- ○下村委員長
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これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。
- ○柴山委員
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自由民主党の柴山昌彦でございます。
時間がありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
今回議題となっております裁判所職員定員の変更という問題なんですけれども、まずしっかりと注目をしなければいけないのは、法曹人口のトータルの増加のペースに裁判官の増加のペースが及んでいないのではないかという事実だと思います。
裁判官、平成二年には人口は二千十七名、そして十九年には二千六百十名で、この間二九%の増加となっております。一方、弁護士は、同じく平成二年には一万四千百七十三名、平成十九年には二万三千百五十四名で、この間の増加は何と六三%であります。検察官ですら、平成二年、千百七十三名、そして平成十九年には千六百三十四名で、三九%の増加となっております。
今後、司法試験の合格者が年間三千人にもなりなんとする中で、法の支配と紛争処理を飛躍的に高めていこうというこの御時世に、余りにも裁判所の体制は不十分ではないかと思うんですけれども、この点、どのようなお考えなのでしょうか。裁判所の方にお伺いしたいと思います。
- ○高橋最高裁判所長官代理者
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お答え申し上げます。
今、法曹人口が飛躍的に増大しているときに、裁判所の、特に裁判官の増加がそれに見合っていないのではないかという御指摘でございます。
司法修習生が増加いたしますと、判事補の給源、判事補をそこから採る給源も増加するということになるわけでございますが、裁判官の採用数を考えるに当たりましては、まずは司法に対する需要がどのぐらいあるのか、すなわち司法、つまり裁判所の処理すべき業務量がどのぐらいあり、それを処理するのにどのぐらいの人数の裁判官が必要かという観点、基本的にはどの程度の事件が裁判所に提起されるのかという点から検討すべきものと考えております。
法曹人口が増加すれば、ある程度民事事件がふえていくであろうということは予測されることでございますが、それでは刑事事件がそれに比例してふえるかというと、必ずしもそういうわけではございません。弁護士さんがすべて訴訟事件をおやりになるかというと、必ずしもそうではなくて、予防法学の方をされることもございましょうし、さまざまな面がございます。そういう点で、将来的には、法曹人口がふえれば民事訴訟事件もふえるであろうということは想像にかたくないわけでございますけれども、それに対応して裁判官の採用もふえなければならないという関係にはないものと承知しております。
言うまでもないことでございますけれども、裁判官として採用するにつきましては、それにふさわしい資質、能力を持った人材でなければならないわけでございます。今後とも、これらの要素を注意深く見きわめながら、国民のニーズにこたえるために必要な、それにふさわしい人材を裁判官に採用していきたいと考えております。
- ○柴山委員
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刑事事件がふえるわけではないという御指摘でしたけれども、先ほど申し上げたように、検察官の定員は三九%ふえているわけですから、その御立論は説得力がないと思います。
それと、もう一つ言わせていただくと、法曹の資質の問題を取り上げましたけれども、それでは弁護士あるいは検事さんの資質はどうでもいいのかという話です。要するに、法曹トータルの質の強化ということは、我々が司法制度改革の中でしっかりと議論をしていかなければいけないわけですから、裁判所だけがギルド的な既得権益の擁護ということにもしこだわっているとすれば、これは断じて許されないということだけはぜひ申し上げたいと思います。
その上で、先ほど事件数のことについて御指摘をされたんですけれども、それではお伺いしたいと思います。一人当たりの裁判官の手持ち事件数、そして新しく配てんされる事件数、これについて、最近の推移をぜひお聞かせいただきたいと思います。
- ○高橋最高裁判所長官代理者
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最近の全国の裁判官の手持ち事件数、民事訴訟を担当している裁判官の手持ち事件数それから新受件数というものについて、現在、数字を手元には持っておりません。
支部の裁判官でありますと、単に民事訴訟事件だけではなくて刑事、それから保全事件、破産事件、さまざまな事件を担当しておりますので、裁判官一人当たりの民事手持ち事件数、新受件数というのは、数値を出すのは非常に困難であるということは御理解いただきたいと思います。
具体的に申し上げますと、それでは東京地裁の、委員お尋ねの裁判官一人当たりの手持ち件数について、繁忙とされます東京地裁民事通常部の事件数を出してみますと、平均して二百件程度でございます。同じくお尋ねの一人当たりの新受件数、一カ月当たり民事通常部は三十件程度となっております。
- ○柴山委員
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一人当たりの裁判官の手持ち件数が二百件、それから一カ月間に新しく受ける事件数が三十件ということですね。もちろん、これらのすべてが終局処分が判決という形で終わるわけではありませんから、そのあたりは注意をしなくてはいけませんけれども、果たしてこのようなペースで、裁判官がしっかりと熟慮の上、真っ当な判決が書けるかということなんですね。
私の手元に、平成十三年の四月十六日付で最高裁判所事務総局が出した「裁判所の人的体制の充実について」というペーパーがございます。この中に今後の目標として、裁判官の手持ち件数を大幅に減らさなければいけない、手持ち件数を現在の百八十件から四分の三の百三十件から百四十件、こういった形でペースダウンしていくということが必要だというように明記されているわけですね。
にもかかわらず、現状は今おっしゃったような形になっているわけでございます。ぜひこの点について、しっかりと今後、法の支配の拡大ということで必要な体制ということを考えていただきたいというように考えております。
加えてもう一点申し上げたいことは、裁判員制度が、平成二十一年五月二十七日までの政令で定める日で施行されるということなんですね。この裁判員制度の導入に当たって、必要な人的体制は一体どのようになっているんでしょうか。
- ○高橋最高裁判所長官代理者
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お答え申し上げます。
裁判員制度の導入といいますのは、裁判所にとって非常に大きな、特に刑事裁判にとって非常に大きな制度改革であると考えております。制度導入までに、現在の事件動向に適切に対処しつつ、裁判員の参加にたえ得るように、審理の充実、迅速化を徹底しますとともに、制度導入後の手続を円滑に実施するためには、合議体を構成する裁判官のみならず、選任手続において多くの事務処理を担当する書記官を含め、人的体制を順次整備していくことが不可欠でございます。
裁判員制度の導入に伴う増員につきましては、裁判員制度の具体的な運用等について、模擬裁判等を通じて検討を進めているところでございます。これまでに最高裁や全国各地の裁判所において実施された模擬裁判の結果や、これまでの事件数をもとにいたしますと、裁判官についてはおおむね百五十人程度の増員で行うということを考えております。
- ○柴山委員
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この裁判員制度の導入に際して、それだけで裁判官の増員が百五十人必要だというように今御指摘になっているわけですけれども、今各地で模擬裁判をされているというお話はありましたけれども、その中で、この百五十人という人数について、増員の必要性というような声は上がってきていないんでしょうか、どうなんでしょうか。
- ○高橋最高裁判所長官代理者
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お答え申し上げます。
模擬裁判をする過程におきまして、審理及び評議の両面において、これは思ったよりも業務量といいますか手間がかかるではないか、大変ではないかという声が上がっていることは事実でございます。
ただ反面、この裁判員裁判ということによりまして、訴訟関係者の間で共通認識が生まれてきていると思います。それは、できるだけ公判前整理手続で争点を整理して、そこに集中して審理を行う、非常に効率的な審理を行うということが実現できそうな状況が生まれてきております。そしてもう一つ、刑事事件が最近少し動向が、事件数が落ちついてきております。こういった点も考慮しますと、百五十人でやれるのではないかというふうに私どもは考えております。
- ○柴山委員
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今後の裁判所の定員を考えるに当たって非常に重要なのは、紛争解決手続における裁判所の位置づけというものが今後どのようになっていくかということだと思うんです。刑事事件もそうですけれども、紛争解決ということが裁判所の大きな役割になってきます。
その中では、この委員会でも検討されているADR手続ですとか、あるいは準司法手続、行政の中で公正性を確保するために司法に準ずる手続で審査等をするという手続、また仲裁等の手続、さまざまあると思います。
ここで、今後の司法行政の担当者に、裁判所の位置づけについてのビジョンをぜひお伺いしたいというように思います。
- ○高橋最高裁判所長官代理者
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お答え申し上げます。
裁判所は、公正かつ透明な手続を通じて事実関係を確定し、法律を適用して、具体的な紛争を解決する司法作用を行うことをその本質的な役割としておりまして、これまで民事、刑事、行政、家庭事件を、そういう意味で適切に処理してきたものと認識してきております。
そして、最近では、非常に最先端の金融機関同士の合併をめぐる紛争でありますとか、最先端の技術が争われる特許紛争であるとか、これまで裁判所に来なかったような物すごく難しい事件、非常に最先端の事件が来ております。
また、他方、従来は行政の分野に属すると思われてきた事柄も裁判所で担当してはどうかということで立法が行われてきております。最近の薬害C型肝炎の被害者救済特別措置法でありますとか児童虐待防止法の改正などは、そういうような議論がされたというふうに私ども承知しております。
さまざまな裁判所の関与が求められてきておるわけでございますが、その背景には、社会構造が行政による事前規制型社会から事後救済型社会へと転換しつつある、そういうことを反映しているのではないかと思われるわけでございまして、中立公正な機関としての裁判所に対する期待が高まっているのではないかと思われます。
このような事件について裁判所はどういうスタンスで対応するのか、先ほど言われましたADRでありますとか準司法手続、行政不服審査手続の改正でありますとか、そういった点についてどういう考えを持っているのかということでございますが、政策的な問題についてあれこれ申し上げるのは必ずしも適切ではございませんが、先ほど申し上げましたような司法の本質にそぐわないようなものについては、やはり裁判所がそれを担当するのは適当ではないと考えております。
私どもは、すべての社会的紛争が裁判所で解決されなければならないと思っておるわけではございません。ADRの特徴もございます。安くて、解決の方法が柔軟性があって速いとか、そういういろいろな特性を備えたADRもございましょうし、専門の行政不服審査手続で十分解決される紛争もあると思います。
あくまでも裁判所はラストリゾート、つまり、最後のよるべきところとしてその機能を果たすべきところでございますので、そういう機能に即した事柄については、裁判所としては引き受けていかざるを得ないと考えております。
- ○柴山委員
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今、独占禁止法の改正の議論で、要するに、行政の審判制度を廃止して、裁判所の手続に一本化しようなどという議論も行われているわけですけれども、先ほど御指摘をいただく中で、そういう単純な議論というものが果たして妥当するのかどうかということについては、ぜひ我々議員がしっかりと考えていかなければいけないというように思っております。
この紛争解決の多様性ということについて、法務省からもし御意見がありましたら、司法法制部の方から伺いたいと思います。
- ○深山政府参考人
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委員御指摘のとおり、一口に法的紛争と申しましても、さまざまなものが存在しておりまして、紛争解決に関する国民のニーズも多様であると考えております。
そこで、今般の司法制度改革におきましても、労働審判制度の創設、仲裁制度の整備及び裁判外紛争解決手続の認証制度の創設など、国民にできる限り多くの紛争解決手続の選択肢を提供して、それぞれの紛争に適した解決方法の選択を可能にするというようなことが図られていますし、いずれの紛争解決手続も迅速で公正なものになるよう制度の充実が図られております。
中でも裁判所は、今最高裁の御答弁にもありましたけれども、紛争解決制度の中心的な存在であることは否定できませんし、他の方法では解決できない紛争を含むすべての法的紛争の最終的な判断機関でございますので、日常的な紛争から高度な専門技術にかかわる紛争まで、いかなる法的紛争にも対応することが求められていると思っております。
法務省の立場としては、今後とも、各種の紛争解決手続が国民にとって多様なニーズにこたえ得るものになるようその整備に努めるとともに、裁判所が国民に求められている機能を十全に発揮できるよう必要な検討を行っていく所存でございます。
- ○柴山委員
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時間が終わりましたので、以上で質疑を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
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