- ○柴山委員
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自由民主党の柴山昌彦でございます。
信託法に関しては、今、大口委員からお話がございましたとおり、制定されてから八十年以上実質的な改正がされなかった法律でありまして、それを今回のような形で大変ドラスチックに大幅な改正を加えるということですので、ぜひ慎重に審議をしたいというように思っております。大口委員から御質問がありました事項については、できるだけ重複を避けながら質問を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に、大変その弊害が懸念をされております信託宣言、いわゆる自己信託の問題点についてお伺いしたいと思います。
今、大口委員から御質問がありましたとおり、これに関して、さまざまな将来の可能性というか有益性については指摘をされているとおりだと思います。証券化ビジネスの拡大ですとか、あるいは事業再編において必ずしも法人格、その権利主体を交代する必要がない、あるいは最後に御指摘がされたマンション管理等において有効活用できるのではないか、さまざまな指摘がされております。
ただ、実際にこの信託宣言を導入しているアメリカで果たしてこれがきちんと活用されているのかどうかということについて、例えば二〇〇五年十一月二十一日付の「金融財政事情」、こちらの方に紹介をされているところによりますと、アメリカでは、個人の相続ですとか贈与の手段として信託宣言は活用されているけれども、ビジネス分野においては決して一般的には活用されていないという指摘がされています。信託宣言を利用した公的機関であるファニーメイの住宅ローン、こちらの債権流動化というようなものを除いては余り活用されていないというようにも指摘をされていると思います。
ですから、今申し上げたようなさまざまなメリットは、別の、例えば営業譲渡ですとか、あるいは企業担保を利用しての資金調達とか、あるいはマンション管理についてももう少し管理組合について柔軟な制度をつくっていくとか、そういう代替的な手段でカバーできるのではないかという指摘も恐らくされるところだと思うのですが、この外国との比較、あるいはその代替手段との関係、こういうものについて、冒頭、ぜひ御説明をいただきたいと思います。
- ○長勢国務大臣
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外国の自己信託について、どういうことになっておるかというお尋ねだと思います。詳細、また必要があれば事務方から答弁をさせますが、先生も相当勉強されておられるようで、先生の方が詳しいのかもしれませんが、答弁をさせていただきます。
今おっしゃいましたように、海外においても自己信託というのは認められておるわけで、例えばアメリカでは、アメリカの統一信託法典においても、信託の設定方法の一つとして明示をされております。
アメリカで具体的な自己信託の例としては、今もお話がありましたファニーメイが住宅ローンの証券化で信託宣言をする場合とか、あるいは銀行の預金者が、その預金につき、みずからを他人のための受託者である旨の信託宣言をすることによって預貯金信託をする場合、債務者が債務を支払うためにみずからの特定の財産を信託財産として自分で受託者になる場合等が挙げられます。ちょっと日本では余り例のない、少ない例だと思います。
また、イギリスでもアメリカと同様のものが認められておるというふうに承知をいたしております。
なお、ドイツ及びフランスには信託制度がございませんので、こういう自己信託というものもございませんが、EUにおける取り組みとしては、一九九九年一月に欧州信託法の権威者が集まってつくりました欧州信託法基本原理におきまして、自己信託による信託の設定も認められておるというふうに承知をいたしております。
必要があれば、詳細は事務方から答弁をさせます
- ○寺田政府参考人
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先ほど申しましたように、この制度はもともと英米法の制度でございまして、英米においては、今大臣が御説明申し上げましたような利用形態というのが一応考えられておるわけでございます。
ただ、委員も御指摘のように、アメリカにおいて、ではこれが全面的にビジネスに利用されているかといいますと、これもまた、一部、債権の流動化には利用されておりますけれども、それは総合的な評価としてはまだまだこれからだという御意見も当然あるわけでございます。我が国でも、とりわけ同じように債権流動化にこれを利用したいという声があるわけでございますけれども、そういう意味では、この自己信託というのはこれからの制度だ、利用面においてはこれからの制度だということにもなるわけであります。
ただ、大臣が申し上げました三つの例のうちの後の二つ、つまり、だれかのために資金を預かっているという状態は一般に広く見られることであります。ある種の会費というのを幹事さんが預かっている、こういうものをどういう権利関係に置くのが適当かというと、おっしゃるとおり、いろいろな代替手段と申しますか、法律で賄えることもあるわけであります。現にそういうときは民法上の寄託がされているというような形になるわけでありますけれども、そうした場合に、では私の債権者にそれが差し押さえられないのが正当なのかどうかということは常に悩むところであります。
そういった意味で、こういう新しい選択肢が民事上もできるということはそれなりに意義のあることだと思いますし、それが商事上、事業上も利用される場面があるということも、これも否定しがたいところでございますので、私どもとしては、できるだけ弊害防止措置というのを考えた上でこれを利用に供するというのが正しい姿勢ではないかなと考えているわけでございます。
- ○柴山委員
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まさに弊害なんですけれども、今寺田局長がおっしゃった財産の隔離ということがこの制度の大きな眼目になっておりまして、その意味で、先ほど大口委員も財産隠しに対する不安ということを口にされたわけですけれども、こういった執行逃れをどのように防止していくか、あるいは対外的なディスクロージャー、ガバナンスの問題も含めてですけれども、これをどうしていくか。また、租税回避の問題ですね、利益を移転して税金逃れを図るんじゃないか。あるいは、マネーロンダリングに使うんじゃないか。こういうようなさまざまな懸念が指摘をされているところだと思いますが、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
- ○寺田政府参考人
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今、弊害として予想され得るものを列挙していただいたわけでございます。
先ほども大口委員の御質問に対して御答弁申し上げたとおり、財産隠しと一般的に言われましても、この場合は、だれかと通謀してその財産をどこかにやってしまうということではなくて、自分の手元にありながら責任財産から一部離れるという性格のものでございますので、当然、債権者を詐害するかどうかということが問題になるわけであります。
この点については、先ほど申しましたように、これはいわば受益者のもとに実質的な利益を移転してしまうという形でございますので、通常の詐害行為と本質的には変わりがないんじゃないかなというように考えるところであります。したがって、本来であれば、詐害行為取消権ということがあれば、それをうまく立証できるかどうかという問題だろうと思います。
ただ、先ほど申しましたように、これを懸念される方の中には、実際上の問題としてなかなか難しいのではないかという御懸念もあったものでございますから、私どもの手当てといたしましては、詐害行為については、裁判所によって詐害行為の取り消しがされて初めて債権者が掴取すべき財産としてもとの委託者のもとへ戻ってくるというのではなくて、二十三条の二項にお示ししているところでございますけれども、もう要件さえあればいきなり強制執行を当該債権者ができるという形の規定を設けたわけでございます。したがいまして、執行を逃れるということからいえば、相当強力な武器が債権者側には与えられたというように御評価いただけるのではないかと思います。
なお、先ほど申しましたように、それでも、債権者が動くだけでは十分ではないという場合に、これはいわば公共的な悪のレベルだという評価ができまする場合には、公益確保のための措置として、裁判所が関係者の申し立てによって信託の終了を命ずるという措置も用意されているところでございます。
次に、税金逃れという問題がございます。これは、実際に税務でこれをどう評価して税金をおかけになるかということでございますので、この点について、一年の執行の延期をここに盛り込んでいるということで先ほど申し上げたわけでございますけれども、この自己信託についてどういう課税の仕方をするかということは、一般的な信託の課税とはまた一段レベルの高い検討をしていただくということになろうかと考えております。
それから、マネーロンダリングの問題も御指摘があるところでございます。ただ、この点は、一般的なマネーロンダリングの懸念については規制がございまして、金融機関等による本人確認法あるいは組織犯罪処罰法等がございますので、そちらのいわば公的な規制にこの自己信託も当然服するということになるわけでございます。そういったわけで、法律上の手当てとしてはこれでなされるところでございます。
あと、事業者につきましては、もちろん、冒頭に申しましたような事業者特有の規制というのもまたあり得るところでございますが、それは信託法自体の問題ではない、こういう整理でございます。
- ○柴山委員
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事業者の問題にもお触れになったんですけれども、この自己信託、信託宣言を取り扱うことのできる主体に関する規制、これは、今寺田局長の方からお話があったように、信託法自体には定めがないということでよろしかったでしょうか。そうだとすれば、信託業法の方でどのような定めがされているのでしょうか。
- ○寺田政府参考人
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信託法でこの自己信託をだれができるかということについては、何の制約も一般的にはございません。受益者の定めのない信託につきましては経過規定で一定の制約がございますが、この自己信託につきましては、先ほど申しましたように、個人でのニーズというのも、福祉その他を中心として十分に考えられるところでございますし、またビジネスにおいては当然考えられるところでございますので、その制約はないということにいたしているところでございます。
- ○渡辺(喜)副大臣
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自己信託を行う者が信託業法上の登録を受ける要件いかん、こういう御質問でございますが、一般に自己信託を行う者が多数の受益者を顧客として事業を行う場合には、多数のお客さんと事業者との間に情報量や交渉力の差が生じます。また、信託は信託財産を受託者が自己名義で管理運用するという特質がございますから、事業者側に特に高い信頼性が求められるわけであります。
したがって、信託受益権を多数の方々が取得できる場合には、一定の要件を定めた上で、信託業法上の登録を求めることといたしております。具体的には、自己信託を行う者が信託業法上の登録を受ける際には、株式会社とか合同会社等でございますが、会社法上の会社であること、次に、一定以上の資本金、純資産を有すること、第三に、自己信託を的確に遂行することのできる人的構成を満たしていること、第四に、兼業業務が信託事務の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと等の要件を満たすことを求めることとなります。
- ○柴山委員
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最後の兼業規制についてなんですけれども、要は、自己信託業務に悪影響を及ぼしてはいけないという以外に、従たる業務として他業をしなくてはいけないですとか、あるいは兼業する業務について何らかの種類の規制をするとか、そういったようなことは想定されていないのでしょうか。
- ○渡辺(喜)副大臣
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兼業を行う場合でございますが、通常の信託に係る信託会社の兼業業務につきましては、この兼業が本業である信託業務に関連性、それから付随性を有することが承認の要件とされております。これは、信託会社につきましては、銀行、保険会社などと同様に、自己名義で他人である顧客の財産を預かるという特徴がございますので、兼業業務を行うことによって本体業務に影響を及ぼすことがないよう、専業を原則とした規制を行っているということに基づくものであります。
他方、自己信託につきましては、みずからが所有する財産を受益者のために管理運用するという特徴がございますので、他の事業活動に伴って生じた財産を自己信託する目的での参入が想定されるということを踏まえれば、専業が原則であるという前提はとり得ません。自己信託業務と他の業務との関連性及び付随性は特に求めないことといたしております。
そのために、自己信託を行う者につきましては、兼業業務の状況が悪化をし、信託財産を毀損する事態を未然に防ぐため、兼業業務の財務の健全性を確認できるような基準を内閣府令で定めることといたしております。
- ○柴山委員
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ただ、忠実義務の緩和ということに関して、信託業法の方では緩和にストップをかけているわけですから、ある程度そこら辺はしっかりとした信託契約の保護ということを行っていくことが特に業法の関係では必要ではないかなという問題提起だけをさせていただきまして、次の質問に移りたいと思っております。
新しい信託の仕組みとして、限定責任信託制度が導入をされました。この制度について、なぜ必要かということについて、まず簡単に御説明をいただきたいと思います。
- ○寺田政府参考人
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限定責任信託につきましても、この法案を作成する過程でいろいろな議論があったところでございます。しかし、最終的にはやはり必要だということでこういうことを載せているわけでございますけれども、もともと限定責任信託と申しますのは、対象となる信託の財産が、その信託の運営の過程で生じた債権の債権者の責任財産であってそれだけだ、そういう信託でございます。
通常の信託におきましては、なるほど、受益者に対する責任の関係では、今申しましたように信託財産そのものが責任財産に限られるわけでございますけれども、その他の関係では、外形的に受託者が権利の主体、財産の主体になるわけでございますので、これの活動に関して生じた債権についての債権者は受託者にその責任を追及できるというのは大原則でございます。これは我が国の信託法だけではなくて、もともと英米法の信託でもそれが大原則になるわけでございます。
しかしながら、この信託をいわばビジネスに利用する傾向にあるわけでございますけれども、そういうことになりますと、どういたしましても、債権者というものの持っている債権が、受託者が全部この責任を負うというのは、同じようにビジネスをしている例えば会社を想定してみますと、甚だ不都合があるところでございます。本来なら、そのビジネスをしている財産そのものが公示されているわけでございますから、その財産をもとに債権者は責任財産を考えていただいてもいい、そういうものがあるはずでございます。
ただ、そういう財産においては、もちろん公示でありますとか、責任財産の確保というのが非常に重要になってまいりますので、それは相当の手当てをする、そういうことを条件にいたしまして、責任財産を信託財産そのものに限った、債権者に対する責任財産を限った、そういう信託を新たに認めるということがビジネスの上では非常に有用である、こういう御指摘がございましたので、そういう形でこれを用意したわけでございます。
- ○柴山委員
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ビジネスにとって有効であるということはそのとおりなんでしょうけれども、例えば、信託財産に責任が限定されるということになりますと、その財産が滅失あるいは毀損をされてしまったような場合には、これは当然のことながら、信託債権者としては大変な損害を受けるわけですね。ですから、これについて、どういう責任が受託者に準備をされているのか、そして、それが過失責任なのか無過失責任なのかということについても御指摘をいただきたいと思います。
また、この財産については、例えば、土地工作物であるような場合に、土地工作物責任、つまり、危険な工作物とかによって不法行為責任が発生をしたりすることもあろうかと思うのですが、そういうような場合にでも、そのものの価格だけに責任が限定されるということでよいのか等々含めて、ぜひ御指摘をいただきたいと思います。
- ○寺田政府参考人
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おっしゃるとおり、限定責任信託というのは、先ほど申し上げましたように、結局のところ、債権者にとって、どういう資産状況にあるかということがわかるような仕組み、またそれが限定責任信託であるということがわかる仕組み、それが非常に重要でございますし、また、どういう種類の債権がその対象になるかというと、やはり一定の債権は責任を限定しないのが適当だということもまた考えられるわけでございます。
まず、前者の方から申し上げますと、これはそもそも、取引する相手に対しまして、これが限定責任信託のためにする契約であるということを示さないとこの効果は出ないという規定になっております。
次に、今度はその財産の中身が流出するかどうかという問題でございますが、一番は、受益者に対して全部その財産を給付してしまうということになりますと、債権者はたまらないわけでございます。したがいまして、これについては、純資産額の範囲内において一定の額しか受益者に対して給付をしてはならないという規定を置いているところでございます。それに違反して給付が行われた場合には、受託者、受益者の方から逆に限定責任信託の方に財産を戻さなきゃならない、そういうてん補義務を負っているわけでございます。それから、受託者、受益者は、一定時期に生じた欠損額についても、同じようにてん補責任を負うわけでございます。
次に、どういう対象について責任の限定が決まるかどうかでございますが、これは原則としてはそういうことですべての債権ということになるわけでございますけれども、今おっしゃったような不法行為債権については、責任を限定するのは政策上適当でないということで、限定の対象から外しているというところでございます。
- ○柴山委員
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過失責任か無過失責任かというところについても、当然会社法の改正と結構パラレルな部分がありますので、ちょっとお答えを追加していただきたいのと、あと、済みません、ちょっと質問を追加させていただくのですが、ガバナンスの問題として、先ほどの自己信託、信託宣言については、第三者、士業の方によるチェックということが働いていますし、公正証書で契約を定めなければいけないという仕組みも確保されております。しかし、今回のこの限定責任信託に関しては、特にどういうガバナンス、さっき公示ということをおっしゃってくださったんですけれども、そういった仕組みがあるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
- ○寺田政府参考人
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失礼いたしました。
先ほど御説明いたしましたてん補責任は、会社法の四百六十二条の第一項第六号と同様の性格のものでございますので、これは過失責任ということになるわけでございます。
次に、ガバナンスの問題でございますが、これは、一般的にガバナンスをどう信託においてとるかと申しますと、それは基本的には受益者がこれをチェックしているということになるわけでございまして、受益者には受託者を監督、監視するための帳簿閲覧権等、あるいは報告請求権等が認められておりますし、違法行為を是正するために、損失てん補の請求権でありますとか、あるいは信託の違反行為の差しとめ請求権まで認められているわけでございますが、受益者が必ずしも判断能力が十分でないという場合には、新たに信託監督人の制度を設けている、これが一般の信託の利用で限定責任信託のガバナンスをカバーする部分でございます。
しかし、先ほど申しましたように、限定責任信託においては、特に債権者にとっての債権債務状態の公示、財産状態の公示というのが重要でございますので、通常の信託と異なりまして、必ずその信託についての計算書類の作成義務というのがございます。これは二百二十二条でございます。したがいまして、これによって、債権者にとっては通常よりもしっかりした公示がされるということになるわけでございます。
第四に、限定責任信託の受託者に対しまして、仮に信託事務が悪意、重過失で行われたということになりますと、受託者はこれによって第三者に生じた損害を賠償しなければならない。会社法で言う取締役の第三者責任みたいなものがここでも認められているわけでございまして、そういう悪意、重過失がある場合には、債権者は直接にその限定の責任性を打破することができる、こういう関係になっているわけでございます。
- ○柴山委員
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しっかりと穴のないような制度運用をしていただけたらと思います。
次に、目的信託、受益者を特定しない形の信託についての質問をさせていただきたいと思います。
先ほど、大口委員の方から、福祉型の信託制度について、現行法制度上、甚だ規定が不備であった、利用しにくかったという問題提起がございました。公益信託に限定されない形でこうした受益者を特定しない形の信託ということが導入されたのは大変画期的なことだとは思うんですが、まだまだ不十分な点があるのではないかと思います。先ほど、三年を目途としての見直し、業法の見直しということも御指摘をいただきましたので、それについてはぜひしっかりと前向きに進めていただきたいと思います。
ただ、ちょっと概念上整理をさせていただきたいのは、例えば、個人が、相続あるいは後継ぎ相続人というんですか、孫等に財産をとっておきたいというような後継ぎ遺贈型の信託、これと今回の目的信託、これはどのように概念上区別されるのでしょうか、御説明をいただきたいと思います。
- ○寺田政府参考人
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今委員がおっしゃいました後継ぎ遺贈型の信託と申しますのは、委託者が、自分の生存中は自分が例えば受益者になる、死亡したら、第一に自分の妻が受益者になる、妻が死亡したら子供が受益者になる、そういう転々と受益者が変わっていくタイプの信託でございまして、受益者連続型とも言うわけでございます
もともと信託と申しますのは財産の処分の側面がございまして、遺贈に近いことをこれをもって行えるということでございますので、遺贈の場合ですと所有権が完全に移ってしまうわけでございますが、この後継ぎ遺贈型信託というのは、受益権が次々と移るわけでございます。そこが違うわけでございます。
したがいまして、本来ですと所有権が移る、それが、ある人のその所有権は一定期間たったらまた次の人に移る、また次の人に移るということになりますと、ちょうど所有権が期限つきのものになってしまうという、民法の概念からいきますと極めて異例のことになります。それは、民法ではさすがに認められていないわけでございます。
しかし、この後継ぎ遺贈型は、単なる受益権がそういう転々とするわけでございますので、機能的に似た側面はございますが、しかし、概念上は全くそういう所有権の期限性というようなものは抜けられるわけでございまして、これは、どちらかといいますと、信託の先進国であります英米においては、こういう型の信託こそまさに信託のメリットだということが言われるくらいでございます。
しかし、これについても、いろいろ問題は相続との関係であるということから、一定の制約は課しているわけでございます。所有権秩序との関係で、余り長くなってもどうかということで、世代ということを考慮いたしまして制約は課しているわけでございますが、しかし、こういうニーズはこれからの高齢化社会には必ずあるだろうということで、今回、これを間接的に、つまりどういうものは有効かという形で示すことによって、新たにこの信託法の中に登場させた、こういう関係に立っているわけでございます。
〔委員長退席、上川委員長代理着席〕
- ○柴山委員
-
余り長期のものについては認めないということで、今回は三十年という期間が限定されていたかと思います。
これは確認としてですが、この後継ぎ遺贈型の信託についても、遺留分を侵害することはできないという規制があることは当然だと思いますが、その点の確認がまず一点です。それから、これは後継ぎ遺贈型には限らないのですけれども、受託者が死亡して財産主体がなくなってしまったときに、この目的信託の財産というのはどのような扱いになるのか。それぞれについて、お答えを簡潔にいただけたらと思います。
- ○寺田政府参考人
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先ほど申しました後継ぎ遺贈型の信託につきましては、三十年という期間制限があるわけでございますが、当然のことながら、先ほど相続秩序の問題もあると申し上げましたとおり、これのやり方によっては遺留分の侵害ということが起こり得るわけでございますが、それは、相続法の秩序の方が優先する、つまり、遺留分の侵害がある場合には、当然、遺留分減殺請求権を持っている者は、その限度でその権利を行使することができるということになるわけでございます。
次に、受託者が死亡した場合の目的信託のあり方についておっしゃったわけでしょうか。
目的信託といいますのは、今の後継ぎ遺贈型の信託とは異なりまして、これは受益者がいないわけでございます。そう言いますと信託の本質にやや問題が生ずるかもわかりませんが、信託としては、いわば公益目的のようなものが現在でも目的信託的なものとして認められており、しかし、今後の公益を果たす主体のあり方といたしまして、基本的には非営利なものを認め、その上にさらに公益があれば公益認定をして、いわば要件を積み重ねた上で公益という新たな地位に上る、そういう仕組みが今後構想されている関係で、公益信託というのではなくて、非営利信託としての目的信託を認めたものでございます。
これについて、受託者が死亡するということになりますと、この種の信託においては、基本的には受託者についての信認というのが非常に重要なものでございますので、受託者の相続人がそのまま受託者になるというようなことはございません。あとは、信託そのものがどう終了するかという利害関係者の問題になるわけでございます。
- ○柴山委員
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今後、税金の話についても恐らくしっかりと見ていかなければいけないと思います。
例えば、遺贈によって目的信託がなされたような場合、この場合の課税関係についてちょっと指摘をさせていただきたいと思うのです。
目的信託の場合は、受益者が不特定なわけですから、基本的には委託者が当然課税をされなければいけないということになるんでしょうけれども、遺贈によってこれがなされた場合には、委託者がいなくなるわけですから、これは結局課税ということが適切になされないのではないかという問題点が多分出てくるんだと思います。
この点について、課税当局はどのような形で対応をされるのか、教えてください。
- ○古谷政府参考人
-
お答えをさせていただきます。
御指摘ございましたように、現行の相続税法におきましては、遺言によって受益者が特定されない信託が設定された場合、委託者の相続人は委託者の地位を引き継ぐということになっておりますので、現在では適切な相続税の課税ができるわけでございますけれども、今般の信託法案におきます遺言信託、ここでは、委託者の相続人は相続によって委託者の地位を承継しないということになっております。したがいまして、遺言によりましていわゆる目的信託が設定されました場合には、委託者が亡くなりますと、御指摘がございましたように、その権利につきまして相続税として課税できないという問題がございます。
このことが相続税の租税回避に用いられる懸念がございますので、私どもといたしましては、この信託法案に対する税制上の対応につきまして、十九年度の税制改正でいろいろな検討をしなければいけないと思っておりますが、その中で議論をさせていただいて、適切に措置をさせていただければというふうに考えております。
- ○柴山委員
-
税制の問題については重要な論点が結構たくさんありますので、時間も残り少ないのですが、簡単に網羅したいと思います。
まず、結局、受益権を生み出すのがこの信託制度なんですけれども、例えば無償でその受益権を第三者に与えたような場合の贈与税、個人の場合ですが、贈与税のかかり方はどのようになっていくのか。また、受益権を売却したときの課税がどのようになっていくのか。また、受託者に対してどのような形で課税がされるのかということについて、それぞれお答えをいただきたいと思います
- ○古谷政府参考人
-
お答えをいたします。
まず、委託者以外の者に受益権を取得させる、いわゆる他益信託が無償で設定されました場合には、その設定されました時点で委託者から受益者へのいわゆる信託受益権の贈与があったものとして、贈与税が課税をされます。それから、信託受益権が受益者から譲渡をされました場合には、課税上は信託財産を譲渡したものとして、譲渡所得税の課税が行われるということでございます。
それから、受託者に対する課税というお話がございましたが、信託財産は法律的には受託者に帰属をしておるわけでございますけれども、現行の信託税制におきましては、このような信託財産から生じます収益に対しまして、信託の内容ですとか性格に応じまして幾つか取り扱いを異にしております。
具体的に申し上げますと、特定目的信託ですとか私募投信のような一定の投資信託につきましては、同様の活動を行う特定目的会社などとのバランスを踏まえまして、その収益につきまして受託者の段階で課税を行う、いわゆる法人課税を採用しております。
それから、貸付信託ですとか証券投資信託といいました不特定多数の受益者を有するような、いわば金融商品的な性格を有する信託に対しましては、これは収益が受益者に現実に分配をされるところまで課税を繰り延べまして、受益者の段階で、分配された時点で課税を行うという考え方をとっております。
それ以外の信託でございますけれども、これにつきましては、信託財産から生ずる収益等が受益者に帰属するものだというふうにみなしまして、事業年度ごとに、分配がなくても、受益者にいわゆるパススルー課税をするといった取り扱いを行っております。
以上でございます。
- ○柴山委員
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まだまだ非常に重要な論点がたくさん残っておりまして、例えば先ほど大口委員が御指摘いただいた忠実義務の緩和のところの類型化、特に、受益者の同意なくしてこれを本当に緩和してよいのか、その類型化が十分なのかといった論点、あるいは信託の併合あるいは分割制度についての規律、あるいは受託者が破産をした場合あるいは信託財産が破産をした場合の取り扱い等々、実務的に本当に取り上げなければいけない論点が多々ございまして、時間があればお聞きをしたかったのですけれども、これで質疑時間終了ということですので、またほかの委員の先生方にぜひ御質問をいただければと思っております。
どうもありがとうございました。
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