貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
- ○議長(河野洋平君)
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この際、内閣提出、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣山本有二君。
〔国務大臣山本有二君登壇〕
- ○国務大臣(山本有二君)
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ただいま議題となりました貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
現在、多重債務問題が大きな社会問題となっている状況を踏まえ、貸金業の適正化、過剰貸し付けに係る規制及び出資法の上限金利の引き下げ等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、貸金業の適正化を図るため、財産的基礎要件として最低純資産額を五千万円に引き上げること等、参入要件を厳格化するとともに、貸金業協会を内閣総理大臣が認可する制度を設け、その自主規制機能を強化し、広告の適正化や過剰貸し付けの防止等について自主規制規則を制定させ、当局が認可する枠組みを導入すること等としております。また、借り手保護の観点から、貸金業者に対する取り立て規制の強化等の措置を講ずるとともに、新たに業務改善命令を導入すること等、所要の措置を講ずることとしております。
第二に、借り手の返済能力を超えた貸し付けが行われないよう、内閣総理大臣が信用情報機関を指定する制度を創設するとともに、貸金業者が個人向けに貸し付けを行う場合に指定信用情報機関の信用情報を利用して返済能力の調査をすることを義務づけ、年収の三分の一を超える貸し付けを原則禁止すること等、所要の措置を講ずることとしております。
第三に、借り手の金利負担の軽減を図るため、貸金業者に適用されてきたいわゆるみなし弁済制度を廃止し、業として行う貸し付けにつき出資法の上限金利を年二九・二%から年二〇%に引き下げること等、所要の措置を講ずることとしております。
第四に、やみ金融に対する罰則を強化するため、年一〇九・五%を上回る超高金利の貸し付けに対する罰則を新設するとともに、無登録営業に対する罰則を懲役五年以下から十年以下へ引き上げること等、所要の措置を講ずることとしております。
第五に、政府は、関係省庁相互間の連携を強化することにより、カウンセリング体制の整備、やみ金融の取り締まりの強化、この法律による改正後の規定の施行状況の検証等、多重債務問題の解決に資する施策を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならないこととしております。
なお、貸金業制度のあり方や出資法及び利息制限法に基づく金利の規制のあり方について、この法律の施行後二年六月以内に、過剰貸し付けに係る規定等や出資法及び利息制限法の規定を円滑に実施するために講ずべき施策の必要性の有無について検討を加え、その検討の結果に応じて所要の見直しを行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
- ○議長(河野洋平君)
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ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。柴山昌彦君。
〔柴山昌彦君登壇〕
- ○柴山昌彦君
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自由民主党の柴山昌彦です。
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
多重債務問題の解決は、我が国にとって重大かつ緊急の課題であります。テレビをつければ、あるいは町中で、オペレーター役の若い女優やマスコットの動物が登場する消費者金融、いわゆるサラ金の広告が至るところにはんらんしています。そして、十日で二割、三割といった法外な高金利の、いわゆるやみ金融のばっこ、臓器を売ってでも、あるいは死んで保険金で返せなどといった過酷な取り立て、家庭崩壊。私は、東京弁護士会の広報委員として、このような近年急速に深刻さ、悲惨さを増している実情を取材してまいりました。
現在、消費者金融の利用者は約千四百万人、そのうち約二百三十万人が多重債務状態だと言われております。そして、我が国の年間の自殺者数は約三万人ですが、そのうち相当数が多重債務状態に陥っているとも言われております。なぜ、このような悲惨な状況が、特に無担保消費者金融において続いてきたのでしょうか。そして、国はこれまでどのような対策をとってきたのでしょうか。金融担当大臣に御説明を求めます。
このような中で、利息制限法で定める一五ないし二〇%の上限金利と、出資法で定めた刑罰金利であり、かつ貸金業法上書面を作成して任意に返済すれば有効となる二九・二%の上限金利に挟まれたグレーゾーンの存在が、債務者を苦しめるものとして大きくクローズアップされました。
裁判例においては、このグレーゾーンの返済の任意性を厳格に解するものが続出し、ついには、こうした高利息の返済を一回でも怠れば一括して残りの債務を即時に支払わなければいけないという当たり前のいわゆる期限の利益喪失約款をもって、特段の事情がない限り返済が任意に行われるものでないと本年一月十三日に最高裁が判示しました。
その結果、二九・二%という高い金利を容認するこの貸金業法の規定は既に事実上効力を失っており、全国至るところで、既に債務者が支払った利息制限法超過利息の返還訴訟が起きています。既にこうした動きがある中で、今回の改正法案が法文上グレーゾーンを廃止することの意義を金融担当大臣にお伺いします。
一方、例外や特例なく上限金利を利息制限法の水準に引き下げた場合、貸し倒れの危険性の高い消費者や事業者が適法に融資を受けられなくなり、かえってやみ金融を増長させかねないですとか、資金調達を初めとするコストや貸し倒れリスクに耐えられない中小の貸金業者が淘汰され、信用収縮、いわゆるクレジットクランチが発生するなどといった懸念も示されています。
自民党においては、ことし五月に金融調査会のもとに貸金業制度等に関する小委員会を設置して以来、関係部会との合同会議も含めて、ほぼ二十回にわたりこの問題を討議しました。消費者問題、金融問題のエキスパートを初め、多くの議員たちが、ベテランから当選一回の皆さんまで、まさに改革政党の名にふさわしい正々堂々たる議論を繰り広げたのであります。(拍手)
結局、今回の法案では、少額融資の場合に一定の高金利を認める特例を設けることや、利息制限法の上限金利の融資金額による区分の見直しは見送られ、あわせて、これまで金利規制の抜け穴となっていた保証料などについても、利息と合算して上限金利規制の対象とすることになりましたが、こうした金融排除やクレジットクランチの懸念に一体どのように対処していくのか、金融担当大臣にお伺いします。
また、今回の法案では、無登録業者に対する罰則が懲役五年から懲役十年に引き上げられるなど、やみ金融に対する罰則も強化されておりますが、やみ金融に対する取り締まりの強化にどのように取り組んでいくのか、その決意と具体的な取り組みについて国家公安委員長にお伺いします。
さて、こうした対応以外にも、多重債務問題の解決のためには非常に広範な対策が必要です。特に、借り入れの額については、債務者ごとの総量規制が不可欠ですし、期間についても、例えばいわゆるリボ契約について規制を設ける必要があります。このほか、貸金業者の登録要件、信用情報機関のあり方、貸し付けの際に業者に課される規制や取り立ての際の規制の強化について、それぞれ改正法でどのような手当てがなされているか、金融担当大臣にお伺いします。
なお、これまで述べてまいりましたそれぞれの対策には、経済や債務者への影響を慎重に考え、一定の経過措置が必要と考えますが、具体的な施行時期、スケジュールについて金融担当大臣の御説明を求めます。
一方、こうした債務者への対策としては、このたび発足した日本司法支援センター、いわゆる法テラスやカウンセリング機関の体制強化が必要であり、あわせて、債務整理等の専門家である弁護士会などの協力を仰ぐことが不可欠となるので、これら関係機関、団体による多重債務者への支援に関して法務大臣のリーダーシップが大いに期待されるところです。今後どのような取り組みをお考えか、法務大臣にお尋ねいたします。
しかしながら、既に、例えばにせものの高級時計を情を通じた業者から借りさせて、それを質受けするなど、消費者を食い物にした新たな金融手段が登場しています。こうした行為に対する取り締まりの強化にどのように取り組んでいくのか、国家公安委員長にお尋ねいたします。
また、貸金業者の中には、みずからが行う強制執行に用いる公正証書を作成するのに必要な債務者の同意を、委任状を債務者から不当に入手することによって得ることが多く見られています。さらに、債務者の生命保険契約をみずから締結し、保険料の立てかえ払いも行って、債務者の死亡後、生命保険金をもって債務の返済に充てさせている例までもが見受けられます。このような状況にどう対応していかれるのか、金融担当大臣の御所見を伺います。
いずれにせよ、今回の法改正を円滑に施行するとともに、新たな対策を講じ、さらには借り手教育を充実させていくためには、関係省庁が連携して、また官民が一体となって、総合的で息の長い取り組みを行っていくことが必要です。この作業では、内閣官房が司令塔となって省庁横断的な情報収集及び対応を進めていくことが非常に重要だと思いますが、内閣のかなめである官房長官より、それに向けた御決意をお聞かせください。
最後になりますが、今回の改正内容については、長年にわたり多重債務問題に真摯に取り組んでこられた日本弁護士連合会などの諸団体から、高く評価する旨のコメントが発表されました。安倍総理は、拉致問題に関し、一人の被害者も見捨てることはしないと述べられていますが、多重債務問題で亡くなる方を根絶することも、国を挙げての重要な課題です。一日も早くこの法案を成立させ、国民の期待にこたえることが立法府としての責務であることを強調して、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣塩崎恭久君登壇〕
- ○国務大臣(塩崎恭久君)
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柴山議員にお答えいたします。
多重債務者問題に関する内閣官房の対応についてお尋ねがございました。
政府といたしましては、多重債務問題の解決に向け、政府を挙げて取り組む決意でございます。このため、内閣官房に多重債務者対策本部を設置し、改正法の円滑な施行に加え、消費者教育の強化やカウンセリング体制の充実等について、関係省庁が連携して取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣山本有二君登壇〕
- ○国務大臣(山本有二君)
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柴山議員にお答えいたします。
多重債務問題への政府のこれまでの対策についてお尋ねがありました。
政府としては、近年、貸金業者による高金利での過剰な貸し付け等により多重債務問題が深刻化しており、その解決が重要な課題となっていると認識しておりました。こうした認識のもと、政府としては、これまでも、貸金業規制法等関係法令が累次改正される中で、法令に基づいて厳正かつ適切な監督に努めるなど、借り手の保護のための施策の実施に努めてきたところでございます。
今回の改正において、いわゆるグレーゾーン金利を廃止することの意義についてお尋ねがありました。
今回の法案では、多重債務問題を解決するために有効なあらゆる施策を講じることとしており、その重要な施策の一つとして、貸金業法第四十三条に基づくいわゆるグレーゾーン金利を廃止し、出資法の上限金利を二〇%まで引き下げることとしております。これにより、債務者の金利負担が軽減され、多重債務問題の解決に資することとなるものと考えております。
信用収縮などの懸念に対し、どのように対処していくのかとのお尋ねがございました。
今回の改正により、新たな多重債務者を発生させない枠組みを構築する必要がありますが、その過程において、現在の借り手が急に返済を迫られ、かえって生活に悪影響が出るような事態を招かないようにすることも必要であると考えております。こうした点も勘案し、今回の改正におきましては、上限金利引き下げと新たな過剰貸し付け規制の実施までおおむね三年程度の準備期間を設けることとしております。
借り入れの額や期間に対する規制など、改正法上手当てされている施策についてのお尋ねがありました。
今回の改正においては、上限金利の引き下げとあわせて、返済能力を超える借り入れが行われないよう、個々の借り手の総借入残高を指定信用情報機関を通じて把握させた上で、総量規制を導入するとともに、いわゆるリボルビング契約の毎月の最低返済額等についての自主規制規則を制定させ、金融庁が認可することとしております。
このほか、貸金業者に対して、純資産要件の引き上げや資格試験の導入など参入要件を厳格化するとともに、日中の執拗な取り立て行為の禁止などの取り立て規制の強化及び事前の書面交付義務など行為規制の強化を行い、多重債務問題の解決に資する総合的な施策を講じることとしております。(拍手)
〔国務大臣溝手顕正君登壇〕
- ○国務大臣(溝手顕正君)
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柴山議員の御質問にお答えいたします。
まず初めに、やみ金融に対する取り締まりの強化についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、高金利貸し付けや違法な取り立て等、やみ金融事犯については依然として深刻な被害が出ているものと認識しております。
警察では、これまでもやみ金融事犯の取り締まりを強力に進めてきたところでありますが、今回の改正を機に、関係機関、団体とも連携しながら、今後、さらに取り締まりを強化し、被害防止に努めるものと承知いたしております。国家公安委員会といたしましても、この問題について警察に寄せられる国民の期待と信頼にこたえることができるよう、その取り組みを督励してまいる所存でございます。
次に、消費者を食い物にした新たな金融手段に対する取り締まり強化の問題であります。
警察は、貴金属や商品券等を利用した金融手段についても、それが実態として高金利の貸金業と認められる場合には、これまでも出資法や貸金業規制法を適用して厳正に対処しているものと承知いたしております。御指摘のような新手の金融手段につきましては、それが違法な行為に該当すれば、警察においても厳正に取り締まりを推進していくものと承知いたしております。(拍手)
〔国務大臣長勢甚遠君登壇〕
- ○国務大臣(長勢甚遠君)
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柴山議員にお答え申し上げます。
多重債務者への支援に関する取り組みについてお尋ねがありました。
御指摘の多重債務者への支援については、日本司法支援センターにおいて、法的トラブルを抱えた国民に対する情報提供業務の一環として、多重債務問題などの金銭の借り入れに関する法的トラブルの問い合わせを受け付け、破産手続等の法制度に関する情報や多重債務者に対する助言等を行うカウンセリング機関などの相談機関に関する情報を迅速適切に提供しております。
多重債務の問題に適切に対応するためには、御指摘のとおり、弁護士会の協力を得るなど、関係機関、団体との連携協力のもとに司法支援センターの業務が行われる必要があります。このため、司法支援センターにおいては、協議会を開催するなどして、関係機関、団体との連携協力関係を一層深めるよう努めているところであります。(拍手)
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