本会議での発言
本会議
第166回 国会 衆議院 日本国憲法に関する調査特別委員会
第5号 2007年4月12日(木)
午前十一時一分開議
○中山委員長
 これより両法律案並びに保岡興治君外三名提出の修正案及び枝野幸男君外二名提出の修正案を一括して質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

○柴山委員
 自由民主党の柴山昌彦でございます。
 本委員会で大変長時間にわたって与野党間で活発で真摯な調査及び審議がなされた結果、ことし三月十七日、与党から、与党案、民主党案の併合修正案が提出されたのに引き続きまして、今般、民主党からも修正案を提出していただくこととなりました。まず冒頭、民主党の真摯な議論には敬意を表したいと思います。
 しかし、その上で、今、園田先生からは、民主党の考えと与党修正案との間には厳然たる相違点が存在していると言わざるを得ないといった御発言がございました。以下、私の質問で、本当にそれが厳然たる差異なのか、乗り越えられないものであるのかということについて、個別にお伺いしていきたいと思っております。
 まず第一に、投票権者の範囲でございます。
 民主党案におきましては、国民投票の投票年齢について本則で十八歳以上として附則で関連法令の見直しをするとしておりますけれども、その内容及び趣旨は一体どのようなものなのでしょうか。そして、与党案において幾らでも先送りできるというような御説明も今あったわけですけれども、この点についてどのように考えておられるのでしょうか。民主党修正案提出者及び与党修正案提出者それぞれにお伺いいたします。

○枝野委員
 私どもは、成人年齢あるいは他の選挙権年齢が二十であったとしても、憲法改正の国民投票については、より長期にわたって国民を拘束するという性質にもかんがみ、より若い世代に可能な限り投票権を認めるべきであるということで十八歳の投票権ということを従来から主張してきております。と同時に、私どもは、もともと十八歳成人、十八歳選挙権も主張しておりますし、国民投票について十八歳にするということであるならば、成人年齢を初めとして、それを出発点として十八歳に引き下げることをきちっと検討して結論を出すということは当然あっていいことだろうということで、こういった附則を設けております。
 与党修正案にも似たような附則がございますが、法改正がなされるまでは二十とするという規定が与党案にはくっついております。ところが、国会は、どちらの案によっても、施行までの三年の間に関連法令を見直すという法的義務が課せられている。この法的義務をちゃんと実行するのであれば、それまでの間は二十とするという与党にだけある附則は必要ないはずなんですね。
 にもかかわらず、そういった必要ない附則をつけているというのは、附則には書いたけれども、この義務を履行しない、あるいは履行できない可能性があるということを少なくとも危惧しておられるのは間違いないわけでありまして、ちゃんと三年以内に関連法令を整備するならばそんな規定は必要ないことでありますので、それは先送りの意図があるのではないかと勘ぐられても仕方がない。
 三年以内にちゃんと整備をするということで与党のお気持ちがかたいのであれば、民主党案で何の問題もないということであると思います。

○船田委員
 私ども与党の併合修正案におきましても、本則において十八歳以上ということを決定させていただいております。これは言うまでもなく、諸外国の例を見ても十八歳以上というのが世界標準である、こう思っております。これを取り入れることといたしました。
 ただ、本法施行までの間に関連法令、私どもが明示をしているものは公選法それから民法その他ということになっておりますが、少なくとも公選法、民法については十八歳、二十から十八になるようにこの期間において法整備をしなければいけないということを附則で載せております。
 なお、経過措置ということで、その関連法令が施行されるまでは二十以上のまま、こういうことにいたしておりますのは、例えば、何らかの理由によりまして公選法の規定が十分整備されないという事態が起こったときに、国民投票法案が十八以上、そして公選法による選挙が二十以上という事態が万が一生じた場合には大変な混乱を招くことが予想されることから、私どもは、万が一を考えての措置ということで書いたわけであります。
 しかし、これを書いたからといって、先延ばしにしようという意図は一切持っておりません。ここまで本則においても十八歳以上ということを明示している以上、我々与党としては十八歳に整備をするということについては政府に対して非常に大きな責任を負ったわけであります。したがって、これを履行することは与党の責任として確実にやらせていただきたいと思っておりますので、そのような心配は無用であると考えております。
 以上です。

○柴山委員
 よくわかりました。
 続きまして、公務員の政治的行為の制限についてお伺いしたいと思います。
 民主党案においては、公務員の行う国民投票運動については国家公務員法、地方公務員法等の公務員法制における公務員の政治的行為の制限規定を適用除外とするという修正を行ったわけですけれども、その内容及び趣旨がどういうものであるのか、民主党修正案提出者にお伺いしたいと思います。
 一方、与党修正案提出者に対しては、今、園田先生の方から、附則において検討を加えるということがどういうことを検討しようとしているのか意図不明であるというような御指摘があったわけですけれども、この論点についてどのように考えておられるのか、それぞれお伺いしたいと思います。

○枝野委員
 現行の国家公務員法や地方公務員法におきましては、憲法改正国民投票に際しての意見表明などを念頭に置くことなく、それ以外の政治的行為を専ら念頭に置いて服務上の問題として規制をしてきています。この現行公務員法制に何ら手当てをしないまま放置をいたしますと、原則自由であるはずの国民投票運動も、公務員法制の観点から規制がかかってしまうことになります。しかも、その規制のかかり方は、現行法制を前提としますと、国家公務員法による人事院規則と地方公務員法、さらにはその他の特別職公務員の特別規定などによって、それぞればらばらになってしまいます。
 さらに、そもそも公務員法制の政治的中立性は与えられた憲法秩序の枠内における公務員の義務であるのに対して、国民投票運動は憲法秩序それ自体を形成する作用に直接関与するものでありますから、主権者国民として最も重要な権利であり、もちろん公務員である以上は一定の制約に服するということは認めますけれども、しかし、やはり原則自由である、より一般的な政治活動以上に制限は制約的でなければいけない、少なくなければいけない、こういうふうに考えます。
 したがいまして、我々は、公務員法制上の政治行為の制限規定によって制約されることのないよう、国民投票運動には公務員法制上の政治的行為の制限規定を適用しない条項を置くという修正を行ったものであります。
 なお、このことによって、では公務員は何でもしていいのかということになるとそうではありません。これを原則自由にするかわりにと言ってはなんですけれども、我が党が当初は予定していなかった地位利用の禁止の規定を置くことにいたしました。地位を利用してということは許されない。
 さらに言えば、例えば国民投票運動に名をかりて、国民投票運動としての実体ではなくて、例えば特定の政党や特定の公職の候補者を支援するような活動をすれば、これはまさに名をかりてということでありますから、この原則自由というところの自由の枠からは外れるだろうというふうに考えます。
 それから、他の公務員法制上の信用失墜行為等の規定は、当然いきますので、それに該当するということで、悪質といいますか、公務員として、いかに憲法秩序を形成する作用に直接関与するものだといっても許されないような行為については、この規定があっても何ら問題なく規制を受ける、許されないことになるというふうに考えております。

○葉梨委員
 前回、この委員会でも御答弁をさせていただいたわけなんですけれども、与党案においては、附則の十一条で「公務員の政治的行為の制限に関する検討」というような状況になっておりますが、検討を加えるというのは、検討して何もしないということではございません。これは、ここにもございますとおり、「この法律が施行されるまでの間に、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、」「検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」ということですから、これは義務でございます。
 なぜこのような形に置いたかというのは、実は私自身は、民主党の修正案と我々与党案とそれほど違いがあるというふうには感じておりません。前回も申し上げましたように、公務員法の世界においては、公務の中立性という観点から諸規制が加えられている。公務の中立性があるからといって、十二月十四日に与党提案者が答弁いたしましたように、国民投票に関しての勧誘だとかあるいは意見の表明が制限されることになってはならない。
 どちらの世界、国民投票法の世界でそれを規律するのか、あるいは公務員法の世界で規律するのか、これはもう技術的な問題だろうと思うんです。公務員だからといって意見の表明は全部いいんだといって、では職務専念義務違反の行為もできるのか、あるいは信用失墜行為に当たる行為もできるのか、そこのところはいろいろと議論があるところだろうと思うんです。
 ですから、そこのところをしっかりと整理しながら、公務員法の世界において、国民投票に関する意見の表明だとかあるいは勧誘だとか、これはしっかりできるんですよ、しかしながら、ほかの公務の中立性に関する規制については公務員としてちゃんと守ってもらわなきゃいけないんですよということをその世界においてしっかりと整理していただく方が、国民投票法において単に適用除外とするというよりも丁寧な議論ができるだろう。その意味での検討でございまして、これは、この法律が施行されるまでの間に必要な措置を講ずるという、あくまで義務でございますから、何について検討を加えるというのは、今申し上げたとおりでございます。

○柴山委員
 続きまして、新聞の無料枠についてでございます。(発言する者あり)

○中山委員長
 静粛に願います。

○柴山委員
 民主党案についてでございますが、新聞の無料枠の規定、これを削除する修正を行ったということでございますけれども、これは一体どういう趣旨に基づくものであるのか、お伺いしたいと思います。
 それとともに、与党案においては、この民主党の削除修正を受けて、新聞の無料枠についてはどのように考えておられるのか、それぞれお伺いしたいと思います。

○枝野委員
 私どもは、発議をした国会として、国民の皆さんにその内容等について周知をする責任があると一方で思います。
 ただ、この間のこの委員会における議論の中で、なぜ国会つまり政党だけが公費を使って賛成だとか反対だとかアピールできるのか、発議をした側なんだから、むしろ発議を受けた側で賛成だとか反対だとかというところにこそ金を回すべきじゃないか、こういう指摘がたくさんありました。この両方の要請を満たさなければいけないだろうというふうに思います。
 そうした中で、いわゆる電波媒体については、ほかに手段がありませんので、放送局の電波を使って、無料CMと誤解をされていますが、正確に言うと政見放送類似の、それぞれの政党が主体となって賛成反対どういう理由でなのかということを国民の皆さんにお伝えする枠を、これはほかに代替手段がないのでやらざるを得ないだろう。
 ただ、紙媒体については、別途、広報協議会で選挙公報のような公報をつくることになっていて、これは賛否両方対等の枠で国民の皆さんに周知をするという仕事を公費を使って行うということがあります。それがあるにもかかわらず、それに加えて新聞の無料枠まで公費を使ってやるということになると、なぜ国会だけ、なぜ政党だけそんなにやれるんだ、むしろ発議を受けた国民の側こそが自由闊達に意見表明して運動すべきではないかという声になかなかこたえられないなというふうに思っています。
 実際に公報を配布する手段は一般的には新聞に折り込むということになるだろうと思いますので、折り込まれる方に公報があるんだから、新聞本体の方に何も広告を、わざわざ税金を使って買い取って、同じように政党に広告させる必要はないということであります。もちろん、政党を含めて、新聞広告等を自費で行うということについては全く自由でございます。
 以上です。

○船田委員
 今、民主党から御指摘をいただいた点でありますが、確かに活字メディアを使っての広報という点では広報協議会がつくる予定のパンフレットもございます。またその他さまざまな雑誌等がありまして、確かに活字の部分では一定の広報活動といいましょうかPRはできることとなっておりますが、それら私費で行うものについては、やはり賛否の平等という観点からすると、確かにばらつきがあると思います。したがって、活字メディアにおきましても、新聞の存在の大きさを考えた場合には、新聞をあえてなくすということまで踏み切ることはできないんじゃないか、私はこう考えております。
 また、テレビの無料枠もございます。テレビは確かに有効な媒体ではございますけれども、国民の感情に訴えるとか、あるいは刺激的な内容で報じてしまう危険性もなきにしもあらずということでございます。また、テレビやラジオなどは、一度見たものや聞いたものはその場で過ぎ去ってしまうわけでありまして、やはり活字という固定した媒体を見て、何回も読み直して確かめる、こういう国民の間での奥の深い議論に資することは新聞の役割としてはとても大きいものがあると考えておりますので、私どもとしては、新聞無料枠につきましてはやはり存置をして税金の範囲内でしっかりとこれを措置するべきである、こう考えております。

○柴山委員
 続きまして、今度はテレビ等の有料広告についてお伺いしたいと思います。
 民主党案はこの点で大変重要な修正がされております。投票日前のテレビ、ラジオにおける有料広告の禁止期間を発議後の全期間という修正をされた理由についてお伺いしたいと思います。一方、与党修正案提出者には、投票日前のテレビ、ラジオにおける有料広告禁止期間を一週間から二週間に延長する案を提出しているわけですけれども、この点について、民主党の修正案を受けて、どのように考えておられるでしょうか。それぞれお伺いしたいと思います。

○枝野委員
 表現行動についてですから、できるだけその規制は少ない方がいいというふうに我々も思っております。ただ、この委員会でるる議論されてきておりますとおり、テレビCMというのは非常に多額なお金がかかりまして、普通の人がかかわることはできない種類のものである、そして、かける金額の大きさによって圧倒的にその影響力に差が出るということになります。
 私は、賛成側、反対側どちらがお金をお持ちでどうこうというのはその発議の内容によって違いますから、それをあらかじめ予見を持ってする必要はないと思いますが、いずれにしろ、経済力によって差がつく。しかも、電波というのは一種の公共物でありまして、限られた電波は限られた人たちしか持っていない。紙媒体であれば、新聞、一般紙に広告を載せれば多額のお金がかかるかもしれませんが、テレビに比べれば大幅に金額は少ないですし、さらに言えば、同じような紙媒体でほかに安い手段でということがあります。ただ、電波は代替性がない、しかも大変大きな金がかかるということになります。
 たくさん金をかけて、たくさんCMをしたから、ではそれでその意見が多数になるという影響をどれぐらい与えるかというのは、これは検証のしようがないのでわかりません。しかしながら、結果的にたくさんCMが流れた方が多数であったなんていう結果が出たときに、それは金で買われた憲法じゃないかだなんてことになれば、でき上がった憲法に対する国民的信頼は非常に低いことになる、悪い影響を与えることになるというふうに思います。したがって、経済力の多寡によってCMの量に大きく差がつくということがないことが、でき上がった結果との関係で望ましいだろうと思います。
 では、賛否平等になるようにというようなことを何らかの規制ができるのかといえば、それは現実のテレビコマーシャルの売り方、買い方から考えると現実的に難しいだろうと思いますし、表現の自由に対する介入のあり方として、形式的にだめだというのと、実質に踏み込んでいいとか悪いとかというのでは、実質に踏み込んでいい悪いという方が介入としては大変強力な介入になって、できるだけ避けた方がいい。賛否平等にできるだけ近づけるようになんていう決め方をすると、それが賛成のCMなのか反対のCMなのかの内容に踏み込むことになりますから、そういう規制の仕方はできない。
 そうすると、全面的にテレビCM自体を禁止して、賛否どちらのサイドもテレビCMは使わない。ただ、賛否どちらも、少なくともテレビ媒体からは、国の政見放送類似のところではメッセージが発信される、あとは放送媒体以外の、どなたでも自由に参加できる媒体を通じて運動しましょう、これがやはりフェアなあり方じゃないか、こういうふうに考えて全面禁止ということに踏み切りました。

○船田委員
 私ども与党の原案では、七日間の禁止ということを決めました。
 これは、やはりテレビCMが、先ほど申し上げましたように場合によっては国民の感情に訴えるとか影響力が非常に大きいということが挙げられました。また、一度テレビCMにおきまして誹謗中傷などがもしあった場合に、それを打ち消すような、つまり言論に対しては言論で対処していく言論の自由市場というものがきちんと機能すればそれはそれでいいのかもしれませんが、やはり投票日数日前にこれをやられた場合に、反論するだけの時間も与えられなければこれは大変なことになる、こういったことを考えましてまず七日間の禁止を考えたわけであります。
 しかしながら、さらにこの委員会でのさまざまな議論の中で、非常にその影響力が大きいということも明らかになってまいりました。また一方で、これは今枝野委員が話をされましたように、財政力の差によってテレビCMをいっぱい流せる政党とそうでない政党あるいは団体、こういった金銭的な差による賛否のアンバランスも当然出てきてしまうということで、これを十四日間禁止ということとしたわけでございます。
 しかし、民主党がおっしゃるように全期間禁止ということになりますと、少し行き過ぎではないのかなということを考えました。確かに、一方では広告主という立場もございます。その表現の自由も考えますと、全期間禁止はちょっと行き過ぎているな、こういうことも考えまして、両方のバランスをとりまして十四日間というのが妥当ではないか、このように考えて修正をさせていただいたということでございます。

○柴山委員
 民主党案提出者に今の点でちょっとお伺いしたいんですけれども、今、国民投票法案に対する国民の周知が必ずしも十分ではないというように言われておりますけれども、民主党修正案提出者は、有料CMでなくて評論番組あるいは報道番組等で周知行為は十分行われるというような御認識でしょうか。

○枝野委員
 国民投票が行われますよということ自体は、その広報は別途あり得るんだというふうに思いますし、それをテレビコマーシャルに使ったりして行うことについてはこの法律で別に禁止をされていない。つまり、それは選挙管理委員会的な形で、投票がありますよ、こういう周知はもし必要があればきちっとやった方がいいんだろうと思います。でも、憲法改正の発議がされて投票がありますよということ自体は、それなりにきちっと周知をされるんだろうというふうに思います。
 その上で、賛否それぞれの内容についてはということであれば、そもそもが十五秒とか三十秒のテレビCMで内容について国民の皆さんに理解を求めようという発想自体がやはりちょっと現実的ではないんだろうなと。印象、イメージを伝えて、賛成を募る、反対を募るということにやはりならざるを得ない。
 そういう意味では、政見放送類似のかなりまとまった時間を賛否それぞれからきちっと流すとか、あるいは紙媒体でじっくり読んでいただくとか、それこそ御指摘のあったような、いわゆる番組の中で、放送局が中立な立場で賛否両論についての意見を国民に伝えることを通じて、内容についてはきちっと伝わるというふうに思っています。

○柴山委員
 最後に、両案について、最も隔たりが大きいと思われる国民投票の対象について質問をさせていただきたいと思います。
 今回、民主党案においては国政における重要な問題に係る案件について国民の賛否を問う一般的国民投票制度の対象を限定する修正を行われたわけですけれども、その趣旨はどのようなものなのでしょうか。そして、この点を与党修正案提出者はどのように評価をされているのか。それぞれについてお伺いしたいと思います。

○枝野委員
 当初の案でも、具体的な法律案を国民の皆さんに賛成ですか反対ですかというようなことは、少なくとも憲法四十一条の趣旨に照らして望ましいことではないというふうに考えております。もちろん、法的には拘束力がないということでありますから憲法四十一条に反しないと思いますが。
 我々も想定をしている国政問題、重要問題というのは、具体的な法律案について賛成か反対か国民に問うということではなくて、例えば、脳死のときには中山先生と私と違う案のそれぞれ提出者でありましたが、それについて国民の意見を問うとかということではなくて、脳死を人の死と認めることについてどう思いますかというような、つまり憲法四十一条に反しない、その前提となる重要な問題についての国民の意見を問う、そういうことをもともと当初から意図している法律のつもりでおりましたが、この委員会での議論を踏まえて、どうも誤解をされる、あるいは少なくともそこのところがあいまいであるという認識を深めましたので、今のような、つまり具体的な法律案について聞くわけじゃありませんよと。
 あるいは、憲法四十一条との兼ね合いで国民投票に付することが普通は望ましくない、間接民主制の趣旨からして望ましくない案件もたくさんある。というか、これは最終的にはポジティブリストで書いた方がいいんだろう、これをやっちゃだめということではなくて、これについてやりなさいと。ネガティブリストなのかポジティブリストなのかはこれから決めてもいいと思うんですが。
 いずれにしても、何らかの形で、今のように、具体的な法律案を聞くわけではないですよ、あるいは事柄の性質上、国民投票に付すのは適切ではないものがありますよねというようなことを、きちっと基本的なルールを決めた上で国会として整理をしなきゃならないということは当初から考えておりました。
 ただ、そのことについてきちっと明示的に書いた方が、何でもかんでもかかるのかみたいな不安を与えないということになると思いましたので、今のような趣旨のことを法文上明確にしたということであります。

○葉梨委員
 先に与党案について簡単に説明してからコメントをさせていただきたいと思います。
 与党で法律を出すわけですけれども、もちろん、国民の中には今自衛隊が違憲であるというような意見もあることは承知しておりますけれども、我々としては、憲法に反する疑いが非常に強いようなものを法律として書くことはなかなかできないだろうと思うんです。
 現行憲法においては、間接民主制というのをベースにして、そして直接民主制については限定列挙という形をとっております。諮問的な国民投票といったところで、やはり相当な拘束力を持ってくるとなれば、それはどうしても直接民主制の導入ということで、公述人からもさきにお話がございましたけれども、憲法改正も必要になるんじゃないかという議論もあろうかと思います。
 しかし、憲法調査会あるいは憲法調査特別委員会を通じて、やはり一般的な国民投票あるいは予備的な憲法改正に関する国民投票についての必要性もるる各委員あるいは各参考人、各公述人からもお話があったわけです。
 そこで、そこのぎりぎりのところということで、与党案においては、憲法改正を要する問題及び憲法改正の対象となり得る問題について、これはまあ九十六条の外延という形で位置づけられようと思いますけれども、国民投票制度に関し、その意義及び必要性の有無について、日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え、必要な措置を講ずるものとすると。
 先ほどの公務員の政治的行為と違いまして、意義及び必要性の有無というような形で憲法との整合性を持っているわけですけれども、ただ、こう書いておけば、憲法審査会の中で憲法上一般的な国民投票の位置づけが一体どうなるんだというような議論は当然なされるというふうに、私は事実上の話としては思っております。
 民主党案について申し上げますと、非常に限定した形で条項を絞っていただいたということと、非常に大きな点というのは、間接民主制との整合性について民主党が明記していただいたということはやはり前進だと思いますし、議論のベースというのは相当近づいてきているというふうに私自身は感じております。そんなに大きな違いということはないと思います。

○柴山委員
 今の葉梨先生のおっしゃったことと私も全く同感でして、両案の実質的な差異というものは、少なくとも認識のレベルではなくなってきていると思います。(発言する者あり)

○中山委員長
 静粛に願います。

○柴山委員
 きょう、これをもって質疑を終わりますけれども、与党案、民主党案、今お伺いしたところ、広告規制については若干の差異はありますけれども、それ以外の部分については、少なくとも基本的な認識、ポリシーに関しては内容がほとんど一致しているというように思われます。
 この点について、最後、民主党修正案提出者に認識を再度お伺いするとともに、国民主権原理を実効化させるための大変重要な法案、また七割の国民が整備に賛成しているこの法案をくれぐれも政局に絡めることがないようにすべての会派に要望いたしまして、私の最後の発言とさせていただきます。

○枝野委員
 私、この間の報道も皆さんの御議論もちょっとよくわからないところがあるんですが、与党の皆さんはほとんど違いがないとおっしゃっているのであるならば、民主党案に御賛成いただければ円満にすべてが解決するんです。ここがよくわからなくて、早く採決をしろと言っているのは与党の皆さんで、我々は、もっともっと議論をすればもっともっと詰まるかもしれない、なおかつ違いがあると申し上げている。そちらは、違いがないとおっしゃっているんだったら、なぜ民主党案に賛成できないのか、それがさっぱりわからない。
 しかも、先ほどの話のとおり、違いの大きな点は、三年以内にちゃんとやるかどうかという違いです。しかも、今の国会の状況を考えれば、これから三年間は皆さんの方が多数で、法律をつくるということについての圧倒的な決定権を持っていらっしゃるわけです。私ども三年間につくるという決定権を持っていない側が、その三年間でちゃんとやってもらわなきゃいけないことについてちゃんと法律上担保をとらざるを得ないということは当然のことだと思うんですね。ですから、この違いについては、三年以内にちゃんとやるということであるならば、我々の側に乗っていただくのが、今現に、それから今後三年間、国会で多数を持っている可能性の高い皆さんの当然の責任であろうというふうに申し上げたいと思います。

戻る