- ○石原委員長
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これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
- ○柴山委員
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自由民主党の柴山昌彦でございます。
早速質問に入らせていただきます。
修正案提出者にお伺いします。今回、なぜこのような提案をされたのでしょうか、理由をお聞かせください。
- ○早川委員
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政府案に対しましては、これまでの審議において、特に組織的な犯罪の共謀罪について、一般の労働組合や民間団体の活動も対象となってしまうのではないか、犯罪の共謀をしただけで処罰することは人の内心を処罰することと紙一重ではないか等の御懸念が示されてきたところであります。
そこで、これらの御懸念の点をも踏まえ、法案の共謀罪が成立する範囲をさらに明確かつ限定的なものとするため、今回の修正案を提出することといたしました。
修正の第一は、一般の労働組合等の正当な目的を有する団体の活動についてはおよそ対象にならず、犯罪組織と言えるような団体の活動として行われるものである場合に限って対象となることを条文上明らかにするため、政府案の「団体の活動として、」という要件に言う「団体」を、その共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体に限定するものであります。
第二は、組織的な犯罪の共謀罪については、共謀をしただけの段階にとどまる限りその処罰を差し控え、さらに進んで実行に向けた段階に至ったことのあらわれである外部的な行為が行われた場合に初めて処罰の対象とすることにより、その処罰範囲を明確かつ限定的なものにするため、政府案に、処罰条件として、共謀に係る犯罪の実行に資する行為が行われた場合という要件を付加するものであります。
また、これらの点以外にも、組織的な犯罪の共謀罪や証人等買収罪の規定の適用に当たっては、思想及び良心の自由を侵したり、弁護人としての正当な活動を制限するようなことがあってはならないことなど、運用上留意すべき事項を定めることとしております。
以上であります。
- ○柴山委員
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今回、一たん法案を撤回して出し直すのが筋ではないかというように野党は主張しているわけですけれども、この法案をここまで早急に成立をさせなければいけない必要性について教えてください。法務大臣、お願いします。
- ○杉浦国務大臣
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この法案が成立するまでは、我が国は、国際組織犯罪防止条約、既に国会で御承認済みでありますが、それに附属する人身取引に関する議定書、それからサイバー犯罪条約、これも国会で御承認いただいておりますが、それを最終的に締結することができません。国際組織犯罪防止条約につきましては、既に百十九カ国もの国々が締結しております。我が国としても、これらの条約を早期に締結して、これらの国々と手を携えて、協力して組織犯罪に立ち向かっていくことが必要であるというふうに考えております。
また、この法案は、我が国におきまして、暴力団による組織的な殺傷事犯、あるいはいわゆる振り込み詐欺、何人かが共謀して振り込み詐欺を、仕事を分担してやっておるのが多いわけですが、そういうもの等、組織的な犯罪による重大な被害が発生することを未然に防止し、国民の安心と安全を確保することにも資するものでございますし、また、最近はウィニーを通じた情報流出などが問題となっておりますが、コンピューターウイルスの作成等に適切に対処するために必要な法整備を図ろうとするものでございますが、その成立がおくれれば、このような治安に関する取り組みもおくれることになってしまいます。
したがって、法務省としましては、この法案につきまして、この委員会において御審議いただいた上で、また、関係者の御努力で内容のすばらしい修正案を御提案いただきましたが、それを含めて、できる限り早急に成立させていただきたいと願っております。
- ○柴山委員
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今、諸外国での条約締結状況についてお伺いしたんですけれども、特に日本以外の先進七カ国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、カナダ、ドイツ、イタリアでの締結状況について、外務省の方からお聞きしたいと思います。
- ○辻政府参考人
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お答え申し上げます。
締結国につきましては、先ほど法務大臣がお答えした百十九カ国でございます。
G8のうちにおきましては、カナダ、フランス、ロシア、米国及び英国は、既に締結を了しております。また、その他のイタリア及びドイツについても、国内の手続を了し、あとは締結手続を残すのみと理解しております。
以上でございます。
- ○柴山委員
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そのような、まさにこの法律を我々としてもしっかりと成立させるに熟しているという状況にあることを前提とした上で、以下、内容の質問に入らせていただきたいと思います。
まず、修正案六条の二第一項で、団体の説明のところで、「その共同の目的がこれらの罪又は別表第一に掲げる罪を実行することにある団体」という文言が加わりましたが、これはどのような意味でしょうか。
- ○早川委員
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「「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものをいう。」とされています。これは、組織的犯罪処罰法の第二条第一項であります。
そして、この「共同の目的」とは、結合体の構成員が共通して有し、その達成または保持のために構成員が結合している目的、すなわち、構成員の継続的な結合関係の基礎になっている目的をいうと解されております。
また、「これらの罪」とは、「死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪」を指しております。また、「別表第一に掲げる罪」とは、この法案によります改正後の組織的犯罪処罰法別表第一に掲げる罪を指します。
したがいまして、「その共同の目的がこれらの罪又は別表第一に掲げる罪を実行することにある団体」とは、構成員の継続的な結合関係の基礎になっている目的が、先ほど述べました罪のいずれかを実行することにある団体という意味であります。
- ○柴山委員
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ということは、先ほど、冒頭御指摘もいただいたんですけれども、その構成員を結びつけている目的が、例えば消費者利益の増進ですとか労働者の保護にあったりするなどの正当な団体に関しては、その性格が変わらない限り、こうした犯罪の謀議をしてもこの法律では処罰できないという理解でよろしいでしょうか。
- ○早川委員
-
委員御指摘のとおりであります。
修正案は、共謀罪における「団体の活動として、」という要件に言う「団体」について、その共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体である場合に限って共謀罪が成立することとするものであります。この共同の目的とは、構成員の継続的な結合関係の基礎となっている目的、すなわち、まさにそのために構成員が継続して結合しているという、構成員の継続的な結合関係を基礎づけているその根本となる目的でなければならないと考えられます。
したがって、御指摘のような目的で活動している団体の場合であれば、仮に、ある特定の時期に、ある特定の犯罪に当たる活動をしたとしても、そのことだけで直ちに、その共同の目的が重大な犯罪等を実行することにあると認められるわけではなく、構成員の継続的な結合関係が全く一変して、まさにそのために構成員が継続して結合しているという、構成員の継続的な結合関係を基礎づけているその根本となる目的が重大な犯罪行為を実行することにあると認められない限り、なかなかその解釈が厄介でありますけれども、その共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体には当たらないことになります。
- ○柴山委員
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簡潔にお願いしたいと思いますが、ということであれば、去年の十月十四日に私が質問をさせていただいたんですけれども、例えばOLが万引きを目的としたような形で集まった場合には、原則としてそのような実体を備えないということが明確に定められた、そういう理解でよろしいんでしょうか。
- ○早川委員
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全く御指摘のとおりであります。
なお、政府原案におきましても、そもそも団体の定義に当たらない場合、団体の活動としての要件に当たらない場合、犯罪行為を実行するための組織に当たらない場合などが考えられるところであります。
今回の修正案で団体を限定したことによって、まさにそのために構成員が継続して結合しているという、先ほど御説明申し上げました構成員の継続的な結合関係を基礎づけているその根本となる目的が重大な犯罪を実行することにあると認められる団体でない限り、その共同の目的が重大な犯罪等を実行することにある団体には当たらないことになります。
今回の修正案によりまして共謀罪が成立するのは、お尋ねの事例に即して言えば、組織的な窃盗団のような犯罪組織の活動として行われる場合に限られることになるのでありまして、御指摘のような事例については、原則として共謀罪の対象とならないことがより明確になるものと考えております。
- ○柴山委員
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この点、一部には、指定暴力団のような犯罪組織に限定して適用するべきではないかという意見もあるんですけれども、なぜそのような修正にしなかったんですか。
- ○大林政府参考人
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団体指定という御意見に対するものとしては、御指摘のいわゆる暴力団対策法は、暴力団という一定の種類の団体の危険性に着目して、その活動を直接規制することを目的としたものであることから、同法においては、規制の対象となる暴力団について、あらかじめ特定して指定することとされているものと考えられます。
これに対し、この法案が定める共謀罪は、国際組織犯罪防止条約の定めに従って、組織的な犯罪の共謀をした者に対する適切な処罰を目的とするものであることから、団体の性質や危険性という観点からではなく、犯罪組織の性質や態様に着目して、共謀に係る犯罪行為が、団体の活動として、犯罪行為を実行するための組織により行われるもの等の要件を定めたものでございます。
また、法案の共謀罪の対象となる団体は、暴力団だけでなく、外国人犯罪組織ややみ金融会社、組織的詐欺商法を行う団体など多種多様のものが想定されますので、このような団体のすべてを暴力団対策法のように行政的な手続で把握し指定をすることは現実問題として困難であり、実効性を欠くものと考えられるところでございます。
- ○柴山委員
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今のような趣旨から今回の修正の対象には加えなかったということでよろしいですか、法案提出者。
- ○早川委員
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委員御指摘のとおりであります。
- ○柴山委員
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次に、共同の目的の対象として「別表第一に掲げる罪」というものが加わっているんですけれども、このリストを拝見するとかなり広範にわたっているように思われるんですが、これを含めた理由についてお伺いしたいと思います。
- ○早川委員
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お尋ねの別表第一でありますけれども、これは、国際組織犯罪防止条約に従って定められる犯罪、すなわち、国際組織犯罪防止条約の締結に伴って、いわゆる犯罪化を必要とする犯罪の一覧であります。
この条約は、共謀罪の対象となる犯罪について、組織的な犯罪集団が関与するものという要件をつけることを認めております。この組織的な犯罪集団とは、「一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するものをいう。」とされております。
したがって、仮に、この条約に従って定められる犯罪、すなわち、別表第一に掲げる罪を実行することを共同の目的とする団体について共謀罪が成立し得ないことといたしますと、条約が求めるところよりも処罰範囲が狭くなってしまいます。条約の義務の履行上、問題があることになります。
また、別表第一に掲げる罪は、いわゆるマネーロンダリングや司法妨害の罪など、犯罪組織によって典型的に犯される犯罪としてこの条約において各国が処罰の対象とすることを義務づけられたものであります。これらの犯罪を実行することを共同の目的とする団体の活動として行う犯罪行為の共謀がなされた場合には、重大な犯罪を実行することを共同の目的とする団体の場合と同様に、共謀に従って犯罪が実行されて重大な法益侵害が生じる危険性が大きいと考えられます。
そこで、修正案におきましては、その共同の目的が別表第一に掲げる罪を実行することにある団体の活動も、共謀罪の対象となり得ることとしたものであります。
- ○柴山委員
-
ありがとうございます。
続きまして、修正案に「その共謀に係る犯罪の実行に資する行為」ということが新たに要件として加わったんですけれども、この「実行に資する行為」というのはどういう意味なんでしょうか。
- ○早川委員
-
今回の修正案における実行に資する行為の要件でありますけれども、これは、共謀が行われただけでは足りず、これに加え、共謀に係る犯罪の実行に向けた段階に至ったことのあらわれである外部的な行為が行われるまでは処罰を差し控えることとする趣旨から設けるものであります。
したがって、実行に資する行為と言えるためには、次の三点が必要になります。すなわち、第一に、共謀が成立した後であること、第二として、共謀の段階を超えた、すなわち共謀する行為とは別の行為であること、三番目に、共謀に係る犯罪の実行に役立つ行為、共謀の推進といったことの表現も妥当するかと思いますけれども、こういった要件が必要であると考えております。
- ○柴山委員
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具体的に、今おっしゃった実行に役立つ行為というのはどのような行為を想定されているんでしょうか。ちょっと事例を挙げていただけますか。
- ○早川委員
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具体的に事例を申し上げますと、例えば、ある場所で凶器を用いて殺人を実行する旨の共謀がなされた場合において、犯行現場の下見をする行為、凶器を購入する行為等、個別具体的な事実関係にもよりますけれども、いずれも通常は実行に資する行為に該当し得ると考えられます。
また、共謀がなされた後に、犯行現場の下見をするために共犯者との集合場所に赴く行為や凶器を購入するために銀行口座から金を引き出す行為、犯行現場に赴くためのレンタカーを予約する行為なども、個別具体的な事実関係にもよりますけれども、同様に、実行に資する行為に該当し得ると考えられます。
- ○柴山委員
-
今の具体的な事例なんですけれども、例えば、犯行現場に赴くためにレンタカーを借りる行為も犯罪の実行に役立つという話になりますと、実は、レンタカーを借りた行為が、家族と行楽に行くために借りたという場合だってあり得るわけでして、そうした行為も、いや、これも実行に資する行為だということになりますと、甚だ運用が難しいということになろうかと思います。
どうやって実行に資する行為かどうかということを証明していくのでしょうか。また、立証できなかった場合はどうなるんでしょうか。
- ○大林政府参考人
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実行に資する行為の存在を立証する方法としては、被疑者の供述のほか、関係者の供述や物的な証拠など、必要な証拠を収集して立証することとなると考えております。
お尋ねのような主張がなされている場合であっても、その他の関係者の供述や物的な証拠などによって、レンタカーを借りる行為が、真実は犯行現場へ行くためのものであって、実行に資する行為、すなわち共謀に係る犯罪の実行に役立つ行為であると立証できる場合もあろうかと思いますが、仮に、家族と行楽に行くためとの主張を覆す証拠が他にない場合には、そのような行為は実行に資する行為とは認められないこととなると考えられます。
そこで、仮に、捜査の過程でこの点に関する立証ができないと判断した場合、検察官は起訴をしないことになるものと考えられます。
- ○柴山委員
-
起訴をしないことになると考えられますというお話があったんですけれども、そもそも、犯罪として処罰されるのは共謀なのか、実行に資する行為なのか。この実行に資する行為の法的な位置づけは一体どういうものなのですか。
〔委員長退席、倉田委員長代理着席〕
- ○早川委員
-
実行に資する行為の要件は、共謀が行われただけでは足りず、これに加え、共謀に係る犯罪の実行に向けた段階に至ったことのあらわれである外部的な行為が行われた場合に限って初めて処罰の対象とする、そのことによって共謀の処罰範囲を明確かつ限定的なものにするという見地から、共謀罪として処罰するためのいわゆる処罰条件として設けるものであります。
したがって、法案の共謀罪において犯罪として処罰されるのは、実行に資する行為ではなく、共謀自体であります。
- ○柴山委員
-
ということは、処罰はできないにせよ、共謀の嫌疑さえあれば、実行に資する行為があるかどうかにかかわらず、逮捕を含め強制捜査をすることができるという理解でよろしいでしょうか。
- ○大林政府参考人
-
共謀が行われたという嫌疑があるのであれば、犯罪が行われた嫌疑があるということになりますので捜査を行うことは可能ですが、実行に資する行為が行われていない段階で逮捕や捜索等を行った場合、その後に実行に資する行為が行われることは想定されず、起訴することもできないことになりますので、現実問題としては、そのような捜査が行われることはないと考えております。
- ○柴山委員
-
もちろん、逮捕等の強制捜査が行われた後に実行に資する行為が行われるということは多分ないでしょうけれども、そういう実行に資する行為があったかどうかわからない段階で、共謀が行われたという嫌疑のみで逮捕して、それで調べていって実行に資する行為があったかどうかを捜査の中で判定することはあり得るのかなということは指摘をさせていただきたいと思います。
次に、その一方で、実行に資する行為は犯罪行為ではないわけですから、この資する行為の現場で令状なしに現行犯逮捕することはできないという理解でよろしいですか。
- ○大林政府参考人
-
委員御指摘のとおり、修正案の実行に資する行為の要件は、いわゆる処罰条件としてつけ加えられたものであり、修正案による修正後の共謀罪においても、犯罪として処罰されるのは共謀自体であると理解しております。
したがって、実行に資する行為を現認したからといって、犯罪を現認したということにはなりませんので、それだけでは現行犯逮捕ができる場合には当たらない、このように考えております。
- ○柴山委員
-
ありがとうございます。実務上極めて重要な点だと思います。
それと、これは前に聞いたことなんですけれども、共謀をした後に実行をやめた場合、中止犯ということで刑の必要的減免がなされるんでしょうか。念のために確認をさせていただきます。
- ○大林政府参考人
-
中止犯の成立の問題でございますね。
いわゆる中止犯について、刑法第四十三条は、犯罪の実行に着手したが、既遂に至る前に、自己の意思によりその犯罪を中止した場合には、刑を減軽し、または免除する旨を規定しております。
一方、法案の共謀罪は、重大な犯罪を実行することについての合意がなされた時点で既遂に達することから、共謀後に翻意しても、既に既遂に至っている以上、予備罪や準備罪について中止未遂の規定が適用されないのと同様に、中止犯とはならないと考えております。
- ○柴山委員
-
理論上は当然そうなると思いますが、ただ、今回の修正案によって、実行に資する行為というのが処罰条件、要件として加わった場合には、共謀したけれども実行に資する行為が行われる前に実行をやめた場合は処罰されないと当然考えてよろしいわけですね。
- ○早川委員
-
委員御指摘のとおりであります。
今回の修正によりまして、共謀が行われた場合であっても、実行に資する行為が行われない限り処罰されないこととなりますから、共謀が行われた後、実行に資する行為が行われる前に共謀に係る犯罪を実行することをやめた場合には、いわゆる処罰条件を満たさないことになりますので、処罰されないことになります。
〔倉田委員長代理退席、委員長着席〕
- ○柴山委員
-
逆に、実行に資する行為が行われてしまった後、謀議が撤回されたような場合はどうなりますか。
- ○大林政府参考人
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組織的な犯罪の共謀が行われた後に、修正案の実行に資する行為も行われた場合には、処罰条件も満たされることとなりますので、そのような共謀については、その後処罰することが可能な状態になると考えられます。また、仮に共謀後に翻意しても、既に既遂に至っている以上、中止犯とはならないと考えられます。
もっとも、実行前に翻意したという事実については、刑事手続においても当然に有利な情状として考慮されることになりますし、仮に共謀した者が実行に着手する前に自首した場合には、刑が減軽または免除されることになります。
- ○柴山委員
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どうもありがとうございました。
続きまして、修正案には留意事項として幾つか規定を設けられていたと思います。
具体的には、組織的な犯罪の共謀罪や証人等買収罪の規定の適用に当たっては、思想及び良心の自由を侵したり、弁護人としての正当な活動を制限するようなことがあってはならないということなどを条文に明示された。この趣旨はどういったことからなんでしょうか。
- ○早川委員
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今回の修正案の提案に当たって最も提案者が腐心したところでありまして、単なる訓示規定ではない、あるいは附帯決議のようなものではない、法律事項としてこの留意事項を定めるということの重要性を訴えたいと思っております。
政府案が定める組織的な犯罪の共謀罪に対しては、これまでの審議において、内心の自由を制約することになるのではないかという御懸念や、労働組合等の団体の正当な活動を妨げることになるのではないかといった御懸念が示されてまいりました。
もとより、憲法の保障する基本的人権を侵害するようなことがあってはならないのは当然であります。共謀罪の規定の適用に当たり、いやしくもこういった御懸念のようなことが生じることのないよう、思想及び良心の自由を侵したり、あるいは団体の正当な活動を制限することがあってはならないという運用上特に留意すべき事項を条文に明記することとしたものであります。
また、政府案が定める証人等買収罪に対しましては、これまでの審議において、弁護人が証人と打ち合わせる等の弁護活動を制限したり、これを萎縮させることになるのではないかとの御懸念が示されてきたところであります。
そこで、証人等買収罪の規定の適用に当たり、いやしくも御懸念のようなことが生じることのないよう、弁護人としての正当な活動を制限するようなことがあってはならないという運用上特に留意すべき事項を条文に明記することとしたものであります。
以上のとおり、今回の修正案は、捜査機関や裁判所など、これらの規定を実際に適用する者が、万が一にも、思想及び良心の自由を侵したり、団体の正当な活動を制限したり、あるいは弁護人としての正当な活動を制限するようなことがないようにするとともに、一般の御懸念を払拭するため、法的な責務として、この点を法文上も明らかにしたものであります。
- ○柴山委員
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大変よくわかりました。
私の質疑時間は以上で終了したということですので、これで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
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