- ○柴山委員
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自由民主党の柴山昌彦でございます。
本日のお話をお伺いしまして、与党あるいは民主党の提案者の皆様ともども、国民投票運動の保障を最大限図っていかなければいけない、表現の自由あるいは学問の自由、政治活動の自由に照らしてそのような意見を持っているということを改めて認識した次第です。
しかしながら、両案ともにこれに対する規制を容認しております。そこでそれぞれの提出者にお伺いしたいのは、そのような規制によって守ろうとする利益は一体何なのか、これについて手短にお答えをいただきたいと思います。
- ○保岡議員
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まず、特定公務員の国民投票運動の制約の条項については、中央選挙管理会の委員等というのは、やはり手続の中立性、公正さを担保するという意味で、最もその手続に直接携わる方たちですから、これは運動にかかわることを禁止して、中立性やその信頼を保護法益と考えていいんじゃないでしょうか。
それから、裁判官や検察官、公安委員会の委員、警察官というのは、その職務の性格や強制力によって投票人の意思決定に対して他の一般の国民ではなし得ないような大きな影響を及ぼすおそれがある職種のものであるという意味で、国民の自由闊達な意見の表明とか、国民投票運動の盛り上がりなどに対する自由、公正さというものを保護法益にしていると考えていいのではないかと思います。
- ○園田(康)議員
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柴山委員にお答えを申し上げます。
民主党の場合は、私どもは保護法益としては、国民投票の投票そのものにかかわる自由な運動というものが行われるべきものであろうという形から、この国民投票そのものの自由と公正をしっかりと担保していきたいというふうに考えた次第でございます。
したがって、この国民投票運動そのものに関しましては、いわゆる国民の意見表明、政治的な意見表明というものがきちっとここで担保されなければいけない。そこにかかわる規制をかけていくということになれば、すなわち、先ほどから議論が、午前中でも出ておりましたけれども、萎縮効果を生んでしまうことになってしまうというところから、ここに関しましては少なくとも必要最小限度のものにとどめようという形で、例えば投票事務関係者、そういったところでの運動禁止というものを設けたということでございますけれども、そのほかにつきましては私どもは原則自由という形をとらせていただいている次第でございます。
- ○柴山委員
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基本的には、両案とも自由な意思表明を確保するための公正性の確保ということを中心としていると思います。
ただ、ここでちょっと問題提起をしたいんですけれども、公務員の政治活動の禁止、これは公職選挙法等に規定されている、あるいは国家公務員法等に規定されているわけですけれども、この場合の保護法益としては公務の中立性に対する国民の信頼ということが挙げられるのではないでしょうか。
憲法は十五条二項で公務員は全体の奉仕者であるというように定めております。また、憲法に限って言えば、九十九条で憲法尊重擁護義務が公務員には課されています。先ほど笠井委員が御指摘のような宣誓をするという行為が公務員には課されています。このような中にあって、猿払事件で問題となったように、すべての公務員について一律に国民投票運動を制限するということはいかがかと思いますが、例えば、一昔前は閣僚が憲法改正に言及しただけで首が飛んだ時代がありました。そういうようなことを考えた場合に、例えば裁判官がその担当している案件とは別のコンテクストで自由に改憲を主張するような場合に、憲法上の争点が問題となっている裁判が仮に発生した場合に、その当事者が裁判官に対して忌避を申し立てることができるんでしょうか。
私は、公務員の職務に対する国民の信頼、中立性への信頼、こういうことを考えた場合に、最低限、与党の提案された裁判官、検察官、公安委員会の委員並びに警察官、こういった公務員の国民投票運動に関しては、意見表明にとどまる場合はいかがかと思いますが、少なくとも一定の制限というのはやはり必要になってくるのではないかと思うんですが、この点について両党の提出者に伺いたいと思います。
- ○保岡議員
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先生言われるように意見表明はだれでも自由にできるということを前提として、いわゆる国民投票に関する勧誘行為、こういった国民投票運動というものについては、先生のおっしゃるように、先ほども私も申し上げたように、裁判官等の特定公務員、あるいは場合によっては一般的な公務員でも、地位利用といったものは、職種柄、あるいはそれに伴う強制力、あるいは類型的に国民の投票の公正さに影響を与える疑義が生ずるおそれがある。したがって、らしさという信頼を確保する意味でも必要だと思って我々は提案したんです。
しかし、いろいろ海外調査をしたり、いろいろ議論して、けさの小委員会でも議論してまいりまして、やはり裁判官にしても、デンマークなどの判事さんといろいろディスカッションしたんですけれども、そのときも、裁判官であれこの国では国民運動は禁止されていない、ただ、それはひとえに公務員の自分の立場からする自制というか常識的な対応の範囲内の問題であって、したがって公務の公正さを疑われるような場では発言を控えるようにするなどみずから判断している、特に高い地位にある公務員ほどそういうような判断をきちっとしているというお話でございました。
そういうようなことを考えると、例えば裁判官だとか検察官だとか、そういう法律家に、むしろ節度を持った常識の範囲内で憲法に対する意見を言ったり、それに伴って多少意見表明からオーバーするような行動も目くじらを立てて何か罰則で担保して禁止する必要まであるかどうかについては、これは外国の例なども参考によく考えてみたい。与党としては、そういうふうに今後の再考を含めて検討の余地を念頭に今考え方を取りまとめようといたしております。
- ○園田(康)議員
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先ほど公務員の発言、特に裁判官について御指摘があったわけでございますけれども、今保岡委員からも発言がございましたし、本日の午前中の意見の中でもございましたけれども、いわゆるそういう地位の方々が憲法改正についての意見をされるということは、自然と意見表明という形にはなるんでしょうけれども、さらにそこから判決に絡んだ話をするというところまでは至らないのではないか、その点はそれぞれの良識あるいは常識の範囲内でおさまるのではないかというふうに考えていると同時に、そういったことがなされれば、自然とその地位に当たる方々にいわゆる常識、社会的な通念の中から批判が出てくるものというふうに考えるわけでございますので、この点は心配には当たらないというふうに私は思っております。
- ○柴山委員
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諸外国の事例については原則自由ということは、確かにそのとおりだと思います。ただ、例えばフランスのように、原則は自由ですが、公的助成を受けてキャンペーンを行う政治団体に関しては一定の規制が課されるというような事例もあることですから、やはり公的な色彩を帯びた団体あるいは機関の運動に関してはいま一度見直してもよいのではないかなという問題意識を私は持っております。
また、公務員の地位利用の問題につきましても、威迫と呼べるようなものについてまで放置しておいてよいのかということについては、ぜひ問題提起をさせていただきたいと思います。
次の質問に移りますが、教育者の地位利用についてでございます。
これは公立あるいは国立学校以外に私立学校に関しても恐らく当てはまる規制なのだと思いますけれども、与党案を拝見しますと、学校の児童生徒に対して地位利用をしてはいけないという規定になっておりますが、当たり前のことですが児童は国民投票の投票権はありません、そのような事例においてまでなぜこうした地位利用の禁止を設けているのか。また、これも学説の講義をするということまで地位利用に当たるのかどうかという問題提起がいろいろな方からなされますが、この地位利用の意味についてもあわせてぜひお伺いしたいと思います。
- ○船田議員
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お答えいたします。
今柴山委員御指摘のように、教育者の地位利用ということについては、与党案としては国民投票運動については禁止をしたい、こう考えております。これには、もし公務員法だけで対応するとすれば、私立の学校の教育者が除外されるということもありますので、これはやはりバランスをとらなければいけないということで対応したいと思っております。
ただ、御指摘のように確かに児童は投票権者ではありませんので、児童に対して直接投票を依頼するというようなことは考えにくいわけでありますが、教育者が児童に対して間接的にその保護者に働きかける場合、その児童に対する教育者としての地位を利用して直接に保護者に働きかける場合、そういった、子供を通じて保護者に何らかの影響を及ぼし得るのではないかということに着目をしたわけでございます。
例えば、もうちょっと詳しく申し上げれば、特定の憲法改正案に対して賛成または反対するように児童を通じてその保護者に依頼をする行為とか、保護者会の席上や家庭訪問の際に国民投票運動をするという行為、あるいは教育者が教室において社会科の科目として児童に特定の憲法改正案に賛成または反対するよう講話をする、そしてそれが親に伝わっていく、こういったような例も考えられるんだと思っております。
ただ、この問題につきましては、先ほど来話が出ておりますように、地位利用そのものということを罰則として設けるべきかどうかということについては、なお諸外国の例を見ながら、また、きょう午前中のさまざまな角度からの議論を見ながら慎重に検討していかざるを得ない、このように思っております。
- ○小川(淳)議員
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民主党案におきましては、教育者の地位利用につきましても特段の制限を加えていないわけでございまして、議論になっております公務員の方、検察官、裁判官、教育者、これは極めて良識的な、高い良識を持った行動が常に求められているわけですから、まずはそこへ信頼を置きたいと思います。
その上で憲法秩序には、日ごろ遵守をしていただいている公務員、教育者もこの国民投票に限っては憲法秩序に働きかけていただく主権者の一人でございまして、そういう意味でも自由な政治的な意見の表明の機会は最大限確保してまいりたいというふうに考えております。
- ○柴山委員
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続きまして、罰則に関する質問なんですけれども、与党案では国民投票運動に関する買収罪が設けられています。これについて影響を与えるに足りる物品もしくは財産上の利益等の提供ということがなかなかわかりづらいという指摘が恐らくあろうかと思います。これについてどのようにお答えになるでしょうか。また、先ほど民主党の方から指摘がありましたとおり、公務員、教員に対する取り締まりということが本当に現実的かということをお伺いしたいと思います。
一方、民主党に関しては、こうした買収の規定が本当に不要なのか。先ほど余りないだろうというお話がありましたが、我々は起きた場合にどうするかということを議論しているわけでありまして、犯罪も同じでありまして、どんな悪質なものでも起きたときに本当にそれを放置しておいてよいのかという観点からぜひ考えていただきたいと思います。法的なペナルティーがなくていいのか、社会的非難で本当に足りるのかということについてぜひお伺いしたいと思います。
- ○船田議員
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お答えいたします。
私どもは、組織的多数人買収罪ということで、これは公選法にも準じながらこのような規定をとりました。しかし、公選法の規定はかなり厳しいものでございますので、できるだけその要件を限定いたしました。例えば、組織によるものである、それから、多数の投票人に対して行われるものである、それから、賛成または反対の投票をしまたはしないように勧誘をするという行為がある、そして、その投票をしまたはしないことの報酬として金銭の授受がある、あるいは、賛成または反対の投票をしまたはしないことに影響を与えるに足る物品その他の財産上の利益、これはサービスも含めまして、そういったものに限定をして、買収罪という形をさらに限定していこう、こういう考えであります。
おっしゃるとおり影響を与えるに足る物品というのは一体何だろう、こういうことでございますけれども、我々、一つは財貨性ですね、そのものが利益をその人間にどの程度与えるのかということや、あるいは市場流通性、お金を払うことによって市場で買うべきものがただで入ってしまう、こういったことが一つの条件としてはあるのではないかと思っております。
ただ、それを突き詰めていきますと、それでもなお非常にあいまいな部分が出てくる。例えば国民投票運動の意見表明をする手段として通常使われているもの、例えばDVDであるとか、それから、反対を唱えている有名な学者が書きおろしで自分でパンフレットや本を書いてそれをただで会場で配った場合どうなのかとか、そういった問題についてはなお整理をしていく必要があるだろうということで、これはこれからまた議論を深めながらなるべくさらに限定をする方向で考えていきたいと考えています。
- ○園田(康)議員
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民主党も、御指摘のとおり一票をお金で買うような行為は当然許されるものではないという側に立つわけでございますが、しかしながら、今回そういった罰則は設けていないということは、高度に、私どもは、自由闊達な国民投票運動というものが展開されていくという、それに対する萎縮効果が働かないということを前提に置いているわけでございます。
しかしながら、起きた場合はどうなるのかというようなお話を今ちょうだいしたわけでありますけれども、我々は主権者たる国民の政治的な意見表明の機会は最大限配慮をしていかなければいけないというふうに考えると同時に、それに対する悪質なケース、先ほどから少しいろいろ出ておりますけれども、悪質なケースがどのようなものであるのかということの構成要件、これはどうしても今の現時点ではあいまいになってしまっているのではないかなという懸念を一方で持っているわけであります。
したがって、例えば一票をお金で買うということが、一億人の投票権者がいらっしゃるわけでありますので、その過半数を買収するという状況が果たして可能であるかどうか、あるいは秘密裏にそういったことを行うことができるかどうかというところがまだ私たちは疑問を持っているところでございます。また、それが仮に明るみに出たという形になれば、やはり、先ほどのお話ではありませんけれども、十分に社会的な制裁を受けるに足るものというふうに思っております。
そしてまた、個人の当落を争う選挙という形ではございませんので、個人的な利害関係から買収行為へとつながる危険性については今現時点においてもそれほど高くないというふうに判断をさせていただいておりますので、今の現時点では特段そういった萎縮効果を生じさせるような罰則を設けるということは考えるに至っていないということでありますけれども、しかしながら、今後の議論の中で、やはりこれはどうしてもまずい、見過ごしておくことはできないというものが出てくれば、それにつきましては私たちも検討の余地がないということではないというふうに申し上げておきたいと思います。
- ○柴山委員
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ありがとうございました。質問を終わります。
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