委員会での発言
郵政特別委員会
第162回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 平成17年7月15日(金曜日)
午前十時開議
○遠藤委員長
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

○柴山委員
 おはようございます。自由民主党の柴山昌彦でございます。本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、整理をさせていただきたいんですけれども、今回の改正案、政治団体のする同一政治団体に対する寄附の上限を与党案では五千万円というふうにされていますけれども、一方、政治活動を本来の目的としない企業、団体のする政治活動に関する寄附の上限は、これは一億円という数字が出ています。この二つはバランスを欠くのではありませんか。簡単に整理をしていただきたいと思います。

○佐田議員
 本改正案では、同一の政治団体間の寄附の上限を年間五千万円としたところでありますけれども、これは、いわゆる個別制限、つまり、ある政治団体が一つの政治団体に対してする寄附の制限でありまして、これに対しまして、御指摘のとおり、企業、団体のする寄附については、上限が、これは資本金にもよりますけれども、年間一億円とされているところで、これはいわゆる総枠規制、つまり、一つの企業、団体が複数の政党、政治資金団体に対してする寄附の総額に関する制限であるところであります。
 したがって、御指摘の点は、個別制限と総枠制限という趣旨の異なる規制を比較するものでありまして、バランスを失するとの指摘は当たらないものと考えておるわけであります。

○柴山委員
 個別制限というお話だったわけですけれども、とすれば、受ける政治団体、これを分ければ、複数の政治団体をつくれば、結局、上限額の潜脱ということが容易にできてしまうのではないか、むしろ、こうした上限規制を設けるよりは政治資金の透明性を図るための努力をすべきでないか、こういう意見があるところだと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○宮腰議員
 確かに、ある政治団体が複数の政治団体を設立いたしましてそれぞれが寄附を行えば、個別制限の趣旨を潜脱することができないわけではありません。
 しかしながら、政治団体は、政治資金規正法上、収支報告書の提出を義務づけられておりまして、政治資金の流れが国民の監視の目にさらされているところであります。収支報告書に記載されました政治資金の流れを追跡することによりまして、政治団体が関連政治団体を複数設立し、個別制限の趣旨を潜脱している実態が明らかになった場合には、国民の厳しい批判を浴びることとなろうと思います。
 もっとも、常識的に申し上げまして、政治団体を不必要に多数設立するということは極めて不自然でありまして、考えられないことだと私どもは認識いたしております。

○柴山委員
 一方で、二十二条の一項に関して、政党や政治資金団体に係る寄附、これについてはなぜ上限を設けなかったのでしょうか。

○早川議員
 御承知のとおり、政治資金規正法は、議会制民主主義の健全な発展を図るため、政党本位の政治資金制度の確立を図ろうとするものであります。政党は、政治活動の中心となるべき存在であることから、政党の政治活動の自由を妨げることがあってはならないというふうに考えております。
 このような点を踏まえまして、与党案におきましては、政党、政治資金団体以外の政治団体からの寄附に上限を設ける一方で、政治団体から政党及び政治資金団体に関する寄附については上限を設けないこととしたものであります。

○柴山委員
 次に、今回、民主党から出ている案について質問したいと思います。
 ここで、迂回献金の禁止に関して、条文で言えば二十二条の六の四ということになると思うんですけれども、特定の政治団体に対して寄附をすることを条件とした寄附の禁止ということを明定されているわけですけれども、条件というのはどういうことなんでしょうか。これは、停止条件、要するに条件が成就した場合には効力が認められる、そういうような意味なんでしょうか。

○辻議員
 お答えいたします。
 民法上の停止条件とか解除条件とか、そういう意味ではありません。寄附をする際に付される条件であって、寄附の受領者が特定の政治団体に対して寄附をするという約束のことであります。
 それで、このような条件を付した法案というのは少なからずありまして、一例としては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の三十五条の三の一号で、当該接客業務受託営業を営む者の使用人その他の従業者で法律に規定する業務の一部に従事するものに対し、「受託接客従業者でなくなつた場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させること。」というような規定がございます。
 したがって、このような規定ぶり、条件を付することはほかの法律でも見られる例であります。
 以上でございます。

○柴山委員
 今、要は要するに、特定の政治団体に対して寄附をすることを約束するというような趣旨のことだというようにおっしゃったんですけれども、そうしたら、一たん寄附をした後に、事後的に、あれは、では特定の政治団体について寄附をすることにしましょうというようにした場合、これは当該寄附につけられた法律行為の付款ではないわけですけれども、こうした事後的な約束についてはどういうことになるんでしょうか。

○辻議員
 お答えいたします。
 それは、この法律の条項の脱法行為というか、ないしは潜脱する目的に出たものが明らかな場合には、この法案でこの規定に違反するということになりますが、そうでない場合には、法律違反にはならないということであります。
 これは、前回の答弁でも出ておりますけれども、迂回献金の禁止ということをこのような形で明定することにより重要な意味がある、こういうことで御理解いただければと思います。
 以上でございます。

○柴山委員
 明定することに意義があるというようにおっしゃったんですけれども、そうしたら、約束をすることはしないけれども、特定の政治団体に対してこのお金のうち幾ら幾らを寄附してくださいねというようにお願いをするということ、相手方は何にも承諾もしませんというような場合には、これはどうなるんですか。

○辻議員
 今おっしゃっているのは、やはり立証の問題だと思うんですね。だから、規定は規定としてきちっと今回改正案としてお認めいただいて、あと、いろいろな種々のケースについては、その規定の趣旨を逸脱するものであればこの規定の違反になりますし、そうでない場合には規定の守備範囲には達していないということでありますから、個々のケースの立証の問題とこの規定をこのように設けることの意味というのは、これはまた別の問題だろうというふうに考えます。
 以上です。

○柴山委員
 立証の問題というようにおっしゃったんですけれども、これは、後ろの方で、二十六条の二で罰則規定がついております。辻委員、法曹の先輩として尊敬申し上げておりますけれども、罪刑法定主義という重要な原則がありまして、要するに、構成要件というのは明確性ということが非常に強く求められています。また、さっき、脱法行為とおっしゃいましたけれども、類推解釈、これは厳に禁止しなければいけないということになります。
 とすれば、結局、こういう法律を設けても実際に機能する場面はないと私は言わざるを得ないと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

○辻議員
 脱法行為とか潜脱というのは、どの法律、法規についてもやはり事例があります。だから、判例でいろいろ裁判所があえて認定をしている例というのはもう本当にたくさんあるわけですよね。ですから、この法規だけがとりわけ構成要件として明定さを欠いているということではありません。そこの点についてはきちっと申し上げておきたい、このように思います。

○柴山委員
 一応、次の質問に移ります。
 今回、不実記載についての過失犯というのを設けられております、二十六条の四の二ですけれども。こうした過失による不記載というような犯罪はほかにどのようなものがあって、どういう法定刑が認められているんでしょうか。

○辻議員
 いろいろ調査をしてまいりましたけれども、現時点で明らかになっている範囲では、過失による不記載罪という規定はほかにはございません。

○柴山委員
 非常に、現行の法制度あるいは実際の妥当性という点からも、今回のこの御提案されているものについてちょっと疑問があるんじゃないかなということを申し添えまして、再度、与党案に対する質問をさせていただきたいと思います。
 さて、政治資金団体に係る寄附、これについて、金銭の場合は振り込みをしてくださいというような規定を設けられるわけですけれども、そうなりますと、金銭、あるいは例外として定められている不動産譲渡、貸し付け、これ以外のものは一切禁止される、そういうことになるんでしょうか。客観的な相場がある動産ですとか有価証券の場合はこれを許容してもいいように思うんですけれども、いかがでしょうか。

○佐田議員
 本改正案の趣旨は、政治資金団体にかかわる寄附については、その透明性を確保するために、原則として銀行等への振り込みによることとして、寄附が行われたことについて客観的な記録を残すことにありまして、寄附の目的物に客観的な相場があるかどうかは関係がないということであります。したがって、政治資金団体にかかわる寄附については、御指摘のような動産や有価証券といった銀行等への振り込みの方法によることができないものの寄附は、原則としてできないこととなるわけであります。
 なお、政治資金団体は政党のために資金上の援助をする目的を有する団体でありまして、このような規制を設けても特段の支障を生ずるものではないと考えておるところであります。

○柴山委員
 ありがとうございます。
 もうほとんど時間がなくなりましたので、国庫納付制度についてお伺いしたいと思います。
 今回、違反をされて納められた寄附について国庫納付制度というものが定められたんですけれども、この法的性格はどういうものなのか、没収とは異なるのでしょうか。

○宮腰議員
 今回の国庫納付の制度は、刑法の付加刑としての没収ではありませんで、法的に一定の者の所有権を剥奪して、これを国庫に帰属させるという性格のものであります。
 一方、没収は刑法上の付加刑でありまして、主刑たる禁錮や罰金にあわせて付加される刑罰であります。
 今回の改正におきましては、違法な方法でされました寄附について、刑事罰の規定を設けない一方で、そのような寄附の授受をそのまま認めることは妥当ではないという政策判断によりまして、このような制度を設けたものであります。

○柴山委員
 以上で質問を終わります。
 どうもありがとうございました。

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