に民営化ということについては、プリンシプルは賛成でございます。なぜなら、これは外国との比較になりますけれども、公的セクターが非常に、異常に肥大している、これをある正常な形に戻さないかぬ、その意味においては全く同感でございます。
 ただ、余りにも現在郵貯、郵貯について問題を絞って申し上げますと、ツーマッチ、巨大なんですね、二百三十兆ですから。それに対して、私ども地銀だけでも資金量が百八十六兆ぐらいですか、六十四行全部足してもかなわないだけの資金量を持っていらっしゃる。
 それが、今のところは貯金業務の方にだけ特化されておりますけれども、これが今度、貸し出しとか消費者ローンに回ってきた場合、今柴山先生が御指摘されたとおり、貸し出しのマーケット、融資マーケットはいわば過飽和なんです。オーバーサプライになっていると思う、現象的に。これは、将来的な経済の状況によりましてはまた回復するかもしれませんけれども、世界的に見てやはりディスインターメディエーションが進んでいる。そういう中でこれが急激に入ってこられた場合、なかなか残念ながら、先ほど竹中大臣がおっしゃったような予定調和的な、仲よくするという選択肢は相当難しいのではないか。
 あと、もちろん代理店を、郵便局会社ですね、我々とが手を結ぶことも、それはあり得ないわけではありませんけれども、なかなか現実問題としては難しい。
 それから、きょう簡潔にというお言葉、もう一つだけ申し添えますと、先ほどは地銀地銀とおっしゃっていましたけれども、私は、地銀の代表で出ているとは思わない、地域金融機関全体を代表していると思っている。それはもちろん第二地銀もあるし、信金も信組もあります。それが今、非常につらい経済情勢の中で一生懸命お客さんを支えている。そういう重層的な金融構造を、壊滅させると言ったらオーバーかもしらぬけれども、基礎を危うくするような急激な進出は、これはちょっとお考えいただきたいし、抑止力を十分に働かせていただきたい、かように存じております。
 私からは以上でございます。

○柴山委員
 本当に率直な御意見を伺えたと思っております。
 今回、さまざまな、将来の不安だとかそういうことが御指摘をされているわけですけれども、将来の不安にとことん備えるということも大切ですけれども、今後十年間という期間に、さまざまな環境の変化も予想されているわけです。だから、この十年間に当然、今、投資信託とかさまざまな証券化も大分実績が伸びてきているというようにデータも報道されておりますし、この十年間でさまざまな変化が生じてき得る。
 私は、現時点では、一定の合理性のあるシミュレーションに基づいてメリットとデメリットを比較した上で、メリットの方が大きいということであれば、やはり比較検討の上、制度設計を行っていくべきだというように考えております。それで、もちろん、これから後、そういう環境が変化し得るわけですから、変化して何らかの困った事態が生じた場合には、その時点で、将来の立法府がやはり適切に対応、その時々に応じたかじ取りをしていくということが大切なのではないかなと思っております。
 ただし、将来の立法府が過度な負担をこうむってしまうような制度だけは、これはぜひ避けなければいけない。将来の地方の人たち、将来の社会的弱者の人たちが過度に負担をこうむってしまうような制度設計を今やることだけは避けなくてはいけない、そのような考え方でおります。
 それで、一点伺いたいと思うのですけれども、基金の積み重ねということが話題になって、一兆円という規模の基金が将来足りなくなるのじゃないかというようなことがしきりに言われているわけです。これは、基金の運用益、今、地域、社会両方の貢献基金で年間百八十億円の利用ということが想定されているわけですけれども、もしこれが足りなくなった場合、これは足りるか足りないかの争いはもういいです、足りなくなった場合にどうなるのかというところをぜひお伺いしたいと思います。取り崩し等はできるのですか。

○竹中国務大臣
 これは、私たちはこれで足りると思っているわけでございますけれども、それについての説明はもういい、基金を取り崩すことがあるのか、そういうお尋ねであろうかと思います。
 この基金というのは、地域や社会にとって必要性が高い業務を郵便局株式会社そして郵便事業株式会社が安定的に実施する、それを可能にする仕組みでございます。したがって、これは原則として取り崩すことはできないということにしております。
 しかしながら、基金の運用益のみでは財源を確保できない、郵便局株式会社、郵便事業株式会社の経営努力によっては貢献業務の実施が困難になって、かつ、地域社会の安定に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められる、そういう要件を満たす例外的な場合には取り崩すことができるというふうな仕組みにしているところでございます。

○柴山委員
 そういう仕組みがあるということで、先ほど申し上げたとおり、将来の立法府が適切な対応をとってもらうということをぜひ強く期待したいと思います。
 最後の一点、私、郵便認証司の問題について一言お伺いしたいと思います。
 内容証明郵便は、これは認証司の役割だということが言われているわけです。先日も、この問題について、村井委員の方からるる指摘があったわけですけれども、現実の問題として、内容証明郵便というのは、これは私も仕事をやっていたときによく使ったんですけれども、夜とかでも持っていって、複数、三通持っていって、その内容を照合してただ判こを押すだけの仕事なんですね。これは資格が必要という業務というよりは、やはり郵便局という公的な機関がやっていたからこそ高度な証明力というものが与えられていたんじゃないかというのが、私は疑問があります。
 それで、もしこれを資格制度と結びつけるのであれば、例えば、私が夜間、内容証明郵便を出して、認証司さんがいませんでしたということになれば、それは、せっかく一生懸命早く持ち込んだのに、その日では処理できないということになってしまうんですか。それを副大臣の方にぜひお伺いしたい、法務省の担当にお伺いしたいと思います。
 滝副大臣には、ここで改めて、今回の法案に政府の一員として賛成をされて、一生懸命御努力をされるということについても確認させていただきたいと思います。

○滝副大臣
 まず最後のところから申し上げます。私は、ここで副大臣として答弁する限りにおいては、政府原案に反対することは一言も言ったことはございません。
 それから、今の認証司の問題でございますけれども、基本的に内容証明郵便は、いろいろな法律行為を起こすときに、それが後で証拠能力を持つということで扱われているわけでございます。
 一番有名なのは、民法四百六十七条で、債権、要するに目に見えない債権、紙の債券じゃなくて目に見えない債権、指名債権を第三者に譲渡するときには確定日付の証明が要るということでございまして、これが今、内容証明郵便で扱われているわけですね。したがって、昔、フランス人のボアソナードが民法案をつくったときには、認証制度がなかったものですから、母国のフランス民法では第三者に対する債権譲渡が有効だったんですけれども、日本ではなかったんです。そのぐらい重要な制度でございます。
 したがって、私どもとしては、当然、この郵便認証司は、そういう時間的な問題として十分考えて処理をしてもらえるというふうに思っております。

○柴山委員
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
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